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朝日に「本社世論調査」「GOTOトラベル延長反対51%、賛成37%」が
書かれている。
「朝日新聞社は14、15の両日、全国世論調査(電話)を実施した。政府が検討している観光支援策「Go To トラベル」の期間延長に「賛成」は37%にとどまり、「反対」が51%だった。年代別にみると、30代以下は賛成が反対を上回ったが、60代は63%が反対し、賛成は24%だった。
地域別の差も大きく、新型コロナウイルスの感染者が急増している北海道では7割近くが反対。一方、東京は賛成52%が、反対39%を上回った。内閣支持層でも賛成46%、反対43%に割れた。不支持層では、反対71%、賛成21%だった。男女別では男性の41%が賛成したが、女性の賛成は33%だった。

新型コロナウイルスを巡る、これまでの政府対応を『評価する』は46%(前回10月調査は49%)で、やや下がった。一方、感染拡大で、生活が苦しくなる不安を『感じる』は56%(同52%)に増えた。『感じない』42%だった。年代別では、30代と40代の60%が『感じる』と答えた。

年末年始の帰省や旅行の予定について聞くと、『計画していない』が88%で、『計画している』は11%だった。『計画している』は18~29歳では23%と比較的高かったが、70歳以上は3%だった。初詣については『行く予定がない』が50%で、『正月三が日を避けて行く』が35%、『三が日に行く』は13%だった。
日本学術会議が推薦した学者の一部を菅義偉首相が任命しなかったことは『妥当だ』34%、『妥当ではない』36%に割れた。一方、任命しなかった理由について、菅首相の国会での説明に49%が『納得できない』と答え、『納得できる』は22%だった。自民支持層でも『納得できる』は32%にとどまった。

菅内閣の支持率は56%(前回10月調査53%)で、不支持率20%(同22%)だった。支持率は男性が57%(同55%)、女性が54%(同51%)だった。

≪核兵器禁止条約「参加がよい」59%≫
14、15の両日に、朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で核兵器禁止条約について尋ねると、日本が条約に『参加する方がよい』は59%で、『参加しない方がよい』の25%を大幅に上回った。
核兵器の開発などを全面的に禁じる同条約は来年1月の発効が決まった。日本は『核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要だ』などとして批准していない。
菅内閣の支持層でも57%が同条約に『参加する方がよい』と答え、不支持層では78%に上った。支持政党別では自民支持層の51%、立憲支持層の88%が『参加する方がいい』だった。
<安全保障関連法、賛成が初めて上回る>
2015年の成立後、5年が経った安全保障関連法についても聞いた。集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする同法に『賛成』は46%で、『反対』の33%を上回った。
男性は賛成58%と、女性の35%より高かった。年代別では、50代以下は賛成が反対より多く、特に18~29歳では賛成62%、反対17%。60代は賛成42%、反対43%と拮抗(きっこう)し、70歳以上は賛成31%を反対40%が上回った。
朝日新聞の世論調査で同法への賛成が反対を上回るのは初めて。調査方法は異なるが、18年3~4月の郵送調査では賛成40%、反対44%だった。

