日刊労働通信社 | 「『一帯一路』構想参加拒否を」

「『一帯一路』構想参加拒否を」

政治

産経の主張に「日中平和条約40年」「覇権主義の現実見据えよ」が書かれている。

「日本と中国が『平和友好条約』に署名して40年が経過した。

条約は第1条で主権と領土の相互尊重や不可侵をうたい、紛争解決で武力による威嚇に訴えないとも明記した。第2条では反覇権を確認した。

旧ソ連の脅威を念頭に置く規定だったが、昨今の中国の振る舞いはこの精神と程遠い。まずはこの現実を直視すべきである。

日中両国は40周年の関係改善を演出している。安倍晋三首相は李克強首相と交換した祝電で、5月の李氏訪日を評価して『日中関係が正常な軌道に戻った』などと記したが、果たしてそうなのか。

隣り合う大国との冷え込んだ関係を好転させる意義は大きい。だが、それは、日本の安全保障に脅威をもたらす中国の本質が変わらぬ中では難しい。中国にすれば、対米関係悪化を踏まえて日本に接近している面もあろう。

経済的利益に吸い寄せられるように前のめりに動くのは危うい。中国の覇権主義にどう対峙するのか。必要なのは、この視座での対中戦略の再構築である。

中国に対する日本の期待は裏切られ続けてきた。1989年の天安門事件後、欧米が経済制裁を続ける中でいち早く支援の手を差し伸べたのは日本だ。官民を挙げて経済発展を後押しした。

にもかかわらず中国は、沖縄県の尖閣諸島で公船の領海侵入を繰り返す。歴史問題を持ち出しては日本を攻撃し、反日デモでは日本の公館や企業が襲撃された。

中国を支援すれば、やがて人権や民主主義、法の支配などの普遍的な価値観を共有できるとの楽観論は誤りだった。むしろ習近平政権は強権的手法を強めている。

これを制するどころか、支えるような対中外交は許されない。例えば広域経済圏構想「一帯一路」である。安倍政権は協力姿勢をみせるが、それが軍事を含む中国の勢力拡大に結びつかないか。

条約の翌年に供与を始めた対中ODA(政府開発援助)も完全に終えるべきだ。累計3兆円を超えた円借款は新規の引き受けを終えたが、無償資金協力や技術協力で今も年数億円を供与している。世界2位の経済大国が、なお援助を受け続ける理由はない。

南シナ海の現状変更に直面するアジアでも対中警戒は強い。ムード先行の表向きの関係改善では真の平和と友好につながるまい」。

主張の主旨である「覇権主義の現実見据えよ」は、正論である。

日本と中国が「平和友好条約」を調印して12日で40年となったが、条約第1条の主権と領土の相互尊重や不可侵をうたい、紛争解決で武力による威嚇に訴えない、第2条の反覇権に、中国の今までの言動はすべてに違反しており、覇権主義そのものとなっている。

日本は1989年の天安門事件後、鄧小平氏による改革開放路線を後押し、巨額の政府開発援助を供与し、中国をGDPで日本を抜き米国に次ぐ世界第2の経済大国に押し上げることに全面協力したのに、逆に、中国の覇権主義を強化させてしまったとの現実に直面している。国際ルールを無視し、東・南シナ海で軍事拠点を設けての軍備拡張路線、尖閣諸島での公船の領海侵入、歴史問題を煽っての反日デモ、反安倍攻撃などである。

問題は、中国を支援すれば、やがて人権や民主主義、法の支配などの普遍的価値感を共有できるとの親中派の楽観論は誤りだったことである。中国をWTOに加盟させれば自由市場に移行するのでの米国の楽観論も同じ、過ちを犯したのである。トランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争は、その総括の上での中国潰しが狙いである。習近平主席が日中関係改善に前向きとなっているのは、トランプ政権の「中国潰し」の意図に脅威を感じているからである。安倍晋三首相は10月にも訪中するが、習近平氏の狙いは「一帯一路」構想への日本の取り込みにある。「一帯一路」構想参加拒否が、正論となるが。

読売の「改革開放40年」「第3部新日中関係」①に「再び日本に学べ」「関係改善急ぎ米に対抗」が書かれている。

「5月中旬に北京で開かれた国務院(中央政府)の会議を主宰した李克強首相の口ぶりは、普段に増して熱がこもっていた。

会議の様子を知る中国政府関係者によると、日本訪問を終えたばかりの李氏は、各省庁のトップを前に、北海道での自動車関連工場や農業施設の視察について、こう感想を述べた。

『想像以上の先進国だった』

2012年9月の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化を受け、日中首脳間の従来が途絶え、両国関係は『谷間の時代』(日本政府関係者)と形容されるまで悪化した。中国では、10年に国内総生産(GDP)で日本を追い越して世界第2位の経済大国となった自信から、『もはや日本は相手にせず、米国と直接付き合えば良い』(中国外交筋)との『ジャパン・パッシング』の主張も飛び交った。

