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登録は正の歴史で

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東京の社説に「世界遺産と日韓」「登録は負の歴史含めて」が書かれている。

世界文化遺産の有力候補になった『明治日本の産業革命遺産』に、韓国が反対している。
近代日本の発展を支えた施設が並ぶが、負の歴史も各国に丁寧に説明し、世界遺産の登録を目指したい。

 

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関『イコモス』は日本が提出した
23件から構成される『産業革命遺産』について、ユネスコに対し世界遺産に登録するよう勧告した。

 

政府は推薦理由を『日本が非西欧地域で最初の産業国家となり、半世紀ほどで製鉄や造船技術を確立した』と説明した。
確かに明治以降の発展はアジア諸国のモデルとなり、当時に中国や韓国からも多くの留学生が訪れた。

 

しかし、韓国政府は登録に異議を唱えている。炭鉱や製鉄所、造船所など7件の施設で、植民地時代に朝鮮人が強制的に動員され死傷者が出たと指摘し、
『人権の面からも世界遺産には不適当だ』と主張する。日韓外務省の実務協議が22日に行われたが、歩み寄りはなかった。
中国も過去に自国民の徴用があったとして、反対を表明した。

 

政府は『遺産としての対象期間は(明治時代末の)1910年までで、戦時中の朝鮮人徴用と時期が異なる』と主張するが、この区切り方が説得力を欠く。
炭鉱や製鉄所はその後も存続した。明治以降の日本は『富国強兵』を掲げたが、重工業が戦争遂行を支え、
戦時には隣国の労働者の強制徴用があったことは否定できない。戦前は日本人労働者も含めて過酷な労働環境に置かれた。
戦後の経済成長期を迎えても、炭鉱では大事故が続いた。

 

登録を審議する世界遺産委員会は6月末に始まる。日韓を含む21カ国で構成され、投票国の3分の2以上の賛成で決まる。
政府はいま副大臣らを委員国に派遣しているが、疑問が示された施設について、負の歴史も含めて説明する必要がある。
各施設の展示や説明資料の記述を充実させ、海外からの見学者の共感も得るよう努力すると伝えることも、登録への理解を助けるだろう。

 

英国リバプールは2004年世界文化遺産に選定された。18,19世紀の産業革命と7つの海をまたぐ交易で『海商都市』として評価された。
一方でアフリカからの奴隷貿易の中継港だったため、現地には奴隷に関する資料も展示されている、歴史の光と影をともに表現してこそ、世界遺産の名に値するのではないか」。
社説の主旨である「登録は負の歴史含めて」に異論がある。

 

世界文化遺産の有力候補となった「明治日本の産業革命遺産」は、正の歴史として登録されるべきだからである。
韓国と中国が7件の施設で、植民地時代、及ぶ戦時中に朝鮮人、中国人が強制徴用されたとして「人権の面から世界遺産には不適当」だと反対しているのは、言いがかりだからである。

 

ユネスコの諮問機関「イコモス」が、日本が提出した23件から構成される「産業革命遺産」について、ユネスコに対して世界遺産に登録するように勧告したのは、
1987年から1910年までが対象期間であり、日韓併合、第2次大戦前であり、強制徴用以前である。「日本が非西洋地域で最初の産業国家となる、
半世紀ほどで製鉄や造船技術を確立した」ことを評価したものであり、まぎれもなく正の歴史であり、歴史の光である。社説が言う「登録は負の歴史含めて」は、
中国共産党主導の「歴史戦」の罠にはまった言葉である。そもそも、「負の歴史含めて」では,趣旨が違うのだから、登録自体ができないが。(5月23日記)

 

毎日に「背景に中国脅威論」「米『次は12カイリ内進入』」(南シナ海人工島、領有主張を批判)が書かれている。
「米国防総省のウォレン報道部長は21日、中国が南シナ海で造成した人工島の『領海』と主張する12カイリ(約22キロ)内に米軍を侵入させるのが『次の目標』だと明言した。
南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺で続く中国の埋め立て作業をけん制するのが狙いとみられる。
これに対し、中国外務省の洪磊副報道局長は22日、『他国の領空と領海に好き勝手に乗り入れることのできる国などない』と、強く反発した。