【朝日世論調査―質問と回答〈11月14、15日
(数字は%。小数点以下は四捨五入。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は、10月17、18日の調査結果)
◆今の政治などについてうかがいます。あなたは、菅内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する56(53)
 支持しない20(22)
 その他・答えない24(25)
◇(「支持する」と答えた人に)それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一)
 首相が菅さん16〈9〉
 自民党中心の内閣18〈10〉
 政策の面21〈12〉
 他よりよさそう44〈24〉
 その他・答えない1〈1〉
◇(「支持しない」と答えた人に)それはどうしてですか。(択一)
 首相が菅さん10〈2〉
 自民党中心の内閣32〈6〉
 政策の面37〈7〉
 他のほうがよさそう16〈3〉
 その他・答えない6〈2〉
◆あなたは今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
 自民党39(39)
 立憲民主党6(6)
 公明党4(3)
 共産党2(3)
 日本維新の会2(2)
 国民民主党0(0)
 社民党1(0)
 希望の党0(0)
 NHKから国民を守る党0(0)
 れいわ新選組0(0)
 その他の政党0(0)
 支持する政党はない40(41)
 答えない・分からない6(6)
◆仮に今、衆院選挙の投票をするとしたら、あなたは、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか。(択一)
 自民党45(46)
 立憲民主党12(12)
 公明党6(5)
 共産党4(4)
 日本維新の会6(9)
 国民民主党1(2)
 社民党1(1)
 希望の党0(0)
 NHKから国民を守る党1(1)
 れいわ新選組1(2)
 その他の政党2(1)
 答えない・分からない21(17)
◆「日本学術会議」についてうかがいます。会員を選ぶにあたって、菅首相は、学術会議が推薦した学者の一部を任命しませんでした。あなたはこのことは妥当だと思いますか。妥当ではないと思いますか。
 妥当だ34(31)
 妥当ではない36(36)
 その他・答えない30(33)
◆日本学術会議が推薦した学者の一部を任命しなかった理由について、あなたは、菅首相の国会での説明に納得できますか。納得できませんか。
 納得できる22
 納得できない49
 その他・答えない29
◆あなたは、新型コロナウイルスを巡る、これまでの政府の対応を評価しますか。評価しませんか。
 評価する46(49)
 評価しない40(37)
 その他・答えない14(14)
◆政府は、旅行代金の割引などで観光を支援する「Go To トラベル」の期間を延長する方針です。あなたは、「Go To トラベル」の延長に賛成ですか。反対ですか。
 賛成37
 反対51
 その他・答えない12
◆新型コロナウイルスの感染拡大で、あなたは、生活が苦しくなる不安を感じますか。感じませんか。
 感じる56(52)
 感じない42(46)
 その他・答えない2(2)
◆今度の年末年始の過ごし方についてうかがいます。初詣について、あなたはどうすると思いますか。(択一)
 正月三が日に行く13
 正月三が日を避けて行く35
 初詣に行く予定はない50
 その他・答えない2
◆あなたは、今度の年末年始に帰省や旅行を計画していますか。計画していませんか。
 計画している11
 計画していない88
 その他・答えない1
◆核兵器の開発などを全面的に禁じる「核兵器禁止条約」が、来年1月に発効することになりました。日本はこの条約には参加しません。あなたは、核兵器禁止条約に日本が参加する方がよいと思いますか。参加しない方がよいと思いますか。
 参加する方がよい59
 参加しない方がよい25
 その他・答えない16
◆安全保障関連法が成立して今年で5年になりました。あなたは、集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする安全保障関連法に、賛成ですか。反対ですか。
 賛成46
 反対33
 その他・答えない21
◆NHKは国の会議で、テレビを設置した家庭などに対し、NHKへの届け出を義務づける要望をしました。あなたは、テレビ届け出の義務化に賛成ですか。反対ですか。
 賛成24
 反対63
 その他・答えない13
◆NHKの受信料について、あなたはどのように感じていますか。(択一)
 妥当だ28
 高い63
 安い2
 その他・答えない7
   ◇   
〈調査方法〉コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、14、15の両日に全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した1212世帯から623人(回答率51%)、携帯は有権者につながった1994件のうち924人(同46%)、計1547人の有効回答を得た。
以上の調査結果から次のことが読み解ける。
内閣支持率は前回調査(10月17,18日)より3ポイント増の56%、不支持率は2ポイント減の20%、分からないは1ポイント減の24%。コロナウイルスへの政府の対応を評価するが3ポイント減の46%、評価しないが3ポイント増の40%が、GPTOトラベル延長反対51%、賛成37%、日本学術会議に一部任命拒否妥当だ34%。妥当でない36%を相殺した形となった。野党と左派メディアによる日本学術会議問題は、もりかけ・さくら問題と違い、民意への影響は限定的となった。菅首相の説明が納得できないが49%にととどまり、納得できるが22%もあるからだ。共産党に近いが拒否の理由であることを民意は分かっているからである。安全保障関連法に賛成が46%、反対33%となったのは、共産党・朝日が主導した安全保障関連法は戦争への道がフェイクニュースであったことが5年目にして分かったからである。憲法9条改正にとっては、追い風となっている。
問題は、来年9月に行われる衆院選の帰趨である。改憲勢力の支持率は、自民39%+公明4%+維新2%=45%に対して護憲勢力は立憲6%+共産2%+国民0%+社民1%+れいわ0%=9%しかない。5分の1かない。比例投票先では、改憲勢力は自民45%+公明6%+維新6%=57%に対して、護憲勢力は、立憲12%+共産4%+国民1%+社民1%+れいわ1%=19%と3分の1である。比例投票先45%の9割の40%の投票行動を完遂すれば、圧勝となる。憲法9条改正への自民支持層の思想武装が急務となる。来年9月の解散・総選挙の争点が9条改正の是非となるのが必至だからである。

