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ウイルスに国境はない

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日経の「核心」に滝田洋一・編集委員が「ウイルスに国境はない」を書いている。

「気候変動と感染症の拡大。人類に危機をもたらす地球規模のリスクだが、識者の関心は前者に集中し、後者は視野の外に置かれた感があった。1月24日に閉幕した世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)のテーマもしかり。

総会に先立って発表された『グローバルリスク報告書』には、今後発生しうるリスク  上位5位がすべて環境関連だった。初めてのことだ。だがダボスのリゾート地で『地球  終末』が語られるさなかに春節のアジアでは新型肺炎が広がり『週末の感染』に街行く人はやきもきしていた。 

2002年から03年にかけても、中国を中心に重症急性呼吸器症候群(SARS=サース)がまん延し約800人が亡くなった。今回の新型肺炎は感染者数が1月末までにSARSを上回った。

当時と今。決定的な違いは中国の存在感だ。人の行き来は格段に増加、世界に占める中国経済の比重は著しく高まった。なのに中国は依然として『異形の大国』である。  

中国を見つめる世界のまなざしは不信と不安が渦巻いている。発生地の武漢当局の対策が後手後手となったことには、中国共産党系の環球時報も批判の声を上げる。   

だがトカゲの尻尾切りのように武漢当局に全責任を押しつけて済む問題なのか。『権限が    与えられないことには発表できない』と武漢市長。対応の遅れは、重要な決定はトップダウンという指示待ちシステムの帰結ではないのか。

『愛国ウイルス』。新型肺炎は当初、武漢市と海外でしか感染が報告されなかったことから、SNSでそう皮肉られた。一党支配と情報統制の下、多くの都市で感染情報が表に出なかったのだろう。

当局による隠蔽ばかりではない。『見たくないことは見ない』。情報が正確に伝わらなかったことと相まって、市民の間にそんな同調圧力が働いていたのは否めまい。

『心配していません』『国が守ってくれますから』。1月20日の昼、上海の街を歩く若者たちは、テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』の取材に屈託なく語った。マスクなど着用していなかった。皮肉にもそのころ、感染は中国全土に広がっていた。

すでにこのとき、英国の感染症専門家は『武漢の感染者は1月12日時点で1723人』との推計を示していた。

もっとも習近平国家主席が事態は深刻と認めると、振り子が逆に振れるように、当局の対応は一変した。中央政府の主導で1月23日には、人口1100万人を数える武漢市の交通遮断に踏み切った。

市から脱出しようとするクルマの大渋滞、食料のなくなったスーパーの売り場、そして長蛇の列のできた病院。SNSによって拡散された武漢市の修羅場は、検閲によってもすべては抑えきれず、危機を一気に『可視化』した。

中国当局も異形の光景で対抗した。何十台というブルドーザーがせわしげに動き回る映像である。患者を収容する病院の建設を急いだのだ。市を封鎖し、患者を隔離する。初動が遅れた分、感染拡大の防止に用いられる手段は、いきおい強硬なものとなる。

春節の1月25日、中国共産党の中央政治局常務委員会は緊急会議を開いた。日本でいえば元日に緊急閣議を開くようなもの。感染が拡大するなか、習政権の足元が大きく揺らぐ危機感がにじんでいる。

習主席をはじめ中国当局者は新型肺炎との闘いを戦時モードにする。北京の故宮博物院、上海の豫園といった観光名所は次々と閉鎖され、人々の集まる映画館なども閉められた。一党独裁ならではの強権が発動されているのだ。

1年で最も華やぐ春節の期間であり、中国の経済を下振れさせるのは避けられない。SARSのときは03年4~6月期の中国の実質成長率が9・1%と、前の期の11・1%から大幅に減速した。

20年1~3月期の実質成長率は5%を下回る可能性も否定できない――。中国社会科学院のエコノミスト、張明氏は、前の期の6・0%を大幅に下回ると予想する。3月末までに新型肺炎が収まることが前提だが、一段と感染が拡大し事態の収束が先になると打撃は格段に深刻となる。

