「中国の脅威ありき」
朝日の社説に「陸上イージス」「導入ありきは許されぬ」が書かれている。
「ようやく芽生えた緊張緩和の流れに逆行するだけではない。費用対効果の面からも、やはりこの計画は、導入の是非を再考すべきだ。
防衛省が、陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』にかかる費用の見通しを明らかにした。
米航空機大手ロッキード・マーチン社製の最新型レーダーを採用したため、一基あたり、当初想定していた800億円から1340億円と約1・7倍に膨れあがった。
政府は、秋田、山口両県に計2基の配備を計画している。導入後30年間の維持・運用費を加えると、総額は4664億円になるという。そこには土地造成などの施設整備費も、一発数十億円にのぼるミサイル費用も含まれておらず、さらに経費がかさむだろう。
防衛省は来年度予算案の概算要求に関連経費を計上する方針だが、これだけ巨額の事業である。導入ありきで突き進むことは許されない。
米国からの調達は後から価格が高騰することが多い。トランプ大統領が貿易不均衡是正のため、米国製兵器の大量購入を日本に迫る今は、なおさらだ。
政府は昨年末、北朝鮮の核・ミサイル開発を『重大かつ差し迫った新たな段階の脅威』と位置づけ、陸上イージスの導入を決めた。しかしその後、南北首脳会談や米朝首脳会談を経て、東アジア情勢は新たな局面に入っている。
これを受け、政府自身、北朝鮮のミサイル発射を想定した住民避難訓練を当面中止し、北海道や中国・四国に展開していた地対空誘導弾(PAC3)部隊も撤収させた。『北朝鮮の脅威は変わっていない』(小野寺防衛相)と強弁し、昨年来の計画に固執する姿勢は、幅広い国民の理解を得られまい。
安倍政権はかねて北朝鮮の脅威を強調してきたが、防衛力強化の狙いは実のところ、中国への備えにあるとされる。米国に向かう弾道ミサイルの追尾情報を提供することになれば、米本土防衛の一翼を日本が担うことにもなる。近隣諸国との関係に与える影響を、冷徹に分析しなければならない。
配備候補地となった秋田、山口では、性急な政府への反発が強まっている。政府が目指す2023年度の運用開始は、米側の事情もあって、25年度以降にずれこみそうだ。その時になって、巨費を投じた陸上イージスが無用の長物になっていないか。今こそ、徹底的な議論が求められる」。
社説の主旨である「導入ありきは許されぬ」に異論がある。
「ようやく芽生えた緊張緩和の流れに逆行するだけではない。費用対効果の面からも、やはりこの計画は、導入の是非を再考すべきだ」は、事実誤認がある。5月の米朝首脳会談後、非核化交渉が遅々として進まず、北朝鮮は核・ミサイル放棄の意思を未だに明示していない。それどころか、北朝鮮が大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)を製造している兆しすらある。緊張緩和の流れに逆行しているのが北朝鮮の動きである。
問題は、北朝鮮の緊急緩和が逆行の動きは中国の後押しによってのものであることだ。北朝鮮の核・ミサイルの脅威よりも、中国の核・ミサイルの脅威の方が大きいのである。陸上イージス導入は、中国の弾道ミサイル、巡航ミサイルから日本国民を守る上で必須不可欠となるが。中国が尖閣諸島占拠の意思を明示しているのだから、日米同盟強化で抑止力を持つのは必然であり、それが米国製の陸上イージス導入である。30年間運用で7000億円は、新型イージス艦2隻の30年間運用7000億円と同じであり、日本全域を守るには。7隻以上が必要であり、費用対効果からも導入すべきとなる。中国の脅威ありきである。
朝日の「野党を問う、1強多弱のなかで」㊤に「対決 対案 立憲と国民に溝」が書かれている。
「『おかしいよっ』『何をやってんだ』
カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の付帯決議案を読み上げる国民民主党の矢田雅子氏の声が、同じ野党議員たちの激しいヤジでかき消された。
7月19日夕の参院内閣委員会。付帯決議案が文案通り可決されると、矢田氏は涙をぬぐい、同僚議員に肩を抱かれて退室した。
刑法が禁じる賭博を例外的に認めるカジノ実施法には、立憲民主党など野党6党・会派が反対した。国民も、だ。しかし、立憲などが法案の採決そのものに抵抗したのに対し、国民だけは付帯決議で政府に注文を付けることを条件に採決を容認した。
