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北朝鮮に残る邦人

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産経に「日本人妻ら調査着手」「対象1万人、帰国も視野」「金正恩氏の直轄機関」が書かれて
いる。



「拉致被害者ら北朝鮮に残る全ての邦人調査をうたった日朝合意を受け、金正恩政権直轄の秘密
警察、国家安全保衛部が、朝鮮籍の夫と北朝鮮に渡った日本人妻と家族らの調査に着手していた
ことが28日、複数の消費筋の話で分かった。
他の残留邦人を含め、在朝邦人と家族は1万人規模とも推定されるが、調査権限は北朝鮮が握っ
ており、調査結果を盾に日本側にさらなる制裁解除など譲歩を迫る可能性もある。

5月29日の日朝合意発表後、保衛部の地方組織に突然、上部から『日本からの<帰国者>を調
査することになった』と通達があったという。
北朝鮮情報を扱うアジアプレスの石丸次郎氏によると、北部の咸鏡北道や両江道で調査の動きが
確認された。中朝関係者によると、一部では調査を終えているという。
日本への帰国の意思を問う希望調査の形を取っており、一時的な里帰りに限らず、
永住帰国を視野に入れた調査とみられる。

北朝鮮に戦後残された邦人孤児や家族に対しても最近、一部で日本語教育を施しているとの情報
もある。
北朝鮮に渡った日本人妻や子供ら日本国籍保持者は約6700人。死亡した人も少なくないとみ
られるが、彼らの子供や他の残留邦人、その家族を含めると、本来なら調査対象は数千から1万
人に及ぶ。

北朝鮮では日本からの移住者の所在が厳重に管理されているものの、『家族ごと行方不明になっ
たケース』があるという。保衛部はその聞き取りも進めているとされるが、政治犯収容所に送ら
れた日本人妻も数多いとみられている。

収容所を管理し、収容者の処刑を行ってきたのも保衛部だ。収容者の照会は容易なはずだが、同
部周辺からは『扱いが敏感なケースをどう報告するか、頭が痛い』との声も漏れる。
石丸氏は『収容所での死亡などについて調査報告の責任を負わされるのを恐れているのではない
か』とみる。
日本人妻の支援者らは『事実通りに調査結果を公表せず、北朝鮮にとって模範的な日本人妻に限っ
て日本政府に通知し、日本の世論動向を探ろうとするのではないか』と指摘している」。

拉致被害者ら北朝鮮に残る全ての邦人調査をうたった日朝合意を受け、金正恩第1書記の直轄組
織である国家安全保衛部が、在朝邦人と家族1万人規模の調査に着手したと言う。その中には、
1960年代前後の「帰国事業」で在日朝鮮人ら約9万3千人が北朝鮮に渡った中での約183
0人の日本人妻が含まれている。


今回は、本気である。



編集 持田哲也

「因縁の対決」再燃なるか

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産経に「『弟ブッシュ氏』首位」「米大統領選、共和党有力候補」「世論調査で民主・ヒラリー氏に迫る」が書かれている。

 

「米紙ワシントン・ポストとABCテレビが発表した2016年大統領選に関する合同世論調査で、共和党の有力候補としてブッシュ前大統領の弟、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(61)が首位に立った。ブッシュ氏は、民主党候補として有力視されるヒラリー・クリントン前国務長官に迫る勢いで、父親のブッシュ元大統領が1992年大統領選でビル・クリントン元大統領に敗れて以来の両家の『因縁の対決』が再燃する可能性がある。
ブッシュ氏は共和党内で、ランド・ポール上院議員と同率首位の14%。マイク・ハッカビー前アーカンソー州知事(13%)、ポール・ライアン下院予算委員長(11%)、クリス・クリスティー・ニュージャージー州知事(10%)が僅差で続く団子状態にある。伝統的な同党支持層ではブッシュ氏が好感されているものの、情勢は流動的だ。
民主党ではクリントン氏が他を圧倒する勢いを維持している。クリントン、ブッシュ両氏が戦うと想定した調査では、クリントン氏の支持率53%に対し、ブッシュ氏は12ポイント差の41%だった。クリントン氏は女性、非白人、若者から強い支持を受けていた。
調査はクリントン、ブッシュ両家の好感度も比較。66%がクリントン家、54%がブッシュ家をそれぞれ好意的にとらえ、いずれも過半数の支持を得ていた。そのため、兄のブッシュ前大統領は1日放映されたCNNテレビのインタビューで『出馬してほしい。立派な大統領になる』とした上で、『私のアドバイスが必要なら電話をしてほしい』と弟に呼び掛けた。米国では89年に父ブッシュ元大統領が就任。クリントン元大統領を挟み、2009年の息子ブッシュ前大統領退任までの20年間、両家が大統領を務めた」。
ブッシュ家とクリントン家の「因縁の対決」が再燃する可能性大となった。米紙ワシントン・ポストとABCの2016年大統領選の合同世論調査で、共和党候補で弟ブッシュ氏が14%で同率首位、民主党候補のクリントン氏との一騎打ちでは、クリントン氏53%、ブッシュ氏41%と12ポイント差まで迫ったからである。現時点での
12ポイン差は逆転可能だからである。