その余波は隣国である日本を含めて全世界に及ぶ。中国からの観光客の減少に加え、サプライチェーンへの打撃。国内への感染飛び火に伴う消費への悪影響。下手をすると『中国版のリーマン・ショック』になりかねない。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は1月25日、新型肺炎に緊急事態を宣言。SARSで苦しんだ経験を生かし、素早く対応した。デモ鎮圧に『覆面禁止法』を打ち出した林鄭長官が、今回ばかりはマスク姿で記者会見に臨んでいるのが印象的だ。

中国はメンツにこだわり続けている。世界保健機関(WHO)による『緊急事態』宣言を回避するため、習主席は北京を訪問したテドロスWHO事務局長の説得に努めた。

WHOは1月30日になって緊急事態を宣言したが、現時点で中国への渡航や貿易の制限などは必要ないとした。テドロス氏は中国の対応を『過去にないほど素晴らしい』とたたえる。WHOトップの言動はいかにも心もとない。

米国務省は1月30日、米国人の中国全土への渡航警戒レベルを『渡航してはいけない』に引き上げた。ウイルスに国境はない。そして日本は中国の隣国だ。東京五輪開催への影響を含め『想定外』を想定すべき段階になっている」。

氏の言う「ウイルスに国境はない」は正鵠を突いている。中国版のリーマン・ショックになりかねない。日本直撃である。東京五輪開催を含めて安倍晋三政権の危機管理が問われる。一方、野党の危機管理不全が露呈される。ウイルスは安倍晋三政権にとって追い風となるが。

2020年 年頭所感  連合会長 神津 里季生氏

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労働組合が不可欠
~集団的労使関係の確立・拡大で「私たちが未来を変える」~

新年明けましておめでとうございます。連合運動に対する日頃のご指導・ご支援に心より御礼申し上げます。 連合結成から30年、継続課題に加え人口・産業構造の変化、技術革新への対応等が求められる中、課題の克服に向けては集団的労使関係の確立と拡大が何より重要です。
長時間労働の是正や「同一労働同一賃金」など「働き方改革」は、本当の意味で働く者のための「働き方改革」とすることが不可欠です。短時間・有期・派遣等の雇用形態で働く仲間の処遇改善は、労働組合なくして改善は困難です。春季生活闘争は、これまで以上に「水準」を重視した取り組みを引き継ぎつつ、「分配構造の転換につながり得る賃上げ」をめざし、「底上げ」「底支え「格差是正」の取り組みを再定義して、賃上げのうねりを社会全体のものとすることが重要です。すべての取り組みの土台は、集団的労使関係の確立と拡大です。
 「働くことを軸とする安心社会」に向けて、すべての働く者・生活者の先頭に立ち、社会に広がりのある運動をともにつくりだしていきましょう。

自由に牙むく中露の『壁』

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 8月12日、安倍晋三内閣の支持率低下に対し、日本株は逆行して上昇してきた。その背景には支持率が下がれば、財政出動など政策を打ち出すとの期待がある。都内で5月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

産経の「湯浅博の世界読解」に「自由に牙むく中露の『壁』」が書かれている。

「ちょうど30年前の1989年11月、若者たちがベルリンの壁を破壊し、世界は冷戦の終わりの始まりを見た。米政治学者のフランシス・フクヤマ氏が『歴史の終わり』で民主主義の勝利を歌い上げ、米欧の自由主義陣営は、ソ連の崩壊で軍事費削減が可能になって、『平和の配当』が転がり込んでくることを期待した。

マイクロソフトのビル・ゲイツ会長らが、旧ソ連から大陸間弾道ミサイル(ICBM)のSS18を丸ごと買い取る算段をしていたのも、その配当なのかもしれない。SS18が流出しないうちに、100基近くのミサイルを使って通信衛星を次々に打ち上げ、新たな通信事業に挑戦する壮大な計画であった。

米核戦力の研究拠点、ローレンス・リバモア国立研究所を訪ねた際も、いつの間にか旧ソ連の有名なレーザー兵器の開発者を引き受け、自由陣営のために役立つ仕事を開始させていた。これが共産主義の行き着いた『歴史の終わり』なのかと得心させられたものだ。

冷戦時代を象徴したのは、核兵器やICBMのハードウエアだった。米ソ間で『恐怖の均衡』が程よく保たれ、どちらも全滅のリスクを冒そうとは思わない。当時のブッシュ米政権は、ソ連崩壊後に残る膨大な大量破壊兵器を始末し、研究者たちを囲い込めば、盤石であると考えた。

