日刊労働通信社 | 自由化率95%以上

自由化率95%以上

コラム 国際

 
毎日に「重要5項目」「甘利氏譲歩案を示唆」「TPP、米と隔たり大きく」が書かれている。
 
「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の首席交渉官会合が17日、シンガポールで始まった。21日まで関税撤廃や知的財産など難航分野の意見調整を図る。一方、東京では18日から交渉に大きな影響力を持つ日米の事務レベル協議が本格スタートする。いずれも22~25日に開く閣僚会合での『実質合意』に道筋を付けることを目指すが、知的財産分野などをめぐる米国と新興国の対立は根深い。一方、関税撤廃では農産物重要5項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖)の例外化を求める日本に対し、米国は例外を認めない姿勢を崩していない。
 
『お互いにカードを何枚か切っていくだろう』。甘利明TPP担当相は17日の記者会見で日米協議の焦点の関税撤廃問題について、日本側が『聖域』と位置づける農産品重要5項目も含む何らかの譲歩案を出す可能性を示唆した。関係筋によると、16日にワシントンで行われた甘利氏とフロマン米通商代表部(USTR)代表との会談では『(東京での事務レベル協議などを通じて)残された分野についてお互いに提案していくとの考えを共有した』という。
日本としては重要5項目のうち国内農業への影響が少ない一部品目で何らかの妥協案を示し米側の理解を得たい考えと見られる。甘利氏は17日、『こういう場合はこうだと具体的な数字を出す』と述べる一方で『国会決議は尊重する』と5項目の関税は死守する姿勢を強調した。
ただ、オバマ政権がTPPのメリットを米議会にアピールしようとすれば、『関税撤廃』の原則を安易には曲げられない。甘利氏が機中泊までして行ったフロマン代表との会談について、政府関係者は『閣僚がゼロ泊で急きょ、相手国の首都まで飛ぶなんて、相当深刻な状況』と説明。それでも『日米の立場は相当開いている』と明かす。
その上で、日本以外の国は関税分野で『100%かそれに近い自由化率を示している』(交渉筋)と指摘。重要5項目に関わる全品目の関税を維持した場合の自由化率が93・5%にとどまる日本が、関税分野の交渉で後手に回り、結果的に厳しい自由化を迫られる事態を懸念する。
 
一方、17日シンガポールで開幕した首席交渉官会合では、国有企業改革や知的財産権保護などが焦点。関係筋によると、米国の交渉官が年明け以降、精力的に各国を訪問し仲介案を示すなどした結果、『国有企業改革では光が見えつつある』(交渉筋)との声もある。ただ、医薬品の特許保護期間など知的財産権をめぐってはマレーシアなど新興国と米国の対立が根深く、妥協はまだ見通せていない。日本の鶴岡公二首席交渉官は17日、会合入りを前に『最終的な決着に向けて最大限努力する』と語ったが、その表情は厳しかった」。
16日、ワシントンで行われた甘利・フロマン会談で、明らかになったのは、日米の隔たりの大きさである。関税分野で、米国側は「100%かそれに近い自由化率」なのに対して、日本側は、「95%死守」だからである。
 
問題はオバマ政権が「TPP交渉妥結」を、4月のオバマ訪日までにと決めていることであり、日本側の一方的譲歩を目論んでいることである。日米同盟強化のために、丸のみせよで、ある。安倍首相は、自由化率95%を超える政治決断が不可避となる。農協・農林族との全面戦争必至となる。自民党をぶっ壊す戦いの始まりである。
 
編集 持田哲也

« »