日刊労働通信社 | 自由に牙むく中露の『壁』

自由に牙むく中露の『壁』

政治

産経の「湯浅博の世界読解」に「自由に牙むく中露の『壁』」が書かれている。

「ちょうど30年前の1989年11月、若者たちがベルリンの壁を破壊し、世界は冷戦の終わりの始まりを見た。米政治学者のフランシス・フクヤマ氏が『歴史の終わり』で民主主義の勝利を歌い上げ、米欧の自由主義陣営は、ソ連の崩壊で軍事費削減が可能になって、『平和の配当』が転がり込んでくることを期待した。

マイクロソフトのビル・ゲイツ会長らが、旧ソ連から大陸間弾道ミサイル(ICBM)のSS18を丸ごと買い取る算段をしていたのも、その配当なのかもしれない。SS18が流出しないうちに、100基近くのミサイルを使って通信衛星を次々に打ち上げ、新たな通信事業に挑戦する壮大な計画であった。

米核戦力の研究拠点、ローレンス・リバモア国立研究所を訪ねた際も、いつの間にか旧ソ連の有名なレーザー兵器の開発者を引き受け、自由陣営のために役立つ仕事を開始させていた。これが共産主義の行き着いた『歴史の終わり』なのかと得心させられたものだ。

冷戦時代を象徴したのは、核兵器やICBMのハードウエアだった。米ソ間で『恐怖の均衡』が程よく保たれ、どちらも全滅のリスクを冒そうとは思わない。当時のブッシュ米政権は、ソ連崩壊後に残る膨大な大量破壊兵器を始末し、研究者たちを囲い込めば、盤石であると考えた。

<対ソ冷戦時代よりはるかに危険複雑>

だが、歴史はそれで終わらなかった。ベルリンの壁が崩壊して30年後のいま、自由世界は対ソ冷戦時代よりもはるかに危険で複雑な安全保障環境の中にある。新たに台頭してきた中国パワーに直面しているのだ。ニクソン大統領が中国の門戸を開き、対ソ戦略の『チャイナ・カード』に組み込んだはずが、一世代を経て、米国に牙をむくライバル国家に変貌した。

日米欧企業は中国の巨大な労働市場を当て込んで、巨額投資による『世界の工場』を生み出した。経済力で豊満になった中国は、やがて軍事力という筋肉をつける。まるで英国の小説『ガリバー旅行記』にでてくる巨人国ブロブディンナグのように、大きいがゆえに傲慢になっていく。 

晩年のニクソンが漏らした『フランケンシュタインをつくってしまった』とのささやき   は、それを象徴しているだろう。中国に経済力を注いでしまったのは、ほかならぬ先進主要国であったのだ。

とりわけ、インド太平洋で起きている中国と周辺国との摩擦、威嚇、衝突は、この10年のうちに起きているパワーシフトに起因している。世界を主導してきた米国が同時多発テロ『9・11』以降、アフガニスタンの砂漠を超え、イラクでテロリストを討伐している間に、中国は無傷のまま軍事力を高めてきた。

2008年9月のリーマンショック後の金融危機で『米国衰退』が指摘されると、中国は国際ルールの軌道から大きくはみ出した。習近平国家主席は『中国の夢』を掲げ、中華人民共和国の建国から『100年マラソン』を駆け抜けて世界に君臨する夢を見る。

<「時代遅れ」と嘲笑 中露疑似同盟成立>

ニクソンによる米中接近は、米中ソ三角関係の最も弱い中国を対ソカードに使った。いまは逆に、中国が最も弱いロシアを対米カードに使おうとしている。プーチン露大統領が今年6月の英紙インタビューで、自由主義を『時代遅れだ』と嘲笑して旗幟鮮明にした。自由主義世界秩序に対抗する中露疑似同盟の成立である。

中国は南シナ海の大半を『中国の海』であると主張し、7つの人工島をつくった。他方のロシアはクリミア半島を力で併合し、ウクライナ東部に対しても軍事的な圧力を緩めない。

北京とモスクワは、ともにカネと力しか信じない。国内統治を優先して人権を抑圧し、米国の影響力を弱体化させ、自由主義世界秩序を突き崩すことに共通の利害を持っている。

ハドソン研究所のウォルター・ラッセル・ミード氏によると、ロシアは2016年にサウジアラビアに代わる中国最大の原油輸入国になり、2017年にはバルト海で中露初の合同演習を実施。さらに2018年6月に習主席がプーチン大統領を『親友』と呼び、同年9月、プーチン氏はウラジオストクでの大規模演習『ボストーク2018』に3000人規模の中国軍を招いて合同演習をした。

今年7月22日に竹島近くの韓国防空識別圏内で、中露の軍用機が日韓の防空能力を探り、韓国軍機がロシア機に300発以上の警告射撃をした事件は、中露枢軸が強化されていることを示す最新事例だ。

<来春の習氏訪日‥日中接近は危うい>

コーツ前米国家情報長官によれば、『ユーラシア大陸の二大国がこれほど接近するのは、1950年代以来のこと』だという。北京とモスクワの連携はその挑戦を増幅させる。だが、筆者がコーツ氏なら、中露に加えて『日中接近』への懸念を付け加えるだろう。

