日刊労働通信社 | 憲法9条改正を

憲法9条改正を

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産経の「年のはじめに」に、石井聡・論説委員長が「再生に向かう力の結集を」書いている。
「国の建て直しを加速する年を迎えた。牽引役である安倍晋三首相はすでに長期政権への道を踏み出し、夏の衆参同日選も視野に入る。
日本の底力を発揮できる環境を整え、懸案解決にあたってほしい。意を用いてもらいたいのは、希望を持って未来を見つめられるような方向へ、国民の気持ちを大きくまとめ上げる
ことだ。

 

もとより、首相一人に難題を押しつけて事足れり、とはならない。今年は『18歳選挙権』の導入に伴い、有権者が約240万人増えることに注目したい。
<主権者の責任より重く>

国民一人一人が日本の未来像を描き、ふさわしい社会や政治の針路を見定める。民主主義の中で主権者が担う責任は重みを増すだろう。
権利を行使する先に再生の看板も掲げよう。それを阻む要因を取り除くには強い力が必要だからだ。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効に向けて、規制緩和や保護政策の転換が欠かせない。壁は分厚く簡単には崩れない。
選挙を経て、自民党の『1強多弱』が固定化、強化されればよいといった話ではない。与党の改革意欲がしぼめば、勢力拡大はかえって停滞や後退につながりかねない。
真に日本の繁栄と平和を守る政治を実現する体制、政治風土をどう作り上げていくか。再編成を迫られる野党も含めた大きな課題である。
安全保障関連法の審議で反対に回った野党は、『安保法廃止』の一点での共闘を模索している。
軍事力を背景に東シナ海や南シナ海での行動を活発化させる中国の台頭など、日本の周辺環境の悪化にどう対処するかは国家的課題だ。にもかかわらず、共通の土俵に立ち、真っ向から論じ合えない。それが昨年の国会の姿だった。
慰安婦問題をめぐる日韓合意は、歴史の歪曲に粘り強く事実で反論していく政権の方針が揺らいだ印象を与えた。日本の名誉を守ることがいかに大事かを忘れてはならない。歴史戦への戦略を再構築すべきだ。
『力の信奉者』の本性をむき出しにする中国、ロシアは、軍事以外の分野でも影響力の拡大を急いでいる。国際金融や中東問題をめぐる欧米分断の懸念は小さくない。
伊勢志摩サミットの議長を務める安倍首相の最大の使命は、国際秩序の漂流を食い止めることにあるともいえよう。自由と民主主義の価値観を共有する国々との協力を強める立場を改めて鮮明に示してほしい。
そのためにも、基軸となる日米同盟をより深化させることが重要だ。集団的自衛権の限定行使容認や日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定によって、抑止力強化の枠組みは整った。これにどう魂を吹き込むかの段階を迎えている。
昨年、就任したジョン・ドーラン在日米軍司令官は、自らの人生で日米の絆を体現している。
三沢基地(青森県)勤務だった24年前、F16戦闘機を操縦して米国に向かう途中、他の輸送機との衝突で太平洋上に転落した。5時間漂流し、意識が薄れかかったところで1000キロ以上離れた厚木航空基地(神奈川県)から飛来した海上自衛隊の救難飛行艇US-1Aに救われた。波高く、燃料切れの恐れもある命がけの救出だった。
<日米に空白をつくるな>
横田基地での就任式には飛行艇のクルーも招かれた。『強固な日米同盟は困難を絶好の機会に変える』という新司令官の言葉に期待したい。問題はその具体化である。
米国の『航行の自由』作戦に日本はどう関与すべきかという課題がある。横須賀生まれのハリス米太平洋軍司令官と河野克俊統合幕僚長は緊密な関係にある。この問題を話し合う最良のパートナーだろう。
むろん、絆を強化する上で日米首脳の役割は大きい。大統領選の年だからこそ、同盟に空白を生じさせてはならない。リオ五輪を控え、2020年の東京開催準備にも拍車がかかる。被災地復興とともに、国や国民の力を再結集する試金石としたい」。
「再生に向かう力の結集を」は、正論である。
