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改悪したのは誰か

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産経の主張に「郵政3社上場」「完全民営化の将来像示せ」が書かれている。
「小泉純一郎政権下で始まった郵政民営化が大きな節目を迎えた。日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の郵政グループ3社が同時に上場を果たした。
政府の関与が段階的に薄まり、3社の経営は市場を通じて厳しい目にさらされる。収益基盤を確立し、企業価値を高める経営に尽力せねばならない。
だが、郵政民営化が道半ばだということを忘れてはなるまい。国の後ろ盾による官業体質を排し、民間との公正な競争を促すのが本筋だ。金融2社の完全民営化への道筋など、具体的な将来像を早急に示すことが肝要である。

3社の初値は、いずれも売り出し価格を上回る人気をみせた。個人株主が中心であり、『貯蓄から投資へ』という市場活性化の流れを確実にする契機としたい。株の売却収入が復興財源に充てられることも踏まえ、安定的に株価を高める取り組みを徹底すべきだ。
郵政民営化法は、全国の郵便局で一律のサービスを提供するよう義務づけている。公共性を保ちつつ、確実に収益を高めることは容易ではない。
課題ははっきりしている。日本郵政が全株式を保有する日本郵便の郵便・物流事業は、電子メール普及などの逆風を受ける赤字体質だ。オーストラリアの物流大手買収を生かし、国際物流事業の強化などを急ぐ必要があろう。
グループの利益の多くを稼ぐゆうちょ銀とかんぽ生命の体質強化も重要だ。国債に依存した資金運用の多様化は急務である。民間金融機関との連携で収益を高める戦略も深化させたい。

懸念は、当面、日本郵政が保有する金融2社の株式売却が5割程度にとどまることだ。政府の間接的な保有が残るままでは『民業圧迫』の恐れが解消できず、融資などの新規事業に無条件で参入することは適切ではない。
最終的な郵政グループの組織形態が見通せない現状では、市場が3社の中長期的な経営を見極めるのも難しいのではないか。
政治との関わりにも不安が残る。自民党からはゆうちょ銀の預入限度額引き上げなどの提言もあった。現状では国の信用を背景にした肥大化につながりかねず、民営化の趣旨に逆行する動きだ。政治に翻弄され続けた宿痾を断ち切れるかが、民営化の成否を握るのは言うまでもない」。

主張の結語である「政治に翻弄され続けた宿痾を断ち切れるかが、民営化の成否を濁るのは言うまでもない」は、正論である。
小泉純一郎政権下で決めた郵政民営化法には、2017年までに金融2社の完全民営化が明記されていたのに、民主党政権下での改悪によって、凍結、そして東日本大震災後、2012年に努力目標に変えられたからである。

問題は、改悪したのは誰か、である。自民党支持から民主党支持に替わり、再度自民党支持に戻った特定郵便局長を中心とする郵政グループと自民党から離党し、再度戻った旧郵政族である。これら抵抗勢力との戦いなくして完全民営化への道はない。来年7月の参院選に、完全民営化を阻止すべく、郵政グループは、自民党公認で代表候補を擁立し、40万票獲得を、目指すが、それに抗して、郵政完全民営化を目指す改革勢力結集して対立候補を擁立し、100万票以上を獲得する必要がある。安倍晋三首相の決断次第である。

産経の「石平のChina Watch」に、「『裸の王様』となった習主席」が書かれている。
「先月27日、米海軍のイージス艦が南シナ海の、中国の人工島周辺海域を航行した。中国政府は『中国に対する深刻な政治的挑発だ』と強く反発したが、米軍の画期的な行動は、実は外交面だけでなく、中国の国内政治にも多大なインパクトを与えている。
話は9月下旬の米中首脳会談にさかのぼる。この会談が双方にとって大失敗であったことは周知の通りだ。南シナ海問題などに関する米中間の溝はよりいっそう深まり、米国の習近平主席への失望感が一気に広がった。
過去数年間、習主席は米国とのあらゆる外交交渉において自らが提唱する『新型大国関係構築』を売り込もうとしていた。『対立せず、衝突せず』を趣旨とするこのスローガンは『習近平外交』の一枚看板となっているが、訪米前日の人民日報1面では、習主席は米国側との新型大国関係構築を『大いに前進させよう』と意気込んだ。

しかし訪米の結果は散々であった。習氏が唱える『新型大国関係』に対してオバマ政権は完全無視の姿勢を貫き、習主席の『片思い』はまったく相手にされなかった。
その時点で習主席の対米外交はすでに失敗に終わっているが、中国政府と官製メディアはその直後からむしろ、『習主席訪米大成功』の宣伝キャンペーンを始めた。
まずは9月26日、人民日報が1面から3面までの紙面を費やして首脳会談を大きく取り上げ、49項目の『習主席訪米成果』を羅列して、筆頭に『新型大国関係構築の米中合意』を挙げた。同27日、中央テレビ局は名物番組の『焦点放談』で『習主席の知恵が米国側の反響を起こし、米中が新型大国関係の継続に合意した』と自賛した。同29日、今度は王毅外相がメディアに登場し『習主席のリーダーシップにより、米中新型大国関係が強化された』と語った。

この異様な光景は世界外交史上前代未聞の茶番だった。米中首脳が『新型大国関係構築』に合意した事実はまったくなかったにもかかわらず、中国政府は公然と捏造を行い『訪米大成功』と吹聴していたのである。それはもちろん、ひたすら国内向けのプロパガンダである。習主席訪米失敗の事実を国民の目から覆い隠すためにはそうするしかなかった。『新型大国関係構築』がご破算となったことが国民に知られていれば、習氏のメンツは丸つぶれとなって『大国指導者』としての威信が地に落ちるからだ。
まさに習氏の権威失墜を防ぐために、政権下の宣伝機関は『訪米大成功』の嘘を貫いたが、問題は、米海軍の南シナ海派遣の一件によってこの嘘が一気にばれてしまったことである。オバマ政権が中国に対して『深刻な政治的挑発』を行ったことで、習主席訪米失敗の事実は明々白々なものとなり、米中両国が『新型大国関係構築に合意した』という嘘はつじつまが合わなくなった。しかも、米海軍の『領海侵犯』に対して有効な対抗措置が取れなかった習政権への『弱腰批判』が広がることも予想できよう。
今まで、習主席はいわば『大国の強い指導者』を演じてみせることで国民の一部の支持を勝ち取り、党内の権力基盤を固めてきたが、その虚像が一気に崩れてしまった結果、彼はただの『裸の王様』となった。
いったん崩れた習主席の威信回復は難しく、今後は政権基盤が弱まっていくだろう。反腐敗運動で追い詰められている党内派閥が習主席の外交上の大失敗に乗じて『倒習運動』を展開してくる可能性も十分にあろう。
1962年のキューバ危機の時、敗退を喫した旧ソ連のフルシチョフ書記長はわずか2年後に失脚した。今、米軍の果敢な行動によって窮地に立たされた習政権の余命はいかほどだろうか」。