習近平政権は、ロシアを疑似同盟に引き入れたその手で、日米同盟の切り崩しに狙いを絞る。彼らは米国との覇権争いを立ち回るうえで、日本に戦略価値を見いだしているのだ。

かつて天安門事件後の1992年に、天皇陛下が訪中して米欧からの経済制裁に風穴を開けたように、来春の習氏訪日は、中国の乱暴狼藉を日本が率先して承認することにならないか。

トランプ米大統領はこの5月に、令和初の国賓として来日し、天皇、皇后両陛下が即位後初めて会見してはいる。しかし、中国は米国にとって貿易戦争やハイテク覇権を争う『新冷戦』の敵対国である。

ペンス米副大統領も10月24日の演説で、中国が『より攻撃的になっている』と述べ、香港や台湾をめぐる対応を批判している。日本にとっても、中国は尖閣諸島沖で領海侵入を繰り返し、北大教授はじめ10人にのぼる邦人をスパイ容疑で拘束している。

いまは、日米欧が相互に『不信の壁』を取り払い、同盟国を総動員しなければならない時であろう。同盟国である米国の大統領来日時に反対デモがなくても、習氏来日時にはありうる。そのとき菅義偉官房長官はデモ容認のために、一言『ようこそ民主主義の国へ』といえるだろうか」。

氏が言う「中露疑似同盟成立」、「習近平氏の日中接近危うい」は正鵠を突いている。習主席国賓来日の狙いは、日米同盟切り崩しにあるのは明白である。問題は、来春の習氏訪日までに憲法9条改正の国会発議を為せるか、である。最大の抗議デモとなるが。

「夕食会費5000円はファクト」

朝日の社説に「桜を見る会中止」「首相自ら疑問に答えよ」が書かれている。

「安倍首相は数々の疑問に、いまだ何ひとつ、まともに答えていない。このまま幕引きとするわけにはいかない。

首相主催の『桜を見る会』について、政府が来年度の開催中止を決めた。第2次安倍政権発足以降、招待者が膨れあがり、特に首相の後援会関係者が大勢招かれていることに公私混同との批判が強まっていた。急な中止決定に、追及の矛先を鈍らせる狙いがあるのは明らかだ。

政府はあいまいな招待基準や、不透明な招待プロセスなどを見直したうえで、再来年度の復活をめざす。1952年から続く行事であるが、各界で『功績・功労』があった人が対象という会の趣旨に立ち返り、この際、長年の慣行を見直し、今の時代にふさわしいものにしてもらいたい。

しかし、その前にやるべきことがある。税金で賄われる公的行事の私物化ではないかと指摘される安倍政権下での実態を、徹底的に解明することだ。

菅官房長官は一昨日、午前の記者会見では『首相枠、政治枠という特別なものはない』と否定しながら、午後の会見では一転、首相ら官邸幹部や与党に推薦依頼を出していたことを認めた。政治経験の長い菅氏が事情を全く知らなかったとは信じがたく、不誠実きわまる。政治家が推薦した人数についても、名簿が廃棄されていてわからないと繰り返すばかりだ。

首相は国会で『招待者のとりまとめには関与していない』と答弁したが、桜を見る会を含む観光ツアーの案内が、事務所名で地元の有権者に配られていたことが明らかになっている。『首相自身は知らなかった可能性がある』という内閣官房の説明は納得しがたいが、そうだとしても監督責任は免れない。

毎年、会の前夜には、都内の高級ホテルで、首相も出席して後援会の懇親会が開かれていた。野党は、会費5千円では費用を賄えない、首相が関係する政治団体の政治資金収支報告書に一切記載がない、などとして、公職選挙法や政治資金規正法に違反する疑いがあると主張する。適切に対応しているというのであれば、首相自身の口からきちんと説明すべきだ。

ところが、首相は国会では、招待者の個人情報を口実に具体的な答弁を拒み、来年度の開催見送りについても『私の判断で中止した』と一言、記者団に告げただけだった。

首相は先日の2閣僚の辞任に際し『一人一人の政治家が自ら襟を正し、説明責任を果たすべきだ』と語った。であるなら、率先して、野党が求める予算委員会の集中審議に応じ、その言葉を実行に移すべきだ」。

社説の主旨である「首相自ら疑問に答えよ」に異論がある。

安倍晋三首相は、首相主催の「桜を見る会」の来年度の開催中止を決めたが、危機管理からである。早期の2人の閣僚更迭、英語民間試験導入中止もそうである。野党・朝日の狙いが、審議ストップにより、国民投票法改正案の成立阻止にあるからだ。4月に開催された「桜を見る会」の問題点を、今何故持ち出すのか、である。1952年から続く行事であり、民主党鳩山政権時でも開催されているのに、である。

問題は、もりかけ問題と同じである。憲法改正を主導する安倍晋三首相を潰したいが故に、である。安倍晋三首相の後援会から800余人が参加し、櫻を見る会の前夜ホテルで会費5000円で夕食会をしたことを問題視したのである。相場1万1000円はかかるのに、差額6000円を安倍事務所負担したとの邪推である。公選法違反、政治資金規正法違反であると。なんのことはない。立食パーティであるから、5000円で可能である。後援会の参加者はすべてが自己負担であるから、公選法違反にも、政治資金規正法違反になり得ない。差額6000円を安倍事務所が負担はフェイクニュースとなるが。

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