国際

憲法9条改正を

国際 政治 社会 経済

1_6

産経の「年のはじめに」に、石井聡・論説委員長が「再生に向かう力の結集を」書いている。
「国の建て直しを加速する年を迎えた。牽引役である安倍晋三首相はすでに長期政権への道を踏み出し、夏の衆参同日選も視野に入る。
日本の底力を発揮できる環境を整え、懸案解決にあたってほしい。意を用いてもらいたいのは、希望を持って未来を見つめられるような方向へ、国民の気持ちを大きくまとめ上げる
ことだ。

 

もとより、首相一人に難題を押しつけて事足れり、とはならない。今年は『18歳選挙権』の導入に伴い、有権者が約240万人増えることに注目したい。
<主権者の責任より重く>

国民一人一人が日本の未来像を描き、ふさわしい社会や政治の針路を見定める。民主主義の中で主権者が担う責任は重みを増すだろう。
権利を行使する先に再生の看板も掲げよう。それを阻む要因を取り除くには強い力が必要だからだ。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効に向けて、規制緩和や保護政策の転換が欠かせない。壁は分厚く簡単には崩れない。
選挙を経て、自民党の『1強多弱』が固定化、強化されればよいといった話ではない。与党の改革意欲がしぼめば、勢力拡大はかえって停滞や後退につながりかねない。
真に日本の繁栄と平和を守る政治を実現する体制、政治風土をどう作り上げていくか。再編成を迫られる野党も含めた大きな課題である。
安全保障関連法の審議で反対に回った野党は、『安保法廃止』の一点での共闘を模索している。
軍事力を背景に東シナ海や南シナ海での行動を活発化させる中国の台頭など、日本の周辺環境の悪化にどう対処するかは国家的課題だ。にもかかわらず、共通の土俵に立ち、真っ向から論じ合えない。それが昨年の国会の姿だった。
慰安婦問題をめぐる日韓合意は、歴史の歪曲に粘り強く事実で反論していく政権の方針が揺らいだ印象を与えた。日本の名誉を守ることがいかに大事かを忘れてはならない。歴史戦への戦略を再構築すべきだ。
『力の信奉者』の本性をむき出しにする中国、ロシアは、軍事以外の分野でも影響力の拡大を急いでいる。国際金融や中東問題をめぐる欧米分断の懸念は小さくない。
伊勢志摩サミットの議長を務める安倍首相の最大の使命は、国際秩序の漂流を食い止めることにあるともいえよう。自由と民主主義の価値観を共有する国々との協力を強める立場を改めて鮮明に示してほしい。
そのためにも、基軸となる日米同盟をより深化させることが重要だ。集団的自衛権の限定行使容認や日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定によって、抑止力強化の枠組みは整った。これにどう魂を吹き込むかの段階を迎えている。
昨年、就任したジョン・ドーラン在日米軍司令官は、自らの人生で日米の絆を体現している。
三沢基地(青森県)勤務だった24年前、F16戦闘機を操縦して米国に向かう途中、他の輸送機との衝突で太平洋上に転落した。5時間漂流し、意識が薄れかかったところで1000キロ以上離れた厚木航空基地(神奈川県)から飛来した海上自衛隊の救難飛行艇US-1Aに救われた。波高く、燃料切れの恐れもある命がけの救出だった。
<日米に空白をつくるな>
横田基地での就任式には飛行艇のクルーも招かれた。『強固な日米同盟は困難を絶好の機会に変える』という新司令官の言葉に期待したい。問題はその具体化である。
米国の『航行の自由』作戦に日本はどう関与すべきかという課題がある。横須賀生まれのハリス米太平洋軍司令官と河野克俊統合幕僚長は緊密な関係にある。この問題を話し合う最良のパートナーだろう。
むろん、絆を強化する上で日米首脳の役割は大きい。大統領選の年だからこそ、同盟に空白を生じさせてはならない。リオ五輪を控え、2020年の東京開催準備にも拍車がかかる。被災地復興とともに、国や国民の力を再結集する試金石としたい」。
「再生に向かう力の結集を」は、正論である。
今年5月、伊勢志摩サミットの議長を務める安倍首相に最大の使命は、国際秩序の漂流を食い止めることであり、そのためにも基軸となる日米同盟を深化させることが重要となる。日米安保法制による抑止力強化に、どう魂を吹き込むか、である。憲法9条改正が必須となる。安倍晋三首相は、7月の衆参同日選で、日本の再生と同義である憲法9条改正に国民の力を再結集し、衆参で9条改憲勢力で3分の2以上の議席を獲得する歴史的責務がある。
問題は、自民党の党是である憲法改正の核心が9条改正であるのに、自民党は、緊急事態条項の創設から始めようとしていることである。昨年の安保法制成立の際の「憲法違反」キャンペーンに懲りたからであり、公明党も9条改正には反対だからである。日本国を再生するには、国民を9条改正で再結集するのがベストであり、安倍晋三首相が、衆参で9条改憲勢力で3分の2以上を確保するラストチャンスであるから、9条改正と17年4月からの消費再増税凍結の是非を争点にして、衆参同日選を断行すべきとなる。公明党抜きで衆参で3分の2以上を確保できるかが、焦点となる。
日経に「今年の展望、経団連会長に聞く」「名目3%成長、必ず達成」「政権と連携『当然』」が載っている。
「経団連の榊原定征会長(72)は日本経済新聞などとの新春インタビューで、2017年4月の消費税率10%への引き上げを控え、名目3%の経済成長を『是が非でも達成しなければいけない』と述べた。経済界と政権との連携は欠かせないと強調。賃上げや設備投資を積極的に促していく考えも示した。
――今年の日本経済の見通しをどう見るか。『15年のキーワードは干支の羊にちなんで<翔>とした。日本経済がとび立つ年にと願いを込めたが、羊に羽がはえてもあまり高くは飛べなかった。16年は『実』。重要課題を着実に実行し、経済再生を確実に実現する年にしたい』
――16年秋までに政府は消費税率10%上げを最終判断する見通しだ。『消費増税も絶対に実行しなければいけない。安倍晋三首相もその考えだと思う。8%に引き上げた時、駆け込み需要と反動減という苦い経験をした。住宅、自動車、家電などでとありとあらゆる消費喚起が必要で、万全の準備が欠かせない』『増税を乗り越えられる経済の地力をつける必要がある。政府は実質1・7%、名目3・1%という成長率目標を掲げる。高い低いの論評でなく、是が非でも達成しなければいけない。十分に達成可能だ。懸念が強い中国経済も6・5%以上の安定成長を維持するはずで、大きなリスク要因になると思っていない』
――安倍政権3年間の評価は。『民主党政権での経験をよく思い出してほしい。当時、日本経済は停滞し、自信も将来への見通しもない世界だった。安倍政権3年で株価は2万円近くまで上昇し、雇用も改善した。環太平洋経済連携協定(TPP)も大筋合意に導いた。11兆円の経済効果が見込まれるTPPは日本にとって究極の成長戦略だ』
――政権と「近すぎる」との指摘もある。『極めて不本意だ。国内総生産(GDP)が1円も増えない時代が20年続き、墜落しようとする飛行機(のような日本経済)を安倍機長が立て直そうとしている。それを批評している場合か。政府から賃上げや設備投資の要請があった場合、無責任にできない、できるはずないと伝えることが、本当に国のためになるのか。榊原は首相に文句を言ったと褒めるのか。今は平時ではなく戦時だ。当然、政治と経済が一緒になって危機から立ち直る時期だ』
――春季労使交渉の行方は。『15年はベースアップを意識した交渉の指針に仕立てたが、今年の指針はあえてしていない。過去2年、悠々とベアができた企業とそうでない企業がある。あくまでベアや定期昇給、賞与、各種手当を含めた年収ベースで、15年を上回る賃上げを期待したい』」。
「名目3%成長、実質1・7%」の目標を達成するには、17年4月らの消費再増税凍結が必須となる。15年度が実質1・2%の成長にとどまったのは、14年4月からの消費増税故だからである。16年7月衆参同日選必至となる。
日経の「政治新潮流2016」に、「18歳選挙権」「民主主義、変化の風」
「『若者VS高齢者』超え改革へ」が書かれている。
「2016年は夏の参院選から選挙権が18歳に広がり、政治に新しい潮流が生まれそうだ。アベノミクスで芽生えた政官業の新たな動きや日本外交の行方などを含め、4年目を迎えた安倍政権の課題を展望する。
15年12月21日、都内の明治学院大学。自民党で若者対策を担当する牧原秀樹青年局長は法学部の川上和久教授のゼミで3、4年生と向き合った。