 

会見でウォレン氏は、人口島の12カイリ以内への米軍の侵入時期は決まっていないと述べ、当面はこの範囲外で米軍艦船・航空機による哨戒活動を続ける意向を示した。
オバマ米政権が哨戒活動の継続や強化を打ち出した背景には、米国内で高まる中国脅威論がある。
米軍や国防総省幹部が埋め立て急拡大に警鐘を鳴らし、政策決定に影響力を持つ有力シンクタンクや主要メディアが大きく取り上げた。
議会でも政府による強硬な対応を求める声が出ていた。
米国は、岩礁埋め立てで造成した人工島を拠点に中国が『領土』『領海』を主張し、周辺への接近を妨げる手法を、
航行・飛行の自由や商業の自由といった国際的な原則に反するものとして強く懸念。ケリー国務長官が17日、北京で中国の習近平国家主席と会談した際も懸念を伝達した。

 

だが、その後も動きは止まらず、米CNNは20日、南沙諸島の永暑(英語名ファイアリクロス)礁に接近した米国の哨戒機に対し、中国海軍が立ち去るよう警告する様子を報道。
ラッセル米国務次官補は21日の記者会見で『世界中の砂で埋め立てても主権を作ることはできない』と厳しく批判した。

 

また、シアー国防次官補(アジア・太平洋担当)は今月の議会公聴会で、埋め立て地に中国の領有権は発生しないとの見解を示し、周辺海域への米軍艦船派遣も辞さない姿勢を示していた。
国連海洋法条約によると、満潮時に水没する岩礁などは島に該当せず、領海・領空の主権を構成しない。
排他的経済水域(EEZ)のような海洋の管轄権を主張することもできない。埋め立てで人工島化しても島という法的地位は得られない。

 

一方、中国は『南沙諸島で近海には争いようのない主権を有しており、自分の島の上での建設は完全に主権の範囲内だ』と繰り返している。
中国海軍の呉勝利司令官は4月、米海軍制服組トップのグリナート作戦部長とテレビ会談。埋め立てや施設の建設について『航行や飛行の自由を脅かすものではなく、
気象予報や海難救助など公共サービスの能力を高めるためだ。将来、米国を含む関係国や国際組織が施設を利用することを歓迎する』と述べた。
CNNによると、この言葉とは正反対に今回、中国海軍は米軍哨戒機に『我々の軍事警戒圏(Military Alert Zone)に近づいている』という言葉を使って警告した。
米軍機に警告という強制力を行使したことは、中国が国際空域に独自に「権限」を設定したとの見方が出ている。

 

複数の安全保障専門家は『軍事警戒圏という言葉は、領空や防空識別圏(ADIZ)とは違う概念として中国が独自に作り出した可能性もある」と指摘。
中国が事実上の防空識別圏を南シナ海に設定したか、設定に向けて動いていると警戒を強めている』。
中国海軍は米軍哨戒機に「我々の軍事警戒圏に近づいている」と警告した。
中国が事実上の防空識別圏を南シナ海に設定しようとしている証左である。日本のシ-レンが危うい。これこそ「中国の脅威」の現実である。

 

産経の「水平垂直」に「NPT最終文書案」「『広島・長崎訪問』は削除」
「中国、歴史で押し切る」が書かれている。
「国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議のフェルキ議長は閉幕日の22日、採集文書案を各国に提示した。
被爆地の広島、長崎への訪問を世界の指導者に促す文言は削除された。
また、核兵器の非人道性をめぐる記述が目立つ一方、核軍縮の促進手段となる『核兵器禁止条約』の記述が削除された。
内容には核保有国、非核保有国がそれぞれ不満を表明し、文書採択は困難な情勢となった。
『被爆地訪問』は日本が実現を目指したが、中国の反対で素案から削除されていた。日本は中国と折衝を重ねて文言復活を要請したが、
中国は妥協せず、『核兵器の影響を受けた人々や共同体の経験を直接共有するよう促す』との表現で決着が付いた。

 

