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実質賃金減少

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毎日に「消費回復、道半ば」「百貨店7月売上高2・5%減」「実質賃金低下が影響も」が書かれている。

日本百貨店協会が19日発表した7月の全国百貨店売上高は、前年同月比2・5%減(既存店ベース)の5448億円で、4カ月連続で前年実績を下回った。
6月の4・6%減から下落幅は縮小したものの、消費の本格回復には力強さを欠くとの指摘もある。多くの企業が夏のボーナスを増やしたが、物価上昇を加味した実質賃金は低下していることも影響しているようだ。

 

消費回復の足かせになっているのが、実質賃金の減少だ。多くの企業は賃上げを実施したり、ボーナスを引き上げたりした。ただ厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は4月から前年同月比で3%以上下落している。賃金上昇が物価上昇に追いつかないのが実態だ。

 

協会は8月上旬も台風などの影響で、5%程度の売上げの減少が会ったと見ている。ただ中旬以降は売り上げが持ち直しており『前年に迫れる』(井出専務理事)との見通しを示す。第1生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは『回復の程度は物足りない。8月にどこまで持ち直すのかが焦点』と指摘する。

 

7月の全国百貨店売上高が、前年同月比2・5%減で、6月の4・6%減より下落幅は縮小したが、4カ月連続で前年実績を下回った。消費の本格回復には道半ばである。

 

問題はその理由である。賃金上昇が物価上昇に追い付かず、実質賃金が減少しているからだ。厚労省の毎月勤労統計調査によれば、実質賃金が4月から前年同月比で3%以上下落している。実質賃金の減少は、8,9月も続くのだから、9月までの消費回復は難しいとなる。景気腰折れの危機である。4月からの消費税増税故である。安倍首相は、消費税再増税先送りの早期の決断が待ったなしとなった。

 

産経に「谷垣氏ハムレット」の記事が載っている。
「来月の内閣改造を前に、谷垣禎一法相は、側近議員らが求める安倍晋三首相との対決姿勢を退け、恭順の姿勢を示している。民主党の野田佳彦前首相、公明党の山口那津男代表との、消費増税を合意した『3党首同総会』への出席も拒否した。ただ、首相が消費税率10%への引き上げの決断を見送るのではないかと強い懸念を示すなど、立ち位置に苦悩している様子もうかがえる。

 

今月8日夜の「3党首同窓会」の仕掛け人は、財務省である。谷垣氏は反党行為になることを恐れて、欠席したが、18日の谷垣グループでの研修会では、首相が10%への引き上げへの決断を見送るではないかとの強い懸念を示した。立ち位置は、明らかに財務省寄りである。谷垣氏の続投も、横すべりも消えたのである。
日経に「森元首相らと首相が会談」との記事が載っている。
「安倍晋三首相は19日夜、山梨県鳴沢村で、森喜朗元首相、自民党の山本有二元金融担当相、萩生田光一総裁特別補佐らと会食した。9月3日に実施する内閣改造・自民党役員人事をにらみ、今後の政権運営について意見交換したとみられる。

 

会食は日本財団の笹川陽平会長の別荘で行われ、茂木敏充経済産業相、加藤勝信官房副長官らも同席した。首相は20日に山梨県内で森氏らとゴルフをともにする予定だ。

 

山本有二元金融担当相は、石破幹事長の側近でもあるから、石破氏の本音を安倍首相に伝えたと思われる。外相か防衛相かの兼任なら、安全保障法制担当相を受けるとの回答を、である。安倍首相の最終判断は?

 

日経に「再生ふるさと経済」に「消滅か存続か、いま正念場」「人を呼び仕事育てる」が書かれている。

 

「日本のふるさとで何が起きているのか。『将来的に全国市町村の約半分が消滅する』。元総務相の増田寛也氏らがまとめた報告書が引き金になり、地方経済の立て直しが改めて重要課題となってきた。来年春の統一地方選をにらみ、安倍晋三政権も『ローカル・アベノミクス』に力を入れる。地方再生のヒントは何か。実情を探った。

 

<リポートの衝撃>

 

『ついに村が見放されたか』。山梨県東部の小菅村。村役場ナンバー2の青柳万寿男総務課長は肩を落とした。今年春の新卒採用で村出身者から役場職員の応募がゼロになったためだ。

 