<なぜ自分たちが>

『自分たちがなぜ大きな負担をしなければならないのか。シルバー民主主義に不満がある』。学生からは高齢者に偏りがちな国の予算配分に不満が漏れた。牧原氏は『財政で高齢者の社会保障が圧倒的な状況を是正しなければならない。そのためい若い人の声が必要だ』と力を込めた。
その朝、牧原氏は選挙区があるさいたま市のJR北与野駅前で街頭に立っていた。通勤通学客へのあいさつの最中、70歳代の高齢者から声がかかった。『お年寄りは困ってるの。3万円早くちょうだい。そしたら応援するから』
『3万円』とは15年度補正予算案に盛り込んだ低所得の高齢者への給付金のこと。『ばらまき』との批判が与党にもあり、17日の党会合では小泉進次郎氏が『若い有権者がどんどん入ってくる。高齢者に耳に痛いことも言わなければいけない』とやり玉に挙げた。
若者に期待する牧原氏だが、14年衆院選でさいたま市の投票率は、20代は36%にとどまり、70歳以上は63%。給付金を求める高齢者にも『お年寄りのことは大事に思っています』と応じた。安倍政権は一億総活躍社会を掲げるものの、高齢者から若者への予算シフトの壁は厚い。
16年度予算案をみると政策に使う一般歳出57兆円の内訳は年金、医療がそれぞれ11兆円、介護が3兆円でこれらで4割を占める。若者向けといえる少子化対策は2%ほど増えたが2兆円。文教費は4兆円台で少子化で減少傾向にある。
<選挙がトラウマ>
政治が高齢者に弱い一例が医療費の窓口負担だ。小泉政権は70~74歳の窓口負担を08年から1割を2割に引き上げると決めた。だが07年参院選で安倍政権が『消えた年金問題』で大敗。高齢者の反乱は与野党にトラウマとなり、民主党政権も手をつけられなかった。
引き上げは第2次安倍政権が衆参『ねじれ』を解消した後の14年。この間、1割に据え置くため毎年2000億円が投じられた。70~74歳は780万人で20~24歳の600万人より3割多い。施策一つにも高齢者向けは予算が膨らみがちで、1人3万円の給付金は3600億円かかる。
子供の貧困対策を重視する民主党も支持者の意識とのギャップに悩む。12日、次の内閣で子ども政策を担当する阿部知子氏が地元の神奈川県藤沢市で開いた支援者会合。集まった30人は50代以上が大半で20代はゼロ。質問も介護、医療が多く、子供の貧困に触れても反応は『かわいそうね』。『政策論まで話が進まない』と阿部氏はこぼす。
世代間対立は避けられないのか。高齢者福祉を重視する政党と、若者教育を唱える政党のどちらを支持するか――。14日、こんな授業をした新潟県の六日町高校では『若者に介護の専門教育をすれば高齢者も助かる』『高齢者の雇用は技術の伝承につながる』といった意見が出た。指導した関雅夫弁護士は『若者と高齢者は対立構造でなく、補完関係にあると生徒は意識している』と話す。
冷めた若者を振り向かせるのも課題だ。『年金に頼る高齢者に政治が配慮するのは当然だ。今の若者はあまりお金がなくても結構幸せなのに、なぜ政治に関心を持たせようとするのか』。23日、民主党が東京・渋谷で10代向けに開いたイベントでこんな声が挙がった。枝野幸男幹事長は『政治は明日を決める。消費税30%になったら今の幸せを守るのは大変だ』としたうえでこう訴えた。『年配の方でも自分の年金よりも孫のことを考えて投票する方は相当いる。年金制度は現役世代のためでもある。世代間対立にしてはいけない』子や孫への教育資金贈与の非課税制度は、利用が十数万件、一兆円を超え定着しつつある。こうした思いを社会全体に広げ、世代間の対話を促して社会保障改革を進めるきっ賭けにできるのか。70年ぶりの選挙権拡大を新しい政治につなげる知恵が求められている」。
7月の衆参同日選から、18~19歳の約240万人が新たに参加するが、投票率が問題となる。14年の衆院選でさいたま市の20代の投票率は36%にとどまり、70歳以上は63%もあったからだ。今回も同じく投票率40%以下であれば、100万人未満となり、大勢に影響なしとなる。若年層の投票率の底上げが喫緊の課題となる。

 

