日刊労働通信社 | 谷垣法相も慎重論

谷垣法相も慎重論

コラム 政治

 
朝日に「集団的自衛権」「行使容認、法相も慎重論」「谷垣氏『憲法解釈安定性が必要』」が書かれている。
 
「安倍晋三首相がめざす憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に対し、7日、与党に加えて閣僚からも慎重論が上がった。首相は、自民党内に自らの直属機関を新たに設ける考えで、与党との間ではトップ人事や進め方を巡るせめぎ合いが始まっている。
谷垣禎一法相は7日、閣議後の記者会見で、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について、記者団に問われ、『憲法解釈があまりに不安定だと国家のあり方そのものも動揺してしまう。憲法解釈は極めて安定性がある必要がある』と慎重な考えを示した。
谷垣氏は前自民党総裁。自民党内のハト派とされる宏池会の流れをくむ谷垣グループを率いる。安倍政権では法相として一貫して首相を支える姿勢を示してきたが、会見では『特に憲法解釈は国民の理解を取り付ける必要がある。手順段取りを踏むことが大事だ』とも強調。解釈変更を目指す首相に一定の距離を置く姿勢を鮮明にした。
 
一方、与党内では首相が目指す今国会中の閣議決定への慎重論は収まる気配がない。自民党の脇雅史参院幹事長は7日の会見で、『何をするために集団的自衛権を行使しようとするのか、具体性がやや欠ける。党内でも十分煮詰まった議論が出来ていない』と首相を牽制した。
<首相、党内に直属組織、議論主導狙い設置へ>
集団的自衛権の行使容認を自民党内で議論する場として、同党は、党総裁でもある安倍首相直属の組織を新たに設ける。首相が6日、石破茂自民党幹事長らと協議した際に伝えた。
首相は6月22日が会期末の今国会中に、行使が可能になるように憲法解釈を変更し、閣議決定する考えだ。首相が従来のように党政務調査会の議論を通さず、自ら党内ににらみを利かせようとするのは、与党協議にいつまでも時間をさけないという事情がある。
組織のトップを誰にするかで、議論の方向性が変わる可能性がある。首相の念頭には高村正彦副総裁があるとみられる。高村氏は『必要最小限度の行使は憲法の解釈変更で認められる』との考えで、首相の主張に理解がある。かつて高村派を率いた重鎮で『公明党と協議する上で収まりがいい』(党幹部)との見方がある。
石破氏も意欲を示す。集団的自衛権の行使容認という目的で首相と一致するが、国家安全保障基本法の制定などによる行使容認を主張しており、解釈改憲をめざす首相と一線を画す。
公明党との協議の行方も見通せない。公明党は与党協議と国会の議論に時間をかけるよう求め、今国会中の閣議決定を先送りさせる戦術だ。その先のスケジュールを描くことも認めていない。公明党の井上義久幹事長は7日の会見で『どの段階でどういう国会の議論が必要かは、今後の与党協議次第だ』とクギをさした」。
 
谷垣法相が、集団的自衛権行使容認に、慎重論を明らかにした。これで、現内閣では、慎重論は、太田国交相と2人になったが、他に、岸田外相、田村厚労相も同調する可能性があり、現内閣での閣議決定は困難となった。夏の第2次安倍改造内閣での閣議決定に先送りとなる。
問題は、自民党内に広がる慎重論である。自民党内のハト派である岸田派、谷垣派、額賀派の結集であり、衆案で100人を超える。参院で40人近くいるから、集団的自衛権行使容認の関連法案の成立を阻止できる。閣議決定できても、自衛隊法改正できなければ、絵に描いた餅となる。慎重論の切り崩しと容認論の拡大が急務となる。今こそ、安倍派結集が、必須となるが。
 
編集 持田哲也

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