日刊労働通信社 | デフレ脱却最優先

デフレ脱却最優先

コラム 経済

 

日経に「政府、慎重論に配慮」「消費増税点検59人決まる」「多数は賛成論」が書かれている。
「政府は20日、消費増税の影響を調べる集中点検会合に出席する有識者を決めた。内閣官房参与の浜田宏一エール大名誉教授や本田悦朗静岡県立大教授のほか、法律で決めた消費増税に反対するエコノミストを入れ、慎重論に配慮する姿勢を見せた。ただ、人数でみると賛成派が多い。増税による景気悪化を防ぐ対策に議論の重点を置く可能性もある。
会合は26日から31日にかけて7回開き、計59人の有識者から意見を聞く。議事要旨は5日以内に公開する。政府が2014年4月に消費税率を5%から8%に上げるかどうかを決めるため、有識者に消費増税による生活や経済への影響とそれに対する対策、財政再建に向けた考え方を聞く。会合の報告について、甘利明経済財政・再生相は『結論づけるべきではない』としており、賛成と反対の両論を載せる考えだ。

 

過去の発言などから有識者の立場を分類すると、法律どおりの消費増税に反対とみられるのが、浜田氏と本田氏のほか、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士主任研究員、主婦連合会の山根香織会長ら少なくとも6人。甘利経財相は20日、『浜田氏と本田氏からはちゃんと話を聞いてほしいと安倍晋三首相から話があった』と明かし、慎重論に気を配る姿勢を見せた。
一方、賛成派は少なくとも30人。経団連は賛成しており、加盟企業の経営者も推進を唱える。労働組合も容認しているほか、エコノミストや学者の多くも『財政再建のためには消費増税はやむをえない』との声が多い。立場が不明な人も20人ほどいるが、数の上では賛成派が慎重派を上回るのはほぼ確実だ。ただ賛成論には、消費増税に伴う業績悪化を防ぐ経済対策や、対象を絞って税率を軽くする軽減税率を求める声もある」。
来年4月からの消費増税について、26日から31日まで、有識者から意見を聞く「集中点検会合」のメンバー59人が決まった。人選したのは財務省であり、反対派は6人、賛成派は30人、中立派は20人との内訳になっているが、中立派20人は、最後は消費増税容認論であるから、賛成派は50人になる。財務省の思惑通りである。
問題は、賛成派の論理である。吉川東大大学院教授のいう「増税を見送れば『政府は借金を返す気がない』というメッセ―ジを市場に与える」と増税先送りによる長期金利の急上昇(国債価格の暴落)を懸念するものである。財政再建至上主義であり、経済成長至上主義であるアベノミクスとベクトルが真逆なのである。
アベノミクスは、デフレ脱却最優先となり、消費増税反対となるのに、財務省は、デフレ容認であり、消費増税推進となる。違いは、デフレ脱却最優先するか否か、である。安倍首相は「デフレ脱却最優先」だから、来年4月からの消費増税は「先送り」との論理となるが。
 
 
編集 持田哲也

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