日刊労働通信社 | 法人実効税率の引き下げと消費増税凍結はセット 編集 持田哲也

法人実効税率の引き下げと消費増税凍結はセット 編集 持田哲也

コラム 経済

 

読売に「在庫減、好景気の兆し」「企業、需要見込み増産へ」「輸出加速今後のカギ」が書かれている。
「企業が抱える製品などの在庫が、景気回復基調を反映して着実に減っている。過剰な在庫が減る『調整局面』がほぼ終わり、出荷が伸びて在庫が自然に減る局面に入った。この状況が続けば、企業が生産や設備投資を増やし、本格的な景気回復につながることが期待される。
在庫の増減は、景気動向を示す重要な指標の一つだ。具体的には、経済産業省が毎月発表している鉱工業生産統計の出荷指数と在庫指数について、前年同期比伸び率を組み合わせた点をグラフ上でつないだ『在庫循環図』で示される。
景気が回復基調に入ると、製品を買う人が増えてきて、在庫が自然に減っていく。その後、景気が本格的な回復軌道に乗れば、企業が生産を拡大させ、逆に在庫が増えていく。しかし、景気が減速すると、出荷の伸びが鈍り、余分な在庫を抱えてしまう。さらに景気低迷期に入り、企業は生産を抑えて過剰在庫を減らすことに注力する。このように、景気循環に合わせて、在庫循環図は通常、反時計回りに円のような形を描く。
最近の循環図を見ると、2013年1~3月期は出荷が6・3%減、在庫は2・7%減で、グラフ上では『調整局面』が終わりに近づいていることが分かる。さらに4、5月は『意図せざる在庫減少局面』に入っており、本格的な景気回復が近いことを示している。

在庫が順調に減れば、過剰在庫の心配なしに生産・出荷を増やすことができる。企業業績が改善し、設備投資を増やす環境も整う。
確かに、最近は設備投資に明るい動きが出ている。東芝は今月2日、三重県四日市市の半導体工場に製造棟1棟を増設すると発表。中小型液晶世界最大手のジャパンディスプレイは6月、千葉県茂原市の液晶パネル工場に生産ラインを新設し、スマートフォン(高機能携帯電話)向け部品の量産を始めた。コマツは6月から、栗津工場(石川県小松市)など国内5工場を順次建て替えている。
企業が設備投資を増やせば、雇用や所得が増え、個人消費も活性化する。企業は一段と増産に踏み切りやすくなり、こうした好循環が景気を本格的な回復軌道に乗せることになる。
在庫循環図が今後、積み増し局面に入るには、企業が生産、出荷を一段と活発化させるかどうかがポイントとなる。農林中金総合研究所の南武志氏は『輸出が加速度的に増えていく、という見通しがつくことが重要だ』と指摘する。海外経済が減速すれば、出荷が伸びず、企業は増産に踏み切れないからだ。また、電機や自動車で在庫減少が急速に進む一方、鉄鋼などの素材産業では在庫が前年より増える傾向もみられる。在庫減少が幅広い業種で進むかどうかも注目される」。
企業が抱える製品の在庫が、景気回復基調を反映して着実に減っている。2013年1~3月期は、出荷が6・3%減、在庫は2・7%減で「調整局面」が終わりに近づいており、4,5月は「意図せざる在庫減少局面」に入っており、本格的な景気回復が近いことを示している。企業が設備投資を増やす好機となった。ここで、企業が設備投資に踏み切れば、雇用、賃上げにつながり、個人消費が拡大する好循環となり、本格的な景気回復軌道となる。
問題は、この好機に、安倍首相が法人実効税率の引き下げの、政治決断を出来るか、である。

消費増税凍結とのセットの決断は、アベノミクスの成否を決めることになる。

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