 

編集 持田哲也

 

改憲のジレンマ

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日経の社説に「集団的自衛権めぐるジレンマ解消を」が書かれている。

 

「日本国憲法が施行されて3日で67年を迎えた。安倍晋三首相の私的諮問機関である『安全障の法的基盤の再構築に関する懇談会』(安保法制懇)は今月中旬にも、憲法が禁じていると解釈してきた集団的自衛権の行使を容認する報告書を提出する予定だ。 首相周辺はこれを受けて政府・与党内の調整を本格化させ、秋の臨時国会に関連法案を提出するスケジュールを描いている。集団的自衛権の行使容認は安全保障政策だけでなく、現行憲法のあり方そのものの転機になる。

 

 

<グレー領域の調整カギ>

『自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利』というのが集団的自衛権に関する現在の政府見解だ。国連憲章51条にもとづく権利で、保有しているものの、日本は憲法9条の規定から行使は許されないとする解釈である。安倍首相はかねて内閣法制局によるこうした政府解釈に疑問を示しており、安保法制懇の報告を踏まえ、見直しへの手続きを踏んでいく意向とされる。中国の脅威や朝鮮半島の情勢など、東アジアの環境変化を踏まえても、従来の集団的自衛権の解釈を変更して、日本の安全保障にとって何が抑止力になり、プラスなのかを幅広く考えていくべきときだ。 政府見解の見直しを進めるにあたり3つのジレンマがある。その解消に動くことが求められているといえるだろう。 第1は『安倍首相のジレンマ』である。集団的自衛権の解釈変更は安倍首相が前面に出てくれば出てくるほど、抵抗が大きくなるという政治の現実がある。靖国神社参拝にみられるように首相は保守のイデオロギー色が濃い。見直し反対派がボルテージをあげる理由のひとつがここにある。 このジレンマを解消するには、集団的自衛権の見直しに反対してきた公明党の理解を得ることが何よりも必要になる。個別的自衛権や警察権の拡大で対応できると主張する公明党をいかに説得できるかにかかっている。 自民党の高村正彦副総裁が指摘している1959年の砂川事件の際高裁判決を論拠とする集団的自衛権の限定容認論にも公明党は難色を示している。警察権と自衛権、自衛権も集団的と個別的のそれぞれグレーな領域をどう整理するのか。知恵の出しどころだ。 第2は進め方の問題である。『政権公約のジレンマ』を抱えているからだ。自民党は2012年の衆院選の政権公約で、国家安全保障基本法を制定し集団的自衛権の行使に道を開く方針を打ち出した。ところが、首相の側から聞こえてくるのは安保基本法によるのではなく、自衛隊法などいきなり個別法を秋の臨時国会で処理する段取りだ。筋論からすれば基本法を制定し、考え方をはっきり示したうえで個別法に入るべきである。政治の駆け引きの材料となってきた9条の政治史を思いおこすと、個別法先行の考え方も理解できないわけではないが、基本法と個別法の同時処理も検討すべきだ。少なくとも基本法に盛り込むべき内容などを閣議決定し、政府声明や首相談話のかたちで明らかにする必要はある。

 