文書案はまた、『核兵器禁止条約』の記述を削除する一方、法規制を含む核軍縮の『効果的措置』を検討する作業部会を国連総会に設置するよう勧告。
核保有国に対しては、核弾頭の数や具体的種類などを明示することの重要性を考慮しつつ、核軍縮の状況を定期的に報告することを求めた。
また、中東地域の非核化を目指す国際会議を2016年3月までに実施するよう国連事務総長に託した。

 

5年ごとに開かれる再検討会議で、05年は文書採択に失敗したものの、10年はオバマ米大統領が『核兵器のない世界』を
提唱した翌年だっただけに追い風となり、行動計画を盛り込んだ文書が採択された。
NPT再検討会議の最終文書案で、被爆地の広島、長崎への訪問を世界の指導者に促す文言は復活しなかった。
日本は巻き返しを図ったものの、『歴史認識』をからめて攻勢に出た中国に押し切られた格好だ。
一方、最終文書案は、主要争点をめぐって核保有国と非核保有国との“溝”が埋まらないまま議長裁量で各国に提示され、決裂やむなしとの悲観論が大勢を占めた。

 

『歴史の歪曲だ』『日本は戦争の被害者の立場を強調している』――。核兵器の惨禍を世界に訴えようと、『被爆地訪問』実現を求めた日本側に対し、
中国のセン聡軍縮大使が、今月中旬、『過去』を持ち出して日本を批判したことは、議場の各国代表団を驚かせた。
今年は中国にとり、『抗日戦争と反ファシズム戦争勝利70周年』。
今夏に安倍晋三首相が戦後70年談話を出すことも念頭に置いた牽制だったとはいえ、日本には予期せぬ冷や水となった。

 

最終文書採択は全会一致が原則だ。『被爆地訪問』への支持は着実に広がり、日本は20日、
中国と少なくとも2回交渉を行ったが『立ちはだかる壁』(外交筋)を前に、対処のしようがなかったという。
一方、最終文書案の内容をめぐっては、核保有国と非核保有国との対立が浮かび上がった。『核兵器禁止条約』の文言が
最終文書案で削除されたのは、文言の追及に慎重姿勢を見せる米英両国に加え、強く反対するフランスに配慮した結果だ。
しかし、オーストリアなど非核保有国側からは批判が出た。核兵器がもたらす『非人道性』をめぐる記述についても異論は多かった。
『核兵器は使用されてはならない』と記述したことや、核軍縮教育の重要性を盛り込んだことが
非人道性の認識を高めることにつながり、『前回会議より前進した』と考える国が多い半面、核保有国側は懸念を強めた。

 

事実上の核保有国であるイスラエルを念頭に置いた中東地域の『非核化』問題では、アラブ諸国が今年11月末までの『国際会議』開催を目指していた。
これに対し、イスラエルの友好国の米国などは『早期開催』にとどまっていた。
最終文書案では開催時期について、折衷案の「2016年3月まで」となったが、双方ともに不満が残った」。
NPT最終文書案に、「広島・長崎訪問」を世界の指導者に促す文言は削除された。
「歴史認識」からめ手の中国に押し切られたからである。中国共産党主導の「歴史戦」の横車である。
「被爆地訪問」を「歴史の歪曲だ」「日本は戦争の被害者の立場を強調している」と反対したことが、である。

編集 持田哲也

中国共産党主導の『歴史戦』に勝つ

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日経に「首相、試練の歴史認識」「戦後70年」「持論と外交配慮のぞくジレンマ」が書かれている。
「2015年は戦後70年の節目を迎え、安倍晋三首相の外交が試練にさらされている。首相は夏に出す談話で先の大戦への『反省』を表明するとみられるが、過去の侵略への謝罪には重点を置かない構えだ。中国や韓国は歴史認識の修正と警戒する。首相談話の表現が焦点で、歴史認識が外交の火種になっている。

 

4月29日、ワシントンの米議会。日本の首相として初めて上下両院合同会議で演説した首相は先の大戦への『痛切な反省』を表明した。アジアの国民に『苦しみを与えた事実』も認めた。米国にくすぶる『首相は歴史修正主義者ではないか』との疑念を薄めようとした。議員が何度も起立して拍手を送り、米政府・議会から一定の評価を得た。
1週間前の4月22日、首相はインドネシア・ジャカルタで開いたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年記念首脳会議の演説でも『深い反省』を示した。2回の演説は、1995年の村山富市首相談話に盛りこんだ『植民地支配と侵略』や『心からのおわび』に触れなかった点で共通する。戦後70年談話は『反省』と『アジアへの苦しみ』の2つが中核のキーワードになる可能性がある。