その数時間前。
参院議長の不信任決議案を出した国民の大塚耕平共同代表が本会議場の演壇からカジノ実施法案の問題点を説き、議長の姿勢を指弾していた。『これではギャンブル依存症促進法案だ』。その議場の隅で、自民党議員と付帯決議案の文案を調整したのが矢田氏だった。ヤジを飛ばした野党議員にとって、国民の態度は政府・与党への『迎合』だった。
当の矢田氏は涙のわけをこう語った。
『欠陥だらけの商品(カジノ実施法)を世に出さなければならない無念さ。立法府の責任を果たしたいという思い。万感の思いがよぎった』。野党の一員として何ができるのか、立ち位置の難しさをにじませた。
≪支持伸びず危機感≫
昨年秋の衆院選で与党は3分の2を握り、野党は民進党の分裂で多党化した。
衆院で野党第1党になった立憲は『対決路線』を取った。政府・与党に問題があれば、審議拒否や日程闘争も辞さず徹底抗戦。枝野幸男代表は『野党の武器は限られている。批判覚悟で国会を空転させないと国民に伝わらない』。政権批判票の受け皿をめざす。
一方、参院野党第1党の国民は『対案路線』だ。政権の問題に対する解決策を示して野党の信頼回復につなげようという考え方で、『対決より解決』を旗印に掲げた。カジノ実施法の付帯決議もその一つだった。
ただ、両党とも悩みは深い。立憲は、森友学園や加計学園問題への政権の対応が不十分だとして、大型連休前後に18日間の審議拒否を主導した。ところが与党に『18連休』と揶揄された。
世論の支持が伸びず、衆院選後に17%あった政党支持率(朝日新聞調査)は、今年7月時点で8%に。党内では『政権構想を示せていない。経済政策をまとめなければ展望は開けない』との危機感が広がる。
国民は対案を示そうとしたが、『対決より解決』の姿勢が与党の強引な国会運営に加担する結果につながったと批判された。政党支持率(同)は1%。『与党とは対決、国民には解決策という意味だ』。党の旗印について、泉健太国会対策委員長は7月20日の記者会見で、新たに説明を迫られた。
≪四半世紀、試行錯誤の歴史≫
対決か対案か。野党は四半世紀にわたって試行錯誤を続けてきた。
自民党支配が続いた『55年体制』下では、対決一辺倒だった。ところが、1993年に『非自民』の細川連立政権ができると、対案路線を志向する声が出始めた。
『金融国会』と呼ばれた98年の臨時国会では、野党の政策立案能力に光が当たった。小渕政権は不良債権処理のための関連法案を参院で否決され、衆参両院で147議席だった民主党会派の対案を丸のみした。当時、対案をつくったのが、『政策新人類』と呼ばれた枝野氏らだった。
小泉政権時代には、民主党が衆参で200前後以上の議席を得て、改革の速度や手法でも与党と競うようになったが、06年に党代表が小沢一郎氏に代わると対決路線に一転。衆参の『ねじれ』をテコに政府案を正面から否決し、民主党は09年に政権交代を果たした。その後、野党に転落した自民党も対決路線を徹底して、再び政権を奪還した。
いま、衆参両院で407人を擁する自民党に対し、立憲は73人、国民は62人。与野党の勢力はかつてなく不均衡な状態だ。対決だけでも、対案だけでも、闘い得ない。成蹊大の高安健将教授(比較政治学)は『二択』で考えるべきでないと指摘する。
『現実化する政権の政策をチェックする<対決>も、有権者に別の未来を見せる<提案>も、野党には必要だ。一つの党内で調整した方が調整のコストは小さいのに、多党化するなかで立憲と国民が違いを見せようとして調整を難しくしている』とみる。
通常国会が幕を閉じました。1年後には参院選が迫ります。野党の役割は何なのか。巨大与党とどう対峙すべきか。『1強多弱』のなかでの野党のありようを上下2回で考えます」。
昨年9月の衆院選直後立憲民主党は17%もあったのに7月時点で8%と半減した。もりかけ問題をテコに対決路線を貫いたからである。対案路線の国民民主党は1%しかない。旧民主党は8%+1%の9%に過ぎない。民主党政権の後遺症である。問題は、来年7月の参院選の争点が9条改正の是非となることだ。野党は対決路線の共闘にならざるを得ない。与党40%VS野党13%となるが。32の1人区野党は全敗となるが。