9月下旬の米中首脳会談の大失敗の事実が、米海軍の南シナ海派遣によって、国内で露呈し、習主席の威信が一挙に崩れてしまった。1962年のキューバ危機で敗退した旧ソ連のフルシチョフ書記長は2年後に失脚したが、同じ轍を踏むか。

日経に瀬能繁・編集委員が「官業脱却、市場が監視」を書いている。

「ドイツから遅れること15年。日本郵政グループ3社がようやく株式上場を果たした。市場の規律を生かす普通の企業への一歩は、人口減時代の日本経済の行方を占う試金石でもある。
『遅ればせながら、だんだん進んでいる』。4日、小泉純一郎元首相はこう語った。『国有国営』の非効率をただそうとした郵政民営化法の成立から10年。株式会社として2007年に発足した日本郵政は『民営』ながら『国有』というねじれを残した。政争の具になった結果、経営の緊張感も失われ『設備投資も止まった』(日本郵政幹部)。
郵政上場は『民有民営』の普通の企業への出発点だ。課題は『株主の経営監視をテコに市場での競争を通じて成果を上げること』(郵政民営化委員長を務めた田中直毅国際公共政策研究センター理事長)に尽きる。豪トール社買収などをテコに2万4000の郵便局網の生産性を上げる経営の手腕が焦点だ。
官業の引力はなお強い。自民党はゆうちょ銀行への預入限度額を増やすよう求める。資産効率化をめざす経営陣が求めない提言は『お節介』に等しい。政治の介入で経営が迷走し時価総額が減れば郵政株の売却益を財源とする復興資金も足りなくなる。このねじれを政治はどうとらえるか。

過疎地が求める郵便局網の維持は切実な願いだが、法律でユニバーサルサービス(全国展開)義務を課す仕組みが正しいかは別問題だ。日本郵政自身が『(全国津々浦々の郵便局網は)大きな組織の基礎であり、国民の支持がある』(西室泰三社長)と考えている。民の工夫を生かす仕組みにしなければ草の根の改革も芽生えないだろう。
郵政上場は民営化法の再設計の時期が来たことも意味する。川本裕子早大教授は『(旧国鉄のような)地域分割や郵便局網の民間開放を考えてもいい』と言う。金融2社の完全民営化の時期すら曖昧な現行法では投資マネーもいずれ背を向ける。
郵政上場の8日前、イタリアの郵政会社も株式を上場した。ドイツと比べれば日本もイタリアも出遅れ組だ。経営も政策も待ったなしで次の一手を迫られている」。
氏が指摘している「郵政上場は民営化法の再設計の時期が来たことも意味する」は、正論である。金融2社の完全民営化の時期を明示すべきである。投資マネーが背を向けるからである。「国有民営」を「民有民営」に早期にすべきである。ドイツから15年遅れである。
編集 持田哲也

多数決論理最優先

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東京の社説に「多数決がのし歩いては」が書かれている。
「安全保障関連法の強行可決にみられるように、国会ではますます『数の論理』が幅をきかせています。でも、多数決は本当に万能なのでしょうか。
掃除当番は面倒なものです。誰も進んでやりたくない仕事です。でも、毎日、誰かが引き受けなければなりません。そこで、こんな提案がありました。
『誰か一人にやってもらおう』そうして、『誰か』にA君が指名されてしまいました。来る日も、来る日もA君が一人で掃除当番を引き受けるという案です。みんなで多数決をした結果、『A君が毎日、一人で掃除当番をする』という案が過半数になってしまいました。
<掃除当番の押し付けは>
さて、こんな投票は許されることなのでしょうか。こんな多数決は有効なのでしょうか。実は掃除当番のエピソードは、弁護士の伊藤真さんが書いた憲法の絵本『あなたこそ
たからもの』に出てきます。絵本には、こんな説明があります。
<たとえ、たくさんのひとがさんせいしても、ただしくないこともあるんだ。わたしたちは、ぜったいまちがえない、とはいえない。わたしたちが、えらんだだいひょうも、いつも、ただしいことをするとは、かぎらない>
確かに面倒だからといって、A君に掃除当番を押しつけたことは正しくありません。提案自体も多数決の結果も間違っているわけです。では、なぜ間違いだといえるのでしょうか。
ずばり、A君の人権が侵されているからでしょう。毎日、苦痛な掃除当番を一人に背負わせるのは、基本的人権の観点から許されません。A君という『個人の尊重』からも問題でしょう。絵本の文章はこう続きます。<だから、ほんとうにたいせつなことをけんぽうに、かいておくことにし
たんだ>
<民主政治の落とし穴は>

日本国憲法の三大柱は、基本的人権と国民主権、そして平和主義です。憲法前文にはとりわけ基本的人権が優先する形で書かれています。しばしば国民の間で行われた多数決の結果を『民意』と呼んだりしますが、たとえ民意が過半数であっても、基本的人権は奪うことができません。
『A君に毎日、掃除当番をさせる』という多数決の結論は、『多数の横暴』そのものです。立憲主義憲法では、それを許しません。立憲主義は暴走しかねない権力に対する鎖であると同時に、民意さえ絶対視しない考え方です。いかなる絶対主義も排するわけです。民意もまた正しくないことがあるからです。ナチス・ドイツのときが典型例でしょう。
初めはわずか7人だったナチス党は国民の人気を得て、民主的な手続きによって、1933年にドイツ国会の第一党となりました。内閣を組閣したヒトラーは議会の多数決を利用しました。そして、政府に行政権ばかりでなく立法権をも与える法律をつくりました。『全権委任法』です。
議会は無用の存在となり、完全な独裁主義の国となりました。戦後間もないころ、旧文部省がつくった高校生向けの『民主主義』という教科書では、このテーマを『民主政治の落とし穴』というタイトルで描いています。
<多数決という方法は、用い方によっては、多数党の横暴という弊を招くばかりでなく、民主主義そのものの根底を破壊するような結果に陥ることがある><多数の力さえ獲得すればどんなことでもできるということになると、多数の勢いに乗じて一つの政治方針だけを絶対に正しいものにまでまつり上げ、いっさいの反対や批判を封じ去って、一挙に独裁政治体制を作り上げてしまうことができる>
旧文部省の教科書は何とうまく『多数の横暴』の危うさを指摘していることでしょう。多数決を制したからといって、正しいとは限りません。それどころか、多数決を乱発して、独裁政治にいたる危険性もあるわけです。
確かに多数決は民主的手続きの一つの方法には違いありません。しかし、少数派の意見にも十分耳を傾けることや、多数決による結論に対する検証作業も同時に欠かせない手続きといえます。