②読売の「スキャナー」に「GDP水準 コロナ前遠く…7~9月 年21・4%増」「感染再拡大で減速懸念 」が書かれている
「内閣府が16日発表した2020年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、新型コロナウイルスの感染対策で制限された経済活動の再開や、過去最悪の落ち込みだった4~6月期からの反動で大幅なプラス成長となった。ただ、回復ペースは鈍く、国内外の感染再拡大で減速の懸念も強まっている。
<回復途上>
物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は前期比5・0%増で、このペースが1年間続くと仮定した年率換算では21・4%増となった。プラス成長は1年ぶりで、伸び率は統計上比較できる1980年以降で最も大きかった。
大きなプラスとなった要因は、個人消費と輸出の急回復だ。
GDPの半分以上を占める個人消費は4・7%増(前期は8・1%減)で、1年ぶりのプラスとなった。政府の現金10万円の一律給付などの効果で家電などの売れ行きが堅調だった。輸出は7・0%増(17・4%減)で、自動車や電子部品などが復調した。
ただ、西村経済再生相は記者会見で『経済は<コロナ前>の水準を下回った状態だ。着実に戻ってきているが、持ち直しの動きは途上だ』と述べ、日本経済は本格的な回復に至っていないとの見方を示した。
これは、実質GDPを実額で見た場合、コロナ前を下回っているからだ。7~9月期は年率換算で507兆円で、4~6月期(483兆円)から増えたものの、急落前の1~3月期(526兆円)には遠い。
<設備投資減>
マイナスが続いている項目もある。
企業の設備投資は3・4%減で、2四半期連続のマイナスだった。先行きへの不安から工場や店舗の新設、増強に慎重な姿勢が強まった。日本銀行の9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、20年度の設備投資計画は前年度比2・7%減(全規模・全業種)で、当面は低調とみられる。
住宅投資は4四半期連続のマイナスとなる7・9%減で、減少幅は前期(0・5%減)から大きく拡大した。政府の緊急事態宣言を受け、感染防止のために建設現場で着工を見合わせる動きが広がった影響が続いている。
<企業も明暗>
日本経済を支える企業の業績にもばらつきが目立ち始めた。
輸出を手がける製造業などでは上向いている。ホンダは21年3月期の最終利益予想を、8月時点の1650億円から3900億円に引き上げた。倉石誠司副社長は6日の決算記者会見で『(7~9月期は)想定を超える伸びだった』と話した。
一方、小売店や外食は厳しい。『近鉄百貨店』などを傘下に収める近鉄グループホールディングス(HD)は19年度に600億円あった免税品売り上げなど訪日客関連の収入について『(20年度は)ほぼゼロと見込んでいる。来期もゼロ』(安本幸泰副社長)と厳しい見方を示す。すかいらーくHDは、外出を控える動きが続いている影響で、既存店売上高が前年同月より1~2割程度少ない状態が続いている。
≪年末商戦に逆風 賞与減で消費停滞も≫
10~12月期は2四半期連続のプラス成長になるものの、7~9月期に比べて伸びは小さくなるとの見方が多い。国内外で感染が再拡大し、個人消費や輸出の回復が停滞することへの警戒感が強まっている。
内閣府の10月の景気ウォッチャー調査によると、景気に敏感な小売店主などに聞いた『街角景気』の先行き判断指数は、感染者数が急増する東京都や北海道で悪化が目立った。『クラスターが相次ぎ、客数の増加は見込めない』(北海道・タクシー運転手)などと厳しい声が上がる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、冬の1人あたりのボーナスは前年比10・7%減で、リーマン・ショック後の2009年(9・4%減)を超える落ち込みになる見通しだ。年末商戦には逆風になりそうだ。
主要国に比べて、日本の景気回復の遅れも指摘されている。
内閣府は16日、1~6月の実質GDPの減少幅に対し、7~9月期にどこまで回復したかを示す国際比較を公表した。フランスは78・4%まで戻った一方、日本は7~8月に感染再拡大の影響を受けたため、52・2%と半分程度しか回復しなかった。
国際通貨基金(IMF)の見通しによると、実質GDPがコロナ前の水準を回復する時期は米国やドイツで22年、イギリスが23年だが、日本は24年だ。みずほ総合研究所の長谷川克之チーフエコノミストは『日本は潜在成長率が低く、実質GDPの回復は欧米以上に時間がかかる』と指摘する。
潜在成長率は、商品やサービスを生み出すために必要な資本や労働力、生産性をどれだけ備えているかを示す指標。政府はGDPを21年度にコロナ前の水準に復帰させることを想定するが、日本経済の潜在的な力を高める

「学術会議を民営化へ」

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朝日の社説に「学術会議人事」「学問の自由 脅かす暴挙」が書かれている。
「法の趣旨をねじ曲げ、人事権を恣意(しい)的に行使することによって、独立・中立性が求められる組織を自由に操ろうとする。安倍前政権と同じことを、菅政権もしようというのか。
『学者の国会』といわれる日本学術会議の新会員について、菅首相は、同会議が法律に基づき『優れた研究・業績がある』として推薦した候補者105人のうち、6人の任命を拒んだ。過去に例のない暴挙で、到底見過ごすことはできない。
科学が戦争に利用された戦前の教訓を踏まえて1949年に設立された同会議は、科学に関する政策提言や国内外の科学者との連携、世論の啓発などの役割を負う。政府内の組織だが、独立して職務を行う『特別の機関』との位置づけだ。
文系理系を問わず、国民生活に関わる様々な問題について報告書などを公表してきたほか、発足翌年の50年と67年には『軍事目的の科学研究を行わない』とする声明を出し、3年前にも継承する見解をまとめた。前会長の山極寿一(やまぎわじゅいち)京大前総長、新会長でノーベル賞受賞者の梶田隆章東大教授らが、政権の科学技術政策に批判的な姿勢を示したこともあり、自民党内には根強い批判や不満があるという。
今回なぜ6人の任命を拒んだのか、政府は理由を明らかにしていない。加藤官房長官は『人事についてはコメントを差し控える』と言うだけだ。
6人は濃淡の差はあれ、安倍政権が推進した安保法制や『共謀罪』法、改憲の動きなどに疑義を呈してきた。その任命を拒否することで、他の研究者、さらには学術会議の今後の動きを牽制(けんせい)しようとしているのではないかとの見方が広がる。
このままでは学者が萎縮し、自由な研究や発信ができなくなるおそれがある。今回の措置に対し、『学問の自由を保障する憲法に反する行為』との声があがるのも当然だ。
そもそも政府は83年に国会で、首相の意向によって会員の任命を左右することは考えていない旨の答弁をしている。その後の法改正で手続きに一部変更はあったが、国家は学問に干渉しないという理念は不変のはずだ。菅首相は直ちに、自らの誤った判断を撤回すべきである。
人事を通して霞が関を抑え込む前政権の手法は、忖度(そんたく)をはびこらせ、倫理を崩壊させ、この国の民主主義を深く傷つけた。『政権の方向性に反対する官僚は異動』と公言する菅首相の下で、その矛先が研究者にも向かってきているように見える。
健全な批判精神は学問の深化に不可欠であり、それを失った社会に発展は望めない。首相はそのことに気づくべきだ」。
社説の主旨である「学問の自由 脅かす暴挙」に異論がある。
日本学術会議の新会員について、菅首相は、同会義が法律に基づき「優れた研究・業績がある」として推薦した候補者106人のうち、6人の任命を拒んだが、このことが、「学問の自由を脅かす暴挙」だという。そもそも日本学術会議とは何か、である。1949年に創立された同会議は、科学が戦争に利用された戦前の教訓を踏まえて、発足翌年の50年と67年に「軍事目的の科学的研究を行わない」とする声明を出し、反自衛隊、反日米安保のイデオロギー色を強め親共産党系の学者の集まりであり、そのこと自体が学問の自由を脅かしている。2017年3月には50年と67年の声明を踏まえて「科学者は軍事的研究を行わない」とする声明を発表し、防衛省の装備品開発に関する「安全保障技術研究推進制度」への科学者の参加にブレーキをかけた。世界の主要国では民需と軍需を分離し、軍需品の開発を否定する国家はいない。時代錯誤である。一方、2015年9月には日本学術会議の大西議長が北京で中国共産党軍と関係の深い中国科学技術協会との協力の覚書を結んでいる。中国共産党主導の軍事研究の「千人計画」には積極的に協力するとのものであり、ダブルスタンダードであり、国益を損ねるものである。
問題は、日本学術会議が内閣府の特別の期間であり内閣総務大臣が所管し、その会員は国家公務員(特別職)であることだ。その経費は国の予算で負担され、会員210人に対し10億円の予算となっている。国家公務員である限り、任命権は菅義偉首相にあり、国益を損ねているか、資しているかをチェックするのは当然である。国益を損ねている国家公務員を任命しないのは、自明の理であるが。日本学術会議の存在自体が国益を大きく損ねているのだから、菅義偉首相は民営化への大きな一歩とすべきである。

