日刊労働通信社 | 来年4月の賃上げ確実

来年4月の賃上げ確実

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日経の社説に「民需主導の景気回復につなげる努力を」が書かれている。

「2013年7~9月期の実質経済成長率が前期比年率で1・9%となった。輸出の減少や個人消費の伸び悩みなどが重なり、4~6月期の3・8%を下回った。2%近い成長率はまずまずで、景気回復の基調に変化はないとの見方が大勢だ。だが公共投資の寄与度が高く、政策の効果に多くを頼っているのは否めない。
個人消費や設備投資などの民間需要がけん引する景気回復の基盤を固めたい。財政出動と金融緩和の効果を生かすだけでなく、成長戦略の具体化も急ぐべきだ。
7~9月期の成長率を押し上げたのは公共投資である。安倍政権の発足後にまとめた経済対策の効果だ。14年4月の消費税増税を控えた駆け込み需要が盛り上がり、住宅投資の伸びも高まった。一方、新興国の景気減速などを背景に輸出は減少に転じ、設備投資の伸びも鈍化した。株高の一服や物価の上昇が響き、個人消費もわずかな増加にとどまった。
アベノミクスは円安・株高の流れを引き寄せ、個人や企業の心理を上向かせた。その効果もあって景気が持ち直し、デフレが緩和しつつあるのは間違いない。しかし民需の回復力になお不安が残るのも確かだろう。『輸出や生産の拡大→企業収益の改善→設備投資や雇用の増加、賃金の上昇』という好循環を本格的に始まったとは言い切れない。
民需主導の景気回復を持続させ、成長の恩恵を企業から家計に波及させる必要がある。財政再建の一歩を踏み出す消費税増税を乗り切るためにも、日本経済を活性化する一層の努力が欠かせない。
安倍政権は消費税増税の影響を和らげるため、5兆円規模の経済対策を新たに打ち出す。防災関連の公共事業、低所得者や住宅取得者への現金給付などが柱になる。無駄やばらまきを徹底的に排除し、本当に必要で経済効果も高い支出を選別してもらいたい。

成長戦略も確実に実行しなければならない。産業の新陳代謝を促す産業競争力強化法案と、国際的なビジネス環境を整備する国家戦略特区法案は今国会で成立する運びだ。規制緩和や法人税減税などで企業の活力を引き出し、日本経済の底上げにつなげたい。
こうした政策に呼応する企業の努力も必要だ。競争力の強化に必要な投資を怠り、従業員や株主への利益配分もためらうのなら、真の景気回復はおぼつかない」。
社説の結語である「成長戦略も確実に実行しなければならない。産業の新陳代謝を促す産業競争力強化法案ト、国際的なビジネス環境を整備する国家戦略特区法案は今国会で成立する運びだ。規制緩和や法人税減税などで企業の活力を引き出し、日本経済の底上げにつなげたい。こうした政策に呼応する企業の努力も必要だ。競争力の強化に必要な投資を怠り、従業員や株主への利益配分もためらうのなら、真の景気回復はおぼつかない」は、正論である。

企業が賃上げを決断するか、である。22日に開催される「政労使会議」で、経団連が会員企業に対し、2014年春闘での賃上げを含む報酬引き上げ要請を明文化した資料を提出することを決めた。それに応じて、政府は、復興特別法人税の1年前倒し廃止を決める。企業の税負担約9000億円が軽減され、その分が賃上げに回ることになる。4月の消費増税と同時の賃上げが、確実となったのである。
景気回復の好循環が始まる。景気回復の恩恵が、企業から家計に波及するからである。景気回復を国民が実感するようになり、GDPの6割を占める個人消費が、景気回復をけん引する。2020年までの戦後最長の景気拡大局面が始まったのである。

編集 持田哲也

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