日刊労働通信社 | 小泉氏『原発ゼロ』発言

小泉氏『原発ゼロ』発言

コラム 社会

毎日に「政権幹部、割れる反応」「小泉氏『原発ゼロ』発言」「首相『やけど』恐れ静観」が書かれている。

「自民党の小泉純一郎元首相の『原発ゼロ』発言を巡り、政権幹部の発言に温度差が目立っている。小泉氏の人気を意識する石破茂幹事長らが理解を示す一方で、党内の原発推進派は強く反発。小泉発言を黙殺して沈静化を待つべきだ、との声もある。安倍晋三首相は『原子力比率を引き下げる』と明言しつつ、一定の原発維持を模索するが『身内の反乱』が生じた波紋は大きい。
自民党の原発推進派でつくる『電力安定供給推進議員連盟』は14日、使用済み核燃料を再処理して発電に再利用する核燃サイクルについて有識者の意見を聞いた。会長の細田博之幹事長代行は小泉政権で官房長官を務めた経歴を持つが『石炭や火力に依存すれば(原発より)人類にはるかに重い負担になる』と述べるなど、今回は小泉批判の急先鋒だ。

一方、石破氏は原子力比率の低減を目指すという意味で、党と小泉氏に『そごはない』と指摘。『原発ゼロができればそれに越したことはない』とも述べている。
公明党の山口那津男代表も『原発は過渡的なエネルギー源で、中長期的な視野で代替エネルギー源の開発を進めるべきだ』と訴える。同党の支持層にはもともと原発への懸念が強く、小泉氏にエールを送った格好だ。

ただ、石破氏から検証を指示された自民党の高市早苗政調会長は『党のエネルギー政策は全会一致で党議決定したものだ』と述べ、距離を置く。
自民党議員の一人は『意見を聞いて<党はこう思う>と話をすべきなのに、執行部は何もしないのか』と、党として見解を調整できない現状に疑問を呈す。もっとも、小泉氏が会見で『原発ゼロ』への決断を迫った相手は安倍首相ただ一人。首相は10月、小泉氏を『無責任だ』と批判したが、その後は『うかつに触ればやけどする。安倍さんにはつらい』(中堅議員)との懸念もあり、発言は少ない。今のところ、菅義偉官房長官が官邸のスポークスマンとして、現在の政策を変更しないと繰り返すにとどめている」。
9、10日の朝日調査で、小泉元首相の「原発ゼロ」発言支持が、60%となったが、「原子力発電を段階的に減らし、将来は止めること」に賛成が78%もいるからだ。問題は、今、決断せよとの小泉元首相の性急さである。安倍首相は、黙殺して、沈静化を図るべきである。

編集 持田哲也

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