日刊労働通信社 | 消費者心理の変化について 編集 持田哲也

消費者心理の変化について 編集 持田哲也

コラム 経済

 

日経に「実用品少しぜいたく」「衣料、靴、家具・・高めが売れ筋」「消費者心理上向き」が書かれている。
「実用品でも価格が高めのモノを選ぶ消費者が増えている。スーツや靴、家具などで単価の高い商品の売れ行きがいい。スーパーでもワインなどの売れ筋価格が上向く。株高による資産効果でまず高級ブランドや宝飾品の売り上げが伸びた。足元では消費マインドの改善に加え、夏の賞与の増加や物価の先高観もあり、ワンランク上の消費を押し上げている。
雑貨店『無印良品』で定番の綿シャツの2倍ある、3980円の麻素材のシャツが売れている。肌触りが良く、涼しい着心地が人気だ。運営する良品計画の3~5月期の客単価は前年同期比2・7%上昇した。
靴では多少値が張っても、ファッション性の高い商品が売れ筋だ。エービーシー・マートでは、かかと部分が上げ底になって、足が長くみえるスニーカーの売れ行きがいい。価格は6千円程度と通常のスニーカーより約1割高いが『1千円くらい高くても手を伸ばす消費者が増えてきた』と同社はみる。
景気の遅行指標ともいわれる男性向けスーツでも変化が出てきた。青山商事ではイタリア製の生地を使い、着心地に優れた7万~8万円の高価格帯の売り上げが4~6月、5割増えた。太陽光の熱を反射するといった実用性より、生地の質感やシルエットの良さを重視した商品が売れ筋となり、30~40代男性の購入が目立つという。
割安な家具が売り物のニトリホールディングスでも高めのソファの売れ行きが良く、3~5月期の客単価が3%上昇した。大丸松坂屋百貨店は寝具類の6月の平均単価が12%上がった。けん引したのは10万円以上するマットレスだ。
実用品にもある程度奮発する消費者が増えてきた背景には消費マインドの改善がある。大和証券の津田和徳チーフアナリストは『ここにきて残業が増えたり、賞与が増えたりと先行していた景気回復ムードに実感が伴ってきた』と指摘する。経団連の調査によると、大企業の今夏のボーナス支給額は2年ぶりに上昇。前年比伸び率は7・37%で、1990年(8・36%)に次ぐ高さだ。
ドイツ証券の風早隆弘シニアアナリストは『待てば安くなると思えたこれまでと違い、物価に先高観があるので価値を認めれば少し高くても消費者が買うのをためらわなくなってきた』という。消費者のデフレマインドの変化が消費を後押ししていると分析する。
節約志向が根強いスーパーでも高めの商品を選ぶ動きが出始めている。イトーヨーカ堂では6月、すしの平均単価が前年比1割上昇した。マルエツは焼き肉用の国産牛パックの売れ筋価格が1280円。春先より300円程度上がった。高級スーパーの成城石井ではシャンパンの売り上げが5%増え、4千円台前半と高めの商品が人気だ。
高額消費は昨年末以降の株高をきっかけに拡大した。今春以降、円安などを理由に値上げする高級ブランドが相次いだが、その後も売り上げは好調に推移。高島屋は6月の高級ブランドの売上高が13%増。宝飾品・腕時計も同様で、三越伊勢丹の主力3店では4割増収となっている」。
消費者心理が上向きになっている。ワンランク上の消費を押し上げている。「物価に先高感があるので価値を認めれば少し高くても消費者が買うのをためらわなくなってきた」からである。消費者のデフレマインドの変化が、消費を後押ししている。

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