「内閣支持率42%、改憲勢力42%VS護憲勢力7%」

政治

読売に「本社世論調査」「「政府対応『評価せず』58%」「10万円給付『適切』60%」が書かれている。

「読売新聞社は8~10日、全国世論調査を実施した。新型コロナウイルスを巡る政府のこれまでの対応を『評価しない』と答えた人は58%で、同じ質問をした3月20~22日調査の39%から19ポイント上昇し、『評価する』34%(3月調査53%)と逆転した。全ての国民に1人当たり現金10万円を給付することは、『適切だ』60%、『少なすぎる』24%、『多すぎる』4%だった。

安倍内閣の支持率は42%で、前回調査(4月11~12日)と同じだった。不支持率は48%(前回47%)。不支持の人に理由を聞くと、トップの『首相が信頼できない』が34%(3月調査52%)に下がる一方、『政策に期待できない』が26%(同18%)、『首相に指導力がない』が22%(同7%)にそれぞれ上昇した。国民への現金給付を巡り、いったん閣議決定した補正予算案を組み替える混乱が生じたことなどが影響したとみられる。

政府が緊急事態宣言を31日まで延長したことを『評価する』は81%。感染拡大が深刻でない地域での行動制限緩和や経済活動再開は『適切だ』57%、『早すぎる』30%、『遅すぎる』5%となった。自治体による、休業要請に応じた事業者への金銭面の支援は『少なすぎる』60%、『適切だ』27%、『多すぎる』1%で、不十分との見方が多かった。

政党支持率は自民党34%、立憲民主党、公明党、日本維新の会が各4%などで、無党派層は44%だった。

≪9月入学「賛成」54%、学力低下「不安」81%≫

読売新聞社の全国世論調査で、新型コロナウイルスの感染拡大による学校休校の長期化を受け、政府が検討している9月入学・始業に『賛成』は54%と半数を超えた。『反対』は34%だった。

感染対策を重点的に行う東京や大阪など13の特定警戒都道府県に限ると、平均は『賛成』59%、『反対』32%。それ以外の34県の平均は『賛成』47%、『反対』37%と差がみられた。地域別では、『賛成』は大都市圏を含む関東で63%、近畿で62%と6割を超え、他の地域は4割台。都市規模別では、人口規模が大きくなるほど『賛成』の割合が高くなる傾向がみられた。

年代別にみると、『賛成』の割合は年齢が若いほど高くなる傾向がみられ、18~39歳は61%、40~59歳が57%、60歳以上が48%。70歳以上に限ると、『賛成』40%と『反対』37%が拮抗し、無回答が23%だった。

学校の休校長期化で、児童や生徒の学力が低下する不安を『感じる』と答えた人は全体で81%に達した。男女別でみると、『感じる』は女性が84%、男性が77%と女性の方が高かった。地域別では、北海道・東北が88%で最も高く、近畿が77%で最も低かった。

