2025年連合新年交歓会 芳野友子会長挨拶
皆さま、新年あけましておめでとうございます。
本日は、林官房長官、各党代表者の皆さま、経団連・小路副会長をはじめ多くの皆さまにご臨席を賜りました。誠にありがとうございます。
昨年は、元日に能登半島地震が発生したことを受けて、新年交歓会から新年互礼会として開催いたしました。今年は、穏やかなお正月を迎えており、1年を通して、大きな災厄が無いことを祈念しております。
そして、元日の大地震と秋には集中豪雨の被害も受けた能登半島。一刻も早く復旧・復興が実現し、被災地の皆様が安らかな生活を送ることができるよう年頭にあたり心から期待したいと思います。政府、経済界、労働界の皆様の引き続きのご努力をお願いいたします。連合としても引き続き、被災地に寄り添って参ります。
さて、今年は、いくつかの節目の一年となります。
一つ目は、気候変動に関連して、地球温暖化問題が国際的に注目されるきっかけとなった「フィラハ会議」から40年、そして、京都議定書の発効から20年になります。
昨年を振り返りますと、とにかく暑い夏と、秋を感じる間もなく冬が来た、という印象が強く残っているのではないでしょうか。四季の移ろいがはっきりせず、夏と冬だけの二季になってしまうのではないかと心配する声も耳にすることがあります。
持続可能な社会、私たちの生活や文化を守る上でも、気候変動問題への対応は重大な課題です。
二つ目は、阪神・淡路大震災から30年です。
1995年1月17日5時46分。30年が経過したとしても、この災害を忘れることはありません。会場にも、直接、災害を経験された方もおられると思います。
138万人のボランティアが活動し、日本における本格的なボランティア活動が始まり、ボランティア元年とも呼ばれました。2011年の東日本大震災では550万人、2015年の熊本地震では11万人、そして、能登半島地震では16万人のボランティアが被災地のために活動しました。
一人ひとりにできることには限りがあるかもしれませんが、これまでのボランティアの活動は、「力を合わせる」ことで大きな力になることを証明し続けています。連帯や共助は、労働運動の根幹です。付け加えるならば、労働運動には「心合わせ」という言葉もあります。
今年も幾多の課題が待ち受けているものと思いますが、「力合わせ」「心合わせ」によって乗り越えて行きましょう。
三つ目は、男女雇用機会均等法の制定から40年です。
ジェンダーを巡る環境は、法律をはじめ、少しずつ前進してきました。しかし、文化や慣習、とりわけ性別役割分業意識は、依然として根強く残っています。その結果、法制定から40年が経過してもなお、日本のジェンダーギャップ指数は、昨年時点で146カ国中118位です。特に、政治・経済分野において圧倒的に低位にあります。
人口減少とか労働力不足とか、そのような経済的・政治的利害の延長線上でのみ改善を語るのではなく、この世に生を受けた一人ひとりの人間として、あるいは皆さんの家族や友人や大切な人など、一人ひとりの人権を尊重する観点でも、この課題に向き合う一年にいたしましょう。
最後の節目は、戦後80年であるということです。
昨年末、日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。代表委員の田中熙巳さんの受賞スピーチは、淡々とした口調の中に、70年におよぶ運動に裏付けられた鬼気迫る静かな感情が込められ、世界中に届けらました。
その前段で、ノルウェー・ノーベル委員会のヨルゲン・ワトネ・フリドネス委員長は、その挨拶の中で次のような言葉を述べました。
「記憶は私たちを心の檻の中に閉じ込め、前に進むことを阻むこともできます。他方で、記憶が新たな人生への契機をもたらすこともあります。忘却という誘惑から私たちを守り、同時に苦難に見舞われた人々に敬意を表する手段にもなり得ます。」
先の大戦から、およそ人の一生と同じくらいの時間が流れ、記憶が少しずつ風化しつつある中で、再び過ちを起こさぬためにも、「忘却から私たちを守る」取り組みを、そして、「苦難に見舞われた人々に敬意を表す」取り組みを、この節目の一年にしっかりと取り組みたいと思います。
むすびに、環境も、ボランティアも、ジェンダー平等も、そして平和も、すべては人材を育むことに行きつくのではないでしょうか。
昭和100年となる今年、「百年の計は人を植うるにあり」との教えに思いをいたし、次の100年を見据えてその一歩を踏み出して参りましょう。
本年も連合に対する一層のご支援をお願いし、皆さまのますますのご健勝とご活躍を祈念いたしまして年頭のご挨拶といたします。本日は誠にありがとうございます。ともに頑張りましょう!
2025/01/08 11:54