編集 持田哲也

テロに屈するな

ニュース記事 国際 政治 社会 経済

朝日の社説に「パリ同時テロ」「冷静で着実な対処こそ」が書かれている。
「同時多発テロがおきたフランスのパリは、いまも緊張状態にある。関係先とされる現場では当局による銃撃戦もおきている。平穏な市民生活が一日も早く戻るよう望みたい。
オランド大統領には、当面の治安を回復し、国民の動揺をやわらげる責任がある。同時に、大局的にみてテロの土壌をなくすには何が必要か、冷静で着実な施策を考えてほしい。
オランド氏は、自国が『戦争状態にある』と宣言した。呼応して、米国とロシアはシリア空爆での連携を確認した。欧州連合では、相互防衛条項を発動することになった。
テロに怒り、高ぶる世論があるのは仕方あるまい。だが一方で、暴力の連鎖を抑えるうえで有用なのは、力に傾斜した言動ではなく、落ち着いた分析と対応である。
『対テロ戦』をかかげて軍事偏重の戦略にひた走った米国のあと追いになってはならない。イラク戦争が、今回の事件を企てたとされる過激派『イスラム国』(IS)の台頭をまねいた教訓を思い起こすべきだ。
テロ対策は、組織網を割り出し、資金源や武器ルートを断つ警察、諜報、金融などの地道な総合力を注ぐ取り組みだ。病根をなくすには、不平等や差別、貧困など、社会のひずみに目を向ける必要がある。軍事力で破壊思想は撲滅できない。
とりわけ今回のテロで直視すべき事実は、容疑者の大半は、地元のフランス人とベルギー人だったことだ。欧州の足元の社会のどこに、彼らを突き動かす要素があったのか、見つめ直す営みが必要だろう。
オランド政権は、治安対策を強める憲法改正や、危険思想をもつイスラム礼拝所の閉鎖、外国人の国外追放手続きの簡素化などを提案している。
それらは本当に自由主義社会を守ることにつながるのか、深い思慮を要する。異分子を排除するのではなく、疎外感を抱く国民を包含するにはどうすべきか。人権大国として、移民社会の現状や国民の同化政策をめぐり、開かれた議論を進めることも肝要だろう。
冷静な対処はむろん、フランスだけでなく、米国、ロシアを含む国際社会にも求められる。事件の背後にいるISに対し、有志連合を主導する米国は空爆を拡大し、ロシアもISの拠点都市などを爆撃した。巻き添えになる人びとの被害は、改めて憎悪の連鎖を広げる。
テロを機に国際社会が最も連携すべき目標は、シリアの停戦を含む中東和平づくりにある」。
社説の主旨である「冷静で着実な対処こそ」に異論がある。
「国際社会の総力あげて対テロ戦争を」が、正論だからである。テロ国家「イスラム国」には対話は通じないのであり、憎悪による問答無用の暴力あるのみである。対テロ戦争に勝つには。テロ国家「イスラム国」壊滅しかないのである。国際社会の総力をあげてである。空爆のみでは限界であり、地上軍派遣が必須となる。世界の警察官であるべき米国のオバマ大統領の決断如何である。
問題は、米国民が「テロに屈するな」として「イラク戦争の二の舞になるな」を超克して、地上軍派遣を支持するか、である。対テロ戦争の核心は、心理戦なのである。社説の主旨である「冷静で着実な対処こそ」はまさに「テロに屈している」が。

産経の「正論」に田久保忠衛・杏林大名誉教授が「国際社会の総力あげ対テロ戦を」書いている。
「狼老年の戯言と笑われても悲観的にならざるを得ない。2001年9月11日の米同時多発テロの際における犯人はアルカーイダで、私には一つの点に見えた。首謀者のウサマ・ビンラーディンは11年に米国に殺害されたが、アルカーイダその他類似のイスラム勢力の犯行は続き、点はさながら線を形成した。その結果、シリアとイラクにまたがるイスラム国(IS)と称する、国家ではないテロリスト集団が、日本とほぼ同じ大きさで面を実効支配するに至った。
<IS「包囲網」の効果>
さらに、この面から正式なビザ(査証)を持って自国とシリアを往復する者、移民や難民に紛れ込む者が、居住国を狙ういわゆるホームグロウン・テロという新しい事態を生んでいる。大量破壊兵器である核・化学・生物兵器の一つでも彼らの手に渡った場合、世界全体はパニックに陥る。危険は近づいているように思われる。
オランド仏大統領は、パリの惨劇に『これは戦争行為だ』と叫び、ISの本拠地と目されているシリアのラッカにすぐ猛爆撃を加えている。アラブ首長国連邦とヨルダンにある基地から飛び立ったフランスの爆撃機は11月15日だけで指令センター、軍事訓練施設、武器庫に目標を絞って20個の爆弾を投下したとの発表を読んだが、どうもピンと来ない。

パリの憎むべきテロリストはフランスの軍事基地、兵舎、官庁、警察署に攻撃を加えたのではなく、警備の少ない一般庶民のいわゆるソフトターゲットに狙いをつけているのだ。司令塔はラッカにあるにしても、ISの犯行声明は、いったんサポーターが手にしたものをツイッターで流しているようだから、所在は正確につかめていないのではないか。
特段に新しいことではないが、ISの勢力拡大の様子が一目でわかる世界地図が11月16日付ニューヨーク・タイムズ紙国際版に載っている。米民間のシンクタンクや国務省、法務省の資料をもとに戦争研究所が作成したもので、シリア、イラク、サウジアラビア、エジプト、リビア、アルジェリア、アフガニスタン、パキスタンの一部を実効支配地域と見なし、欧州、米国、豪州ではいくつもの箇所のほか、バングラデシュなどの国々が直接、間接的に攻撃されたところとして記されている。
インテリジェンスの世界はわれわれの目の届く範囲外なので断定的な言い方は避けたいが、英国が米仏露に加わってIS『包囲網』を形成しようとしているなどの解説を読んでも、その効果は上がるかどうか。
<「天下大乱」の兆しも>
国際政治に国際テロリストという、国家ではない歴史上初めての主役が加わった場合、国家関係だけの分析では無力だ。好例は、米欧諸国とロシアのシリア・アサド政権をめぐる対立だ。ロシアによるIS攻撃は、アサド政権存続を企図したものだと疑いを深めていた米欧諸国は、今夏のパリ同時多発テロを契機にロシアとの話し合いの場を増やし、仏露関係は『同盟』に早変わりした。
国家ではない『共通の敵』の登場による合従連衡であろうか。事件直後にトルコで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議の議題はもっぱらテロ事件であった。南シナ海もウクライナも影が薄れた。欧州連合域内で自由に人間の通過を求めるシェンゲン協定の見直しを求める声が強まっている。テロ犯人、武器が自由に動く社会でいいのかとの反省だ。

移民に反対するフランスのルベン国民戦線(FN)党首ら欧州右翼の声は高まっても低くなることはない。難民に直接関係のない米国のライアン下院議長まで『難民を受け入れるとの思いやりをテロリストに利用させるわけにはいかぬ』と述べ始めた。まさに『天下大乱』の兆しではないか。
<戦後日本の非力が鮮明に>
世界の安全保障に危険が生じたときにわれわれは自動的に米国の動きに目を向けるが、オバマ大統領に痛棒を加えたのはウォールストリート・ジャーナル紙の社説であった。『目を覚ましなさい。大統領閣下』と題するこの社説は事件の2日前にオバマ大統領がABC放送とのインタビューで、ISを『われわれは封じ込めた』と語ったのを徹底的にとがめた。
さらに『オバマはタイミングを誤ったという人もいるが、実際はもっと悪い。発言は自分でそう信じているのか、あるいは少なくとも米国人にそのように考えさせようとしているのかのいずれかだ』と断じた。オバマ政権の対中東政策失敗の真因を突いている。
いつもながら、テレビの解説を目にしてうんざりした。中東専門家による、パリの惨劇は米仏などのIS空爆が原因との説明だ。テロには妥協の余地は全くない。9・11事件に見られたように北大西洋条約機構(NATO)は集団的自衛権の行使に踏み切り、米国を引きずり込まないと事態はさらに深刻になる。国際社会の総力による対決だ。それにつけても、戦後続いている日本の非力はますます鮮明になってきた」。
氏が言う「国際社会の総力あげて対テロ戦を」は、正論である。問題は、日本が「総力挙げて対テロ戦」をとの覚悟を持っているのか、である。「安保法案は戦争法案だ」との「平和という名の戦争」に国民の過半数が騙されているからである。対テロ戦争に、安保法制と緊急事態条項創設を加える憲法改正が必須なのに、である。

