日刊労働通信社 | 中国の北朝鮮政策見直し

中国の北朝鮮政策見直し

コラム 国際

 
産経に「中国、対北政策見直しへ」「張氏処刑『厳しい対応』予測も」が書かれている。
 
「北朝鮮で長年、対中外交の中心的役割を果たしてきた張成沢前国防副委員長が解任・処刑されたことを受け、中国がこれまでの対北朝鮮政策を全面的に見直す可能性が出てきた。習近平国家主席が一両日中にも政治局常務委員会を開き、北朝鮮問題への対応を協議するとみられる。共産党筋は、『北朝鮮が親中派をこのような形で失脚させたことで中国のメンツは丸つぶれとなった感がある。核問題でより厳しい対応をとるかもしれない』と話している。
 
共産党筋によれば、北朝鮮が張氏解任を発表した9日、中国は来年の経済政策方針を決める中央経済工作会議開催を翌日に控えていたことから、すぐに対応ができなかった。張氏失脚にともない、北朝鮮の政権中枢にいた、中国の息がかかった人物はほぼ粛清された。中国の外交関係者は『中国の長年の北朝鮮政策が白紙に戻ったことを意味する』と話す。
中国は北朝鮮の最大の支援国として長年北朝鮮の金政権を支えてきた。しかし、北朝鮮政権内の親中派粛清は今回が初めてではない。1930年代から40年代にかけて、中国共産党の本拠地である陜西省延安で、毛沢東らと一緒に中国の革命に参加した『延安派』とよばれる一派は北朝鮮に帰国後、金日成首相(当時)との権力闘争に敗れ、56年に粛清された。このとき、毛沢東政権は、ソ連との外交バランスを考慮して金日成政権に対する報復措置を取らず支援を続けた。
 
今回、北朝鮮が発表した張氏の罪状のなかには、中朝貿易を否定し、中国への敵意を感じさせる部分もあった。しかし、『今の国際情勢の中で、北朝鮮を見捨てられない』(共産党筋)との判断から、『金正恩政権を支える大きな方向に変わりはないだろう』と見る人が多い。
一方で、対北経済政策の最大の柱だった『貿易を通じて改革開放を促す』という目標は張氏らの失脚で実現の可能性がほぼなくなり、政策を一から練り直す必要に迫られている。逆に北の核問題については、親中派に配慮する必要がなくなったことで、緩やかな制裁から厳しい制裁に傾く可能性も浮上している。
 
<「いい機会迎えた」「窓口の一つ失う」、日朝影響、専門家さまざま>
北朝鮮の張成沢前国防副委員長の処刑が日朝関係に与える影響について、14日に開かれた政府主催のシンポジウムでは、専門家からさまざまな意見が出た。
張氏の失脚、処刑を『圧倒的に権力を独占した金正恩(第1書記)が張氏を切ったという極めて単純な事件』とみるのは、東北アジア国際戦略研究所の武貞秀士客員研究員。『<日朝の窓口はおれだ>という張氏がいなくなったことで、日朝関係はむしろいい機会を迎えている』として、日朝首脳会談の開催を提案した。聖学院大の宮本悟准教授は『張氏は日本に向けた窓口の一つではあった。拉致問題解決のために何か動いてくれたのかはかなり怪しいが、失った部分をどこかで埋める活動を始めるべきだ』と指摘。初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏は『張氏の失脚は拉致問題にプラスにもマイナスにもならない』と述べた」。
 
張氏の処刑で、中朝関係は悪化するから、金正恩体制は米朝改善、日朝改善に動かざるを得ない。拉致問題解決の好機となるが。
  
編集 持田哲也

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