日刊労働通信社 | 「改憲国民投票ありきが民意」

「改憲国民投票ありきが民意」

政治

読売の社説に「臨時国会」「将来見据え本質突く論戦を」が書かれている。

「臨時国会が近く召集され、本格的な論戦が始まる。直面する内外の課題にどう対処するか。野党は政府批判に終始するのではなく、施策の内容に踏み込んで論じてもらいたい。

質疑の焦点の一つは、日米が合意した新たな貿易協定である。政府は、承認案を提出する。

米国産牛肉や豚肉にかける関税の引き下げは、環太平洋経済連携協定(TPP)を超えない水準で決着した。自国産業保護を目的に相手国に対して圧力をかけるトランプ米政権と交渉し、現実的な落し所を探った結果だ。

国内の農家にどんな影響が出るか。対策をどう講じるか。冷静に検討することが欠かせない。保護主義の広がりを防ぎ、自由な貿易体制を維持することは、日本の国益に資する。TPPの参加国の拡大や、別の経済圏の構築など、通商政策のあり方についても意見を交わすべきだ。

社会保障制度も論点となる。厚生労働省は、年金財政の健全性について点検結果を公表した。経済が順調に成長した場合、モデル世帯では、現役男性の平均収入の50%の給付水準を維持できる。

野党からは、試算の前提条件が甘いとの指摘が出ている。経済成長の見通しなど、前提の置き方を丁寧に説明することが大切だ。

少子高齢化は急速に進む。経済の活力を中長期的に維持し、持続可能な社会保障制度を築くことこそ、本質的な課題と言える。

高齢者雇用の拡大や子育て支援の充実など、広範な分野の施策を効果的に進めることが肝要だ。

政府は、政策の方向性と狙いを分かりやすく示す必要がある。野党が問題点を指摘し、代替策を提起することで、国会審議を充実させることができよう。

憲法論議を前進させることも、臨時国会の課題だ。野党には、改憲に積極的な安倍内閣の下での憲法論議に抵抗感が根強い。

最高法規のあり方を不断に論じるのは立法府の役割だ。共通投票所の設置などを盛り込んだ国民投票法改正案を速やかに成立させたうえで、憲法本体に関する討議を再開しなければならない。

立憲民主、国民民主両党などは衆参両院で統一会派を結成して、臨時国会に臨む。閣僚発言の揚げ足取りを繰り返し、政策論争を置き去りにすれば、国民から批判を受けよう。会派内で、政策をすり合わせ、質問内容を精査する。質疑の質を高め、行政監視能力を向上させていく姿勢が求められる」。

社説の主旨である「将来見据え本質突く論戦を」は、正論である。

政府・与党は、臨時国会提出法案を15本に絞り込んだが、継続審議となっている国民投票法改正案を成立させるために、である。安倍晋三首相は国政選挙6連勝をなしたが、総裁任期は2021年9月まであり、祖父の岸信介元首相からの悲願であり、自民党の党是でもある憲法改正の施行を2020年までに為すが、安倍晋三首相のレガシーである。そのための国政選挙6連勝である。その結果が、日経の直近調査での改憲国民投票賛成58%である。民意の6割近くが改憲国民投票ありきとなったのである。

問題は、野党の抵抗である。野党は、立憲民主、国民民主などで衆参両院で統一会派を組み阻止にかかるが、政府・与党は、58%の民意をテコに、多数決で成立させるべきである。来年の通常国会で改憲発議を為し、来年11月に衆院選と国民投票とのダブル選とのシナリオである。国民の審判を受けるのだから、野党も文句を言えない。臨時国会での最大の対決法案が国民投票法改正案となり、野党の抵抗があっても多数決で押し切るべきである。最高法規を改正するのは立法府の責務である。

日経に「韓国法相 迫る包囲網」「検察、曹氏の子弟聴取」「野党、捜査介入で告発」が書かれている。

「親族の疑惑を抱える韓国の曺国(チョ・グク)法相を巡り、同国検察が捜査を着々と進めている。自宅の家宅捜索に加え事情聴取は娘や息子に及び、検察改革に着手した曹   氏をけん制する。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は検察の強引な捜査に警告を発し、これを支持する国民の大規模デモが開かれた。政権と検察による全面対決の様相を深めている。

≪文氏、検察改革へ対決姿勢≫

検察はこれまでに曺氏の娘の大学院不正入学に絡み妻を起訴、私募ファンドの不透明運用では親戚の男を逮捕した。最近も娘と息子、弟を相次ぎ事情聴取している。息子は名門の延世大大学院への不正入学、弟は亡き父が経営した学校法人を巡る不正な資金調達が取り沙汰される。

検察が狙う本丸は曺氏本人だ。23日には自宅を11時間にわたって家宅捜索するなど、なりふり構わぬ捜査姿勢を示す。国会の聴聞会であらゆる疑惑を否定した曺氏の証言を覆す資料探しを急いでいるとの見方がある。

この家宅捜索の際、曺氏が検事に電話で『妻の体調がすぐれず、息子と娘も家にいるので速やかに進めてほしい』と要請したことが判明。保守系野党の自由韓国党は法相が個別事件の捜査に介入したとして、職権乱用などの容疑で検察に告発した。