<「4分の1」の尊重を>

臨時国会の召集を野党が憲法53条の規定に基づいて求めましたが、政府は『首相の外交日程』などを理由に拒みました。議員の4分の1の要求があれば、召集を決めねばならないという規定です。
『4分の1』という数字は、むろん少数派の意向を尊重する意味を含んでいます。多数決論理ばかりが横行して、『4分の1』という少数派の『数の論理』を無視しては、民主主義がうまく機能するはずがありません」。
社説の結語である「多数決論理ばかりが横行して,『四分の一』という少数派の『数の論理』を無視しては、民主主義がうまく機能するはずがありません」に、異論がある。
民主主義とは、最後は、多数決論理最優先だからである。少数派の意見も尊重するが、最後の決は、多数決に拠るとしているのが、民主主義である。
問題は、社説が指摘しているように、多数決を乱発して独裁政治に至る危険性があるのか、である。ナチス・ドイツのことを指しているが、戦後の日本国憲法下で三権分立が整備された民主主義国日本ではあり得ない。事実、戦後70年に一度も独裁政治体制があったのか、である。戦後の欧米の民主主義国においても、その例を見ない。むしろ独裁政治体制は旧ソ連、中国、北朝鮮などの共産主義国のみである。そもそも、共産主義国には、議会制民主主義が存在しえない。民主主義を全否定する全体主義である。民主主義の根幹である多数決の論理から独裁政治体制への移行はありえない。

読売の「政治の現場」「揺れる沖縄」�に「菅氏、知事の矛盾突く」が書かれている。
「政府は、沖縄県が反対する米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を進めるため、一気に攻勢に出た。10月28日に高裁への提訴に向けた法的手続きに着手し、翌29日には移設先で作業を再開させた。
内閣で沖縄問題を仕切る菅官房長官は、知事の翁長雄志の『弱み』を分析し、揺さぶりをかけ続けてきた。
7月4日夜、東京都内の日本料理店。菅は翁長と副知事の安慶田光男を招いた。場が和んだ頃、菅は『全ての移設作業を止めるので、8月から集中的に協議しませんか』と語りかけた。翁長は歓迎し、対話を継続させることが決まった。
だが、菅にとって本題は別にあった。沖縄県議会で焦点となっていた条例案への対応を確かめることだ。条例案は県内に搬入される埋め立て用の土砂や石材を『外来生物の侵入防止』を理由に規制するもので、社民、共産両党など翁長を支える5会派が6月に県議会に提出していた。
条例化の狙いは辺野古移設を遅らせることにあった。これに対し、菅は、県が早期開業を求めている那覇空港第2滑走路の整備も対象になることに目を付け、翁長側に2020年を予定している開業が大幅にずれ込むとの見通しを伝えていた。
翁長らは『条例案は議員が提案したもので、運用は県がやる。同じ場所の土砂なら、一部を調べて問題がなければ搬入を認める』と説明した。じっくりと耳を傾けた菅はその後、周辺にこう指示した。『辺野古への土砂は第2滑走路と同じ所から持ってくるようにしろ』条例は9日後に成立したが、菅はこの時点で事実上、骨抜きにすることに成功した。
菅は、翁長が別の米軍用地の返還に抵抗する姿をあぶり出すことも狙っている。8月29日、那覇市内のホテル。菅は翁長と再び会談した後、記者団にやり取りを明らかにした。『北部訓練場で今、反対運動があるので、県に協力要請しました。県は<聞き置く>という状況でした』
北部訓練場(約7800ヘクタール)は国頭村と東村にまたがる県内最大の米軍施設だ。日米両政府は約4000ヘクタールの返還に合意しているが、実現していない。輸送機オスプレイが使うヘリコプター着陸帯6か所を訓練場の残りの区域に移すことが返還の条件になっているが、反対派が妨害しているためだ。
翁長は知事選公約で『米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因』と訴えた。だが、北部訓練場の妨害行為は排除せず、返還を実現させようとしていない。なぜか。
公約で『オスプレイの配備撤回』も掲げたためだ。翁長は菅との会談後、記者団からの追及に『オスプレイの配備撤回に頑張る中で、この問題も収斂していくのではないか』と繰り返した。
矛盾した姿勢は、那覇市の中心部にある米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の返還計画でも見られる。返還の前提である浦添市沖への移設について、那覇市長時代は賛成していたが、知事に就いてからは賛否を明言しなくなった。政府関係者は『辺野古移設に反対しながら同じ県内移設に賛成すれば、<二枚舌>と批判されるからだ』と指摘する。
菅は4月23日、3日前に移設を受け入れた松本哲治浦添市長を首相官邸に迎え、「全面的に協力する」と約束した。直後の記者会見では「政府は目に見える形で沖縄の米軍基地の負担軽減をするために全力で取り組んでいる」と強調し、翁長をけん制した。
だが、こうした揺さぶり作戦に展望があるわけではない。翁長は辺野古移設に徹底抗戦する構えを崩していないからだ。菅は10月29日、訪問先の米領グアムで『普天間飛行場の危険除去と閉鎖に向けて、首相から<やれることは全てやるように>と強い指示をもらっている』と述べ、辺野古移設の実現に改めて決意を示した。混迷を深める普天間飛行場の移設問題はどのような決着をみるのか。菅と翁長の神経戦はこれからも続く。