 

首相は4月20日のBS番組で、村山談話の『侵略』や『おわび』に関して『(歴代内閣の)基本的な考え方を引き継ぐ以上、もう一度書く必要はない』と語った。70年談話への明記には否定的だ。先の大戦を『侵略』の一言で総括し、安易に謝罪する姿勢とは一線を画したい思いがにじむ。
首相に就く前の安倍氏から『日本は謝罪をしすぎだ』と聞いた関係者は多い。侵略については『国際的な定義として確立してない』というのが持論だ。側近議員は『歴史問題で謝罪を繰り返すのは日本くらいだ。おわびは日本の地位をおとしめる』と説明する。
中国や韓国は歴史観の修正に身構える。村山談話に盛った『植民地支配と侵略』や謝罪の表現の踏襲に期待する。

 

首相は12年末に再登板すると、戦後70年談話をつくる考えを早々と示した。当初のそもそもの発想は『歴史の節目で侵略史観をリセットしたかった』(周辺)とされる。持論の歴史観を優先すべきか、それとも中国や韓国などに配慮すべきか。理念と現実のはざまでジレンマに悩んでいるようにもみえる。
首相は戦後70年談話に関する有識者懇談会(座長・西室泰三日本郵政社長)を2月に立ち上げた。3月の会合では、先の大戦を『侵略』と定義するかどうかをめぐって議論し、談話に盛り込むことに賛否両論が出た。国内世論や外国の反応を瀬踏みしながら、首相は最終的な表現を慎重に探ろうとしている」。

 

安倍首相は、70年談話に1995年の村山談話の「植民地支配と侵略」「心からのおわび」を明記せず、替わりに「反省」「アジアへの苦しみ」を明記することを決めたと思われる。正解である。
村山談話の「植民地支配と侵略」「こころからのおわび」を「70年談話」にも踏襲させることが、中国共産党主導の「歴史戦」の狙いだからである。安倍首相は、4月22日のバンドン会議と、4月29日の米上下両院会議での演説で「反省」と「アジアへの苦しみ」の言葉を使い、アジア諸国と米国から一定の評価を得ることに成功したのである。「70年談話」への布石である。中国共産党主導の「歴史戦」による「安倍首相は歴史修正主義者」との世界的包囲網を打破したのである。包囲網を作った中国・韓国が一転して孤立したのである。安倍外交の勝利であり、戦後70年談話を巡る中国共産党主導の「歴史戦」に勝利したことになるが。

 

日経に「参院選へ連休明け始動」「与野党、来夏向け準備加速」「自民、現職差し替えも」「民主、労組票固め急ぐ」が書かれている。
「与野党は連休明けから来夏の参院選に向けた準備を本格化する。7月に第1次公認を発表する予定の自民党は、議席の上積みを狙い、現職の差し替えも視野に勝てる態勢づくりを急ぐ。安倍晋三首相にとっては、憲法改正への環境整備をにらんだ選挙でもある。党勢低迷に悩む民主党は労働組合の票固めを進めるが、他党との選挙協力が課題となりそうだ。
参院選は定数の半数(121)が3年に一度改選され選挙区で73、比例代表で48の議席を各党が争う。現在、1票の格差是正へ選挙制度改革を議論しており、来夏は変更がある見込みだ。

 

『現職が衆院にくら替えして空席になっている選挙区はどうするのか』。首相は4月中旬以降、自民党の谷垣禎一幹事長や茂木敏充選挙対策委員長を相次ぎ首相官邸に呼び、参院選への状況を聴取した。統一地方選が終わっていない段階から準備を急がせた格好だ。
自民党が重視するのは、選挙結果を左右する1人区だ。執行部は現行31のうち約半数の選挙区で自民優勢だと分析。残りの選挙区では『現職であっても勝てる見込みがなければ差し替えも辞さない』(党幹部)。党の独自調査や県連の意見なども参考に調整する。