ニューヨークの国連総会への外遊中の出来事に、文大統領は怒りを抑えられなかったようだ。27日には『(文政権が進める)。検察改革を求める声が高まっている現実を検察は省察してほしい。人権を尊重する節制された検察権の行使が必要だ』とする声明を出した。

曺氏は最近の雑誌のインタビューで『韓国の検察はいかなる権力をも屈服させられる力を持つが誰も統制できない組織だ』と指摘し、検察の起訴独占権を抑制する改革に切り込む決意を語った。文政権側には一連の捜査を、改革の旗手と組織防衛へ暴走する抵抗勢力の全面衝突という構図に持ち込みたい狙いもある。

韓国ギャラップが27日に公表した世論調査で文氏の支持率は41%と、最低を記録した前の週と比べ1ポイント持ち直した。依然不支持率が上回っており、レームダック(死に体)への分水嶺とされる30%台への手前で踏みとどまっている状況だ。

文政権を支える革新勢力は、検察改革の支持へ結束を強めている。28日夜には疑惑の捜査を進めるソウル中央地検近くの大通りで検察改革を支持する市民団体が主催する大規模集会が開かれ、検察や疑惑を報じる保守メディアへの批判を叫んだ。全国からバスで集まった参加者は主催者側の予想を超え、最終的には数十万人規模に膨れあがったもようだ。

2020年4月に総選挙を控える文政権にとっては、革新支持層が強く固まる展開は望ましい。対抗する保守政党はばらばらで、今のところ無党派層を強くひき付ける魅力的な経済政策などを備えているわけではないからだ。

検察が今後の捜査で疑惑の決定的な証拠を握れば、曺氏が追い詰められ文政権が大きな打撃を受ける可能性がある。ただ、強引な捜査が際立てば、かえって絶大な権力を振るってきた検察を改革する正当性を浮き彫りにしかねない。文氏も検察も、熱しやすい国民感情の行方に神経をとがらせている」。

韓国ギャラップの27日調査で文氏の支持率は前回より1ポイント増の41%となったが、レームダックへの分水嶺とされる30%台手前で辛うじてとどまっているが、検察が曹氏の決定的な証拠を握れば、一挙に30%台へと急落する。文在寅政権の検察改革を阻止する検察次第となるが。

1、日経に「中国建国70年」「香港『反中デモ』激化」「台湾は連帯示す集会」が書かれている。

「『逃亡犯条例』改正案への反対をきっかけとする抗議活動が続く香港で29日、大規模なデモがあった。10月1日の中国建国70周年を祝う看板に火を付けるなど事実上の反中デモで、警察は催涙弾や放水砲を使ってデモ参加者を多数拘束した。台湾でも29日、香港支援のデモがあり、主催者発表で参加者は10万人規模にのぼった。

6月に始まった香港デモは17週目に入った。29日のデモは警察に事前申請しておらず、警察は出発地点の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)で阻止しようとしたが、集まった人たちは行進を強行した。デモ参加者は警察の暴力行為を調べる独立委員会の設置や普通選挙の導入など『五大要求』を掲げた。

一部の若者は地下鉄駅のガラスを割ったり、中国の国旗や習近平(シー・ジンピン)国家主席の写真を踏みつけたりした。デモ隊は繁華街を移動しながら警察と激しく衝突し、香港島中心部は騒乱状態になった。香港メディアによると、警察は威嚇のため発砲し、緊張が高まった。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は26日に市民との対話集会を初めて開いたものの、条例撤回以外のデモ隊の要求には応じない姿勢を貫いている。行政長官選挙の民主化を求めた2014年の雨傘運動から5年となる28日にも数万人が集まった。民主派団体は10月1日にも大規模デモを計画しているが、警察は許可しない方針だ。

29日には台湾・台北でも香港との連帯を示すデモ行進が行われた。香港と台湾の民主派団体が呼びかけ、台湾独立志向を持つ与党・民主進歩党(民進党)の幹部らも参加した。雨が降りしきるなか香港民主派と同じ黒い服を着た若者らが路上を埋め『台湾は香港とともにある』と声を上げた。

デモに参加した台北市内の大学生、謝さん(21)は香港の混乱を報道などで目にして『中国に統一されたら大変なことになるという実感が初めてわいた』という。デモを通じ『民主主義を守る意志を中国に訴えたい』と話した。

中国の統治が及んでいない台湾では、香港は自分たちとは別と考える人が多かった。ただ統一を目指す中国の圧力が強まるなか、デモ隊と香港当局による混乱が拡大したことで中国への警戒感が高まった。20年1月の台湾の次期総統選に向けては対中強硬姿勢の民進党から出馬する蔡英文(ツァイ・インウェン)総統への追い風となり、対中融和路線の最大野党・国民党の候補、韓国瑜(ハン・グオユー)高雄市長に対し優位に立っている」。

明日、中国建国70年を迎えるが、中国共産党の核心利益である香港と台湾で反中デモが激化している。「今日の香港は明日の台湾」との危機感からである。20年1月の台湾の次期総統選で対中強硬派の民進党の蔡英文総統への追い風となっている。

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