<普天間跡地、経済効果32倍>

米軍普天間飛行場(約481ヘクタール)を含む沖縄県中南部の米軍用地の跡地利用について、県と関係市町村は2013年に構想をまとめている。普天間飛行場の場合は、幹線道路や高度情報通信基盤などを整備し、コンベンション施設や医療・生命科学産業、再生可能エネルギー産業などの導入を目指すことが柱だ。県はこの構想をもとに米軍用地の返還による経済効果を分析し、今年1月に結果を公表した。それによると、普天間飛行場が返還された場合の年間の経済効果(施設・基盤整備による効果を除く)は3866億円で、返還前の120億円の32倍に増える。那覇港湾施設(約56ヘクタール)では、流通産業や都市型文化産業の導入などにより、年間の経済効果は30億円から1076億円と36倍に跳ね上がる」。
沖縄県が普天間返還による跡地の経済効果を年間3866億円と試算している、返還前の120億円の32倍である。にもかかわらず、翁長知事は辺野古移設に反対している。矛盾である。県民にこの矛盾を周知徹底させるべきである。

東京の「本音のコラム」に山口二郎・法政大教授が、「真ん中とは何か」を書
いている。
「野党結集について、野党第一党である民主党の態度が煮え切らない。この党の政治家はいったい誰に支持してもらいたいと思っているのか、気が知れない。
細野豪志政調会長は、共産党と組んだら保守票が逃げるという。逃げるほどの保守票をもらっているのかねと、嫌みの一つも言いたくなる。安倍自民党が右傾化する中、中央が空いているので、民主党は中央を取らなければならないという細野氏の主張には同感する。しかし、中央とは何か細野氏が理解しているとは思えない。
中央あるいは中庸とは、足して二で割る微温的態度ではない。さまざまな立場を尊重し、常識に基づいて合意を目指す政治的態度である。真に人道や常識を重んじる穏健・中庸の知性の持ち主なら、権力をかさに着て、憲法を意図的に踏みにじり、沖縄や原発事故被害者を無視する安倍政権に対しては、性根が腐っていると断罪すべきである。
民主党では、国会前のデモに参加して市民の思いに触れた政治家と、そうでない政治家の分離現象が起こっている。市民に背を向け、保守票とやらにしがみつくならば、民主党は遠からず消滅する。日本の政治に必要なのは、自民党の二軍ではなく、安倍政権の政策と政治手法を正面から批判し、別の道筋を提示する野党である」。
「真ん中とは何か」に異論がある。真ん中とは、「安倍政権の政策と政治手法を正面から批判し、別の道筋を提示する野党」のことだと指摘しているからである。それは、共産党を指している。共産党は誰が見ても左翼だが。共産党礼賛の度が過ぎている。

編集 持田哲也

プーチン大統領の年内訪日を断念せよ

国際 政治 社会

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朝日の社説に「択捉島訪問」「ロシアの無益な挑発」が書かれている。
「ロシアのメドベージェフ首相が、北方領土の択捉島を訪問した。領土問題で日本に譲歩する考えはないとし、今後も訪問を続けると発言している。
隣国同士で係争中の領土がある場合、あくまで対話を通じて平和的な着地点を探る。それが責任ある国家のとるべき態度である。ことさらに実効支配を誇示するような挑発的な動きは、厳に慎むべきだ。
こうした行為は、両国の対話の努力に水を差すものであり、日本政府が即座に抗議したのは当然である。岸田外相の訪ロやプーチン大統領の年内訪日の見直しもやむをえまい。
メドベージェフ氏の北方領土訪問は3度目だ。大統領だった2010年、ソ連・ロシアの最高指導者として初めて国後島を訪れた。首相就任後の12年に択捉島訪問を計画したが、悪天候のため再び国後島を訪れた。
ウクライナ危機をめぐり、米欧は対ロ圧力を増しているのに比べ、日本は対話をつなぐ姿勢をとってきた。だが、そのパイプをロシア側が細めた形だ。国際社会で孤立し、強まる制裁下で経済的にも苦しいプーチン政権は、国内批判をかわそうと国民のナショナリズムをあおっている側面もありそうだ。
だとしても、隣国への思慮を欠く振る舞いは、歴史的な日ロ間の対立の溝を広げるだけで、誰の利益にもならない。
ただ、ロシアの対外政策は、巧妙に硬軟緩急を絡ませるのが常だ。領土問題で日本を突き放す姿勢と並行して、ロシア国内での開発投資に秋波も送る。
プーチン氏の真意はどこにあるのか依然見えないし、それが彼らの外交戦術でもあろう。いまの国際情勢の中で、日本との間でどんな関係を描いているのか、慎重に探るほかない。
安倍首相はきのうの参院予算委員会で、択捉島訪問について『極めて遺憾』としたうえで、プーチン氏との対話を通じて交渉を続ける意向を示した。
戦後70年たっても、いまだに平和条約が結べないのが、日ロ間の現実である。膨張する中国との向き合い方や、エネルギー問題を含め、北東アジアの安定秩序づくりを探るうえで、日ロの関係を長期的に強化してゆくことは欠かせない。
対話の環境づくりのためにも安倍政権はロシアに対し、国際社会との協調を強く求めねばならない。領土問題の交渉に当面の成果を急ぐより、国際秩序へのロシアの復帰を促すことが、長い目で見れば日本の北方領土をめぐる立場を強めることにつながるはずだ」。
社説の結語である「領土問題の交渉に当面の成果を急ぐより、国際秩序へのロシアへの復帰を促すことが、長い目で見れば日本の北方領土をめぐる立場を強めることにつながるはずだ」は、正論である。安倍首相は昨日の参院予算委員会で、択捉島訪問について、「極めて遺憾」とした上で、プーチン氏との対話を通じて交渉を続ける意向を示したが、弱すぎる。ウクライナ問題を巡る米欧の対ロ圧力の全面協力に踏み込むべきである。プーチン大統領の年内訪日を断念し、ロシア制裁に徹するべきである。

 

産経に田村秀男・編集委員が「自壊始まった異形の経済」を書いている。
「人民元切り下げをきっかけに、中国経済の自壊が始まった。チャイナリスクは世界に広がり堅調だった日米の株価まで揺さぶる。党が仕切る異形の市場経済が巨大化しすぎて統制不能に陥ったのだ。打開策は党指令型システムの廃棄と金融市場の自由化しかない。
中国自壊はカネとモノの両面で同時多発する。11日に元切り下げに踏み切ると、資本が逃げ出した。党・政府による上海株下支え策が無力化した。
 
