日刊労働通信社 | 揺れる『一票の格差』問題

揺れる『一票の格差』問題

コラム 政治

 

産経に「昨年衆院選、年内に判断」「予想される3判決」「違憲状態」「違憲・有効」「違憲・無効」が書かれている。

 

「昨年の衆院選の『一票の格差』をめぐり年内にも示される最高裁判決は、16の高裁判決と同様、『違憲状態』『違憲・有効』『違憲・無効』のいずれかの結論を選択するとみられる。一連の高裁判決後には、『0増5減』などを盛り込んだ緊急是正法に基づき、42選挙区の区割りが見直された。この高裁判決後の事情をどの程度考慮するか、最高裁の判断が注目される。
今回の選挙は、最高裁が平成23年に『違憲状態』と判断した前回の21年選挙と同じ区割りで行われた。このため、『合憲』と判断される可能性は低い。そこで焦点となるのが、23年判決から今回選挙までの約1年9カ月間に国会が格差是正を『放置した』とみるか『努力した』とみるかだ。

 

弁護士グループ側は『国会は最高裁判決を無視した』としているのに対し、選挙管理委員会側は衆院解散直前に緊急是正法の成立にこぎつけたことなどを『努力』として主張する。
同法では、小選挙区選出議員の『0増5減』や『1人別枠方式』の廃止が盛り込まれたが、3月の高裁判決では『弥縫策にすぎない』(福岡高裁)、『必要最小限の改定にとどめようとするもの』(札幌高裁)と厳しい指摘が続いた。

 

ただ、6月には区割り改定法が成立。是正法の付則に基づいて実際に区割りが見直されたことで、是正法への評価が変わり、国会の努力を一定程度認めて『違憲状態』とする可能性や、『違憲』としつつ選挙無効にはしない『違憲・有効』の余地も残されている。
国会にとって最も厳しい結論となる『違憲・無効』判決が最高裁で出された場合は訴訟対象の31選挙区の議員が失職。対象選挙区の一部は改定法で区割りが変わっているため、実際には全体的な再選挙もあり得るが、影響の大きさなどから最高裁が無効判決を選択する可能性は低そうだ。

 

昨年の衆院選の「1票の格差」を巡り、年内にも示される最高裁判決は、「違憲・無効」判決の場合、31選挙区の議員が失職、全体的な再選挙となり、政権交代させた民意を否定することになるから、「違憲・無効」は、ないとなる。「違憲・有効」の可能性大となる。

編集 持田哲也

« »