だが、中国の首相としては7年ぶり、本人としては約四半世紀ぶりに訪日した李氏は、経済指標には表れにくい日本の『国力』に、『見ると聞くとは大違い』(中国共産党関係者)との印象を抱いたようだ。視察に同行した日本政府関係者は、李氏は周囲が驚くほど、日本の近代化された農業や先端技術を称賛したと明かす。

李氏は、札幌で開かれた『日中知事省長フォーラム』で、中国の深刻な少子高齢化問題に触れ、『医療機械分野や、ロボットを応用した分野で、日本には先進的な技術と経験がある』と、日中の協力強化を呼びかけた。

日本に関する李氏の一連の発言は、対外政策の決定権を持つ習近平国家主席の了承がなければありえない。『再び日本に学べ』の方針は、中国指導部全体で共有されているとみられる。

米トランプ政権と先の見えない貿易摩擦を抱える習政権は、米国に対抗するため、対日関係改善を含む、足場固めの必要に迫られている。環境保護や医療・介護など国内問題の解決に日本のノウハウを利用するだけでなく、米国への対抗軸となる巨大経済圏構想『一帯一路』へ日本の取り込みまで視野に入れる。

ただ、共産党政権は日本に対して『改善』一辺倒ではいられない。『抗日戦争勝利』の歴史こそが、一党独裁の正統性の根幹だからだ。江沢民政権時代から全国で整備が進められた『愛国主義教育基地』もいまや、400か所を超える。

5月末、天津での結婚式のパレードで旧日本軍の軍服姿でバイクを運転した映像が拡散した男性(36)は、インターネット上で『公開謝罪』を強いられた。こうしたコスプレは、軍国主義時代の日本を美化する中国人を指す中国語『精神日本人』を略し、『精日』と呼ばれる。日本の漫画やアニメを見て育った中国の若者の一部に流行し、以前はそれほど問題視はされていなかった。

しかし昨年以降、上海や南京で当局による精日摘発が相次ぎ、この3月には王毅国務委員兼外相が『中国人のくず』と口を極めて非難した。精日行為の刑事責任まで問える『英雄烈士保護法』も5月に施行された。

昨年秋には、増加する一方だった日本への団体旅行が全国規模で突然制限された。世論が『親日』に傾きすぎることを警戒した措置との見方が大勢だ。中国駐在経験の長い日系航空会社幹部は『改善傾向にあるとはいえ、日中は特殊な関係ということだ』と語った。

『友好の一方でけん制も忘れない。それが一貫した中国の対日政策だ』。日中関係筋はそう指摘する。国内外の問題から国民の目をそらせるための『反日カード』のスイッチは、常に共産党政権の手中にある」。

李克強首相の5月の日本訪問を契機に「再び日本に学べ」の方針に、中国共産党の指導部が転換した。習主席が了承済みである。米中貿易戦争の長期化故である。背に腹を変えられぬと。反日カードを放棄し、日本に摺り寄らざるを得ない。

産経に「首相『秋国会に改憲案』」「日朝首脳会談へ意欲」「長州正論懇話会」が書かれている。

「安倍晋三首相(自民党総裁)は、9条に自衛隊を明記するなどの憲法改正に関し、秋に予定される臨時国会に自民党案の提出を目指す意向を初めて表明した。連続3選を目指す9月の総裁選を通じて自民党内の憲法改正の作業をさらに加速させたい狙いがある。同時に、総裁選出馬を表明した石破茂元幹事長が9条改正を争点から避けたことを牽制した形だ。

首相は12日、山口県下関市内で開かれた長州『正論』懇話会の設立5周年記念講演会で講演した。

憲法改正については『いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない。これまでの活発な党内議論の上に自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるよう、取りまとめを加速すべきだ』と述べた。

さらに『昨年の衆院選の公約実現を目指すことは自民党としての責任でもある。誰が総裁になろうとも、その責任を果たしていかなければならない』と訴えた。『政治は結果である。どのように幅広い同意を得て憲法改正を実現するか、総裁選で党員の間に議論を深め、一致団結して前に進むきっかけとなることを期待する』とも語った。

自民党は、自衛隊、緊急事態、参院選「合区」解消、教育の充実の4項目の改憲案を作成している。首相は『自衛隊を合憲』とする憲法学者が2割にとどまる現状などに触れ『こんな状況に終止符を打つ。全ての自衛官が誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは今を生きる私たち政治家の責任だ』と語り、9条への自衛隊明記に重ねて強い意欲を示した。

北朝鮮による日本人拉致問題には『いまだ解決できないことは痛恨の痛みだ。安倍政権で必ず解決するという強い決意で臨んでいる』と改めて言明した。

『最後は私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と直接向き合い、わが国が主体的に解決しなければならない』とも語った。

さらに『今こそ<戦後日本外交の総決算』を成し遂げるときだ』と訴え、『最大の課題の一つ』と位置づける日露平和条約の締結を目指す考えに言及した」。

安倍晋三首相は12日の長州「正論」懇話会の設立5周年記念講演会で秋の臨時国会で9条に自衛隊を明記する自民党案の提出を目指す意向を初めて表明した。総裁選の争点が、首相主導の9条に自衛隊明記案の是非となるのは必至となる。

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