<対ソ冷戦時代よりはるかに危険複雑>

だが、歴史はそれで終わらなかった。ベルリンの壁が崩壊して30年後のいま、自由世界は対ソ冷戦時代よりもはるかに危険で複雑な安全保障環境の中にある。新たに台頭してきた中国パワーに直面しているのだ。ニクソン大統領が中国の門戸を開き、対ソ戦略の『チャイナ・カード』に組み込んだはずが、一世代を経て、米国に牙をむくライバル国家に変貌した。

日米欧企業は中国の巨大な労働市場を当て込んで、巨額投資による『世界の工場』を生み出した。経済力で豊満になった中国は、やがて軍事力という筋肉をつける。まるで英国の小説『ガリバー旅行記』にでてくる巨人国ブロブディンナグのように、大きいがゆえに傲慢になっていく。 

晩年のニクソンが漏らした『フランケンシュタインをつくってしまった』とのささやき   は、それを象徴しているだろう。中国に経済力を注いでしまったのは、ほかならぬ先進主要国であったのだ。

とりわけ、インド太平洋で起きている中国と周辺国との摩擦、威嚇、衝突は、この10年のうちに起きているパワーシフトに起因している。世界を主導してきた米国が同時多発テロ『9・11』以降、アフガニスタンの砂漠を超え、イラクでテロリストを討伐している間に、中国は無傷のまま軍事力を高めてきた。

2008年9月のリーマンショック後の金融危機で『米国衰退』が指摘されると、中国は国際ルールの軌道から大きくはみ出した。習近平国家主席は『中国の夢』を掲げ、中華人民共和国の建国から『100年マラソン』を駆け抜けて世界に君臨する夢を見る。

<「時代遅れ」と嘲笑 中露疑似同盟成立>

ニクソンによる米中接近は、米中ソ三角関係の最も弱い中国を対ソカードに使った。いまは逆に、中国が最も弱いロシアを対米カードに使おうとしている。プーチン露大統領が今年6月の英紙インタビューで、自由主義を『時代遅れだ』と嘲笑して旗幟鮮明にした。自由主義世界秩序に対抗する中露疑似同盟の成立である。

中国は南シナ海の大半を『中国の海』であると主張し、7つの人工島をつくった。他方のロシアはクリミア半島を力で併合し、ウクライナ東部に対しても軍事的な圧力を緩めない。

北京とモスクワは、ともにカネと力しか信じない。国内統治を優先して人権を抑圧し、米国の影響力を弱体化させ、自由主義世界秩序を突き崩すことに共通の利害を持っている。

ハドソン研究所のウォルター・ラッセル・ミード氏によると、ロシアは2016年にサウジアラビアに代わる中国最大の原油輸入国になり、2017年にはバルト海で中露初の合同演習を実施。さらに2018年6月に習主席がプーチン大統領を『親友』と呼び、同年9月、プーチン氏はウラジオストクでの大規模演習『ボストーク2018』に3000人規模の中国軍を招いて合同演習をした。

今年7月22日に竹島近くの韓国防空識別圏内で、中露の軍用機が日韓の防空能力を探り、韓国軍機がロシア機に300発以上の警告射撃をした事件は、中露枢軸が強化されていることを示す最新事例だ。

<来春の習氏訪日‥日中接近は危うい>

コーツ前米国家情報長官によれば、『ユーラシア大陸の二大国がこれほど接近するのは、1950年代以来のこと』だという。北京とモスクワの連携はその挑戦を増幅させる。だが、筆者がコーツ氏なら、中露に加えて『日中接近』への懸念を付け加えるだろう。

習近平政権は、ロシアを疑似同盟に引き入れたその手で、日米同盟の切り崩しに狙いを絞る。彼らは米国との覇権争いを立ち回るうえで、日本に戦略価値を見いだしているのだ。

かつて天安門事件後の1992年に、天皇陛下が訪中して米欧からの経済制裁に風穴を開けたように、来春の習氏訪日は、中国の乱暴狼藉を日本が率先して承認することにならないか。

トランプ米大統領はこの5月に、令和初の国賓として来日し、天皇、皇后両陛下が即位後初めて会見してはいる。しかし、中国は米国にとって貿易戦争やハイテク覇権を争う『新冷戦』の敵対国である。

