日刊労働通信社 | 日韓 内憂外患

日韓 内憂外患

政治

毎日に「米『徴用工解決済み』支持」「日本に複数回伝達」が書かれている。

「韓国最高裁が日本企業に元徴用工への賠償を命じた判決を巡り、米国政府が日本政府に『元徴用工への損害賠償を含む請求権問題は、1965年の日韓請求権協定で解決済み』とする日本の法的立場を支持する意向を伝えている。日本政府関係者が明らかにした。米国は元徴用工問題で日韓に歩み寄りを促すが、日本側は『原則的な主張は米国の理解を得ている』と受け止め、韓国政府に賠償の肩代わりなど『請求権協定違反』の是正を引き続き求める方針だ。

外務省は、昨年10月の韓国最高裁判決を受けて、原告側が米国にある日本企業の資産差し押さえを申し立てるケースを想定し、米国務省と協議した。日本側は、米国で申し立てがあれば、米国務省が『訴えは無効だ』とする意見書を米国の裁判所に出すよう求めた。

米国務省は昨年末までに日本の主張を支持する考えを日本側に伝達。日韓請求権協定に『例外』を認めれば、基となる51年のサンフランシスコ講和条約で定めた『戦争請求権の放棄』が揺らぎかねないと懸念を示した。7月の日米高官協議でも日本の法的立場を確認し、河野太郎外相が8月上旬にバンコクでポンぺオ国務長官と接触した際も、ポンぺオ氏は理解を示した。

米国では2000年代前半、旧日本軍捕虜だった米国人らが『日本国内で強制労働させられた』として、日本企業に損害賠償を求める訴訟が相次いだ。米国務省は『サンフランシスコ講和条約で請求権を放棄した』として原告の訴えに反対する意見書を裁判所に提出。裁判所も原告の訴えを退けた。米政府には、韓国最高裁判決の影響で、元捕虜らが賠償請求に動きかねないとの懸念があるとみられる。

日韓請求権協定は、日本と旧植民地との請求権問題を当事者間で取り決めるとしたサンフランシスコ講和条約第4条に基づいて締結された。日本が韓国に無償供与3億ドル、長期低利貸し付け2億ドルの経済協力を行う一方、請求権問題は『完全かつ最終的に解決』したと明記した」。

米国政府は、日本政府に「元徴用工への損害賠償を含む請求権問題は、1965年の日韓請求権協定で解決済み』とする日本の法的立場を支持する意向を伝えている。理由は、そもそも日韓請求権協定は、日本と旧植民地との請求権問題を当事者間で取り決めるとしたサンフランシスコ講和条約第4条に基づいて締結されているからである。「例外」を認めれば、旧日本軍捕虜だった米国人らが、賠償請求に動きかねない懸念があるからだ。

産経の「不信かんぽ不適切販売」㊥に「政治に翻弄された民営化」が書かれている。

「『きちんと民営化ができていれば、こんなことにはならなかった…』

小泉純一郎政権の下で初の郵政民営化担当相を務め、日本郵政グループの〝生みの親″とも言える東洋大教授の竹中平蔵は郵政グループの不祥事に憤る。

『今回の解散は<郵政解散>だ。郵政民営化に賛成するのか反対するのか、はっきりと国民に問いたい』

平成17年8月8日夜、首相官邸。首相の小泉(当時)は記者会見し、衆院解散・総選挙を表明した。

郵政民営化は、文字通り『政治主導』の産物だった。郵政民営化をほぼ唯一の政治信念とし、永田町で『変人』扱いされた小泉だが、13年にまさかの首相に上り詰めると、民営化を『改革の本丸』と位置づけた。当時350兆円に上った膨大な郵政の資金は『民間で有効に活用されるべきだ』との信念があった。

民営化法案が参院で否決されると、小泉は衆院解散という奇策を断行。元建設相の亀井静香ら自民党の民営化反対派が反発すると、17年9月の衆院選で党公認としないどころか、次々『刺客』としての対立候補を送り込んだ。

小泉は選挙中、『民間にできることは民間に』と民営化の意義を訴えた。結果は自民が296議席獲得の大勝。小泉は改めて民営化法案を提出し、成立した。

<急変から迷走>

郵政解散から2年後の19年10月、政府出資の株式会社グループが発足。10年後に完全民営化を成し遂げるはずが、事態は急変する。

21年の民主党への政権交代だ。21年10月に民営化の見直し方針を閣議決定し、株式売却凍結法すら成立させた(その後廃止)。24年に成立した改正民営化法は、日本郵政が保有するかんぽ生命とゆうちょ銀行の株式を『早期にすべて売却することを目指す』と定めたが、日本郵政は現在もゆうちょ銀に89%、かんぽ生命に64%出資している。

この迷走ぶりが、市場には『実質の再国有化』(金融アナリスト)とも映る。メガバンクの元頭取で日本郵政社長を務めた西川善文ら、小泉政権下で集まった民間人も相次ぎグループを去った。竹中は『民間経営者を追い出して天下り先にし、ガバナンス改革が遅れたから問題(不適切販売)が起きた』と批判する。

天下りの象徴が、『10年に一人の大物次官』と呼ばれた元大蔵省事務次官、斎藤次郎の日本郵政社長への起用。斎藤や当時与党・国民新党を率いた亀井らの下、政府の影響力が増した。

不完全な民営化は営業面でも如実だ。かんぽ生命は認可がなければ新商品が開発できない制約が過剰ノルマを招いた。竹中は『おかしな政策をやれば必ずおかしな結果を招く』と指摘する。ゆうちょ銀行も預貸業務と商品開発の拡大が見込まれたが、預入限度額は今年4月に2600万円に引き上げられるまでその半額に抑えられてきた。

<風土変わらず>

24年12月に自民党が衆院選で圧勝し、政権復帰直前に斎藤は社長を辞任。東芝出身の西室泰三が日本郵政社長を務めたりしたが、『国の意向や政治に左右される郵政グループの風土は変わらなかった』(保険業界関係者)と指摘される。

日本郵政上級副社長の鈴木康雄は元総務事務次官。日本郵便の副社長の一人は、自民党の支持団体である全国郵便局長会(全特)の元会長だ。先月の参院選は全特の組織内候補が自民で比例最多の60万票を獲得した。

政治に翻弄された民営化の迷走は、郵政グループのいびつな経営を招いた大きな要因であり、今後にも影を落としている」。

日本郵政グループの不祥事は、生みの親ともいえる東洋大教授の竹中平蔵氏が言う「きちんと民営化できていれば、こんなことにはならなかった」は、正鵠を突いている。2007年10月から10年後の2017年10月の完全民営化が、2009年の民主党への政権交代によってとん挫したからである。2012年に成立した改正民営化(実質の再国有化)のままである。2012年に自民党が政権交代しても、である。

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