日経に太田康彦・編集委員が「APEC首脳会議閉幕」「『法治』は『人治』
に勝てるか」を書いている。
「今年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催地がフィリピンだったのは、稀有な歴史のめぐり合わせかもしれない。東アジア全体の安定を揺るがしかねない最大の震源地がフィリピンだからだ。
南シナ海をめぐる米中対立の最前線はここにある。中国が人工島の建設を進める南沙諸島(スプラトリー諸島)は目と鼻の先。日本経済の生命線であるシーレーンはこの海域を貫いて走る。
フィリピンの海軍力、空軍力は極めて貧弱だ。1992年にスービック基地から米軍が撤退して以来、同国はいわば丸裸の状態にある。韓国から軽戦闘機の購入を決めたが、現時点で実戦配備されているのは1機もない。近代装備の艦船もない。
丸裸のまま放置はできない。オバマ米大統領はマニラ到着後に比海軍の視察に直行し、巡視船の無償供与や約8千万ドル(約98億円)の資金援助を約束。アキノ比大統領も環太平洋経済連携協定(TPP)への『強い関心』を直接オバマ大統領に伝え、軍事、経済の両面で米比の連携を演出した。
交渉決着を受けたTPP首脳会合では、新規加盟を目指すアジア各国の要望を確認した。ベトナム、マレーシアなどに加え、フィリピンが参加すれば、要衝である南シナ海を囲む国々は全てTPP陣営に入る。安倍晋三首相は『経済の相互依存関係が深まれば地域の安定に資する』と、域内の安全保障を高めるTPPの役割を強調した。
だが、東アジアの秩序づくりは、このまま日米の思惑通りに進むだろうか。気になるのは、来年5月に迫るフィリピンの大統領選だ。選挙戦の行方は混沌として予測がつかない。次期政権が米中どちらの陣営に近づくかによって、アジア経済圏の姿は一変するだろう。
日米の盲点がここにある。東南アジアの経済を実質的に支配するのは華人だという現実だ。フィリピンも例外ではない。フィリピン航空、流通大手SMグループを筆頭に有力企業の過半は華人財閥の傘下にある。その多くは中国の習近平国家主席が政治実績を積んだ福建省にルーツがある。
比財界では中国マネーへの期待が強い。中国が設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加や親中外交を求めて、政界に激しく働きかけている。こうした財界の意向は大統領選にも影響するだろう。

透明なTPPのルールを広げて『法治』の秩序を築けるか。それとも中国の裁量や人脈が物を言う『人治』の領域にのみ込まれていくのか。マニラAPEC会合で浮き彫りになったのは、環太平洋経済圏の核である東アジアが、大きな岐路に立っている現実である。
オバマ大統領がマニラ到着直後から目立つ行動で軍事面での協力を誇示し、南シナ海問題で中国批判を公言する間、習近平主席の動きは静かだった。華人経営のホテルに陣取り、フィリピン財界人との会談に時間を割いていたという。
安倍首相は『TPPは発効しなければ絵に描いた餅だ』と語った。その通りだ。参加意欲を示した国々も、発効までなお時間がかかるとみて、決意を伴わずに発言している節もある。日米が考える以上に、東南アジア各国はしたたかである」。
来年5月のフィリピンの大統領選で、親中派か親米派かで、南シナ海を囲むTPP包囲網が完成するか否かが決まる。中国の対フィリピン工作は、華人を通じてのものであり、現段階では優勢である。日米が巻き返せるが、である。

編集 持田哲也

プーチン大統領の年内訪日を断念せよ

国際 政治 社会

9RIAN_02547583.HR.ru

朝日の社説に「択捉島訪問」「ロシアの無益な挑発」が書かれている。
「ロシアのメドベージェフ首相が、北方領土の択捉島を訪問した。領土問題で日本に譲歩する考えはないとし、今後も訪問を続けると発言している。
隣国同士で係争中の領土がある場合、あくまで対話を通じて平和的な着地点を探る。それが責任ある国家のとるべき態度である。ことさらに実効支配を誇示するような挑発的な動きは、厳に慎むべきだ。
こうした行為は、両国の対話の努力に水を差すものであり、日本政府が即座に抗議したのは当然である。岸田外相の訪ロやプーチン大統領の年内訪日の見直しもやむをえまい。
メドベージェフ氏の北方領土訪問は3度目だ。大統領だった2010年、ソ連・ロシアの最高指導者として初めて国後島を訪れた。首相就任後の12年に択捉島訪問を計画したが、悪天候のため再び国後島を訪れた。
ウクライナ危機をめぐり、米欧は対ロ圧力を増しているのに比べ、日本は対話をつなぐ姿勢をとってきた。だが、そのパイプをロシア側が細めた形だ。国際社会で孤立し、強まる制裁下で経済的にも苦しいプーチン政権は、国内批判をかわそうと国民のナショナリズムをあおっている側面もありそうだ。
だとしても、隣国への思慮を欠く振る舞いは、歴史的な日ロ間の対立の溝を広げるだけで、誰の利益にもならない。
ただ、ロシアの対外政策は、巧妙に硬軟緩急を絡ませるのが常だ。領土問題で日本を突き放す姿勢と並行して、ロシア国内での開発投資に秋波も送る。
プーチン氏の真意はどこにあるのか依然見えないし、それが彼らの外交戦術でもあろう。いまの国際情勢の中で、日本との間でどんな関係を描いているのか、慎重に探るほかない。
安倍首相はきのうの参院予算委員会で、択捉島訪問について『極めて遺憾』としたうえで、プーチン氏との対話を通じて交渉を続ける意向を示した。
戦後70年たっても、いまだに平和条約が結べないのが、日ロ間の現実である。膨張する中国との向き合い方や、エネルギー問題を含め、北東アジアの安定秩序づくりを探るうえで、日ロの関係を長期的に強化してゆくことは欠かせない。
対話の環境づくりのためにも安倍政権はロシアに対し、国際社会との協調を強く求めねばならない。領土問題の交渉に当面の成果を急ぐより、国際秩序へのロシアの復帰を促すことが、長い目で見れば日本の北方領土をめぐる立場を強めることにつながるはずだ」。
社説の結語である「領土問題の交渉に当面の成果を急ぐより、国際秩序へのロシアへの復帰を促すことが、長い目で見れば日本の北方領土をめぐる立場を強めることにつながるはずだ」は、正論である。安倍首相は昨日の参院予算委員会で、択捉島訪問について、「極めて遺憾」とした上で、プーチン氏との対話を通じて交渉を続ける意向を示したが、弱すぎる。ウクライナ問題を巡る米欧の対ロ圧力の全面協力に踏み込むべきである。プーチン大統領の年内訪日を断念し、ロシア制裁に徹するべきである。

 

産経に田村秀男・編集委員が「自壊始まった異形の経済」を書いている。
「人民元切り下げをきっかけに、中国経済の自壊が始まった。チャイナリスクは世界に広がり堅調だった日米の株価まで揺さぶる。党が仕切る異形の市場経済が巨大化しすぎて統制不能に陥ったのだ。打開策は党指令型システムの廃棄と金融市場の自由化しかない。
中国自壊はカネとモノの両面で同時多発する。11日に元切り下げに踏み切ると、資本が逃げ出した。党・政府による上海株下支え策が無力化した。
 
