日刊労働通信社 | 「脱原発からの負の連鎖」 編集 持田哲也

「脱原発からの負の連鎖」 編集 持田哲也

コラム 社会

 

産経の「水平垂直」に「原発ゼロ負の連鎖」「燃料増、消費税3%分」「電力経営圧迫→料金再値上げ→経済直撃」が書かれている。

 

「大飯原発4号機(福井県)が15日に定期検査入りし、国内で稼働する原発がゼロになる。年明けには伊方原発3号機(愛媛県)の再稼働が見込めるものの、安定的な電力供給には不安が残る。消費税3%分の国富が海外に流出するとの試算もあり、原発の再稼働をはじめ、エネルギー政策の立て直しが急務だ。

稼働原発が再びゼロになることで、代替する火力発電の燃料費負担の膨張は避けられない。燃料費の増加分は、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故が発生した平成23年度からの3年間で計9兆円超に達し、消費税3%分の国富が海外に流出する計算だ。
原発ゼロが長期化すれば、電力会社の経営がさらに悪化して電気料金の再値上げが相次ぎ、日本経済の回復を妨げる『負の連鎖』にも陥りかねない。『再稼働時期がずれるほど、経営は非常に厳しくなる』。関西電力の八木誠社長は東京都内で13日開かれた記者会見で、こう語った。大飯原発3、4号機が25年度内に再稼働しなければ、関電の火力燃料費の見通しは、790億円も増加する。

 

火力発電の主力燃料は液化天然ガス(LNG)で、ほぼ全量を輸入に頼る。経済産業省によると、原発停止による火力発電の燃料費の増加分は、原発を持たない沖縄電力を除く電力9社の合計で23年度が2兆3千億円、24年度が3兆1千億円に上った。25年度は3兆8千億円と試算される。
消費税率を1%引き上げた場合の国民負担増は2兆7千億円で23年度から3年間の燃料費増加分は、消費税率を26年4月に予定通り現在の5%から8%に上げた場合の負担増に匹敵する。
燃料費の増加を受け、電力各社は6社が値上げを実施し、さらに中部電力も値上げ方針を固めた。燃料費の上昇も毎月自動的に反映させる値上げ分も含めると、震災前と比べた標準的な家庭の電気料金の上げ幅は、すでに実施した6社平均で約2割に達した。6社とも政府審査の不要な企業向け料金も連動して値上げしており、国内産業の競争力を阻害する要因になっている。

 

とりわけ、しわ寄せを受けるのが国内企業の99%超を占める中小企業だ。大企業のように自家発電設備を保有したり、海外に工場を移転する資金力がなく、値上げの影響が直撃する。
大阪府東大阪市の金属熱処理加工メーカー、ケンテックは、8月の電気使用量が前年同月に比べて約1万キロワット時減ったのに、請求額は30万円弱増えた。関電が4月から、企業向け電気料金を平均約17%値上げしたためだ。別の工場も合わせ、電気料金は年間約600万円上積みされた。
東京五輪開催の経済効果が期待される中で、『電気料金値上げは国内産業の空洞化を加速させる』(経済産業省幹部)恐れがある。『負の連鎖』は、安倍晋三政権の成長戦略であるアベノミクスを支える雇用回復や所得の増加の足を引っ張りかねない」。

15日に稼働原発が再びゼロになった。代替する火力発電の燃料増が、避けられない。燃料費の増加分は、2011年からの3年間で計9兆円になり、消費税3%分の国富が流出する計算になる。原発再稼働が急務となる。国内50基のうち、半分は再稼働が可能だから、原子力規制委員会の審査を急がせる必要がある。政府は原子力規制委員会に介入すべきである。

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