日刊労働通信社 | 朝日の「時時刻刻」に「論戦アベノミクス」

朝日の「時時刻刻」に「論戦アベノミクス」

政治 経済

20141006「脱デフレVS格差拡大」「民主、伸びぬ消費『誤算』追及」「首相、株高や賃上げ実績示す」が書かれている。

「衆院予算委員会で本格的な論戦が始まった3日、民主党は反アベノミクスの論陣を張った。株
高や円安で業績が改善した企業がある一方、実質賃金が下がり続けるなど効果には疑問も出てい
る。成功へのステップか、失速への曲がり角か――安倍晋三首相の消費増税の判断を控え、アベ
ノミクスへの評価が論争の舞台にせり上がってきた。

『アベノミクスがうまくいっているというのは本当か。格差を広げる政策だ。株を持っている人
はよりお金持ちになるが、一般のサラリーマンや年金生活者はどんどん苦しくなる』。民主党の
前原誠司元代表は予算委員会でこう断じた。

前原氏の指摘は、アベノミクス『第1の矢』の日本銀行の金融緩和による円安で、食料品やガソ
リンの価格が上がり、賃金が上がっても物価高で実質的には賃金が下がってしまう点だ。『実質
賃金が下がり、消費が伸びない。<好循環>の大きな誤算だ』と迫った。

これに対し、安倍首相は『株価は消費につながる。買い物をすれば、モノをつくっている人には
プラスになり、収益の上がった企業の賃金になる』という『好循環』論で反論した。

日経平均株価はこの1年余り頭打ち気味だが、政権発足当初の1・5倍超となる1万6千円前後
になった。政権発足当初から25円ほど円安が進み、企業が海外でのもうけを円に換算した利益
も膨らんだ。パートを含む労働者1人が受け取る現金給与総額も、8月が平均27万4744円
と6カ月連続で増加した。

しかし、8月の実質賃金指数は前年同月比2・6%減と14カ月連続でマイナスが続く。円安に
消費増税が加わって上昇する物価に賃金の上昇が追い付かない。今春、自ら賃上げを求めた首相
も実情は分かっている。前原氏に対し『賃金が追いつくようにしていく。時差があるため、財政
政策と成長戦略を進めることが大切だ。ただ、消費増税分は年金や医療、介護、子育てに充てる
ので分けて考えてほしい』と答弁した。

首相が『第2の矢』と位置づける財政出動についても、前原氏は『建設業界は全国各地で入札不
調が起きている。人が足り倒産している』とただした。首相は『機動的な財政出動を行っていく
中で、デフレを脱却していく』と答えたが、効果には限界もみえる。

安倍政権は昨年、景気対策や消費増税対策として通常の予算に計3・4兆円の公共事業を追加し
たが、人手不足や円安による資材の高騰で、受注したのに完成してない工事額を示す『未消化工
事高』は7月、過去最高の16・7兆円に達した。これ以上、公共事業で景気を上向かせようと
しても、効果は見込めないとの指摘も出ている。前原氏は首相に『この2本の矢』は見直すべき
だ』と迫った」。

3日の衆院予算委員会で、民主党の前原誠司元代表が「アベノミクスがうまくいっているという
のは本当か、格差を広げる政策だ。株を持っている人はよりお金持ちになるが、一般のサラリー
マンや年金生活者はどんどん苦しくなる』とアベノミクスを批判したが的外れである。

アベノミクスとは、20年デフレからの脱却を目指す経済成長ありきの経済政策なのである。1
991年から2012年までの21年間、日本のGDPは、ゼロ成長であった。日本を除くOE
CD加盟国は、21年、年率名目成長4%を継続してきたのに、である。20年デフレ故に、で
ある。この脱却を期したアベノミクスの第1の矢である金融緩和とは、マネタリ-ペースの増加
=通貨供給量の拡大に尽きるのである。デフレからインフレに、である。その結果が、79円の
超円高から30円円安の109円の超円安である。