同村は東京都足立区ほどの面積だが人口はわずか738人。農林業は衰え、頼みの綱の電気部品メーカーも撤退した。仕事を探す若者が流出し、人口はピーク時から3分の1に減った。税収は年7200万円と9億円近い国からの交付税がなければ生活インフラの維持が難しい。同村派首都圏の大水脈の源流に位置し、水資源の保存が必要。地域が維持できなくなれば、影響は東京にも及ぶ。

 

揺らぐふるさと経済。増田氏らのリポートでは日本全体の49・8%に当たる896市町村が『将来的には消滅する恐れが高い』とした。青森市や秋田市といった県庁所在地も消滅リスクがある。最大の要因は都市への若者の流出だ。東京都の合計特殊出生率は1・13で全国平均(1・43)より低い。若者が出生率の低い東京に集まり、人口減に拍車をかける。増田氏は『改革の最後のタイミングだ』と訴える。

 

再生のヒントはある。松江市の北50キロ、日本海の壱岐諸島にある島根県海土町は、人口が2300人と1年間で2%ほど増えた。移住者を積極的に受け入れ、少子化に歯止めをかける。
ナマコ加工事業を手掛ける宮崎雅也さんは、大学卒業後に海土町に来た『1ターン』移住者だ。
ナマコを島内で完成品に仕上げて香港に輸出する。創業7年で従業員は7人に増えた。海土町は10年間、出産祝い金を作るなどして若い世帯を優遇し移住者にも事業資金を融資してきた。移住者は10年で294世帯437人。トヨタ自動車など大企業で経験を積んだ人材も多い。やりがいを求めて『仕事をつくりに来る人たち』(山内道雄町長)に町は援助を惜しまない。

 

<公共事業のツケ>

 

将来の島の担い手づくりも進む。唯一の高校には『地域創造コース』を創設。島への留学制度もつくり、2008年度に88人まで減った生徒数が今は156人に増え、廃校の危機を免れた。

 

なぜ海土町のような取り組みが広がらないのか。鳥取県知事も務めた片山善博慶大教授は『公共事業が地方の考える力を奪ってきた』と話す。地方は国からの公共事業獲得ばかりに目を向け、産業と人材の育成を怠った。稼ぐノウハウが残らず『国も地方も借金漬けになった』(片山氏)。

 

首相が地方重視の姿勢を打ち出すと、早くも『公共事業の拡大を求める族議員が動き出した』(経済官庁幹部)という。ローカル・アべノミクスは地方の活力を取り戻すのか、従来型のバラマキに終わるのか。成否は国の将来を左右する。

 

安倍政権にとって地方経済の立て直しが最重要課題となった。ローカル・アべノミクスである。増田リポートの衝撃によってである。「日本全体の49・8%にあたる896市町村が、将来的に人口流出によって消滅する恐れが高い」。

 

問題は、来年春の統一地方選が、『改革の最後のタイミング』になることだ。従来型のバラマキを排し、地方の活力を取り戻すローカル・アベノミクスを推進する「新しい自民党」を旗幟鮮明にして、圧勝すべきである。

 

編集 持田哲也

 

期待のわな

コラム 経済

 

日経の「景気指標」に小平龍四郎・編集委員が「『期待のわな』を避けよ」を書いている。

 

 

 

「米住宅バブルの崩壊を活写した『世紀の空売り』で知られる人気作家マイケル・ルイス氏。

近著の『フラッシュ・ボーイズ』では、1秒間に数千回の株式売買をくり返す超高速取引(HFT)を取りあげている。

まばたきよりも速い発注で一般投資家の機先を制し、細かな値ざやを稼ぐ取引手法だ。
ルイス氏の視線はもっぱら米国の株式市場に向けられているが、日本市場でもHFTの存在感は高まっている。

 

 

最近では東京証券取引所の1日の総売買代金の5割弱がHFTのものだとされる。1年前は3~4割だった。
先週はアベノミクス相場のもとで初めて、1年前比の日経平均株価が安くなった。

ここから『改革期待の後退』や『デフレ脱却の難しさ』といったメッセージを読み取ることも可能だ。

株価は経済や企業活動の先行きを占う指標でもあるから、そうした解釈は決して不自然ではない。
しかし株価形成の背後にいるのは、景気や企業業績の先行きをじっくり分析する長期投資家ばかりではない。

海外市場の値動きなどちょっとしたきっかけで、洪水のように売買注文をくり出す無機質な投資家も数多くいる。
株式市場の期待や反応を気にかける安倍政権は、短期の株価形成の主役がいったい誰なのかを、もっと分析すべきだ。
株式市場という鏡が常に真っ平らで、磨きあげられているとは限らない。