ペンス米副大統領も10月24日の演説で、中国が『より攻撃的になっている』と述べ、香港や台湾をめぐる対応を批判している。日本にとっても、中国は尖閣諸島沖で領海侵入を繰り返し、北大教授はじめ10人にのぼる邦人をスパイ容疑で拘束している。

いまは、日米欧が相互に『不信の壁』を取り払い、同盟国を総動員しなければならない時であろう。同盟国である米国の大統領来日時に反対デモがなくても、習氏来日時にはありうる。そのとき菅義偉官房長官はデモ容認のために、一言『ようこそ民主主義の国へ』といえるだろうか」。

氏が言う「中露疑似同盟成立」、「習近平氏の日中接近危うい」は正鵠を突いている。習主席国賓来日の狙いは、日米同盟切り崩しにあるのは明白である。問題は、来春の習氏訪日までに憲法9条改正の国会発議を為せるか、である。最大の抗議デモとなるが。

「夕食会費5000円はファクト」

朝日の社説に「桜を見る会中止」「首相自ら疑問に答えよ」が書かれている。

「安倍首相は数々の疑問に、いまだ何ひとつ、まともに答えていない。このまま幕引きとするわけにはいかない。

首相主催の『桜を見る会』について、政府が来年度の開催中止を決めた。第2次安倍政権発足以降、招待者が膨れあがり、特に首相の後援会関係者が大勢招かれていることに公私混同との批判が強まっていた。急な中止決定に、追及の矛先を鈍らせる狙いがあるのは明らかだ。

政府はあいまいな招待基準や、不透明な招待プロセスなどを見直したうえで、再来年度の復活をめざす。1952年から続く行事であるが、各界で『功績・功労』があった人が対象という会の趣旨に立ち返り、この際、長年の慣行を見直し、今の時代にふさわしいものにしてもらいたい。

しかし、その前にやるべきことがある。税金で賄われる公的行事の私物化ではないかと指摘される安倍政権下での実態を、徹底的に解明することだ。

菅官房長官は一昨日、午前の記者会見では『首相枠、政治枠という特別なものはない』と否定しながら、午後の会見では一転、首相ら官邸幹部や与党に推薦依頼を出していたことを認めた。政治経験の長い菅氏が事情を全く知らなかったとは信じがたく、不誠実きわまる。政治家が推薦した人数についても、名簿が廃棄されていてわからないと繰り返すばかりだ。

首相は国会で『招待者のとりまとめには関与していない』と答弁したが、桜を見る会を含む観光ツアーの案内が、事務所名で地元の有権者に配られていたことが明らかになっている。『首相自身は知らなかった可能性がある』という内閣官房の説明は納得しがたいが、そうだとしても監督責任は免れない。

毎年、会の前夜には、都内の高級ホテルで、首相も出席して後援会の懇親会が開かれていた。野党は、会費5千円では費用を賄えない、首相が関係する政治団体の政治資金収支報告書に一切記載がない、などとして、公職選挙法や政治資金規正法に違反する疑いがあると主張する。適切に対応しているというのであれば、首相自身の口からきちんと説明すべきだ。

ところが、首相は国会では、招待者の個人情報を口実に具体的な答弁を拒み、来年度の開催見送りについても『私の判断で中止した』と一言、記者団に告げただけだった。

首相は先日の2閣僚の辞任に際し『一人一人の政治家が自ら襟を正し、説明責任を果たすべきだ』と語った。であるなら、率先して、野党が求める予算委員会の集中審議に応じ、その言葉を実行に移すべきだ」。

社説の主旨である「首相自ら疑問に答えよ」に異論がある。

安倍晋三首相は、首相主催の「桜を見る会」の来年度の開催中止を決めたが、危機管理からである。早期の2人の閣僚更迭、英語民間試験導入中止もそうである。野党・朝日の狙いが、審議ストップにより、国民投票法改正案の成立阻止にあるからだ。4月に開催された「桜を見る会」の問題点を、今何故持ち出すのか、である。1952年から続く行事であり、民主党鳩山政権時でも開催されているのに、である。