 

<自民回帰進む>
比例は業界団体の組織内候補の擁立を進める。『自民1強のなか、各団体の自民回帰が進んでいる』(党幹部)。一度、自民党から離れた全国郵便局長会も、すでに自民党から女性候補を出す方針を内定した。農協改革で対立した農業団体も擁立準備を進めている。
2014年衆院選や統一地方選では取りこぼした地域もあった。党幹部は『まずは着実にとれるところを固めていく』と話すが、非改選をあわせて改憲に必要な3分の2(162)を与党だけで得るのは難しいとの見方もある。公明党は統一地方選の総括を終えたうえで本格的な準備に入る。

 

野党第1党の民主党も連休明けに現職を中心に第1次公認を出す。比例代表では、連合傘下の産別労組ごとの組織内候補として、01年の非拘束名簿式の導入以降で最多となる12人をたてる方針を早々に固めた。
<「ダブル選」警戒>
選挙区では順次、擁立を進めたい考えだが、維新の党などとの選挙協力の道筋がまだ見えない。前回は日本維新の会(当時)などとのすみ分けができず共倒れしたケースもあった。14年衆院選でも調整が完全にはできずに終わり、不安を残す。

 

一方、次期衆院選をにらんだ動きも始めている。15日までに現職を中心に衆院選の公認申請を募る。例年より早い動きには擁立が遅れた14年の反省がある。来夏の衆参ダブル選への警戒も潜む。
維新は候補者の公募を18日から開始。17日には、大阪市を5つの特別区に分割する『大阪都構想』の是非を問う住民投票があるが、結果は他党との選挙協力に影響が出る可能性もある」。
来年7月の参院選に向けて自民党は比例区での業界団体の組織内候補の擁立を強めている。古い自民党への回帰であり、無党派層の自民党離れを加速することになるが。

 

読売に「維新『首相寄り』進む」「統一選『大阪独り勝ち』反映」「東西の温
度差際立つ」が書かれている。
「野党第2党である維新の党と安倍政権が、じわりと間合いを詰めている。統一地方選の『大阪独り勝ち』で、野党共闘を目指す江田代表らの存在感が低下し、安倍首相と近い橋下徹最高顧問(大阪市長)の発言権が増したためだ。橋下氏が進める『大阪都構想』の住民投票(17日投開票)で賛成多数が得られれば、維新と政権が急接近する可能性もある。

 

<「憲法改正」積極姿勢>
『我々としては、統治機構改革を前面に立てて、憲法改正を訴えていく』
先月28日開かれた維新の党憲法調査会の終了後、会長の小沢鋭仁・元環境相は記者団にこう語り、首相が目指す憲法改正への積極姿勢を強調した。
維新幹部は『とにかく具体的な議論に入りたい』と述べる。自民が提案した『緊急事態条項』など3テーマを優先して議論することにも前向きだ。
一方の自民党は同じ28日、カジノなど統合型リゾート(IR)を推進する『カジノ解禁法案』を維新、次世代と3党共同で国会に提出した。維新がカジノの大阪誘致に熱心であることを受け、首相官邸が法案提出を後押ししたとされる。
連休明けの後半国会では、最大の与野党対決法案である安全保障関連法案の審議が控える。安倍首相にとって維新に接近すれば野党を分断できるうえ、法案に及び腰の公明党もけん制できる。『一石二鳥』というわけだ。

 

<政府も期待>
安倍政権をめぐる維新の党内の温度差は、目に見える形でも表れている。大阪系の馬場伸幸国会対策委員長は22日の記者会見で、安保関連法案の審議について、『長く議論をすればいいというものでもない』と述べた。野党は法案審議を長引かせるのが通例で、馬場氏の発言は異例だ。
これに対し、江田代表は翌23日の記者会見で『極めて重要で国の根幹に関わる法案だ。期限を切って審議するなんてあり得ない。前例にとらわれず、十二分に議論を尽くしていくことが必要だ』と述べ、馬場氏の発言を即座に打ち消した。
首相は外遊先の米国で、法案の今国会成立を“公約”した。政府・自民党は、維新が法案の修正協議や早期裁決に応じる余地があるとみて、期待している。