12日には自動車や鉄鋼・金属関連の大型工場が集中している天津開発区で猛毒のシアン化ナトリウムの倉庫が大爆発した。天津爆発の翌日は遼寧省で、22日には山東省の工場が爆発した。過剰生産、過剰在庫にあえぐ企業はコストがかかる保安体制で手を抜く。党官僚は、企業からの賄賂で監視を緩くする。党内の権力闘争もからむだろうが、基本的には党指令体制が引き起こした点で、工場爆発は元安・株価暴落と共通する。
鉄鋼の場合、余剰生産能力は日本の年金規模1億1千万トンの4倍以上もある。自動車産業の総生産能力は年間4千万台を超えるが、今年の販売予想の2倍もある。これまでの元安幅は4~5%だが、輸出増強に向け、もう一段の元安に動けば資本逃避ラッシュで、金利が急騰し、逆効果になる。
過剰生産自体、党による市場支配の副産物である。鉄鋼の場合、中国国内の需要の5割以上が建設、不動産およびインフラ部門とされるが、党中央は2008年9月のリーマン・ショック後に人民銀行の資金を不動産開発部門に集中投下させて、ブームをつくり出した。自動車の過剰生産も構造的だ。党内の実力者たちが利権拡張動機で、影響下に置く国有企業各社の増産、シェア競争を促す。
需給や採算を度外視した企業の行動は通常の場合、万全とはいえないとしても、銀行や株式市場によってかなりの程度、チェックされる。ところが中国の場合、中央銀行も国有商業銀行も党支配下にある。株式市場も党が旗を振れば金融機関もメディアも一斉に株価引き上げに奔走する。その結果、株価は企業価値から大きく乖離し、典型的なバブルとなる。
 
おまけに、中国主導のアジアインフラ投資銀行設立と『元国際化』に執着する習近平政権は実体経済の不振にもかかわらず元高政策を取り続け、デフレ圧力を呼び込んできた。結局、元安調整に転じたが、カネが一斉に逃げ出した。
党指令型経済の破綻はもはや隠しおおせない。習近平政権は不正蓄財を摘発しても、党権益全体の喪失につながる抜本的な改革に踏み出せるはずはない。国際金融の総本山、国際通貨基金(IMF)はやんわりと元の変動相場制への移行や金融自由化を促し始めたが、安倍晋三政権はこの際、米国と結束し、欧州や他の新興国とも連携し、中国に対して早期実行を迫るべきだ。さらに、財政・金融両面でアベノミクスの再強化を図るときだ」。
氏が指摘している「党指令型経済の破綻はもはや隠し通せない」は、正鵠を突いている。中国の異形の経済の自壊が始まったのであり、解決策は、変動相場制への移行、金融自由化しかない。中国共産党一党独裁体制の崩壊につながるが。

 

日経に「株安・円高、政権に影」「支持率低下に拍車も」「与党に補正論」が書かれている。
「日経平均株価の大幅下落を受け、政府・与党内には24日、政権運営への影響を懸念する声が広がった。安倍晋三首相は就任以来、金融の異次元緩和など『市場重視』の政策で株高・円安を演出し内閣支持率を下支えしてきた。生命線ともいえる市場の逆方向の動きは、支持率低下に拍車をかけかねない。与党からは2015年度補正予算など経済対策を求める声も上がる。
24日、政権幹部らは景気の先行き不安の打ち消しに躍起となった。『企業業績は過去最高水準になり(日本経済は)緩やかに回復基調にある』。菅義偉官房長官は記者会見でこう力説し、国内経済の堅調ぶりをアピールした。甘利明経済財政相は参院予算委員会で『中国経済も落ち着いてくるのではないか』と述べ、さらなる環境悪化の見通しを打ち消した。政府は今回の急激な株安・円高の背景を『海外要因』と説明している。
政権が市場動向に敏感になるのは、高株価が内閣にとっての『生命線』と考えているためだ。

 
12年12月の第2次安倍政権の発足後、支持率は株価と共に上昇。首相も『アベノミクスで行き過ぎた円高が是正された』『株価が上がった』と成果を強調してきた。
一方、最近では内閣支持率は急落している。衆院での安全保障関連法案の採決時の混乱や、首相を支持する自民党議員や周辺らの発言が問題となったことなどが背景にある。『これまで支持率は景気、株価で持っていた』(政府高官)との見方が強く、頼みの綱である経済までつまずけば政権基盤が揺らぎかねない。
17日に内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、3四半期ぶりにマイナスだった。甘利経財相は『一時的な要素がかなり大きい』と指摘していたが、市場発の株安・円高が続けば、実体経済にもさらに悪影響が出てくる。
与党内では経済対策を求める声も上がり始めた。『経済は人の心理も大きく影響する。かなり不安心理が広がっている。拡大しないような手を打つことが必要かと思う』。自民党の谷垣禎一幹事長は24日夕の記者会見で強い警戒感を示した。
参院予算委では、公明党議員が『機動的な財政政策である第2の矢を再び放ち、成長戦略への橋渡しをすべきだ』と首相に訴えた。首相は『第2の矢も含め、今後とも3本の矢の政策を一体として経済再生を図りたい』と述べるにとどめた」。
最大の経済対策は、17年4月の再増税策先送りとなる。4月~6月期のGDP速報値が3四半期ぶりにマイナスとなったのは、消費増税による個人消費の低迷にあるからだ。16年7月のダブル選の可能性が強まったといえる。

 
 

編集 持田哲也

内閣支持率45%、不支持率45%で拮抗

政治 社会 経済

 8月12日、安倍晋三内閣の支持率低下に対し、日本株は逆行して上昇してきた。その背景には支持率が下がれば、財政出動など政策を打ち出すとの期待がある。都内で5月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