<収束後も予防「継続」81%>

読売新聞社の全国世論調査で、新型コロナウイルスの感染が落ち着いた場合でも、人との間隔を空けるなど、感染予防を意識した生活様式を続けようと『思う』と答えた人は81%に上った。年代別でみても、『思う」』の割合は18~39歳で83%、40~59歳で86%、60歳以上で76%といずれも高い水準を示した。男女別では、女性が85%、男性が76%で女性の方が高かった。新型コロナウイルスの感染拡大で、自分の生活が苦しくなる不安を感じている人は、『大いに』23%と『多少は』49%を合わせて全体の72%に上った。感じていない人は『あまり』22%と『全く』5%の計27%。

『感じている』と答えた人の割合は、地域別や都市規模別でみても大きな差はなかった。これに対し、職業別では、商工自営業・自由業が86%と最も高く、給与所得者は71%、無職は63%など意識の差がみられた」。

以上の調査結果から次のことが読み解ける。

内閣支持率は前回調査(4月)と同じ42%、不支持率は1ポイント増の48%。政府対応評価しない58%、評価する34%であるにもかかわらず、支持率が42%を維持しているのは、個別政策への評価が50%を超えており、相殺したからである。緊急事態宣言の期限を31日まで延長を評価する81%、すべての国民に1人当たり10万円給付を適切だが60%、感染拡大が深刻でない地域の行動制限の緩和は適切だが57%。政治は結果がすべてである。全国的に感染拡大はピークを過ぎ、緊急事態宣言の緩和ともに、政府対応を評価するが50%となり、逆転は時間の問題となり、内閣支持率50%超えも直ぐとなる。

問題は、政党支持率である。改憲勢力は自民党が同じ34%、公明党が同じ4%、日本維新が2ポイント増の4%で、2ポイント増の42%に対して、護憲勢力は立民が1ポイント減の4%、国民が同じ1%、共産党が1ポイント減の2%、社民党が同じ0%、れいわが同じ0%で2ポイント減の7%しかない。6分の1しかない。国民から改めて政権担当能力なしと見限られている。コロナ後の総選挙で護憲勢力は惨敗となる。コロナ危機で国民の間に憲法に緊急事態条項の必要性が認識された意味は大きく、安倍晋三首相にとって追い風となるが。

「危機管理の初動ミスを挽回し、国民の信の回復を」

政治

朝日の社説に「安倍政権の日本」「不信の広がりを恐れる」が書かれている。

「いま、この国の政治の現場では、驚くべきことが立て続けに起きている。

国会では、東京高検検事長の定年延長をめぐりつじつまの合わない答弁が連発され、『桜を見る会』についての安倍首相の説明にはウソではないかとの疑惑が向けられる。

いずれの問題でも、政権は適正な手続きをへて行われたことを裏打ちする確かな文書を示せずにいる。説明責任が果たされていないから、野党も同じことを重ねて追及せざるをえない。

新型コロナウイルスの感染拡大防止策では、全国の小中高校などの一斉休校の要請が、関係省庁間の周到な準備もないまま唐突に首相から発せられた。

<立法権を不当に奪う>

こうした光景を見せつけられるにつけ、この7年あまりの安倍政権のもと、日本の統治の秩序は無残なまでに破壊されたと言わざるを得ない。

検事長の定年問題では、延長を可能にした法解釈の変更をいつ決めたのかという野党からの問いに、政府が説得力をもって答えることができていない。

もちろん、政府内の手続きが森雅子法相らの答弁通りだったのか、定年延長が検察の独立をおかすおそれはないのかという疑問は究明されるべきだ。

ただ、より本質的な問題は、政府による今回の恣意的といえる解釈変更が、唯一の立法機関と憲法41条が定める国会の権限を政府が不当に奪ったということだ。『立法権の簒奪』に他ならない。

三権分立の原則を壊す極めて重大な問題である。

検察官の定年は、1947年に施行された検察庁法に明記されている。これに加え、公務員の定年延長を盛り込んだ国家公務員法改正案が審議された81年の国会では、当時の人事院の局長が、定年延長は『検察官には適用されない』と明確に答弁し、議事録に残っている。

検察官は一般職の国家公務員だが、政治家の権力犯罪をも捜査し、起訴する強力な権限を持つ。戦後間もなくから政府は『検察官の任免については一般の公務員とは取り扱いを異にすべきもの』との見解を明らかにし、公務員の定年延長が認められてからも30年以上、検察庁法に従った扱いを続けてきた。

<行政監視への否定>

法によって決められたことを改めるには、国会での議論と議決をへて、法そのものを改める。議会制民主主義では当然の筋道だ。法には解釈の幅があるにせよ、政府の時々の都合で勝手に変えられるなら、立法府は不要となる。

『桜を見る会』をめぐる首相の答弁ぶり、そして質問者に対するヤジも、決して看過できない憲法上の問題をはらむ。

憲法63条は、国会から答弁や説明を求められた際には、首相や閣僚に国会に出席する義務を課している。条文には書かれていないが、誠実に答弁しなければならないのは当然だ。

首相は衆院での代表質問で、疑惑追及には『誠実に対応する』と答えている。だが、予算委での説明内容は、虚偽との疑いを抱かせるに十分だ。首相はまた、予算委で立憲民主党議員の質問に『意味のない質問だよ』とヤジを飛ばした。後日の委員会で『不規則な発言をしたことをおわびします』との原稿を読み上げたが、これも問題の本質をそらしている。