 

<江田氏地元で苦戦>
維新の立ち位置が政権寄りに変化したのは、統一地方選がきっかけだ。橋下氏が代表を務める維新の地方組織『大阪維新の会』は、大阪府議選(定数88)で42議席、大阪市議選(定数86)で36議席を得て、共に第1党を獲得した。一方、江田氏の地元、神奈川県議選(定数105)は、公認候補19人中、当選は5人にとどまった。4年前の前回、江田氏が身を置いた『みんなの党』が得た15議席を大きく下回り、『大阪以外は負け』(若手議員)との受け止めが維新内に広がっている」。
統一地方選での「大阪独り勝ち」によって、野党共闘を目指す江田代表の存在感が低下し,橋下最高顧問の発言権が増した。維新は首相との共闘路線に大きく舵を切ることになる。

 

編集 持田哲也

韓国経済の変調

コラム 国際

 

 

 

日経に「韓国経済にウォン高の影」「現代自、4~6月減収減益」が書かれている。



韓国経済が変調をきたし始めた。通貨ウォンの上昇基調が続き、主力の輸出企業の収益を圧迫し
ているためだ。現代自動車が24日発表した2014年4~6月期の連結利益は前年同期比7%
減。韓国政府は同日、景気下支えへ大型経済対策を打ち出した。現代自など収益悪化の影響は、
部品を供給する日本企業に及ぶおそれもある。



現代自の4~6月期の売上高は同2%減の22兆7526億ウォン(約2兆2500億円)、純
利益は2兆3498億ウォンだった。主力の中型セダン『ソナタ』刷新などが寄与して世界販売
台数は1248万台と4%増えたが、ウォン高で海外販売の採算が悪化した。

韓国銀行(中央銀行)によると、4~6月期のウォンの平均相場は1ドル=1030ウォンと、
前年同期から9%上昇した。李元煕副社長は同日の記者会見で『部品のグローバル調達の拡大や
生産の現地化加速で為替リスクを減らす』と強調した。


現代自は中国重慶で現地政府と組んで新工場の建設準備を始めるなど、海外生産の拡大を加速す
る。計画が順調に進めば現代自グループの海外生産比率は13年の55%から数年後には6割程
度に上昇するという。


日本メーカーの海外生産実績は13年で約65%。現代自グループもこの水準に近づくが、為替
変動への対応力には差が残る。現代自は韓国での生産台数を現状並みの170万台で維持するこ
とで労使合意しており、国内生産を減らせないためだ。


サムスン電子もスマートフォン事業の減速にウォン高が重なり、4~6月期は9年ぶりの減収益
となった。中堅・中小企業への影響を懸念する声も広がる。現代自などの競争力低下は競合する
日本メーカーにとって目先はプラス材料だ。一方、現代自やサムスンは日本制の部品や素材、制
造装置などの大口顧客であるため、減速が長期化すれば日本企業に負の影響が広がりかねない」。


韓国経済が変調をきたし始めた。韓国「G2」と称される現代自とサムスン電子が4月~6月
期そろって減収、減益となったからだ。「G2」が咳をすれば韓国経済は風邪を引くのであり、
『G2』は韓国経済の命綱である。朴槿恵大統領は、反日政策の転換を迫られる。




編集 持田哲也 




力の論理の破たん

コラム 国際




朝日に「豪・欧硬化、ロシア孤立」が書かれている。



ロシアは政治、経済の両方で味方を失いつつある。多数の犠牲を出したオーストラリアでは11
月にブリスベンで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に『ロシアのプーチン大統領
を呼ぶべきではない』との声が高まっている。

ロシアはクリミア併合を巡り主要国(G8)から排除されたばかり。G20からも締め出されれ
ば、国際社会での孤立は決定的だ。オーストラリアは国連安保理の非常任理事国でもあり、マレー
シア機墜落の国際的な調査を求める決議採択にも動き出している。

