日刊労働通信社 | 内閣支持率45%、不支持率45%で拮抗

内閣支持率45%、不支持率45%で拮抗

政治 社会 経済

読売に「70年談話『評価する』48%」「本社世論調査『しない』は34%」が書かれている。
「読売新聞社は15~16日、全国世論調査を実施した。戦後70年の安倍首相談話を『評価する』と答えた人は48%で、『評価しない』の34%を上回った。先の大戦への『痛切な反省と心からのおわび』を表明した、歴代内閣の立場を引き継ぐ考えを示したことを『評価する』は72%に達し、『評価しない』の20%を大きく引き離しており、談話を好意的に受け止める人が多かった。
首相は談話で、『先の世代に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません』と述べた。今後も日本が『謝罪を続ける方がよい』とした人は27%で、『そうは思わない』が63%に上った。談話が、中国や韓国との関係に『悪い影響を与える』は19%、『良い影響を与える』は14%で、『とくに影響はない』が50%だった。
安倍内閣の支持率は45%と、前回調査(7月24~26日)の43%からほぼ横ばいだった。不支持率は前回の49%から4ポイント下がり、45%。前回は第2次安倍内閣発足以来、初めて不支持率が支持率を上回っていたが、今回は同率で並び、支持率下落に歯止めがかかった。
参院で審議中の安全保障関連法案については、『賛成』が31%、『反対』が55%となった。法案の今国会での成立に『賛成』は26%(前回26%)、『反対』は64%(同64%)だった。政府・与党が法案の内容を十分に説明していると思わない人は79%(同82%)と、国民への理解は広がっておらず、政府にはより丁寧な説明が求められそうだ」。
15,16日実施の読売調査で、内閣支持率は前回調査(7月24~26日)より2ポイント増の45%、不支持率は4ポイント減の45%と拮抗した。70年談話を「評価する」48%が押し上げたからである。特に、「歴代内閣の立場を引き継ぐ」を評価するは72%に達した。4つのキーワードを使ったことが正解であった。
問題は、今国会での安保法案成立に反対が64%もあることだ。「安保法案は戦争法案」に同調しての反対64%であるから、「歴代内閣の立場を引き継ぐ」を評価する72%と矛盾するが。「70年の安倍談話」と「安保法案は戦争法案だ」は、真逆である。安倍首相への信が戻る契機となるが。「安保法案は戦争法案だ」に、国民が疑問を感じ出したのである。騙されたとして、離反した内閣支持層が回帰してくるから、そのコアである自民支持層の思想武装が急務となる。内閣支持率は再度、50%台に戻るが。

 

日経に「GDP実質年率1・6%減4~6月」「7~9月は官民プラス予測」「中国減速がリスク」が書かれている。
「政府が17日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、輸出と消費が振るわず、3四半期ぶりのマイナス成長となった。落ち込みは一時的で7~9月期以降はプラス成長に戻るというのが官民に共通する見方だが、中国経済の減速や食品値上げによる消費者心理の悪化は景気回復シナリオの逆風になりかねない。
内閣府がまとめた4~6月期のGDP速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0・4%減、年率換算で1・6%減となった。

 

<「一時的な要素」>

 

ただ政府も民間調査機関もマイナス成長は一時的で景気は踊り場にあるとみている。甘利明経済財政・再生相は17日の記者会見で、天候不順によるエアコン販売減少や増税による軽自動車の販売減などを踏まえ、『一時的な要素はかなり大きい。回復の見込みはかなりある』と分析した。
民間調査機関10社がまとめた予測を集計したところ、7~9月期の実質経済成長率の見通しは平均で年率1・9%増。2期連続のマイナス成長を予測するところはなく景気後退局面に入るとの見方は出ていない。野村証券の木下智夫氏は『輸出、個人消費、設備投資の3つのエンジンで景気は回復軌道に戻る』とみる。
個人消費は猛暑で飲料などの季節商品の売れ行きが伸びるほか、3月末に交付決定されたプレミアム付き商品券の9割が9月末までに販売されることも下支えになる。設備投資は4~6月期に横ばい圏にとどまったが、日銀や日本政策投資銀行の調査では強気の計画が相次いでいる。
ただ下振れリスクは残る。海外景気の減速を受けた4~6月期の輸出は想定以上の落ち込みだった。中国や東南アジア向けのスマートフォン用部品や自動車が落ち込んだほか、米国向けの生産機械も振るわなかった。
バークレイズ証券の森田京平氏は『米国経済の回復を受けて、輸出は7~9月期は増加する」と予測するが、中国などアジア向け輸出の先行きは不透明感が強い。中国の人民元切り下げは中国景気の回復に寄与する可能性がある一方で、日本の貿易にとっては安価な中国製品の輸入が増え、輸出が減るリスクがある。

 

<元安も懸念材料>

 