12日には自動車や鉄鋼・金属関連の大型工場が集中している天津開発区で猛毒のシアン化ナトリウムの倉庫が大爆発した。天津爆発の翌日は遼寧省で、22日には山東省の工場が爆発した。過剰生産、過剰在庫にあえぐ企業はコストがかかる保安体制で手を抜く。党官僚は、企業からの賄賂で監視を緩くする。党内の権力闘争もからむだろうが、基本的には党指令体制が引き起こした点で、工場爆発は元安・株価暴落と共通する。
鉄鋼の場合、余剰生産能力は日本の年金規模1億1千万トンの4倍以上もある。自動車産業の総生産能力は年間4千万台を超えるが、今年の販売予想の2倍もある。これまでの元安幅は4~5%だが、輸出増強に向け、もう一段の元安に動けば資本逃避ラッシュで、金利が急騰し、逆効果になる。
過剰生産自体、党による市場支配の副産物である。鉄鋼の場合、中国国内の需要の5割以上が建設、不動産およびインフラ部門とされるが、党中央は2008年9月のリーマン・ショック後に人民銀行の資金を不動産開発部門に集中投下させて、ブームをつくり出した。自動車の過剰生産も構造的だ。党内の実力者たちが利権拡張動機で、影響下に置く国有企業各社の増産、シェア競争を促す。
需給や採算を度外視した企業の行動は通常の場合、万全とはいえないとしても、銀行や株式市場によってかなりの程度、チェックされる。ところが中国の場合、中央銀行も国有商業銀行も党支配下にある。株式市場も党が旗を振れば金融機関もメディアも一斉に株価引き上げに奔走する。その結果、株価は企業価値から大きく乖離し、典型的なバブルとなる。
 
おまけに、中国主導のアジアインフラ投資銀行設立と『元国際化』に執着する習近平政権は実体経済の不振にもかかわらず元高政策を取り続け、デフレ圧力を呼び込んできた。結局、元安調整に転じたが、カネが一斉に逃げ出した。
党指令型経済の破綻はもはや隠しおおせない。習近平政権は不正蓄財を摘発しても、党権益全体の喪失につながる抜本的な改革に踏み出せるはずはない。国際金融の総本山、国際通貨基金(IMF)はやんわりと元の変動相場制への移行や金融自由化を促し始めたが、安倍晋三政権はこの際、米国と結束し、欧州や他の新興国とも連携し、中国に対して早期実行を迫るべきだ。さらに、財政・金融両面でアベノミクスの再強化を図るときだ」。
氏が指摘している「党指令型経済の破綻はもはや隠し通せない」は、正鵠を突いている。中国の異形の経済の自壊が始まったのであり、解決策は、変動相場制への移行、金融自由化しかない。中国共産党一党独裁体制の崩壊につながるが。

 

日経に「株安・円高、政権に影」「支持率低下に拍車も」「与党に補正論」が書かれている。
「日経平均株価の大幅下落を受け、政府・与党内には24日、政権運営への影響を懸念する声が広がった。安倍晋三首相は就任以来、金融の異次元緩和など『市場重視』の政策で株高・円安を演出し内閣支持率を下支えしてきた。生命線ともいえる市場の逆方向の動きは、支持率低下に拍車をかけかねない。与党からは2015年度補正予算など経済対策を求める声も上がる。
24日、政権幹部らは景気の先行き不安の打ち消しに躍起となった。『企業業績は過去最高水準になり(日本経済は)緩やかに回復基調にある』。菅義偉官房長官は記者会見でこう力説し、国内経済の堅調ぶりをアピールした。甘利明経済財政相は参院予算委員会で『中国経済も落ち着いてくるのではないか』と述べ、さらなる環境悪化の見通しを打ち消した。政府は今回の急激な株安・円高の背景を『海外要因』と説明している。
政権が市場動向に敏感になるのは、高株価が内閣にとっての『生命線』と考えているためだ。

 
12年12月の第2次安倍政権の発足後、支持率は株価と共に上昇。首相も『アベノミクスで行き過ぎた円高が是正された』『株価が上がった』と成果を強調してきた。
一方、最近では内閣支持率は急落している。衆院での安全保障関連法案の採決時の混乱や、首相を支持する自民党議員や周辺らの発言が問題となったことなどが背景にある。『これまで支持率は景気、株価で持っていた』(政府高官)との見方が強く、頼みの綱である経済までつまずけば政権基盤が揺らぎかねない。
17日に内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、3四半期ぶりにマイナスだった。甘利経財相は『一時的な要素がかなり大きい』と指摘していたが、市場発の株安・円高が続けば、実体経済にもさらに悪影響が出てくる。
与党内では経済対策を求める声も上がり始めた。『経済は人の心理も大きく影響する。かなり不安心理が広がっている。拡大しないような手を打つことが必要かと思う』。自民党の谷垣禎一幹事長は24日夕の記者会見で強い警戒感を示した。
参院予算委では、公明党議員が『機動的な財政政策である第2の矢を再び放ち、成長戦略への橋渡しをすべきだ』と首相に訴えた。首相は『第2の矢も含め、今後とも3本の矢の政策を一体として経済再生を図りたい』と述べるにとどめた」。
最大の経済対策は、17年4月の再増税策先送りとなる。4月~6月期のGDP速報値が3四半期ぶりにマイナスとなったのは、消費増税による個人消費の低迷にあるからだ。16年7月のダブル選の可能性が強まったといえる。

 
 

編集 持田哲也

歴代内閣法制局長官の任務放棄

国際 政治 社会 経済

abe-08

産経の「正論」に西修・駒沢大学名誉教授が「違憲ありきの参院審議に違和感」を書
いている。
安全保障法制に関する参議院審議においても、違憲論が先行している。その主たる論
拠は、憲法学者の多数が違憲であると主張していることと、複数の元内閣法制局長官
が内閣の憲法解釈変更に異を唱えていることにある。私は、いずれにも強い違和感を
覚えずにいられない。

<学説は多数決になじまない>
第一に、いくつかの報道機関による憲法学者へのアンケートがなされ、圧倒的多数の
憲法学者が違憲と判断している旨、発表されている。あたかも多数の憲法学者の違憲
判断が正しく、少数派の合憲判断が間違っているような印象を多くの国民に植えつけ
ている感がある。
いったい学説は多数決原理になじむだろうか。『学説』とは文字通り、学問研究の成
果として導き出される考えの表明である。ある条文について自らの学説を確立するた
めには、その条文のよって立つ基本理念、成立経緯、比較法的な側面を十分に考慮に
入れて総合的に判断される。そこから引き出される解釈は、それぞれが到達した価値
判断といえる。少数説も、それが学問的な研究結果の上に積み立てられたものであれ
ば、最大限に尊重されなければならない。
率直に言って、多数派の違憲論は第9条に関する成立経緯の検証、各国憲法との比較
研究、国連憲章との関連性などが十分に反映されていると思われない。表層的解釈が
中心であって『寄らば大樹の陰』という感じを強く受ける。
学説の最大のキーポイントは、その学説がいかなる筋立てで組み立てられているかと
いう点にある。そこには『正解』は存在しない。『妥協』する必要もない。それが『
学説の世界』といえる。
一方、多数決原理は、民主主義社会にあって、それぞれの意見を大切にしつつ、最終
的に意見集約に向けてなされる政治的、社会的解決方法である。選挙、集会、議会で
の審議など、討議と妥協を通じ、政治的、社会的な場で取り入れられる原理である。
なんらかの結論が出されなければ、政治・社会生活は維持されないからだ。多数派は、
一応の合理性を得て、支配することが許される。ときの少数派は、将来の多数派をめ
ざして、賛成者の獲得に努力する。