<解釈と明文改憲の区別>

第3は『改憲のジレンマ』である。もし政府解釈の変更によって集団的自衛権の行使に風穴をあけると、首相が掲げる改憲が差しせまった問題ではなくなり、むしろ遠のくという皮肉な結果をもたらす可能性をひめているためだ。 改憲ではさまざまなテーマが取り沙汰されるが、9条問題のように明文改憲をしない限り動かないというものはほとんどない。取りあえずの対応策として、そこをいわゆる『解釈改憲』でしのぐとすれば、国論を二分する憲法改正は急ぐまでもないといった意見が強まってくる事態も予想される。 解釈変更でできるのはどこまでで、武力行使を伴う多国籍軍参加のようにここからは明文改憲をしないとできないといった改正の仕分けをきちんとしておくべきだ。同時に改憲の手続きを定める国民投票法の今国会成立に向けた努力も当然求められる。戦後政治をふり返ると、自衛隊の存在、日米安保条約のあり方、そして集団的自衛権の解釈と、憲法9条が常に争点となり、その攻防がひとつの軸になってきた。もし、ここで集団的自衛権の問題に一応の方向が定まれば、憲法論議は新たな段階に入っていく」。 社説の結語である「戦後政治を振り返ると、自衛隊の存在、日米安保条約のあり方、そして集団的自衛権の解釈と、憲法9条が常に争点となり、その攻防がひとつの軸になってきた。もし、ここで集団的自衛権の問題に一応の方向が定まれば、憲法論議は新たな段階に入っていく」は、正論である。 まさに「改憲のジレンマ」である。政府解釈の変更によって、集団的自衛権行使に風穴が開くと、安倍首相が掲げる改憲が差し迫った喫緊の課題ではなくなり、改憲の機運が遠のくという矛盾である。今そこにある危機を、「解釈改憲」でしのげるからである。問題は、それでも安倍首相は、「解釈改憲」に突き進むしかないのである。

憲法を守って、国を滅ぼす愚を犯さないために、である。

 

編集 持田哲也

オバマ訪日、訪韓の狙いは?

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読売に「日韓協議前の綱引き」「議題幅広く」「慰安婦だけ」「今週視野に詰め」が書かれている。
 
「日本と韓国の関係改善に向けた日韓外務省局長級協議の開催を巡り、両国が綱引きを続けている。日本側が竹島問題など幅広い懸案事項について話し合いたい意向なのに対し、韓国側はいわゆる従軍慰安婦問題だけを議題とすることを求めている。韓国側は、今月下旬のオバマ米大統領の日韓訪問前の協議開催を求めており、両国は早ければ今週の開催も視野に、つめの協議を進めている。
 
3月25日のオランダ・ハーグで行われた日米韓首脳会議では、3か国共通の懸案である北朝鮮の核・ミサイル開発問題が議題だった。日韓両国で対立がある慰安婦問題などの歴史問題は取り上げられず、日本政府関係者は『関係改善の糸口はまだ見つかったと言えない』と話す。
日本政府内には、日韓関係の本格的な改善は、『両国間の多くの懸案について冷静に話し合うことが出発点になる』(外務省幹部)との見方が多い。このため議題は慰安婦問題に限らず、竹島問題や韓国人元徴用工を巡る訴訟など幅広いテーマを議題とするよう提案している。
韓国側は慰安婦問題のみを取り上げることにこだわっているが、1965年の日韓請求権・経済協力協定で『完全かつ最終的に解決された』と規定されていることから、仮に局長級協議で議題になっても、日本側の歩み寄りは困難だ。
ただ、日本政府内では、対話の枠組みを築くことが両国の国益につながるとの見方が強い。両国が議題で折り合えない場合、韓国側が態度を硬化させて、局長級協議が実現しない可能性もあり、ジレンマを抱える。
日本政府からは、局長級協議を実現させて、今後の定期的な政府間協議の開催や首脳会談につなげることへの期待から、『ここは、何としてでも協議開催にこぎ着けるべきだ』(政府関係者)との声も出ている。
 
<出方うかがう韓国>
韓国の朴槿恵政権は、日韓関係の早期改善を求めるオバマ米大統領の訪日、訪韓をテコに、対日外交の最優先課題である従軍慰安婦問題で、日本から譲歩を引き出したい考えだ。ただ、慰安婦問題で目指す『落とし所』について、政権内で意思統一がされておらず、当面は日本の出方をうかがう方針だ。
韓国が日韓局長級協議の議題を慰安婦問題に絞るよう主張しているのは、日本側の意向通り、韓国人元徴用工を巡る訴訟など幅広い懸案を協議した場合、『最も重要な問題が埋没する』(韓国政府当局者)と懸念するためだ。
 
日本に国家としての法的責任を認めさせた上で賠償を受け取ることが、元慰安婦の支援団体の主張とも重なる最善のシナリオだが、安倍政権が応じないことは織り込み済みだ。『法的責任』や『賠償』になるべく近い形で、韓国内の世論の支持を得られる解決策を探ることになりそうだ」。
オバマ大統領の訪日、訪韓を控えて、日韓外務省局長協議の開催を巡り、綱引きが行われている。協議開催自体は一致しているが、議題でもめている。韓国側は、慰安婦問題のみを取り上げることに固執、日本側は、竹島問題や韓国人元徴用工を巡る訴訟等幅広いテーマを議題とするよう主張しているからである。
問題は、いずれが、正論か、である。3月25日の3カ国首脳会談を仲介したオバマ大統領の意向、訪日、訪韓の意向を基準にすれば、日本側が正論となる。韓国の朴槿恵大統領は、慰安婦問題の突出を抑えるよう米国から警告を受けているからである。歴史問題よりも今そこにある危機を重視せよ。である。北朝鮮問題である。北朝鮮問題への日米韓の連携が急務なのである。
 