問題は、円安・株高→賃上げ→個人消費増→企業収益増→円安・株高の好循環が、4月からの消
費税増税によって、一転、悪循環となったことである。3%分の消費税増税の上乗せの物価上昇
が、賃金上昇を上回り、実質賃金減少となったからである。悪循環の元凶はここである。「好循
環」を取り戻すために、再増税先送りとなる。民主党も同調し、アベノミクスを評価せざるを得
ない。

産経に「米、就業者24万8000人増」「9月」「失業率6年2カ月ぶり低水準」が載ってい
る。

「米労働省が3日発表した9月の雇用統計によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就
業者数は24万8千人増で、市場予想(21万5千人)を上回った。8月の20万人割れから、
2カ月ぶりに大台を回復した。また失業率は前月から0・2ポイント低下の5・9%(市場予想
は6・1%)に改善、リーマン・ショック前の2008年7月(5・8%)以来、6年2カ月ぶ
りの低い水準となった。

外国為替市場では、景気回復が確認されたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上
げの前倒し観測が広がり、ドル円相場は一時、1ドル=109円台後半まで円安ドル高が進んだ。

就業者の内訳では民間部門が23万6千人増で、景気回復の目安である10万人増を大きく上回っ
た。7月と8月の就業者数は上方修正された。ただし6カ月以上の長期失業者崇は295万4千
人で、8月から微減にとどまった。働く意欲のある人の割合を示す労働参加率は0・1ポイント
減の62・7%で、職探しを諦めた人の多さも懸念されている。FRBは28,29日の連邦公
開市場委員会(FOMC)で、量的緩和政策終了を決める見通し。利上げ時期は慎重に検討して
いる」。

3日に発表された9月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が24万8000人増と市場の事前
予想を上回る内容だったことを受け、米ダウ工業株30種平均が上昇、心理的節目の1万700
0ドルを回復した。円相場は109円台後半に下落した。米景気の力強さが確認され、ドル高・
円安基調が続くことになる。週明けの東京株市場で、日経平均の大幅反発が予想される。

「安倍首相は『普通選挙』支持を旗幟鮮明に」

毎日の社説に「香港学生デモ」「民主化は普遍的願いだ』が書かれている。

「民主派や学生らは国際標準に基づいた普通選挙の実施を求め、金融街である『中環(セントラ
ル)地区の選挙をスローガンにデモに入った。当初、香港警察が使用した催涙ガスを防ぐため。
学生らが傘を使ったことから欧米メディアから『雨傘革命』と呼び名がついた。中国は学生らの
道路占拠を『違法行為』と非難し、『過激人士』と批判しているが、国際世論は学生らに同情的
だ。参加者が平和的にデモに徹して投石や警察との衝突を避けていることもあるが、何より、学
生らが求める民主選挙の要求は普遍的なものだと受け止めているからだろう」は、正論である。

1日、オバマ米大統領は、中国の王毅外相との会談で「香港での普通選挙を支持するのが米国の
立場だ」と民主派支持を旗幟鮮明にした。普通選挙要求は普遍的なものだからである。

問題は、日本があいまいな態度を取り続けていることである。支持という言葉を意図的に避けて
いる。菅義偉官房長官は、3日の記者会見で、民主派を支持するかしないかを問われて「一国二
制度のもと、香港で自由で開かれた体制が維持されるのが大事だ」と答え、支持は避けている。
11月の北京での日中首脳会談実現への配慮からである。

肝心なことは、支持を明言しない中国への配慮は、安倍外交の本質である自由と民主主義の普遍
的価値感を共有する国々との連携に反することになる。安倍首相はオバマ大統領に続き、普通選
挙支持を旗幟鮮明にすべきである。中国は反発しても、米中首脳会談に応じるように、日中首脳
会会談にも応じざるを得ないからである。

編集 持田哲也

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