朝日の「自民党2018総裁選」に「参院竹下派 石破氏へ傾く」「竹下氏と近く直接会談」が書かれている。
「9月の自民党総裁選をめぐり、党内第3派閥の竹下派(55人)の参院議員の間で、石破茂・元幹事長を推す流れが強まっている。31日の幹部会合で、同派の参院側21人を率いる吉田博美・党参院幹事長が、青木幹雄・元党参院議員会長から石破氏支持の要請があったことを説明し、対応について一任を取り付けた。
東京都内のホテルで開かれた幹部会合の冒頭、吉田氏は、政界引退後も同派に影響力のある青木氏と25日に面会した内容について説明。『青木さんから<石破でやれないか>と相談があった』と明かす一方、『青木さんの相談は指示ではない。言うことを何でも聞くわけじゃない』と強調した。青木氏の石破氏支持の要請に対し、吉田氏の説明を受けた幹部7人から異論は出なかったという。
『自民党は<安倍1強>と言われるが、健全な政策論争ができる、開かれた政党であると国民に理解してもらう機会にもなる』とも述べ、安倍晋三首相と石破氏の一騎打ちになる見通しの総裁選での論争が、来年夏の参院選にプラスになるとの認識を出した。出席者から賛同の声が出たという。
そのうえで、派閥会長の竹下亘・総務会長の方針を確認するため、近く直接会談する考えを示し、『竹下さんの方針に従う。竹下さんが、石破さんと言えば石破さん。安倍さんと言えば、安倍さん』と述べた。
一方、竹下氏は31日、同派衆院議員のパーティーで講演し、派の対応について『迷っていないといえばウソになるが近々決めなければいけない』と語った。『どんなに苦しい時でも向かい風でも、自らの信じるところを一緒に歩んでいこう」とも話し、対応次第で総裁選後、非主流派になったとしても派の結束を図る考えを強調した。
≪二階派、首相支持を前面、『3選』後 影響力維持狙う≫
自民党二階派(44人)の研修会が31日、韓国・ソウルで始まった。海外で派閥研修会を開くのは異例。要人との会談などで韓国とのパイプ役をアピールし、党総裁選での安倍晋三首相支持を内外に示すことで、総裁選後の人事も視野に派の存在感を高める狙いだ。
派閥を率いる二階俊博幹事長は研修会の講演で『安倍総理への絶対の支持を表明する。国民が真のリーダーシップを託すことができるのは、安倍総理をおいて他にいない』と述べ、首相の3選支持を表明した。
二階氏は3015年の総裁選前にも、派閥研修会で首相支持の署名を所属議員から集め、首相官邸に提出。無投票再選の流れをつくった。翌年、幹事長に起用されると、総裁任期を『連続2期6年』から『3期9年』に延長する党則改正を主導。森友・加計問題などで内閣支持率が低迷して以降も、首相支持の立場を堅持してきた。
外交面でも首相を側面支援する。研修会には経済界などから約300人が同行。これまでも中国やロシアなどに同様のスタイルで出張し、経済協力を絡めた議員外交を展開してきた。今回は軍事境界線がある板門店の視察や李洛淵首相との会談などを通じ、日韓関係重視の姿勢を示す。首相も研修会にビデオメッセージを寄せ、二階氏流の外交を『ただただ驚嘆をし、敬意を表する』と評価した。
二階氏の視線の先にあるのは、首相3選を前提にした総裁選後の政権運営だ。派内からは『首相が3期できるのは二階さんのおかげだ。幹事長を代えるのはありえない』との声が上がり、幹事長続投による派の影響力維持に関心が向く。二階氏は31日、記者団から派内に幹事長続投の期待感があることについて問われ、『よく熟慮した上で対応したい』と語った。
<石破氏「出馬の際よろしく」 岸田氏らと会食 支援求める>
自民党の岸田文雄政調会長と石破茂・元幹事長らが31日夜、東京都内で会食した。岸田氏が党総裁選への立候補を見送ったことについて説明したのに対し、石破氏は『もし自分が(総裁選に)出るとなったら、よろしくお願いします』と支援を求めたという。
会合には、石原伸晃・前経済再生相と中谷元・元防衛相も同席した。7月29日に61歳となった岸田氏の誕生日祝いが名目。岸田、石破、石原の3氏はそれぞれ自身の派閥を率い、中谷氏も谷垣グループの幹部を務める。石原派と谷垣グループは総裁選での対応が決まっていない」。
参院竹下派21人は石破支持となるが、衆院34人の8割は安倍支持である。竹下派としては自主投票になり、派閥分裂となるが。態度未決の石原派12人、谷垣派8人は安倍支持となるが。
2018/08/11 09:52