<意味不明の内閣法制局解釈>
こうしてみると、学説と多数決原理は、最も相いれない関係にあるといわなければな
らない。にもかかわらず、違憲派と合憲派を数で峻別し、正否を判断するというがご
とき『数の論理』が憲法学の世界に入り込もうとしている。そしてまたそれが、政治
の世界で利用されている。異様な光景だ。
第二に、複数の元内閣法制局長官が、従来の政府解釈を変更することに異を唱え、限
定的にせよ、集団的自衛権を認めることは憲法に反すると主張している。内閣法制局
は、内閣に意見を具申する事務などをつかさどる内閣の補佐機関である。内閣がおか
れた状況に影響を受けることは否めない。たとえば、『戦力』に関し、自衛隊の前身、
保安隊の時代は、『近代戦争を遂行するに足る装備編成をもつものであって、保安隊
はそれに当たらない』との解釈を示していたが、自衛隊が創設されると、『戦力とは、
自衛のため、必要最小限度の範囲を超えているため、憲法上、認められない』という
意味不明の解釈をとるにいたった。

<集団的自衛権は国際法の常識>
国連憲章第51条は、個別的自衛権も、集団的自衛権もともに、加盟各国が保有して
いる『固有の権利』(自然権)と明記している。人間が生まれながらにもっている権
利が、自然権であるように、国家がその存立のために当然に保有している権利が、個
別的自衛権であり、集団的自衛権なのである。これが国際的な共通認識である。国際
法の常識でもある。
わが国が自衛のための必要な措置をとりうることは『国家固有の権能の行使として当
然のことといわなければならない』(昭和34年12月の砂川事件に対する最高裁判
決)という自明の論理に鑑みれば、わが国の存立に重大な影響を及ぼすような必要最
小限度の集団的自衛権は容認されると解釈すべきであった。激変する安全保障関係も
考慮し、本来、解釈の幅を残しておくべきだったのである。それが内閣を補佐すべき
内閣法制局の任務のはずだ。そのような任務を怠ったツケが現在、露呈している。元
内閣法制局長官らは、自らの任務を果たしえなかったことに反省の弁をこそ語るべき
だろう。

自らが最高裁判所にとってかわり、『憲法解釈の番人』であるような振る舞いは、三
権分立の原則を没却させる傲岸不遜の態度であるように映る」。
氏が指摘している「わが国が自衛のための必要な措置をとりうることは『国家固有の
権能の行使として当然のことといわなければならない』(昭和34年12月の砂川事
件に対する最高裁判決)という自明の論理に鑑みれば、わが国の存立に重大な影響を
及ぼすような必要最小限度の集団的自衛権は容認されると解釈すべきであった。激変
する安全保障関係も考慮し、本来、解釈の幅を残しておくべきだったのである。それ
が内閣を補佐すべき内閣法制局の任務のはずだ。そのような任務を怠ったツケが現在、
露呈している」は、正鵠を突いている。
そもそも、集団的自衛権は国際法の常識であり、国連憲章第51条に「固有の権利」
として明記されているのだから、1959年の最高裁の砂川判決を、内閣法制局長官
が「必要最小限度の集団的自衛権は容認される」と解釈すべきであった。ここが「違
憲論争」の肝である。

産経の「石平のChina Watch」に、「習政権『谷内氏厚遇」の理由」が書
かれている。
「今月中旬、訪中した国家安全保障会議(NSC)の谷内正太郎局長に対し、中国側は
『ハイレベル』な連続会談で対処した。
16日には外交を統括する楊潔?国務委員が夕食を挟み、5時間半にわたって会談し、
翌日午前には、常万全国防相が会談に応じた。そして、その日の午後、会談に出てき
たのは党内序列ナンバー2で首相の李克強氏である。
外交上の格式を重んじる中国で外国の『事務方官僚』へのこのような厚遇は前代未聞
である。それは谷内氏が単なる『一官僚』にとどまらず、安倍晋三首相の信頼が厚く、
日本外交父のキーマンであることを、 中国側がよく知っているゆえの対応であろう。
そのことは、中国の指導部が今、安倍首相を非常に丁寧に取り扱おうとしていること
の証拠だ。安倍首相を粗末にできないと思っているからこそ、『腹心官僚』の谷内氏
を手厚く歓待したのである。
昨年11月、習近平政権下の最初の日中首脳会談が北京で行われたとき、習主席は客
である安倍首相を先に立たせて、自分が後になって出てくるという無礼千万な態度を
取った。今回の対応ぶりとは雲泥の差である。この間、日中の間で一体何が起きたの
か。

日本側の動きから見れば、まずは今年4月下旬、安部首相が訪米し、オバマ大統領と
の間で日米同盟の強化で合意した。5月21日には、安倍首相が今後5年間、アジア
に1100億ドルのインフラ投資を行う計画を表明した。そして谷内局長訪中の当日、
東京では、安保法案が衆院を通過して成立のメドが立った。
この一連の動きは、中国側の目から見れば、まさに習政権が進めるアジア太平洋戦略
に『真っ向から対抗する』ものである。今、南シナ海問題をめぐって米中が激しく対
立する中、日米同盟の強化は当然、両国が連携して中国の南シナ海進出を牽制する意
味合いがある。
実際、常にアメリカと共同して中国の海洋拡張を強く批判しているのは安倍首相だ。
そして、集団的自衛権の行使を可能にする安保法案が成立すれば、今後日本は、同盟
国や準同盟国と連携して、中国の南シナ海支配を実力で封じ込めることもできるよう
になるのだ。
その一方、安倍首相が表明した『1100億ドルのアジア投資計画』は、誰の目から
見ても、まさに中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)計画への対抗措置で
あり、安倍首相による『AIIB潰し』ともいうべきものであろう。
つまり、習政権が進めるアジア太平洋戦略の要となる南シナ海進出とAIIB計画に
対し、日本の安倍政権は今や『大いなる邪魔』となっているのである。
そして、安倍政権の今後の出方によっては、習政権肝いりのこの2つの『目玉戦略』
は大きく頓挫してしまう可能性もあるのだ。
したがって習政権としては、安倍政権をそれ以上『野放し』にすることはもはやでき
なくなった。だからこそ、安倍首相と真剣に向き合って対話しなければならないと思っ
たのであろう。

今回、中国指導部は安倍首相の『腹心官僚』の谷内氏をあれほど厚遇して、9月の安
倍首相訪中を積極的に働きかけた。楊国務委員が谷内氏と5時間半にもわたって会談
したことは、まさに中国側の本気さの表れである。
対話から何かが生まれるかは今後次第だが、少なくとも、中国への日本の対抗力が強
化されたことが、習政権を日本との真剣対話に引き出したといえるであろう。『抑止
力あっての外交』とは、まさにそういうことではないのか」。
習政権が進める南シナ海進出とAIIB計画に「大いなる邪魔」となっている安倍政
権に対して、習政権は9月安倍訪中を受け入れざるを得ないのである。これが「抑止
力あっての外交」である。