読売に「70年談話『評価する』48%」「本社世論調査『しない』は34%」が書かれている。
「読売新聞社は15~16日、全国世論調査を実施した。戦後70年の安倍首相談話を『評価する』と答えた人は48%で、『評価しない』の34%を上回った。先の大戦への『痛切な反省と心からのおわび』を表明した、歴代内閣の立場を引き継ぐ考えを示したことを『評価する』は72%に達し、『評価しない』の20%を大きく引き離しており、談話を好意的に受け止める人が多かった。
首相は談話で、『先の世代に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません』と述べた。今後も日本が『謝罪を続ける方がよい』とした人は27%で、『そうは思わない』が63%に上った。談話が、中国や韓国との関係に『悪い影響を与える』は19%、『良い影響を与える』は14%で、『とくに影響はない』が50%だった。
安倍内閣の支持率は45%と、前回調査(7月24~26日)の43%からほぼ横ばいだった。不支持率は前回の49%から4ポイント下がり、45%。前回は第2次安倍内閣発足以来、初めて不支持率が支持率を上回っていたが、今回は同率で並び、支持率下落に歯止めがかかった。
参院で審議中の安全保障関連法案については、『賛成』が31%、『反対』が55%となった。法案の今国会での成立に『賛成』は26%(前回26%)、『反対』は64%(同64%)だった。政府・与党が法案の内容を十分に説明していると思わない人は79%(同82%)と、国民への理解は広がっておらず、政府にはより丁寧な説明が求められそうだ」。
15,16日実施の読売調査で、内閣支持率は前回調査(7月24~26日)より2ポイント増の45%、不支持率は4ポイント減の45%と拮抗した。70年談話を「評価する」48%が押し上げたからである。特に、「歴代内閣の立場を引き継ぐ」を評価するは72%に達した。4つのキーワードを使ったことが正解であった。
問題は、今国会での安保法案成立に反対が64%もあることだ。「安保法案は戦争法案」に同調しての反対64%であるから、「歴代内閣の立場を引き継ぐ」を評価する72%と矛盾するが。「70年の安倍談話」と「安保法案は戦争法案だ」は、真逆である。安倍首相への信が戻る契機となるが。「安保法案は戦争法案だ」に、国民が疑問を感じ出したのである。騙されたとして、離反した内閣支持層が回帰してくるから、そのコアである自民支持層の思想武装が急務となる。内閣支持率は再度、50%台に戻るが。

 

日経に「GDP実質年率1・6%減4~6月」「7~9月は官民プラス予測」「中国減速がリスク」が書かれている。
「政府が17日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、輸出と消費が振るわず、3四半期ぶりのマイナス成長となった。落ち込みは一時的で7~9月期以降はプラス成長に戻るというのが官民に共通する見方だが、中国経済の減速や食品値上げによる消費者心理の悪化は景気回復シナリオの逆風になりかねない。
内閣府がまとめた4~6月期のGDP速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0・4%減、年率換算で1・6%減となった。

 

<「一時的な要素」>

 

ただ政府も民間調査機関もマイナス成長は一時的で景気は踊り場にあるとみている。甘利明経済財政・再生相は17日の記者会見で、天候不順によるエアコン販売減少や増税による軽自動車の販売減などを踏まえ、『一時的な要素はかなり大きい。回復の見込みはかなりある』と分析した。
民間調査機関10社がまとめた予測を集計したところ、7~9月期の実質経済成長率の見通しは平均で年率1・9%増。2期連続のマイナス成長を予測するところはなく景気後退局面に入るとの見方は出ていない。野村証券の木下智夫氏は『輸出、個人消費、設備投資の3つのエンジンで景気は回復軌道に戻る』とみる。
個人消費は猛暑で飲料などの季節商品の売れ行きが伸びるほか、3月末に交付決定されたプレミアム付き商品券の9割が9月末までに販売されることも下支えになる。設備投資は4~6月期に横ばい圏にとどまったが、日銀や日本政策投資銀行の調査では強気の計画が相次いでいる。
ただ下振れリスクは残る。海外景気の減速を受けた4~6月期の輸出は想定以上の落ち込みだった。中国や東南アジア向けのスマートフォン用部品や自動車が落ち込んだほか、米国向けの生産機械も振るわなかった。
バークレイズ証券の森田京平氏は『米国経済の回復を受けて、輸出は7~9月期は増加する」と予測するが、中国などアジア向け輸出の先行きは不透明感が強い。中国の人民元切り下げは中国景気の回復に寄与する可能性がある一方で、日本の貿易にとっては安価な中国製品の輸入が増え、輸出が減るリスクがある。

 

<元安も懸念材料>

 

元安で中国人の購買力が落ちれば、訪日外国人消費もペースダウンしかねない。訪日客消費は4~6月期に実質で年率換算2・5兆円と過去最高になっただけに、冷え込むようなことがあれば地域経済の打撃になる。
資源国や新興国の景気も懸念材料だ。中国の需要減少で原油など商品価格は下落が続いている。米国の利上げで投資マネーの引き揚げが進めば
新興国経済は落ち込み、日本の輸出に響くリスクが増す。
国内では家計の節約志向が強まっているのが懸念材料だ。円安で食用油や調味料など生活必需品の値段が上がり、大企業を中心に春に賃上げがあったにもかかわらず、家計が貯蓄志向を強める兆しが出ている。消費者心理が低下すれば消費の下押し要因になる。

 

<企業好調、海外で稼いでも、国内投資・賃金に回らず>

 

4~6月期は企業業績が好調だったのに国内総生産(GDP)はマイナスに陥った。GDPと企業収益が連動しないのは、企業が海外で稼いだ利益が国内の投資や賃金に回っていないためだ。
日本経済新聞社の集計では、上場する3月決算会社(1532社)の4~6月期の決算から集計した経常利益の合計は、前年同期比で24%増え、9兆円を超えた。金融危機前の07年4~6月期を8年ぶりに上回り、過去最高を更新した。
GDPは国内で発生した付加価値の総額で、海外で稼いだ利益は反映しない。海外から得た利子や配当所得などを含めた国民総所得(GNI)をみると、4~6月期は前期比年率で2・0%増えている。自動車や電機など主力輸出企業の海外売上高比率は6割程度にまで高まったとみられる。村田製作所やTDKは9割超となり、日産自動車も8割半ばだ。海外での稼ぎが企業収益を支える構図となっている。
ただ海外で稼いだ利益は国内の投資や賃金にはさほど回っていない。全雇用者への賃金総額を示す雇用者報酬は4~6月期に実質で前期比0・2%減った。設備投資も0・1%のマイナスだった。
企業は海外の稼ぎを現地で再投資に回したり、現地法人に滞留させたりする傾向がある。収益改善が国内の投資や賃上げに回る循環が生まれなければ、『海外頼みの経済成長となり長続きしない』(明治安田生命の小玉祐一氏)との指摘もある」。
政府が17日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、輸出と消費が振るわず、3四半期ぶりのマイナス成長となったが一時的であり、7~9月以降はプラス成長も戻る。問題は、企業業績が好調なのにGDPがマイナスに陥った理由である。企業が海外で稼いだ利益が国内の投資や賃金に回っていないからである。解決策は、企業の海外工場立地からの国内回帰以外にない。1ドル=125円超の円安水準と中国経済減速が加速させることになるが。