問題は、もりかけ問題と同じである。憲法改正を主導する安倍晋三首相を潰したいが故に、である。安倍晋三首相の後援会から800余人が参加し、櫻を見る会の前夜ホテルで会費5000円で夕食会をしたことを問題視したのである。相場1万1000円はかかるのに、差額6000円を安倍事務所負担したとの邪推である。公選法違反、政治資金規正法違反であると。なんのことはない。立食パーティであるから、5000円で可能である。後援会の参加者はすべてが自己負担であるから、公選法違反にも、政治資金規正法違反になり得ない。差額6000円を安倍事務所が負担はフェイクニュースとなるが。

「今国会での国民投票法改正案成立のために」

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朝日の社説に「閣僚連続辞任」「長期政権の緩み極まる」が書かれている。

「内閣改造から2カ月もたたないうちに、重要閣僚が相次いで辞任に追い込まれた。『安定と挑戦』を掲げた人事の失敗は明らかだ。安倍首相は、政権全体への信頼を揺るがす事態であると重く受け止めねばならない。

先週の菅原一秀経済産業相に続き、今度は河井克行法相が辞表を提出した。きのう発売の週刊文春が、妻で自民党参院議員の案里氏の陣営の選挙違反疑惑を報じたためだ。

案里氏は7月の参院選広島選挙区で初当選した。文春によると、その際、選挙カーでマイクを握る運動員に対し、法定上限の倍にあたる3万円の日当を支払いながら、領収書を二つにわけて経理処理をするというごまかしをしていたという。

事実なら、公職選挙法が禁じる運動員買収にあたり、候補者本人が承知していなくても、連座制の対象となる人物の有罪が確定すれば、当選が無効になる。議員の身分にかかわる、ゆるがせにできない疑惑である。

ところが、案里氏は事務所の運営はスタッフに任せていたとして、『事実関係の把握に努めたうえで、説明責任を果たしたい』とのコメントを発表して終わり。夫の克行氏も記者団に『私も妻もあずかり知らない。法令にのっとった活動を行っていると信じている』などと短く語るだけだった。

きのうは参院法務委員会で克行氏への質疑が予定されていた。報道直後のスピード辞任は、国会での追及を逃れるためではなかったか。同様に衆院経済産業委員会を前に辞任した菅原氏は、その後1週間たつが、いまだに公の場で疑問に答えていない。

甚だしい説明責任の軽視は、首相自身にもいえる。閣僚辞任という重大な場面にもかかわらず、その説明は会見ではなく、記者団との『立ち話』。『責任を痛感』『国民に心からおわび』というが、2012年の政権復帰以降、疑惑や失言などによる閣僚の辞任は10人目である。これだけ繰り返されると、首相の反省がどこまで本気か疑わしいと言わざるを得ない。

克行氏をめぐっては、秘書への暴行やパワハラ、セクハラの疑いが週刊審で報じられ、閣僚としての資質を危ぶむ声があった。にもかかわらず、首相は法務・検察をつかさどる法相につけた。選挙区内での贈答疑惑を指摘されていた菅原氏の起用と併せ、長期政権のおごりと緩みが極まった感がある。

首相が本当に任命責任を感じているというのなら、まずは野党が要求する予算委員会の集中審議に応じるべきだ。自ら説明の先頭に立つことなしに、信頼回復への歩みは始まらない」。

社説の主旨である「長期政権の緩み極まる」に異論がある。

内閣改造から2カ月もたたないうちに、重要閣僚が相次いで辞任に追い込まれたが、官邸の危機管理の要諦である初動操作の迅速さ故の早期更迭が本質である。安倍晋三首相の悲願である憲法改正を実現するために、今国会での国民投票法改正案の成立が至上命題だからである。野党の目論見は、疑惑閣僚の追及をテコにした審議拒否による国民投票法改正案の成立の先送りにあるからだ。

問題は、安倍晋三政権が、11月に憲政史上最長の長期政権になるが、その目標は、憲法改正に収斂される。国政選挙6連勝が長期政権の要諦であるが、争点はアベノミクスの是非と憲法改正の是非が争点であった。改憲勢力で衆院3分の2以上、参院では4議席不足が現状であるが、補充によって参院も3分の2以上となり、改憲発議が可能となっている。長期政権の結果である。安倍晋三首相は、来年での改憲発議と国民投票が可能となったのだから、閣僚の早期更迭は必至となる。「長期政権の緩み極まる」ではなく、今国会での「国民投票法改正案」成立のために、である。