日経の「政策レーダー」に、「最低賃金上げ、首相『介入』」「支持率低下、
焦り隠せず?」が書かれている。
「『最低賃金を1円上げたらどのくらい経済的な効果がでるか、消費にどういう影響
がでるのか』。16日の経済財政諮問会議。最低賃金に話題が及ぶと、安倍晋三首相
が突如、語気を強めて内閣府に調査を指示した。
最低賃金は厚生労働省の審議会で労使の協議で決める仕組み。政治家が介入する余地
は少ない。『諮問会議での首相の発言は予定されていなかった』(内閣府幹部)。想
定外の発言に首相の熱意を感じ取った霞が関は敏感に反応した。
『10~20円の引き上げで、所得の増加額は400億~900億円』。1週間後の
23日の諮問会議。内閣府が調査結果を報告すると、経済産業省は『中小企業への支
援を講じ最低賃金の引き上げの環境整備に全力をあげる』と支援策を表明。首相がそ
の場で『大幅な引き上げ』を言及する異例の展開となった。
内閣の介入劇に当惑したのが労働組合の代表である連合だ。上げ幅が決まった29日。
『内閣府が20円を上限とした調査結果を公表したから、18円に収まってしまった』
。審議会後に連合幹部はこう不満を漏らした。過去最大の賃上げは政権側の実績とな
り、労組側はお株を奪われた。
安全保障関連法案の衆院採決などをきっかけに政権の支持率は下がっており、最低賃
金での介入劇からは官邸側の焦りも透ける。『政労使会議はもう開かなくてもいいの
ではないか』。政府関係者からは参院選で対決する民主党の支持母体である連合とは
当面距離をおくべきだとの声すら漏れる。
内閣府が公表した経済見通しで16年度の消費者物価はガソリン価格などの上昇で1・
6%程度あがる。賃上げが進まないままでは有権者離れを招きかねない。参院選の勝
敗を決する1人区が多い地方はガソリン高の影響をもろに受ける。アベノミクスの改
革の果実への期待が高まるにつれ、経済運営は難しさを増している」。
16日の経済財政諮問会議での安倍首相の「最低賃金上げ」への介入発言によって、
29日、上げ幅が過去最大の18円に決まった。所得の増加は400億~900億円
である。内閣支持率引き上げと参院選対策のために、である。

 

 

編集 持田哲也

『異常な異論封じ』をしているのはどっち

国際 政治 社会

国会

朝日の社説に「異常な異論封じ」が書かれている。
 
<自民の傲慢は度し難い>

 

「これが、すべての国民の代表たる国会議員の発言か。
無恥に驚き、発想の貧しさにあきれ、思い上がりに怒りを覚える。
安倍首相に近い自民党若手議員の勉強会で、出席議員が『マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。
経団連に働きかけて欲しい』『悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい』などと発言していた。
権力を監視し、検証して批判する。民主主義国の新聞やテレビならば当たり前の仕事である。
それに対して、政権与党の議員が『反論』でも『批判』でもなく、『懲らしめる』というのだから恐れ入ってしまう。
【懲らしめる】制裁を加えて、悪いことはもう二度としないという気持ちにさせる(「明鏡国語辞典」)
 
正義は我にあり。気に入らない言論には圧力をかけ、潰してしまって構わない――。
 
有志による非公式な会であっても、報道の自由、表現の自由を脅かす発言を見過ごすわけにはいかない。
勉強会には加藤勝信官房副長官や、首相側近の萩生田光一総裁特別補佐も出席していた。
谷垣幹事長は『クールマインドでやってほしい』と他人事だが、党として事実関係を調査し、厳正に対処すべきだ。
さらに講師として招かれた、前NHK経営委員で、作家の百田尚樹氏が『沖縄の二つの新聞社は潰さないといけない』
『米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い』などと発言していた。
 
地元の2紙については出席議員も『左翼勢力に完全に乗っ取られている。沖縄の世論のゆがみ方を正しい方向に持っていく』と主張したという。沖縄県民全体に対する明らかな侮辱である。
きのうの安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で、民主党の寺田学氏に、百田氏の話を聞いた感想を求められた加藤副長官は、『大変拝聴に値すると思った』と応えた。
首相は『事実であるなら大変遺憾』としたものの、『沖縄の人たちにおわびすべきではないか』との寺田氏の指摘には、『言論の自由こそが民主主義の根幹であり、当然尊重されるべきものだ』と一般論で応じた。
傲慢と怠慢。安保関連法案をめぐってはリスク論議が盛んだ。しかし、異論には耳を貸さず、力で踏みつぶせばいいのだという政治家に、国民の生死がかかった判断を委ねてしまうことこそ、最大のリスクだ。
 
<最悪の国会にするのか>
 
戦後最長、95日間の大幅延長となった国会で、安全保障関連法案をめぐる衆院特別委員会の審議が再開した。だがきのうの審議でも、安倍首相らの政府答弁に説得力がないのは相変わらずだった。
象徴的なのは、法整備がなぜ必要なのか、根本的な理由だ。首相らは『安全保障環境の変化』と繰り返すが、それが何を指し、法案とどう関係するのが納得できる説明はない。
それなのに、首相は『どこかの時点で議論が尽くされたという議会の判断がなされれば、決める時には決める』と、早くも採決に前のめりだ。
まともな説明のない審議をいくら積み重ねても、議論を尽くしたことにはならない。早期採決など、もってのほかだ。
さらに耳を疑うのは、自民党執行部の異常なまでの『異論封じ』の動きである。若手リベラル系議員の勉強会を『時期が悪い』と中止に追い込み、党の幹部会議では『法制を批判するOB議員を黙らせるべきだ』という声まで出た。
異論に耳を傾け、議論を通じてより良い結論を探る。そんな言論の府の使命を、今の自民党は忘れたとしか思えない。
ましてや日本の安保政策を大転換させる今回の法案である。多様な意見を踏まえ、丁寧な議論を重ねなければ、国民の理解が広がるはずもない。
 
実際、朝日新聞の最新の世論調査では、法案への賛成29%に対し、反対53%。首相の説明が『丁寧ではない』と考える人が69%。
『丁寧だ』の12%を大きく上回った。国民の理解を欠いた安保政策が円滑に機能すると思っているのか。
憲法学者や内閣法制局長官OB、弁護士、広範な専門分野の有識者、多くの市民団体も強い反対の声をあげている。
それがまったく聞こえないかのように、政権の言うことをただ信じればいい、とばかりに振る舞う政権は、民主主義の土台を掘り崩しつつある。
首相は、60年の日米安保条約改定や92年の国連平和維持活動(PKO)協力法成立の時も強い反対があった例を挙げ、『法案が実際に実施される中で理解が広がっていく側面もある』と述べた。
そういう側面があったとしても、異常な『異論封じ』を正当化する理由にはならない。
国会議員に問いたい。このまま、戦後最長にして最悪の国会にしていいのか。問われているのは、言論の府の矜持であり、民主主義と法治の理念そのものである」。
 