オバマ訪日、訪韓の狙いの1つは、日韓首脳会談への督促となるが。
 
編集 持田哲也

ネガティブサプライズ

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日経の「スクランブル」に、「『6月波乱』の足音」「追加緩和巡り探り合い」が書かれている。
 
「日銀の3月の全国企業短期経済観測調査(短観)を受けた1日の東京株式市場は大きな反応を見せなかった。だがよく目を凝らすと、株式市場の追加緩和期待をくっきりと価格に反映しているマーケットがある。日経平均オプション市場だ。投資家の動向をつぶさに観察すると、株式市場で消えかかっていた追加金融緩和への期待が再び高まり始めていることが分かる。
 
『全体として市場の予想より悪かった点は否定できない。株式市場は今後、日銀の追加緩和を期待する動きになっていくだろう』。みずほ投信投資顧問の柏原延行氏はこう指摘する。
 
株式市場参加者が今回の日銀短観で注目していたのは、4月1日からの8%への消費増税を受けて、企業の景況感がどこまで悪化するのかの一点に尽きる。
 
足元の大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス17と2007年12月以来の高水準だったが、3カ月後の先行き見通しはプラス8と9ポイント低下。市場予想の中心値(プラス13)を5ポイント下回っており、企業が消費増税後の景気動向を予想以上に警戒している現状が浮き彫りになったといえる。
 
振り返れば、3月11日の金融政策決定会合後の記者会見で日銀の黒田東彦総裁が『現時点では何か金融政策を調整する必要があるとは思っていない』と景気の現状に対する自信を表明。この発言を受けて、追加金融緩和に対する株式市場参加者の期待が大きく後退したという経緯がある。そのいったん消えかかった期待を再燃させたのが、今回の短観だったというわけだ。
 
野村証券の尾畑秀一氏は『日銀はもともと市場予想より高かった成長率見通しを引き下げざるを得ないだろう。今回の短観は直ちに4月に日銀が追加緩和を検討するまでの材料にはならないだろうが、様子をみて7月には動く』と読む。こうした動きを見据えているのが、日経平均オプション市場だ。
 
オプション価格から逆算した相場の予想変動率を5月物から順番に並べると、先週の3月27日の数値と比べ、1日時点ではすべての限月で予想変動率が上昇している。この数字は、オプションの投資家がその満期時点で日経平均がどの程度変動すると見込んでいるのかを示す。注目すべきは、6月物と7月物の予想変動率が他の限月に比べ高くなっている点。通常、満期が遠くなるほど予想変動率が高まるはずだが、オプション市場は『6~7月に相場が最も大きく変動する』と予想しているわけだ。
 
ゴールドマン・サックス証券の宇根尚秀氏は『ここ数日、満期6~7月では権利行使価格1万5500~1万6000円の日経平均のコールオプション(買う権利)の買いが目立ち始めた』と説明。『海外勢の一角が6~7月の追加緩和のサプライズに備えようと動き始めている』と指摘する。
 
日経平均が行使価格を大きく上回って上げた場合、このオプションがあれば行使価格で買って現値で売ることで利益を得られる。それだけ大幅高を見込む投資家が多いわけだ。こうした動きが、同時期の予想変動率の上昇につながった。
 
首尾良く市場の期待通りに日銀が動けばいいが、必ずしもそうとは言えないだろう。『日銀幹部と話す際には緩和の話題を極力持ち出さないことにしている』。ある大手証券の幹部はこう明かす。なぜか。『黒田総裁は市場に催促されて動くのを嫌うと思う。本当に動いてもらうためには、サプライズがあると思ってもらわないと』(同幹部)
 
緩和がなければ、逆にネガティブサプライズを呼び起こす可能性もある。いずれにしても、オプション市場が見据えるのは『6月の相場混乱』だ。オプションの価格が示すように、市場は将来を先読みしてどんどん動いていく。追加緩和という最大の材料を巡り、株式市場と日銀の『腹の探り合い』が始まった」。
 
日経平均オプション市場で、「6~7月に相場が最も大きく変動する」と予想している。「海外勢の一角が6~7月の追加緩和のサプライズに備えようと動き始めている」。日銀の追加緩和は、サプライズで前倒しの4月の可能性もあるが。
 
編集 持田哲也

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