 

一時的には歪み、曇ることもある。そこに映った姿に振り回され、効果のほどが疑わしい政策を乱発する『期待のわな』にはまることは避けたい。
株式市場に指標を求めるとすれば、株価だけではなく、市場に流れ込むお金の量、売買代金にも目を向けた方がいい。

売買代金の増減は中長期の景気に先行することが多いからだ。

東証1部の1日売買代金は目下、2兆円前後で推移している。2013年5月は4兆円を超える日も珍しくなかった。

この1年前比の落差が埋まるような政策を、長期投資に徹する年金基金や投資信託は求めているのだ」。

 

 

現在の東証1部の1日売買代金2兆円前後を、1年前の5月の4兆円超に戻すことが肝心となる、法人実効税率引き下げの時期と幅の提示が急務となる。

 

外国人投資家の買いが始まるからである。

 

 

編集 持田哲也

 

骨太方針、日本経済への効果は?

コラム 経済

 

読売に「法人税『早期に20%台』」「政府、骨太方針に明記へ」が書かれている。

 

「政府は、企業の所得に対する税負担の割合を示す「法人実効税率」について、現在の35%前後から、早期に20%台に下げることを、6月下旬にまとめる『骨太の方針(経済財政運営の基本方針)』に明記する方針を固めた。安倍首相の経済政策『アベノミクス』の3本目の矢である成長戦略の柱と位置づけると、複数の政府関係者が2日、明らかにした。

甘利経済財政相も『20%台』が望ましいとの考えを示し、引き下げ幅は計5%程度を想定している。政府は、2015年度に2%程度引き下げ、その後も段階的に下げて20%台にしたい考えだ。具体的な引き下げの幅などは自民、公明両党の税制調査会に議論を委ね、年末に行う15年度税制改正で詰める。

財務省などは、税率を1%下げると法人関連の税収が年に約4700億円減るとして、税率の大幅な引き下げに慎重だ。しかし、安倍首相が税率引き下げに強い意欲を示しており、減税でいったん落ち込む税収を補う別の財源を確保できれば、引き下げを受け入れるとみられる。このため、骨太の方針には『必要な財源を確保する』ことも明記する方向だ。
政府は、法人実効税率の引き下げで外国企業が日本に参入しやすくするほか、国内企業の負担も軽くし、雇用の拡大や賃金の上昇につなげる狙いだ。
ただ、法人税は基本的に赤字企業に課税されず、減税の恩恵が企業に幅広く及ぶわけではない。日本経済にどこまでプラス効果が出るか疑問視する声もある。日本の法人実効税率は海外に比べて高く、標準税率で34・62%(東京都は35・64%)。引き下げが実現すれば、フランス(33・33%)を下回り、ドイツ(29・59%)並みの水準まで下がることになる」。
政府は、6月下旬にまとめる「骨太の方針」に、法人実効税率を早期に20%台に下げることを明記する方針を固めた。問題は、財源であるが、民主党政権になってから国の歳出が15兆円も膨らんだままである。大きな政府になっているからこの15兆円を削減すべきである。この3分の1で、法人実効税率の10%引き下げ分5兆円の財源は確保できるか。

 

編集 持田哲也

デフレからインフレへ

コラム 経済

 
日経の「けいざい解読」に滝田洋一・編集委員が「供給増へ投資の出番」「低すぎる成長の天井」を書いている。
 
黒田東彦日銀総裁は8日の記者会見でとても大切なことを語った。『日本経済の需給ギャップはほとんどゼロに近づいている』と言う認識を示したのだ。需給ギャップとは、経済全体でみて供給に比べ需要が足りないことを指す。モノやサービスを売ろうにも買い手が少ないのだから、値段は下がる。日本が苦しんでいた継続的な物価下落つまりデフレである。
このギャップが解消したのは、供給に比べて需要が持ち直したからだ。その結果、モノやサービスの値段は上がりだした。デフレの時代に幕が引かれ、緩やかな物価上昇つまりインフレの時代に入りつつある。
 
茶道に表千家と裏千家があるように、需給ギャップには様々な測り方がある。それにしても、最も重要な供給側の要素である人手が足りなくなっている。2月の失業率は3・6%。完全雇用に近い。今や大企業ばかりでなく中小企業でも賃金が上がり始めている。
黒田総裁は昨年4月に『2年をメドに2%のインフレを達成する』と約束した。その時は『できっこないさ』と懐疑のまなざしを向ける賢者たちが多かったはずだ。たった1年で世の中は様変わりといってよい。
 