「改憲国民投票ありきが民意」

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読売の社説に「臨時国会」「将来見据え本質突く論戦を」が書かれている。

「臨時国会が近く召集され、本格的な論戦が始まる。直面する内外の課題にどう対処するか。野党は政府批判に終始するのではなく、施策の内容に踏み込んで論じてもらいたい。

質疑の焦点の一つは、日米が合意した新たな貿易協定である。政府は、承認案を提出する。

米国産牛肉や豚肉にかける関税の引き下げは、環太平洋経済連携協定(TPP)を超えない水準で決着した。自国産業保護を目的に相手国に対して圧力をかけるトランプ米政権と交渉し、現実的な落し所を探った結果だ。

国内の農家にどんな影響が出るか。対策をどう講じるか。冷静に検討することが欠かせない。保護主義の広がりを防ぎ、自由な貿易体制を維持することは、日本の国益に資する。TPPの参加国の拡大や、別の経済圏の構築など、通商政策のあり方についても意見を交わすべきだ。

社会保障制度も論点となる。厚生労働省は、年金財政の健全性について点検結果を公表した。経済が順調に成長した場合、モデル世帯では、現役男性の平均収入の50%の給付水準を維持できる。

野党からは、試算の前提条件が甘いとの指摘が出ている。経済成長の見通しなど、前提の置き方を丁寧に説明することが大切だ。

少子高齢化は急速に進む。経済の活力を中長期的に維持し、持続可能な社会保障制度を築くことこそ、本質的な課題と言える。

高齢者雇用の拡大や子育て支援の充実など、広範な分野の施策を効果的に進めることが肝要だ。

政府は、政策の方向性と狙いを分かりやすく示す必要がある。野党が問題点を指摘し、代替策を提起することで、国会審議を充実させることができよう。

憲法論議を前進させることも、臨時国会の課題だ。野党には、改憲に積極的な安倍内閣の下での憲法論議に抵抗感が根強い。

最高法規のあり方を不断に論じるのは立法府の役割だ。共通投票所の設置などを盛り込んだ国民投票法改正案を速やかに成立させたうえで、憲法本体に関する討議を再開しなければならない。

立憲民主、国民民主両党などは衆参両院で統一会派を結成して、臨時国会に臨む。閣僚発言の揚げ足取りを繰り返し、政策論争を置き去りにすれば、国民から批判を受けよう。会派内で、政策をすり合わせ、質問内容を精査する。質疑の質を高め、行政監視能力を向上させていく姿勢が求められる」。

社説の主旨である「将来見据え本質突く論戦を」は、正論である。

政府・与党は、臨時国会提出法案を15本に絞り込んだが、継続審議となっている国民投票法改正案を成立させるために、である。安倍晋三首相は国政選挙6連勝をなしたが、総裁任期は2021年9月まであり、祖父の岸信介元首相からの悲願であり、自民党の党是でもある憲法改正の施行を2020年までに為すが、安倍晋三首相のレガシーである。そのための国政選挙6連勝である。その結果が、日経の直近調査での改憲国民投票賛成58%である。民意の6割近くが改憲国民投票ありきとなったのである。

問題は、野党の抵抗である。野党は、立憲民主、国民民主などで衆参両院で統一会派を組み阻止にかかるが、政府・与党は、58%の民意をテコに、多数決で成立させるべきである。来年の通常国会で改憲発議を為し、来年11月に衆院選と国民投票とのダブル選とのシナリオである。国民の審判を受けるのだから、野党も文句を言えない。臨時国会での最大の対決法案が国民投票法改正案となり、野党の抵抗があっても多数決で押し切るべきである。最高法規を改正するのは立法府の責務である。

日経に「韓国法相 迫る包囲網」「検察、曹氏の子弟聴取」「野党、捜査介入で告発」が書かれている。

「親族の疑惑を抱える韓国の曺国(チョ・グク)法相を巡り、同国検察が捜査を着々と進めている。自宅の家宅捜索に加え事情聴取は娘や息子に及び、検察改革に着手した曹   氏をけん制する。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は検察の強引な捜査に警告を発し、これを支持する国民の大規模デモが開かれた。政権と検察による全面対決の様相を深めている。

