日刊労働通信社 | 自民党員拡張へ躍起

自民党員拡張へ躍起

コラム 政治

 
産経に「党員拡張へ個人始動」「参院自民」「実績を人事参考に・未達成者は罰則も」が書かれている。
 
参院自民党は17日、党執行部が所属国会議員に指示した党員拡張のノルマ達成を促すため、議員の『個人面接』を開始した。拡張手法や計画を個別に聴取し、指導するのは異例で、参院自民党の危機感の表れともいえる。党執行部はノルマ未達成者への罰則も辞さず、実績を今後の党人事の参考にする構え。人事厚遇という“ニンジン”をぶら下げる党内掌握術に、戸惑いも広がっている。
 
<27年度末までに120万人>
『先生の確保党員は現在ゼロです』。17日午後。国会内の一室に呼び出された比例代表選出の新人議員は、そう詰問する山本順三・参院幹事長代理ら面接官を前に『前回選挙の時は、かなり党員を獲得しました。その後、辞めてしまって…』と恐縮するばかり。『来年末までに最低1千人を確保してください』とクギを刺された。
自民党は平成26年運動方針で『党員数の拡大に努めることで党の基盤を強化する』ことを掲げ、27年末までに120万人以上を目標に据えている。現在の党員数は70万人台。減少が続いているだけに、北川イッセイ組織運動本部長代理は『政権復帰した今のうちに増やさないと機会がない』と焦りを隠さない。
衆院議員と参院の選挙区選出議員は27年末までに党員1千人の確保。業界団体をバックにした参院比例代表選出議員は1千~5千人の確保が求められている。
党員拡張のノルマ達成状況は党役員・部会長人事の判断材料になり、党執行部は未達成の場合、不足数に合わせた罰金も検討している。今のところ衆参両院議員の約6割が未達成で、ベテラン衆院議員でさえ『来年末までに目標を達成するのは難しい。恥ずかしい思いをしたくない』と頭を抱える事態となっている。
執行部が党員拡張に躍起になるのは、来年春の統一地方選や次期国政選挙に向けた準備を加速させる必要があるからだ。
前回の衆院選(24年)、参院選(25年)で大量当選した新人議員の地盤を固める狙いもある。小泉純一郎政権下の17年の郵政選挙で大量当選した『小泉チルドレン』が雲散霧消したのは支持基盤の強化を怠ったためで、執行部にとって反省材料となっている。
 
<執行部のアメとムチ>
こうした中で、参院自民党が個人面接まで実施し、各議員の尻をたたくのには理由がある。党執行部は先の東京都知事選で、舛添要一元厚生労働相(現知事)を支援するため、都連を除く所属国会議員にそれぞれ100人の都内在住者名簿の提出を命じた。当初の提出率は4割ほど。石破茂幹事長が督促した結果、9割以上に達した。それでも提出しなかった議員は『参院が多かった』(党幹部)という。
自民党を批判して参院自民党を出ていった舛添氏を支援することに、参院サイドが苦々しく思ったのは間違いない。だが、党員獲得に非協力的だと思われるわけにもいかない――。参院幹部にはそんな思いがある。『執行部がアメとムチを使い分け、求心力を高めようと躍起になっている』。こう語るのはある中堅議員。党内はすっかり青息吐息となっている」。
自民党執行部は、27年末までに120万人の党員確保に躍起になっている。自民党衆参全国会議員へのノルマであるが、石破幹事長の狙いは、27年9月の自民党総裁選を見据えてのものである。増えるであろう40万人の党員を石破支持に取り込むことである。要警戒である。
 
編集 持田哲也

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