今年5月、伊勢志摩サミットの議長を務める安倍首相に最大の使命は、国際秩序の漂流を食い止めることであり、そのためにも基軸となる日米同盟を深化させることが重要となる。日米安保法制による抑止力強化に、どう魂を吹き込むか、である。憲法9条改正が必須となる。安倍晋三首相は、7月の衆参同日選で、日本の再生と同義である憲法9条改正に国民の力を再結集し、衆参で9条改憲勢力で3分の2以上の議席を獲得する歴史的責務がある。
問題は、自民党の党是である憲法改正の核心が9条改正であるのに、自民党は、緊急事態条項の創設から始めようとしていることである。昨年の安保法制成立の際の「憲法違反」キャンペーンに懲りたからであり、公明党も9条改正には反対だからである。日本国を再生するには、国民を9条改正で再結集するのがベストであり、安倍晋三首相が、衆参で9条改憲勢力で3分の2以上を確保するラストチャンスであるから、9条改正と17年4月からの消費再増税凍結の是非を争点にして、衆参同日選を断行すべきとなる。公明党抜きで衆参で3分の2以上を確保できるかが、焦点となる。
日経に「今年の展望、経団連会長に聞く」「名目3%成長、必ず達成」「政権と連携『当然』」が載っている。
「経団連の榊原定征会長(72)は日本経済新聞などとの新春インタビューで、2017年4月の消費税率10%への引き上げを控え、名目3%の経済成長を『是が非でも達成しなければいけない』と述べた。経済界と政権との連携は欠かせないと強調。賃上げや設備投資を積極的に促していく考えも示した。
――今年の日本経済の見通しをどう見るか。『15年のキーワードは干支の羊にちなんで<翔>とした。日本経済がとび立つ年にと願いを込めたが、羊に羽がはえてもあまり高くは飛べなかった。16年は『実』。重要課題を着実に実行し、経済再生を確実に実現する年にしたい』
――16年秋までに政府は消費税率10%上げを最終判断する見通しだ。『消費増税も絶対に実行しなければいけない。安倍晋三首相もその考えだと思う。8%に引き上げた時、駆け込み需要と反動減という苦い経験をした。住宅、自動車、家電などでとありとあらゆる消費喚起が必要で、万全の準備が欠かせない』『増税を乗り越えられる経済の地力をつける必要がある。政府は実質1・7%、名目3・1%という成長率目標を掲げる。高い低いの論評でなく、是が非でも達成しなければいけない。十分に達成可能だ。懸念が強い中国経済も6・5%以上の安定成長を維持するはずで、大きなリスク要因になると思っていない』
――安倍政権3年間の評価は。『民主党政権での経験をよく思い出してほしい。当時、日本経済は停滞し、自信も将来への見通しもない世界だった。安倍政権3年で株価は2万円近くまで上昇し、雇用も改善した。環太平洋経済連携協定(TPP)も大筋合意に導いた。11兆円の経済効果が見込まれるTPPは日本にとって究極の成長戦略だ』
――政権と「近すぎる」との指摘もある。『極めて不本意だ。国内総生産(GDP)が1円も増えない時代が20年続き、墜落しようとする飛行機(のような日本経済)を安倍機長が立て直そうとしている。それを批評している場合か。政府から賃上げや設備投資の要請があった場合、無責任にできない、できるはずないと伝えることが、本当に国のためになるのか。榊原は首相に文句を言ったと褒めるのか。今は平時ではなく戦時だ。当然、政治と経済が一緒になって危機から立ち直る時期だ』
――春季労使交渉の行方は。『15年はベースアップを意識した交渉の指針に仕立てたが、今年の指針はあえてしていない。過去2年、悠々とベアができた企業とそうでない企業がある。あくまでベアや定期昇給、賞与、各種手当を含めた年収ベースで、15年を上回る賃上げを期待したい』」。
「名目3%成長、実質1・7%」の目標を達成するには、17年4月らの消費再増税凍結が必須となる。15年度が実質1・2%の成長にとどまったのは、14年4月からの消費増税故だからである。16年7月衆参同日選必至となる。
日経の「政治新潮流2016」に、「18歳選挙権」「民主主義、変化の風」
「『若者VS高齢者』超え改革へ」が書かれている。
「2016年は夏の参院選から選挙権が18歳に広がり、政治に新しい潮流が生まれそうだ。アベノミクスで芽生えた政官業の新たな動きや日本外交の行方などを含め、4年目を迎えた安倍政権の課題を展望する。
15年12月21日、都内の明治学院大学。自民党で若者対策を担当する牧原秀樹青年局長は法学部の川上和久教授のゼミで3、4年生と向き合った。