謝るべきは閣僚席からの『不規則発言』という外形的な行為ではない。行政監視の手段としての議員の質問を『意味がない』と否定したことだ。

<国民に向き合う責任>

通算在任で憲政史上最長となった安倍政権は、統治の秩序をやり放題に壊してきた。その傷口から流れ続ける『うみ』がいまの政治には満ちている。

『憲法を変えない限り集団的自衛権行使できない』との歴代内閣の9条解釈を、一方的に変更したこと。森友学園への国有地売却で不透明な値引きをし、それを取り繕うために財務省職員が公文書改ざんに手を染めたこと。いずれも、終わった問題ではない。

政権中枢が法治国家では当然の手続きを無視するから、その意を忖度する公務員らが後始末に翻弄される。まさに『組織は頭から腐る』を地で行っているのではないか。

そうした中で突然、発せられたのが全国一斉の休校要請だ。目に見えない未知のウイルスへの不安に加え、自らの生活にかかわる具体的な不安が、一気に全国へと広がった。首相はおとといの記者会見で『断腸の思い』と述べたが、『なぜ全国一斉なのか」という肝心な点の説明はなかった。

安倍政権が破壊してきたのは、統治の秩序だけではない。国民の政治への信頼もまた、大きく損なわれた。

ウイルス対応をこの政権に任せて大丈夫なのか、国民に行き過ぎた不便や犠牲を押しつけはしないか――。首相には、こうした新たな不信の広がりを食い止める責任が加わった」。

社説の主旨である「不信の広がりを恐れる」に異論がある。

社説には「通算在任で憲政史上最長となった安倍政権は、統治の秩序をやり放題に壊してきた。その傷口から流れ続ける『うみ』が今の政治には満ちている・・・安倍政権が破壊してきたのは、統治の秩序だけではない、国民の政治への信頼も大きく損なわれた」と書いているが、安倍長期政権は、国政選挙6連勝の結果としての安倍1強故である。前民主党政権3年余を「悪夢の政権」と国民が見限ったが故のことである。

外交・安保政策で鳩山由紀夫政権の失敗の日米同盟弱化をただし、日米同盟基軸強化をなし、経済・金融政策で野田佳彦政権の消費増税の失敗をただし、アベノミクスによる戦後最長の経済成長を図り、菅直人政権の3・11の危機管理の失敗をただし、官邸主導で熊本地震をはじめとする大規模災害の危機管理を為してきた。その結果を見ての国民の信が、国政選挙6連勝の原動力となった。

問題は、今回の新型コロナウイルスの対応である。安倍官邸主導の危機管理の実効性が問われている。ダイヤモンド・プリンセス号への初動ミスで感染患者の蔓延を許し、国民に感染への不安を増幅し、内閣支持率も急落し、不支持が支持を逆転した。安倍晋三首相は、新型コロナウイルスを蔓延を阻止するために、小中高の休校の要請という強権発動の政治的決断をした。7月の東京五輪の前の5月末まで、新型コロナウイルス蔓延の終息をなすためにである。国政選挙6連勝の実績の上での内閣支持率40%の信にかけたのである。国民は3・11の危機管理で失敗した菅直人政権と安倍晋三政権を比較するのは必然である。この危機管理に成功すれば、内閣支持率50%台へのV字回復は必至となるが。

日経の「核心」に原田亮介・論説委員長が「疾病が試す政治の強度」「微温か、強権か日中対照に」を書いている。

「新型コロナウイルスの感染が拡大を続けている。震源地の中国は全国人民代表大会を
延期し、クルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』の感染対応を批判された日本政府は学校休止にかじを切った。疫病が政治を揺さぶるのは歴史の常だが、微温的だった日本と強権的な中国の対応はあまりに対照的だ。

疫病が世界の歴史を変えた事例は1918~19年にパンデミック(感染爆発)を起こしたスペイン・インフルエンザがわかりやすい。諸説あるが当時の世界人口20億人弱のうち5億人が感染、4000万人が死亡したという。日本でも38万人が死亡した。詳細な記録をまとめる『史上最悪のインフルエンザ』(みすず書房刊)から一部を引こう。

まず名称だ。第1次世界大戦で多くの国が情報統制を敷くなか、スペインは中立国で感染拡大を公表したために、不名誉な名前を付けられた。同書は『実際には18年3月は米国で出現した』という。膠着していた欧州戦線を打開するため、多くの感染者を含む米兵が大西洋を渡り、感染は一挙に欧州で拡大した。

輸送船は『外洋に出る前、すでに医務室のベッドはすべて埋まっていた。病人数は9月30日には700人だったが、航海を終える頃には2000人に膨れ上がっていた』。病のまん延は大戦の終結を早めたとも言われている。

もう一つ特記すべきは、ウイルソン米大統領がパリ講和条約のさなかに感染・発病したことである。大統領の精神的、体力的な衰えが、英仏などが主張する敗戦国ドイツへの懲罰的な賠償請求容認につながったと同書は紹介する。

100年前のことを長々と紹介した。それから感染症研究や公衆衛生学はめざましく進歩した。だが目に見えない新手のウイルスが感染を拡大したとき、まずやるべきは昔とそう変わらない。感染者を隔離し、拡大を防ぐことだ。