朝日の社説に「マイナス成長」「危うい政策目標と想定」が書かれている。
「内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は3四半期ぶりにマイナス成長となった。物価変動の影響を除いた実質成長率は前期比0・4%減。このペースが1年間続くと想定した年率換算では1・6%減だった。
回復が進むと見られた個人消費が落ち込んだ。円安で食料品などが値上げされたが賃金はそれほど伸びず、実質的な家計の負担が増したためだ。また、円安効果で伸びると期待された輸出も、6四半期ぶりのマイナスだった。
昨年4月の消費増税後、景気はゆるやかに回復していると見られていた。ここにきてのマイナス成長は日本経済の実像を考えるうえで示唆的である。このマイナス成長は何か大きなショックによって引き起こされたものではない。むしろこの間、経済環境は比較的良好だった。企業業績は改善し株価は回復。雇用増の動きも活発だ。訪日観光客の急増で関連産業は潤った。日本銀行は金融緩和を続け、公共事業も高水準だ。
こんな好条件のもとでも日本の成長率はさえなかった。もちろん、世界経済には不安定な動きも確かにあった。欧州ではギリシャ債務問題による混乱があり、中国経済は減速傾向が次第にはっきりしてきた。
とはいえ、こうした海外要因は一時的なものではない。しばらくこの不安定な状況が続くと見たほうがいい。ならば、今後輸出が劇的に増えたり、日本を訪れる外国人観光客の需要がさらに飛躍的に盛り上がったりすることは想定しにくく、外需に過大な期待はできない。

 

政府は、2020年度に基礎的財政収支を黒字にするという財政健全化計画を掲げている。その前提は実質2%、名目3%という高い成長率である。だが、今回のマイナス成長という現実を冷静に分析すれば、成長期待だけで財政再建を進める危うさは自明と言える。
また2%インフレ目標を掲げて大規模な金融緩和を続ける日銀にも、貴重な指標となったはずだ。消費者が先行きの物価上昇を予想すれば、消費を盛んにして需要を押し上げ、成長率は高まる。そんな日銀のシナリオ通りの消費行動は現れていない。この政策に無理があることが、次第にはっきりしてきたのではないか。
政府も日銀も、現実を出発点にして、想定する成長率やインフレ率を修正し、経済戦略や金融政策を組み立て直す。そんな必要があることを、今回のマイナス成長は示唆している」。
社説の結語である「政府も日銀も、現実を出発点にして、想定する成長率やインフレ率を修正し、経済戦略や金融政策を組み立て直す。そんな必要があることを、今回のマイナス成長は示唆している」に異論がある。
マイナス成長は一時的であり、7~9月期はプラス成長に戻るからである。日銀の更なる金融緩和が必須となるが。2%インフレ目標達成のために、である。デフレマインドを払拭するために。

 

編集 持田哲也

本末転倒

政治 社会

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朝日の社説に「『違憲』法案」「限定なき兵站の中身」が書かれている。
「あまりの無限定ぶりと、政府の裁量の幅広さに耳を疑う。新たな安全保障関連法案をめぐる参院審議で、自衛隊が海外で行う兵站(後方支援)の中身の議論が焦点になっている。ここ数日の審議で、政府が法律上、他国軍に対して可能だと説明したのは次の通りだ。
【武器弾薬の輸送】米軍のミサイルや戦車、化学兵器、毒ガス兵器、核兵器

【弾薬の提供】手榴弾、ロケット弾、戦車砲弾、核兵器、劣化ウラン弾、クラスター爆弾

【給油活動】爆撃に向かう米軍の戦闘機や戦闘ヘリに対する空中給油や洋上の給油。核ミサイルや核爆弾を積んだ戦闘機や爆撃機への給油

弾薬の提供などが認められていないこれまでの法制に比べ、時の政権の裁量の余地が大きく広がっているのは間違いない。少なくとも、法文上の歯止めはないに等しい。
たとえば広範囲に子爆弾が飛び散り、不発弾被害も深刻なクラスター爆弾の輸送について、中谷防衛相は『法律上排除はしないが、日本は使用や製造を全面禁止した条約締結国で、慎重に判断する』と含みを残した。放射性物質を含む劣化ウラン弾の輸送も『他国の劣化ウラン弾を輸送できるか確定的に言えない』と明言を避けた。
法律上は可能であっても、実際に行うかどうかは総合的に政策判断する、というのが政府の立場だ。事実、日本は核兵器や劣化ウラン弾、クラスター爆弾を持っておらず、他国軍に提供できないのはその通りだ。
ただ、核兵器の輸送などおよそ想定にしにくいケースはまだしも、一般的に米国から輸送を強く要請された時、日本政府が拒むことは考えにくい。
これまでは、他国軍との武力行使の一体化にあたり、憲法違反になることが一応の歯止めとされていた。それでも、イラクでの自衛隊の空輸活動では、武装した米兵らを輸送していたことが明らかになった。これで安保法案が成立したら、なんでもありにならないか。
法案では、兵站の対象は米軍に限らない。実施地域も『現に戦闘を行っている現場』以外は容認される。世界のどこでも他国軍に弾薬が提供でき、武器弾薬を輸送でき、発進準備中の航空機への給油もできる。
他国軍の武力行使と一体化しかねないこれだけの兵站が、時の政権の政策判断、裁量によってできる余地がある。集団的自衛権の行使容認だけでなく、兵站の中身をみても、違憲の疑いがますます濃い」。
社説の結語である「集団的自衛権の行使容認だけでなく、兵站の中身をみても、違憲の疑いがますます濃い」に異論がある。自衛隊が海外で行う兵站(後方支援)は、そもそも集団的自衛権の行使容認に沿って実施されるものであるから、行使容認が合憲であるから、合憲となるが。問題は、行使容認が合憲か、違憲かである。「兵站の中身をみても、違憲の疑いがますます濃い」は、本末転倒となるが。