経済的な結びつきが強い欧州も離れつつある。『ロシアはウクライナ問題に責任を負っている。
ロシアの大統領と政府は政治解決に向けて役割を果たすべきだ』。ドイツのメルケル首相は18
日の記者会見で、いつもより厳しい表現でロシアに対応を迫った。

ドイツは天然ガスの3割以上をロシアに頼り、ロシアに一定の理解を示す世論も根強かった。だ
が、独国民4人が死亡した墜落事件で風向きは変わりつつある。

欧州連合{EU}の変化はロシア経済にとって深刻だ。同国の金融市場では、16日の米国の追
加制裁を受け、すでに株や通貨ルーブルが売られている。輸出も輸入も約4割を依存するEUが
米国の制裁に同調すれば、影響ははるかに大きい。

本格的な原因調査が始まる前から親ロシア派による撃墜という前提が独り歩きしている現状に、
ロシアはいら立ちを募らせている。ただ、それ以外の可能性を説得力を持って示すこともできず、
防戦一方だ。

ロシア国防省のアントノフ次官は19日、『ロシアに対する情報戦が続いている』と述べた。そ
のうえで、ロシア側の反論を当日のウクライナ軍機のすべての飛行記録を示せるか、など『ウク
ライナへの10の質問』という形で公表した。

ロシアのプーチン大統領は19日、メルケル独首相と電話会談。ロシア側発表によると、詳細で
客観的な究明が必要だという認識で一致した。ただ、プーチン氏が各国からの批判に対してどう
説明したかは不明だ」。

ロシアは、マレーシア機撃墜の情報戦で敗北濃厚である。米国主導のロシア関与の親ロシア武装
勢力主犯説が定説となっているからである。国際世論もそれ一色である。紛れもない事実だから
である。



問題は、いつ。プーチン大統領が、「主犯説」を認め、謝罪し、親ロシア武装勢力への支援を中
止、停戦に応じるか、である。時間の問題であ輸入の4割を依存するEUが、米国の制裁に同調
するからである。プーチン大統領の力の論理の破たんである。




編集 持田哲也

 

即時停戦へ

コラム 国際


 
 
 日経の7月19日1時40分の電子版に「米大統領『撃墜ミサイル、親ロ地域から』停戦要求』
が載っている。



ウクライナ東部ドネツク州上空でのマレーシア航空旅客機の撃墜を受け、オバマ米大統領は18
日、ホワイトハウス緊急記者会見した。旅客機の撃墜について『ミサイルは親ロシア派支配地域
から発射された』と述べ、親ロ派が撃墜した可能性が高いとの見方を示した。その上で『ウクラ
イナの紛争当事者は即時停戦を受け入れなければならない』と訴えた。

オバマ氏は『ロシアは親ロシア派の武器を給与し続けている』と語り、ウクライナ危機の長期化
の原因はロシアにあるとの考えを表明した。米メディアは地対空ミサイルにより、マレーシアの
旅客機が撃墜されたと報じている。

国連安全保障理事会は18日、緊急会合に先立ち関係当事者に国際的な独立調査の受け入れを求
め、墜落現場への即時立ち入りを許可するよう要請する声明を発表した。

一方、欧州安保協力機構(OSCE)は、18日、真相究明のためと特別調査団を派遣すること
を決め、先遣隊約30人がヘリコプターで現場に入った。墜落現場の一帯を支配下に置く親ロシ
ア派武装勢力とウクライナ政府は同日、国際調査団の立ち入りを認めることで合意。一時停戦に
向けた話し合いに入った。

ロシアのプーチン大統領も同日、『ウクライナ危機の早急な正常化が不可欠だ』と強調。ウクラ
イナ東部の即時停戦を訴えた、マレーシアのナジブ首相と電話で協議し、客観的な調査が必要と
の見方で一致した」。


マレーシア旅客機の撃墜の真相究明のために、国際調査団の受け入れを、親ロシア派武装勢力と
ウクライナ政府が18日合意した。即時停戦への道が見えてきた。問題は、親ロシア派武装勢力
が「誤射」を認めるか、否かである。地対空ミサイルはロシアが給与したものであり、プーチン
大統領の責任も問われる。プーチン大統領は、オバマ大統領の即時停戦要求に応じざるを得ない
が。





編集 持田哲也



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