日刊労働通信社 | 薬事法改正への逆行

薬事法改正への逆行

コラム 経済

日経に「処方薬ネット販売封じ」「薬事法改正案に『対面』明記」「厚労省、規制緩和に逆行」が書かれている。

「厚生労働省は医療用医薬品(処方薬)のインターネット販売の禁止を法律で定める。現在は省令で禁止している。一般用医薬品(大衆薬)のネット販売では、1月に最高裁が省令での規制を違法と認定していた。
楽天などのネット業者が規制改革の本丸を処方薬のネット販売ととらえて規制緩和を求めているなか、議論が不十分なまま規制強化へと逆行しているとの批判も出そうだ。
今国会に提出する薬事法改正案に盛り込む。同法案は大衆薬の一部のネット販売を禁止する内容で、来春に施行する見通しだ。医者が処方箋をだして薬剤師から提供を受ける処方薬は対面での販売が省令で義務づけられているが、この内容を法律で明確にする。

米国や英国、ドイツなどはネット販売が認められている。米国では主治医から薬局に処方箋をメールなどで送り、そこから薬が届く仕組みがある。薬を処方してもらうためだけに病院で長時間待つ煩雑さがなくなるほか、過度に病院に出向くことが減れば、医療費の削減にもつながる。処方薬の市場規模は6兆円以上で大衆薬の10倍だ。
楽天などは『大衆薬より、医者から処方箋をもらってから使用する処方薬のほうが安全の面でネット販売に適している』として処方薬のネット販売解禁を求めている。これに対し、厚労省は『処方薬は重篤な副作用のおそれがあり、対面でなければ安全性が保てない』と反対している。

大衆薬のネット販売では、厚労省の省令での規制を理由に楽天子会社のケンコーコムが国を提訴し、勝訴した。楽天は処方薬のネット販売の解禁を国に求める考えで、厚労省にはあらかじめ法制化することで訴訟リスクを軽減する思惑があるとみられる」。
厚労省が処方薬のネット販売の禁止を、今国会に提出する薬事法改正案に盛り込もうとしている。本丸改革を阻止するために、である。改革の逆行であるから、首相主導で潰すべきである。

編集 持田哲也

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