日経に「自民総裁選、見えぬ対抗馬」「内閣支持率低下でも」「『10月人事』で冷遇懸念」が書かれている。
「9月末の任期満了に伴う自民党総裁選に向け、安倍晋三首相(党総裁)の対抗馬を擁立する動きが鈍い。内閣支持率は低下傾向で首相への不満がくすぶるものの、10月の内閣改造の『人事カード』も警戒して首相に表立って盾突きにくい雰囲気が漂う。安全保障関連法案や原発再稼働で世論の逆風を受けても、首相が無投票で再選するとの見方は依然として強い。
5日夜、石破茂地方創生相に近い議員でつくる『無派閥連絡会』が都内のホテルで開いた夏季研修会。『自分の選挙区で安全保障法案を分かってもらうために努力しなければならない』。石破氏はこう強調し、総裁選への対応に触れなかった。
石破氏は2012年の総裁選で首相と戦い、決選投票で敗れた。党の地方組織には人気があり、今回も有力な対抗馬になれる位置に立つ。だが党内で首相の再選を支持する声は多く、再選は堅い。『閣僚の立場で首相との政策の違いが浮かべば、党内の反発を招きかねない』と周辺はみる。

<野田氏ら慎重>
要職から外れている議員や、首相の保守路線に疑問を抱くハト派には不満がたまる。そんな勢力が注目するのが野田聖子前総務会長だ。ハト派の元議員からの期待も強く、古賀誠元幹事長は月刊誌のインタビューで、対抗馬が出て選挙戦にすべきだと主張。野田氏のほか岸田文雄外相や林芳正農相の名を挙げた。
野田氏は5日、党本部で記者団に『日々の仕事をこなすので精いっぱい。まずは目の前にある宿題を片付けようという日々だ』と述べ、出馬に慎重な姿勢をにじませた。野田氏の側近は『いま総裁選に出てもその後の人事で干されるだけ。いいことはない』と語る。
首相は再選すれば2018年9月末までの任期を得たうえで、10月に内閣改造・自民党役員人事に踏み切るとみられる。総裁選の出馬には党所属国会議員20人の推薦が必要で、対立陣営の推薦人になった場合に人事で冷遇されかねず、20人を集めるハードルは高い。

<野党はバラバラ>
内閣支持率が下がっても、野党は政権批判層をうまく取り込めていない。野党が弱くてバラバラなため、自民党内で来夏の参院選に向けて危機感を抱いて安倍首相に対抗する動きにつながりにくい。首相が衆院解散のカードを持ちながら、引き続き政権運営の主導権を握っている。
ただ安保法案の参院審議では野党から追求を受け、九州電力川内原発の再稼働も予定している。14日に閣議決定する戦後70年談話の内容次第で内外に波紋を広げ、公明党としこりを残す可能性もある。支持率が落ち込むリスクもはらみ、総裁選の構図は変わる不透明な要素は捨てきれない」。
二階派が、9日、派閥の先陣を切って安倍再選を表明した。10月人事を狙ってのものである。各派閥も再選支持を表明せざるを得ない。無投票再選の流れが決まったと言える。

日経の「風見鶏」に、中沢克二・編集委員が「写真が示す習主席の秋波」を書いている。
「マルコ・ポーロが美しさをたたえた北京郊外の盧溝橋。日中戦争の勃発の地に立つ抗日戦争記念館は7月末、共産党が動員した見学者らであふれていた。赤い旗を先頭に歩く中国各地からの視察団が目立つ。
中国の習近平国家主席は抗日戦争勝利70年の9月3日、北京で大規模な軍事パレードを行う。旧日本軍の侵略を強調する記念館の新たな展示で雰囲気づくりを狙うが、最後の展示室に入ると様相が一変する。安倍晋三首相と習主席が握手する写真が掲げてあるのだ。
『2014年11月10日、習主席は日本の要請に応じて安倍首相と会談しました』学芸員は団体を前にわざわざ北京APEC(アジア太平洋経済協力会議)での3年ぶりの日中首脳会談を紹介した。聴衆はざわつく。ある中年の中国人男性が隣の知り合いに尋ねた。『安倍(首相)はまた北京に来るのか?』
中国では記念館の写真1枚でさえ現実の外交の道具だ。9月の大行事に日本を含む多くの外国首脳の参加を望むトップの意図をくむ。学芸員は付け加えた。
『習主席は(安倍首相に)歴史問題は13億の中国人民の感情にかかわると強調しました』。秋波を送る半面、歴史問題では圧力を加える硬軟両様の構えだ。
習主席の日本への秋波は単なる社交辞令ではない。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に日本を引き入れたいとの思いは強い。その証左がある。4月22日、インドネシアでの日中首脳会談での公表されていない発言だ。習主席は日本のAIIB参加を強く促した。安倍首相が透明性の問題をただし、話が一段落すると習主席は蒸し返した。『ぜひとも参加を』。25分間の短い会談で2度の要請。日本側は真剣さに驚く。中国の対外戦略に日本は必要なのだ。
未公表の内容はまだある。同じ場で習主席は安倍首相に面と向かって9月訪中も招請していた。7月に中国入りした谷内正太郎国家安全保障局長も李克強首相、楊潔?国務委員と突っ込んだ話をしている。軍事パレード参観、式典参加のハードルは高いが、これを避けた形の訪中は焦点だ。

6日のマレーシアでの日中外相会談では首相訪中を巡る発言はなかった、というのが公式見解だ。膠着状態である。前日の王毅・中国外相の立ち話が面白い。
『安倍首相訪中の調整が変数です。日本側から回答はないですか?』。中国国営テレビ記者が水を向けると、王外相は苦笑いしつつ答えた。『かつて聞いたことがない。全く日程上にはない』。発言が中国内で全国放映されたのがミソだ。安倍再訪中の可能性の告知と、実現は日本の態度次第だというけん制だった。
王外相は『北戴河』も気にしていた。中国は今、内政の季節である。習主席ら最高指導部と長老が河北省の保養地で激しく議論している。長老らの反対を押し切って軍の元制服組トップを断罪した直後だけに情勢は不透明だ。首相の戦後70年談話の中身や、対中政策が絡む安全保障法制の行方によって対日強硬論が再び強まりかねない。
2001年、当時の小泉純一郎首相は8月13日、靖国神社に参拝し、10月に日帰り訪中した。抗日戦争記念館で『忠恕』(真心と思いやり)と揮毫した傍らには、官房副長官だった安倍首相がいた。
かつて中国が対日関係の修復を探った際、中国首脳と握手する小泉氏の写真を抗日記念館に掲げた時期もあった。その写真は消えた。さて、安倍首相と習主席の握手写真は今後、どうなるのか。秋に向けた日中接触から目が離せない」。
習近平主席の9月下旬の訪米前の安倍再訪中は、中国側からの懇請である。中国経済危機打開のために、日本の協力が必須だからである。習主席の日本への秋波は本物である。

 

編集 持田哲也

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