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日経に「重要法案,調整が本格化」「会期残り1カ月」「『秘密保護』など」「与野党、相次ぎ修正協議へ」が書かれている。

「臨時国会は12月6日の会期末まで1カ月を切り、重要法案の調整が本格化してきた。
自民、公明両党は重要法案について野党との修正協議に相次いで応じる構え。法案の骨格は維持しつつ、ある程度修正に応じて野党の批判の矛先を和らげることで、成立を確実にしたい考えだ。
国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案では民主党が首相、官房長官、外相、防衛相による「4大臣会合」の議事録作成などを修正案として提示。自公は『NSCへの必要な情報提供を各省庁に義務付ける』などの項目を加える修正に応じた。7日の衆院本会議では民主や日本維新の会など野党の賛成を引き出した。
『秘密保護法案は野党の協力を得て合意形成をはかりたい。情報公開法改正案も柔軟に検討しながら合意形成に努力したい』。公明党の山口那津男代表は7日の党会合で、秘密保護法案に関連して民主が成立を求めている情報公開法改正案の修正協議にも応じる考えを示した。自民党幹部も『修正協議には応じざるを得ない』と話す。
民主党は情報公開法改正案で特定秘密の指定が妥当かどうか裁判所がチェックする制度の創設を掲げており、これを受け入れれば秘密保護法案の根幹を揺るがす。安倍晋三首相は7日の衆院本会議での答弁で『行政機関以外の者が行うのは適当でない』と否定的な考えを示した。

それにもかかわらず与党が修正協議に積極姿勢を示すのは、野党の抵抗を少しでも和らげたいとの思惑からだ。衆参両院で多数を握るとはいえ、重要法案で強行採決に踏み切り、野党が数日でも審議拒否などの手段に打って出れば、残りの法案の審議が進まず、継続審議となる可能性がある。
民主党にも積極的に政策決定に関与した方が、責任政党とアピールできるとの意識が働く。NSC法案の修正では党内リベラル派を中心に『NSC法案は憲法9条改正につながる』と反対論も続出したが、保守派議員から『ここで反対したら社民、共産両党と一緒だ』との声が出て執行部は賛成へカジを切った。
維新やみんなの党は『内閣人事局』設置を柱とする国家公務員制度改革関連法案について修正案を出す構え。与党も修正協議に前向きで、各党が賛成の方向の産業競争力強化法案でも、野党側から修正要求があれば協議に応じる余地を残している。

ただ、対決色が強い秘密保護法案に関しては事情が異なる。『共同戦線を張っていこう』。野党の政調会長らは7日の協議で、政府案の成立阻止に向けて連携することで一致した。各党は修正案を示すものの、成立阻止に重点を置いており「安易に修正を求めれば賛成せざるを得なくなる。慎重に考えるべきだ」との声も出ている。
政府の外交・安全保障政策の新たな司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)を設置するための関連法案が7日、衆院本会議で可決、参院に送付された。月内にも参院で可決、成立する見通しで、年内にNSCが発足する。首相、外相、防衛相、官房長官で構成する『4大臣会合』を年内に開く方針。NSCの事務局となる国家安全保障局は来年1月に発足する。
4大臣会合ではまず、中長期の安全保障政策の新たな指針となる国家安全保障戦略や、見直しを進めている防衛計画の大綱について協議する。総務相や国土交通相らも参加する9大臣会合も12月中に開き、防衛大綱などを決定する」。臨時国会は、12月6日の会期末まで1カ月を切り、重要法案の調整が本格化してきた。国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案は、民主党の修正に応じ、7日の衆院本会議で、民主、維新が賛成に回り、可決し、参院に送られ、成立は確実となった。

問題は、国家安全保障会議設置法案とセットの「秘密保護法案」の行方である。7日、全野党の政調会長が協議して、政府案成立阻止で「共同戦線を張って行こう」で一致したからである。今国会、最大の対決法案となる。最後は、数の論理で押し切る以外にないが、それまでは、慎重な審議が、不可欠となる。共同の直近の世論調査で、民意の8割以上が秘密保護法案の慎重審議を求めているからである。安倍首相は、民意の慎重審議要請に応じるべきである。

編集 持田哲也

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