<なぜ自分たちが>

『自分たちがなぜ大きな負担をしなければならないのか。シルバー民主主義に不満がある』。学生からは高齢者に偏りがちな国の予算配分に不満が漏れた。牧原氏は『財政で高齢者の社会保障が圧倒的な状況を是正しなければならない。そのためい若い人の声が必要だ』と力を込めた。
その朝、牧原氏は選挙区があるさいたま市のJR北与野駅前で街頭に立っていた。通勤通学客へのあいさつの最中、70歳代の高齢者から声がかかった。『お年寄りは困ってるの。3万円早くちょうだい。そしたら応援するから』
『3万円』とは15年度補正予算案に盛り込んだ低所得の高齢者への給付金のこと。『ばらまき』との批判が与党にもあり、17日の党会合では小泉進次郎氏が『若い有権者がどんどん入ってくる。高齢者に耳に痛いことも言わなければいけない』とやり玉に挙げた。
若者に期待する牧原氏だが、14年衆院選でさいたま市の投票率は、20代は36%にとどまり、70歳以上は63%。給付金を求める高齢者にも『お年寄りのことは大事に思っています』と応じた。安倍政権は一億総活躍社会を掲げるものの、高齢者から若者への予算シフトの壁は厚い。
16年度予算案をみると政策に使う一般歳出57兆円の内訳は年金、医療がそれぞれ11兆円、介護が3兆円でこれらで4割を占める。若者向けといえる少子化対策は2%ほど増えたが2兆円。文教費は4兆円台で少子化で減少傾向にある。
<選挙がトラウマ>
政治が高齢者に弱い一例が医療費の窓口負担だ。小泉政権は70~74歳の窓口負担を08年から1割を2割に引き上げると決めた。だが07年参院選で安倍政権が『消えた年金問題』で大敗。高齢者の反乱は与野党にトラウマとなり、民主党政権も手をつけられなかった。
引き上げは第2次安倍政権が衆参『ねじれ』を解消した後の14年。この間、1割に据え置くため毎年2000億円が投じられた。70~74歳は780万人で20~24歳の600万人より3割多い。施策一つにも高齢者向けは予算が膨らみがちで、1人3万円の給付金は3600億円かかる。
子供の貧困対策を重視する民主党も支持者の意識とのギャップに悩む。12日、次の内閣で子ども政策を担当する阿部知子氏が地元の神奈川県藤沢市で開いた支援者会合。集まった30人は50代以上が大半で20代はゼロ。質問も介護、医療が多く、子供の貧困に触れても反応は『かわいそうね』。『政策論まで話が進まない』と阿部氏はこぼす。
世代間対立は避けられないのか。高齢者福祉を重視する政党と、若者教育を唱える政党のどちらを支持するか――。14日、こんな授業をした新潟県の六日町高校では『若者に介護の専門教育をすれば高齢者も助かる』『高齢者の雇用は技術の伝承につながる』といった意見が出た。指導した関雅夫弁護士は『若者と高齢者は対立構造でなく、補完関係にあると生徒は意識している』と話す。
冷めた若者を振り向かせるのも課題だ。『年金に頼る高齢者に政治が配慮するのは当然だ。今の若者はあまりお金がなくても結構幸せなのに、なぜ政治に関心を持たせようとするのか』。23日、民主党が東京・渋谷で10代向けに開いたイベントでこんな声が挙がった。枝野幸男幹事長は『政治は明日を決める。消費税30%になったら今の幸せを守るのは大変だ』としたうえでこう訴えた。『年配の方でも自分の年金よりも孫のことを考えて投票する方は相当いる。年金制度は現役世代のためでもある。世代間対立にしてはいけない』子や孫への教育資金贈与の非課税制度は、利用が十数万件、一兆円を超え定着しつつある。こうした思いを社会全体に広げ、世代間の対話を促して社会保障改革を進めるきっ賭けにできるのか。70年ぶりの選挙権拡大を新しい政治につなげる知恵が求められている」。
7月の衆参同日選から、18~19歳の約240万人が新たに参加するが、投票率が問題となる。14年の衆院選でさいたま市の20代の投票率は36%にとどまり、70歳以上は63%もあったからだ。今回も同じく投票率40%以下であれば、100万人未満となり、大勢に影響なしとなる。若年層の投票率の底上げが喫緊の課題となる。

 

編集 持田哲也

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