社説の主旨である「異常な異論封じ」「自民の傲慢は度し難い」「最悪の国会にするのか」は、暴論である。
真逆である。異常な異論封じをし、国会審議を遅らせ、最悪の国会に作為しようとしているのが、民主党・共産党を中心とする野党と、朝日を中心とする一部メディアの度し難い傲慢さによるものだからである。
野党とメディアを主導する共産主義イデオロギ-のなせる業である。
そもそも、中国共産党主導する中国に言論の自由、民主主義はあるのか、である。共産党一党独裁である。その中国共産党が日本に仕掛けた戦争が「平和と言う名の戦争」である。
安保法案は「戦争法案」、「違憲法案」だとのレッテルを貼り付け、今国会成立反対6割の民意を作為し、安保法案を廃案にとの目論見である。
朝日の社説でいう「異常な異論封じ」「自民の傲慢は度し難い」「最悪の国会にするのか」は、同じくレッテル貼りである。「平和と言う名の戦争」の先兵である朝日を潰すには、朝日の全国的不買運動が必須となるが。
 
産経に「中国バブル崩壊前兆」「上海株7・4%急落、2週間パニック売り」が書かれている。
「中国で株式市場の下落が止まらない。上海市場全体の値動きを示す上海総合指数は26日、前日終値比7・4%の急落となる4192・9で引けた。
前週末19日の終値からみて、連休明け23日からの4日間で6%を超える下落だ。その前週は5日間で13%も暴落。
2008年のリーマン・ショック以来の大きな下げ幅で、市場関係者は『バブル相場崩壊の前兆ではないか』とみている。
 
製造業などは軒並み不振で、実体経済の裏打ちのない株式相場の脆弱性が浮き彫りになった格好だ。
上海では昨年11月の3年4カ月ぶりの利下げや、香港との株式相互取引スタートを材料に、携帯電話などで1日に何度も短期売買を繰り返す個人投資家が中心となって買いが殺到。
2度の追加利下げによる金融緩和期待なども膨らんで、今月12日には年初来最高値の5178・2を付けた。
しかし、リスクの高い信用取引への規制強化や金融政策の先行きに対する懸念が広がった。
『半年以上にわたる上昇相場が勢いを失うとの高値警戒感から2週間で個人投資家の多くがパニック売りに走った』(市場関係者)という。
26日は深も総合指数が7・9下落。香港ハンセン指数が1・6%下げて中国株はほぼ全面安の展開だった。
 
日米欧などの市場が機関投資家中心なのに対し、中国は市場の8割が売買経験の少ない個人投資家という状況で、わずかな材料でも相場が大きく変動する。
その分、身近な経済政策に敏感に反応する。経済アナリストによると新たに不安視され始めたのは、『2020年に名目の国内総生産(GDP)と個人所得を10年比で倍増させる』と中国共産党が12年11月に
打ち上げた公約に“黄信号”がともり始めたこと。共産党と政府が年内にも策定する16年からの『第13次5カ年計画』で、年率の成長率目標が現行より0・5ポイント低い6・5%に設定される、との報道が相次いでいる。
市場では11~15年の第12次5カ年で設定された目標と同じ7・0%を継続しなければ、GDPも個人所得も倍増計画の達成は難しいとの見方が主流。株式以外に頼みの綱の不動産市況も低迷続きだ。
このため、成長率目標の見直し観測で個人投資家は所得倍増計画は達成できず、株式市場も伸び悩むとみて資金を預金に戻すケースが増えてきた。
思惑買いのバブル相場となった中国株は、個人投資家の失望感とともに引き潮が始まったようだが、下落局面が週明け以降も続けば鈍化傾向にある中国の製造業や不動産などの資金調達にも影を落とし、実体経済の足を引っ張る。
東京やニューヨークなどの市場にも飛び火する懸念があり、市場は警戒を強めている」。
上海株は、1年間で2倍以上も急騰したが、6月12日に最高値を付けた後は急落している。実体経済とのかい離が理由であるが、2億人の個人投資家がパニック売りとなっている。中国バブル崩壊の前兆である。
 
産経の「緯度経度」に、古森義久氏が「ゆがみに満ちた村山談話、継承は論外」を書いている。
「安倍晋三首相の戦後70年談話をめぐる論議は村山富市元首相の戦後50年談話の継承の度合いが主要な争点となってきた。
だがこの村山談話自体に国際的な史観からみても、日本国民の一般認識からみても、ゆがみと呼べる欠陥があることがいままた検証されるべきである。
 
村山談話のゆがみとは簡単にいえば、日清、日露の両戦争をも事実上、『誤り』と断じ、『侵略』扱いして、『お詫び』の対象としている点である。
具体的には以下の記述だ。『わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました』だから『心からのお詫びの気持ちを表明』するというのだ。
 
日本の『植民地支配』といえば、台湾と朝鮮である。欧米列強の植民地支配とは違う要素があったとしても、長期的かつ制度的な他領土の統治としての植民地という表現が適用できるのはまず台湾、朝鮮だろう。
対米戦争の開始後の領土の占拠は植民地支配とはいえない。
その台湾の割譲、朝鮮の併合はそれぞれ日清戦争、日露戦争の主要な結果だといえる。だから村山談話は『国策を誤った戦争』の結果としての『植民地支配』と『侵略』を詫びることで日清、日露戦争をも悪かったと断じているわけだ。
この点、村山氏自身、同談話発表時は『誤り』や『侵略』をどの時期からとするかについては『断定は適当ではない』と述べていたが、首相辞任後には『やはり日清、日露からずっとだ』と明言した。
村山氏が委員長を務めた日本社会党が明治時代の日清戦争など日本の対外的な動きを『侵略』と決めつけていたのだから自然でもあろう。
だがこの見解はあくまでマルクス主義系の特殊な史観である。中国共産党や日本共産党の主張でもある。
 
とくに中国では日清戦争を『日本が仕かけた中国侵略戦争』と呼び、『日本軍の残虐行為』を中高校の歴史教科書で膨大な分量、教えている。日露戦争も日本を悪の侵略国として描く点では同様である。
だが国際社会一般となると事情はまるで異なる。日本の侵略を糾弾した極東国際軍事裁判でさえ、日清、日露の両戦争は視野の外においていた。
ましていまの世界の歴史観では村山談話的な『明治時代の日本侵略非難』は超少数派だといえよう。いまの日本国民一般の認識も明確だろう。
 
現在、慰安婦問題などで日本の歴史認識を批判する米国の歴史学者たちの間でも日清、日露両戦争をも『侵略』と断じる声はまずない。
米ウィスコンシン大学博士課程の日本歴史研究学者ジェーソン・モーガン氏は次のような見解を語った。『日清、日露両戦争は日本の侵略などではなく、日露戦争はとくにロシアの朝鮮半島侵略を防ぐ防衛の戦いだった。
日本側で両戦争を自国による対外侵略だとする声があれば、戦後の米軍占領時の『恥と罪の意識』教育の結果といえるマゾヒズム(被虐性)歴史認識の名残だろう。
でなければ、それを利用した村山氏の例のような特定の政治主張だと思う』
これほどのゆがみに満ちた村山談話の継承は論外であり、日本の未来のため、清算してもおかしくはないだろう。
村山談話にある「日清、日露の両戦争は侵略戦争」は誤りであり、その継承は論外だ、は正論である。中国共産党、日本共産党の主張であり、マルクス主議史観によるものであり、世界の歴史観の超少数派だからである。
安倍晋三首相は、中国共産党主導の「歴史戦の罠」を打破すべきである。

 
編集 持田哲也

« 一覧へ