今回、中国は最初に大きな失敗を犯した。2019年12月初めに武漢で患者が発生した後、勇気ある医師が告発したのに当局は隠蔽した。公に人から人への感染を認めたのは今年1月20日。この間、感染者の国境を越える移動を止めなかったためウイルスは世界に広がった。

日本政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーの尾身茂氏(地域医療機能推進機構理事長)は『原因不明でも感染症が疑われる事例があれば、国際保健規則は速やかに世界保健機関(WHO)に届け出ることを定めている。湖北省の幹部が知らないはずがない』という。

ただその後の対応は強権国家らしい大胆さである。人口1100万人の武漢市だけでなく湖北省も封鎖、団体の海外旅行禁止や工場の操業停止などを次々に打ち出した。マスクなしの外出をドローンで監視し『墨俣の一夜城』のように病院を次々に建てた。交通遮断の動きは浙江省温州市などにも広がり、個人の人権や企業活動の自由より感染拡大を力で押さえ込むのを優先する姿勢を鮮明にしている。

日本の対応はどうだったか。まず武漢在住の邦人帰国のために中国にチャーター便を送ることに力を注ぎ、韓国など他国に先駆けて実現した。

とはいえ習近平国家主席の訪日という政治日程を控え、日本政府には遠慮があったようにもみえる。湖北省と浙江省に滞在した外国人は入国禁止にしているが、中国の他地域からの訪日客受け入れは拒否していない。

クルーズ船への対応には海外を中心に批判が相次いでいる。乗員乗客3700人といえば感染症が広がる一つの街を封鎖するような話だが、そこまでの覚悟があっての横浜港への入港だったかどうか。後講釈になるが、①全員の感染の有無を速やかに判定する検査の供給力②着岸後に船内の衛生環境を改善する態勢③外国人に正確な情報を提供し、出身国政府に帰国支援を求める努力--。どれもすぐには整わなかったのである。

もともと船は英国船舶で日本政府に国際法上の義務はない。ただ人道的に考えると、今回の対応以外の選択肢も考えにくい。多数の日本人乗客がいる船の着岸を拒否し、窓のない客室で精神的に追い詰められた乗客の下船もさせないというのは、中国ならできたかもしれない。

英調査会社キャピタル・エコノミクスのニール・シアリング氏は『中国の第1四半期の成長率は年率で2桁のマイナスになる』と予想する。習近平体制にとって景気悪化は大きな痛手だ。

それでも早期に感染を終息させ『ウイルスとの戦いの勝利』を宣言できれば、政治基盤が揺らぐことはないだろう。むしろ専制国家の方が人権を重視する民主主義国より感染症には強いという評価が下されるかもしれない。

イベント自粛や小中高への休校要請という厳戒モードに転換した安倍政権はどうか。景気の腰折れを防ぎ、習主席の訪日と東京五輪・パラリンピックを予定通り行う――。パンデミックが迫ってみると、いずれの目標もかなり難しい。五輪は、日本国内が終息しても世界で感染が続けば参加国が制限され競技が成り立たない事態も予想される。

感染はいつピークアウトするのか。『史上最悪のインフルエンザ』を訳した西村秀一氏(国立病院機構仙台医療センターのウイルスセンター長)はこう話す。『まだ誰にもわからない』。疫病を完全に制御するのは難しい。政治の強度を試すゆえんである」。

安倍晋三首相は、2月29日、全ての小中高校と特別支援学校に一斉休校を要請したが、その理由は、新型肺炎をピークアウトするために、である。専門家の総意であるこの1,2週間がヤマであるとの見識に拠ってのものであり、強権発動そのものである。問題は、この強権発動によって、5月末までに、新型肺炎を終息できるか、である。7月からの東京五輪を開催できるかが、かかっている。安倍晋三首相は賭けに出たと言わざるを得ない。

毎日の「風知草」に山田孝男・編集委員が「セントルイスの経験」を書いている。

「やり過ぎかどうか、断定的なことは言えない。

小中高校と特別支援学校に一斉休校を呼びかけた首相の決断である。

相手は未知のウイルスであり、事態は依然、流動的で先が読めない。側聞の限り、首相の頭の片隅に、近代史上最悪のパンデミック(世界規模の流行病)だった『スペインかぜ』があるらしい。

とりわけ、いち早く学校や集会施設を閉鎖して死亡率を下げた--とされる米セントルイス市の経験を意識したと思われる。

スペインかぜは、第一次大戦末期の1918(大正7)年、米国に出現し、数カ月のうちに日本を含む全世界へ広がった。スペインから出たと誤報され、その名がついた。地球全域の統計はないが、世界で5億人が感染し、5000万人以上が死んだ――と俗に言われている。

このうち約50万人が死んだ米国(ちなみに日本の死者は39万人)では、流行が始まった直後から集会、外出を制限した都市と、発症率が10%を超えてから制限した都市とで、死亡率に顕著な差が表れた。

12年後に米政府が公表した統計によれば、すぐに学校、教会や集会施設を閉鎖した中西部のセントルイスは、対応が遅れた東部のフィラデルフィアに比べ、感染者数拡大のピークが2カ月遅く、しかも低めに表れた。死亡率はフィラデルフィアの4分の1だった(2分の1説もある)。