元安で中国人の購買力が落ちれば、訪日外国人消費もペースダウンしかねない。訪日客消費は4~6月期に実質で年率換算2・5兆円と過去最高になっただけに、冷え込むようなことがあれば地域経済の打撃になる。
資源国や新興国の景気も懸念材料だ。中国の需要減少で原油など商品価格は下落が続いている。米国の利上げで投資マネーの引き揚げが進めば
新興国経済は落ち込み、日本の輸出に響くリスクが増す。
国内では家計の節約志向が強まっているのが懸念材料だ。円安で食用油や調味料など生活必需品の値段が上がり、大企業を中心に春に賃上げがあったにもかかわらず、家計が貯蓄志向を強める兆しが出ている。消費者心理が低下すれば消費の下押し要因になる。

 

<企業好調、海外で稼いでも、国内投資・賃金に回らず>

 

4~6月期は企業業績が好調だったのに国内総生産(GDP)はマイナスに陥った。GDPと企業収益が連動しないのは、企業が海外で稼いだ利益が国内の投資や賃金に回っていないためだ。
日本経済新聞社の集計では、上場する3月決算会社(1532社)の4~6月期の決算から集計した経常利益の合計は、前年同期比で24%増え、9兆円を超えた。金融危機前の07年4~6月期を8年ぶりに上回り、過去最高を更新した。
GDPは国内で発生した付加価値の総額で、海外で稼いだ利益は反映しない。海外から得た利子や配当所得などを含めた国民総所得(GNI)をみると、4~6月期は前期比年率で2・0%増えている。自動車や電機など主力輸出企業の海外売上高比率は6割程度にまで高まったとみられる。村田製作所やTDKは9割超となり、日産自動車も8割半ばだ。海外での稼ぎが企業収益を支える構図となっている。
ただ海外で稼いだ利益は国内の投資や賃金にはさほど回っていない。全雇用者への賃金総額を示す雇用者報酬は4~6月期に実質で前期比0・2%減った。設備投資も0・1%のマイナスだった。
企業は海外の稼ぎを現地で再投資に回したり、現地法人に滞留させたりする傾向がある。収益改善が国内の投資や賃上げに回る循環が生まれなければ、『海外頼みの経済成長となり長続きしない』(明治安田生命の小玉祐一氏)との指摘もある」。
政府が17日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、輸出と消費が振るわず、3四半期ぶりのマイナス成長となったが一時的であり、7~9月以降はプラス成長も戻る。問題は、企業業績が好調なのにGDPがマイナスに陥った理由である。企業が海外で稼いだ利益が国内の投資や賃金に回っていないからである。解決策は、企業の海外工場立地からの国内回帰以外にない。1ドル=125円超の円安水準と中国経済減速が加速させることになるが。

朝日の社説に「マイナス成長」「危うい政策目標と想定」が書かれている。
「内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は3四半期ぶりにマイナス成長となった。物価変動の影響を除いた実質成長率は前期比0・4%減。このペースが1年間続くと想定した年率換算では1・6%減だった。
回復が進むと見られた個人消費が落ち込んだ。円安で食料品などが値上げされたが賃金はそれほど伸びず、実質的な家計の負担が増したためだ。また、円安効果で伸びると期待された輸出も、6四半期ぶりのマイナスだった。
昨年4月の消費増税後、景気はゆるやかに回復していると見られていた。ここにきてのマイナス成長は日本経済の実像を考えるうえで示唆的である。このマイナス成長は何か大きなショックによって引き起こされたものではない。むしろこの間、経済環境は比較的良好だった。企業業績は改善し株価は回復。雇用増の動きも活発だ。訪日観光客の急増で関連産業は潤った。日本銀行は金融緩和を続け、公共事業も高水準だ。
こんな好条件のもとでも日本の成長率はさえなかった。もちろん、世界経済には不安定な動きも確かにあった。欧州ではギリシャ債務問題による混乱があり、中国経済は減速傾向が次第にはっきりしてきた。
とはいえ、こうした海外要因は一時的なものではない。しばらくこの不安定な状況が続くと見たほうがいい。ならば、今後輸出が劇的に増えたり、日本を訪れる外国人観光客の需要がさらに飛躍的に盛り上がったりすることは想定しにくく、外需に過大な期待はできない。

 

政府は、2020年度に基礎的財政収支を黒字にするという財政健全化計画を掲げている。その前提は実質2%、名目3%という高い成長率である。だが、今回のマイナス成長という現実を冷静に分析すれば、成長期待だけで財政再建を進める危うさは自明と言える。
また2%インフレ目標を掲げて大規模な金融緩和を続ける日銀にも、貴重な指標となったはずだ。消費者が先行きの物価上昇を予想すれば、消費を盛んにして需要を押し上げ、成長率は高まる。そんな日銀のシナリオ通りの消費行動は現れていない。この政策に無理があることが、次第にはっきりしてきたのではないか。
政府も日銀も、現実を出発点にして、想定する成長率やインフレ率を修正し、経済戦略や金融政策を組み立て直す。そんな必要があることを、今回のマイナス成長は示唆している」。
社説の結語である「政府も日銀も、現実を出発点にして、想定する成長率やインフレ率を修正し、経済戦略や金融政策を組み立て直す。そんな必要があることを、今回のマイナス成長は示唆している」に異論がある。
マイナス成長は一時的であり、7~9月期はプラス成長に戻るからである。日銀の更なる金融緩和が必須となるが。2%インフレ目標達成のために、である。デフレマインドを払拭するために。

 

編集 持田哲也

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