日刊労働通信社 | 靖国参拝自粛  編集 持田哲也

靖国参拝自粛  編集 持田哲也

コラム 政治

 

朝日に「立ち話、首相の計算」「中韓首脳と初接触」「各国の前なら断れない」「応じたけど冷ややか」が書かれている。

「ロシアを訪問した安倍晋三首相が5日夜(日本時間5日深夜~6日未明)、サンクトペテルブルクで中国の習近平国家主席、韓国の朴槿恵大統領と相次いで立ち話をした。日本の首相が両首脳と会うのは、安倍首相の就任後初めてだ。日中、日韓関係が改善する糸口になるのか。

首相は主要20カ国・地域(G20)首脳会議の全体会合直前、各国首脳が集まる部屋で習氏に語りかけた。
『戦略的互恵関係の原点に立ち戻って日中関係を発展させていくべきだ』

その後、夕食会前の時間を使い、首相は今度は朴氏とあいさつを交わした。首相は訪ロ前から立ち話を狙っていた。『各国首脳が見ている前なら、こちらから話しかければ断れない』。訪ロ直前、周囲にこう語り、関係打開に向けて国際会議で『立ち話』を活用する案も明かした。『向こうが応じなくても、対話に前向きな日本の姿勢を示せる』という計算もあった。
首相のもとには、中韓との関係改善を求める米国の意向も届いていた。首相はこの夏、腹心の斎木昭隆外務事務次官らを中韓に派遣。靖国参拝も見送り、伏線を張ってきた。
秋は国際会議が目白押しだ。9月下旬に米国で国連総会、10月にはインドネシアでアジア太平洋経済協力会議(APEC)、ブルネイで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議がある。日中韓首脳が集まる。立ち話から始め、正式な首脳会談を探るシナリオだ。

首相周辺は6日、『対和のドアを閉ざしているのは、我々ではないという一貫した姿勢を示す事が出来た。後は相手次第だ』と語った。とはいえ、中韓ともに国内世論は厳しい。一気に雪解けムードが広がる可能性は高くない。

『会場で日本側が求めてくれば、指導者として拒むわけにもいかない。過大に評価しない方がいい』。中国外務省幹部は6日、習主席と安倍首相の接触について、冷めた見方を示した。
同省は8月末に『対話の土台がない』(李保東次官)と、首脳会談の可能性を否定。偶発的接触に備え同行する日本担当課の課長補佐らも、今回は北京に残った。
尖閣諸島を巡る対立と歴史問題を結びつける中国は、終戦の日に一部閣僚が靖国神社を参拝し、安倍首相が戦没者追悼式の式辞で加害責任に触れなかったことに反発していた。それでも習主席が安倍首相との会話に応じた背景には、首相が靖国神社参拝を控えたことなどを踏まえた政治判断があった可能性がある。
ただ、領有権争いの存在を認め、棚上げを求める中国の立場は変わらない。国営新華社通信は6日の評論で『(関係改善への)良いスタートになるかも知れないが、それは日本次第だ』となお歩み寄りを求めた。
韓国側にもG20の機会を、対日関係をこれ以上悪くしないために活用したいとの思いはあった。『同じ場にいるのに、<赤の他人>みたいに振る舞うこともできない』(大統領府関係者)

ただ、今回の立ち話が本格的な関係改善や首脳会談につながるかは不透明だ。韓国にとっても懸案は日本軍元慰安婦などの歴史問題だ。政府高官は6日、『安倍政権が歴史認識で異なった姿を見せない限り、首脳同士が会っても実のある会談にはならない』と指摘した」。

安倍首相は、5日夜、ロシアのサンクトぺテルブルグで、中国の習近平国家主席、韓国の朴槿恵大統領と相次いで立ち話をした。「各国首脳が見ている前なら、こちらから話しかければ断れない」との狙いが奏功した形となった。
問題は、次の正式な首脳会談につなげられか、である。10月に、インドネシアでAPEC,ブルネイでASEAN首脳会議が開かれ、日中韓首脳が集まるからである。習主席が「戦略的互恵関係」の言葉を引用したことは、関係改善のサインと受け止められ、日中首脳会談は期待できる。一方、朴大統領は、「歴史問題」を前面に出したと想定され、関係改善には、ほど遠く、日韓首脳会談は期待薄である。いずれにせよ、安倍首相の靖国参拝自粛は、中韓両国との首脳会談開催の絶対条件である。

« »