アベノミクスと異次元緩和は魔法のつえだったのだろうか。謎を解くカギは、経済が無理なく伸びられる潜在成長率の低下に潜む。日銀によれば0・5%、内閣府の試算だと0・7%。
長引く景気低迷で、潜在成長率は1%をも下回る水準まで低下している。対する2013年度の実質成長率は2%台の半ば。この程度の成長でも潜在成長率の天井を突破し、需給ギャップが縮小するのである。
 
日本経済は体力の落ちた病人のようなものだ。デフレ不況で縮こまっているうちに、基礎体力がますます低下してしまった。これが潜在成長率の低下である。それではいけないと運動を始めた。アベノミクスの財政、金融政策であり、円高・株安の是正だ。おかげで体が温まってきたのはよいが、基礎体力が回復し切っていないものだから、下手をすると汗が止まらず息切れしてしまう。デフレの長いトンネルから抜けた後、いまの日本が直面するのはそんな事態である。
更新せず古くなった設備を使い続けると、ちょっと注文が増えただけでいたずらに繁忙となりかねない。特定の業種では人手が足らず、てんてこ舞い。かえって効率が落ちてしまう。
ところが、設備や雇用の不足を訴えながらも、新規の投資や正社員の増員に二の足を踏む企業も多い。高齢化や人口減の道を歩む日本では投資しても負担になるだけではないか。経営者にそんな究極のデフレ心理がへばりついている。
 
実際には成長の天井が意識されだした今こそ、情報技術を生かした合理化や省力化のための投資が欠かせない。20年には団塊の世代が全員70歳代になる。超高齢化に備えた介護ロボットの開発など、需要を先取りするときでもある。しがらみと足かせを取り払い企業の投資を引き出してこそ、低すぎる成長の天井を突破できる」。
「供給増へ投資の出番」は正論である。デフレの長いトンネルを抜けた後、今、日本が直面しているのは、供給増への設備投資の急増である。それには、法人実効税率の引き下げが急務となる。
 
編集 持田哲也

米景気の『雪解け』

コラム 経済

 
日経の「ポジション」に、「円安、春の目覚め?」「米経済指標好転で」が書かれている。
 
「2月以降、眠っているかのように狭い値動きだった円相場が活気を取り戻すかも―-。そんな期待感が外国為替市場でじわりと広がり始めた。けん引役となりそうなのは米景気の『雪解け』だ。
 
『円相場が良好な米経済指標に反応する度合いが強まっていく』。三菱東京UFJ銀行の内田稔チーフアナリストは新年度の円相場を動かすエンジンが日銀頼みの『円安』から、米経済の強さを背景にした『ドル高』へ交代するとみる。
 
今週から米国では4日発表の雇用統計をはじめ、3月分の景気データの公表が本格化する。米国を襲った寒波の影響が剥落し、米景気の強さを示すデータが出てくる公算が大きい。
 
3月25日発表の3月の米消費者信頼感指数は6年半ぶりの高水準を記録した。米景気の『雪解け』期待は米長期金利を押し上げ、日米金利差の拡大で円売り・ドル買いが進む勢い。年初に揺れた新興国の金融市場もひとまず落ち着いており、リスク回避の円買い懸念が小さいことも追い風だ。
 
『相当の期間、異例の金融支援を実行する』。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は31日の講演で、先月の記者会見が招いた市場の早期利上げ観測をけん制したが、来春の利上げの可能性に言及した前回発言こそ『本音』との見方が市場では根強い。
 
円相場は2月、3月と値幅が2円台の狭いレンジ相場が続いてきた。これほど狭い値動きが長く続いたのはアベノミクスによる円安スタート直前の2012年10~11月以来。為替相場の世界では、狭い値動きが長引けば、その分相場変動のエネルギーをため込むため、その後に相場が大きく動く前兆ともされる。
 
米景気の『雪解け』がもたらす春が一服していた円安相場にも目覚めをもたらすのか。1日の外為市場で円相場は1ドル=103円台半ばをつけ、3週間ぶりの円安水準となっている」。
 
円相場は、2,3月と値幅が2円台の狭いレンジ相場が、続いてきたが、米景気の「雪解け」期待が、米長期金利を押し上げ、日米金利差の拡大で、円売り・ドル買いの流れとなった。市場では、6月末には、1ドル=108円もとの見方が出ている。
 
編集 持田哲也

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