このイメージは、2009年の新型インフルエンザ流行を踏まえ、厚生労働省が12年にまとめた資料『新型インフルエンザ対策の再構築について』の中で強調されている。

首相自ら一斉休校を呼びかける決断は、首相が、身内である加藤勝信厚労相にも相談せず、腹心・萩生田光一文部科学相の反対を押し切って決めた--と分かり、政権中枢の不協和音に関心が集まった。

はっきり言えば、首相は今井尚哉・首相補佐官の進言を重く見たのだ――と朝日新聞が書いている(2月29日朝刊1面)。

私の取材では、補佐官はじめ側近が準備した資料には、09年新型インフルエンザの際、大阪と兵庫で実施した小中高校一斉休校の記録のほか、スペインかぜなど過去のパンデミックの分析も入っていた。

外出や集会の制限は経済社会を沈滞させる。米国の歴史家がスペインかぜを概説した『史上最悪のインフルエンザ/忘れられたパンデミック』(アルフレッド・クロスビー。76年。邦訳は04年、みすず書房刊)によれば、学校休校や外出制限に対する市民の反発は激しかった。

『いったい何の効果があるというのか。市民をむやみに不安に陥れ、何をしようというのか?』フィラデルフィア・インクワイァラー紙はそう書いた(前掲書)。

深刻なパンデミックだったので、行動制限は後に評価された。未知のウイルスが何をもたらすか、渦中では分からない。一見、かぜ程度とも見えるが、だから安心とは言えない。

首相の決断がどうあろうと経済は収縮する。発熱中の出勤は、もはや根性と責任感の証しではない。病気なら休むという当たり前の判断が求められている。新型ウイルスは、首相が独善的かどうかという問題を超え、もっと深い部分で現代社会の変化を促しているように見える」。

安倍晋三首相の小中高の一斉休校の決断に、1918年からのスペイン風邪に対する「セントルイスの経験」が根拠にあるは正論である。米国で50万人が死んだというスペイン風邪で,直ぐに、学校、教会、集会施設を閉鎖した中西部のセントルイス市は、対応は遅れた東部フィラデルフィアに比べ、感染者拡大のピークが2カ月遅く、しかも低めに表れ、死亡率はフィラルディルフィアの4分の1だったという。日本をして「第2のセントルイスに」との強権発動である。

日本も更なる危機意識を

政治

日経に「新型肺炎感染者数に不信」「湖北省1・4万人増、臨床診断も対象」
が書かれている。

「新型肺炎の発生源である中国の湖北省で、12日だけで新たな感染者が1万4840人増え、同省の累計感染者数は4万8206人に達した。感染者の定義を広げ、臨床診断で肺炎の症状が見つかった1万3332人を新たに対象に加えた。早期の診断で感染拡大を防ぐ狙いだが、唐突な変更に感染者の統計をめぐる住民の不信が高まりそうだ。

≪湖北省・武漢市トップ解任≫

国営新華社通信は13日、中国共産党中央委員会が湖北省トップの?超良同省党委員会書記を更迭し、習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近である応勇上海市長を後任に充てる人事を決めたと伝えた。

同省武漢市トップの馬国強・市党委員会書記の解任も決めた。新型肺炎の情報公開に関して、湖北省と武漢市の対応の遅れを批判する声が強まっていた。

新型肺炎の患者は疑い症例と確認症例の大きく2つに分かれる。疑い症例は湖北省武漢市などに最近行き、発熱や白血球減少などの症例が出た人が対象になる。このうち、鼻やのどの粘膜を採取する『核酸検査』でウイルスが見つかれば確認症例になる。11日分までは確認症例だけを感染者として公表してきた。

ただ患者が最も多い武漢では核酸検査の精度がかねて疑われてきた。明らかに発熱や肺炎の症状があるのに、検査で『陰性』の結果が出る人も多かったとされる。

病床数が足りないため疑い症例では入院できず自宅で隔離される。このうち一部は実際にはウイルスに感染しており、こうした『偽陰性』の人が感染を広げた、との指摘が専門家から出ていた。住民からも当局公表の感染者数は『実態より少ない』との批判が渦巻いていた。

このため国家衛生健康委員会は4日、指針を改定した。疑い症例のうちコンピューター断層撮影装置(CT)の画像検査で肺炎の症状が見つかった場合は『臨床診断症例』と分類する。湖北省に限った措置になる。

CT検査にかかる時間は数分間と短く、疑い症例のうち本当に感染している人を簡単にふるいにかけられる。肺炎の症状が見つかれば『患者』として扱われて入院できる。自宅などで感染が広がるのを防げる。

当局の対応をめぐっては、湖北省武漢市が1月に新型肺炎の拡大にいち早く警鐘を鳴らした李文亮医師らを処分した。李氏が2月7日に新型肺炎で亡くなると、ネット上で当局への不満が噴出していた。

中国共産党は2月3日の最高指導部会議で『至らなかった部分を補っていかなければならない』と結論づけており、湖北省と武漢市の両トップ更迭で体制を立て直す」。

中国の湖北省で、12日だけで新たな感染者数が1万4840人増え、累計4万8206人となった。感染症の定義を広げ、臨床診断で肺炎の症状が見つかった1万3332人を加えたからだという。ネットでは、ファクトはその10倍あるが飛び交っている。そもそも病床が足りず、自宅待機が多数だからである。死亡者も1500人の10倍の1・5万人がファクトとなるが。

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