≪文氏、検察改革へ対決姿勢≫

検察はこれまでに曺氏の娘の大学院不正入学に絡み妻を起訴、私募ファンドの不透明運用では親戚の男を逮捕した。最近も娘と息子、弟を相次ぎ事情聴取している。息子は名門の延世大大学院への不正入学、弟は亡き父が経営した学校法人を巡る不正な資金調達が取り沙汰される。

検察が狙う本丸は曺氏本人だ。23日には自宅を11時間にわたって家宅捜索するなど、なりふり構わぬ捜査姿勢を示す。国会の聴聞会であらゆる疑惑を否定した曺氏の証言を覆す資料探しを急いでいるとの見方がある。

この家宅捜索の際、曺氏が検事に電話で『妻の体調がすぐれず、息子と娘も家にいるので速やかに進めてほしい』と要請したことが判明。保守系野党の自由韓国党は法相が個別事件の捜査に介入したとして、職権乱用などの容疑で検察に告発した。

ニューヨークの国連総会への外遊中の出来事に、文大統領は怒りを抑えられなかったようだ。27日には『(文政権が進める)。検察改革を求める声が高まっている現実を検察は省察してほしい。人権を尊重する節制された検察権の行使が必要だ』とする声明を出した。

曺氏は最近の雑誌のインタビューで『韓国の検察はいかなる権力をも屈服させられる力を持つが誰も統制できない組織だ』と指摘し、検察の起訴独占権を抑制する改革に切り込む決意を語った。文政権側には一連の捜査を、改革の旗手と組織防衛へ暴走する抵抗勢力の全面衝突という構図に持ち込みたい狙いもある。

韓国ギャラップが27日に公表した世論調査で文氏の支持率は41%と、最低を記録した前の週と比べ1ポイント持ち直した。依然不支持率が上回っており、レームダック(死に体)への分水嶺とされる30%台への手前で踏みとどまっている状況だ。

文政権を支える革新勢力は、検察改革の支持へ結束を強めている。28日夜には疑惑の捜査を進めるソウル中央地検近くの大通りで検察改革を支持する市民団体が主催する大規模集会が開かれ、検察や疑惑を報じる保守メディアへの批判を叫んだ。全国からバスで集まった参加者は主催者側の予想を超え、最終的には数十万人規模に膨れあがったもようだ。

2020年4月に総選挙を控える文政権にとっては、革新支持層が強く固まる展開は望ましい。対抗する保守政党はばらばらで、今のところ無党派層を強くひき付ける魅力的な経済政策などを備えているわけではないからだ。

検察が今後の捜査で疑惑の決定的な証拠を握れば、曺氏が追い詰められ文政権が大きな打撃を受ける可能性がある。ただ、強引な捜査が際立てば、かえって絶大な権力を振るってきた検察を改革する正当性を浮き彫りにしかねない。文氏も検察も、熱しやすい国民感情の行方に神経をとがらせている」。

韓国ギャラップの27日調査で文氏の支持率は前回より1ポイント増の41%となったが、レームダックへの分水嶺とされる30%台手前で辛うじてとどまっているが、検察が曹氏の決定的な証拠を握れば、一挙に30%台へと急落する。文在寅政権の検察改革を阻止する検察次第となるが。

1、日経に「中国建国70年」「香港『反中デモ』激化」「台湾は連帯示す集会」が書かれている。

「『逃亡犯条例』改正案への反対をきっかけとする抗議活動が続く香港で29日、大規模なデモがあった。10月1日の中国建国70周年を祝う看板に火を付けるなど事実上の反中デモで、警察は催涙弾や放水砲を使ってデモ参加者を多数拘束した。台湾でも29日、香港支援のデモがあり、主催者発表で参加者は10万人規模にのぼった。

6月に始まった香港デモは17週目に入った。29日のデモは警察に事前申請しておらず、警察は出発地点の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)で阻止しようとしたが、集まった人たちは行進を強行した。デモ参加者は警察の暴力行為を調べる独立委員会の設置や普通選挙の導入など『五大要求』を掲げた。

一部の若者は地下鉄駅のガラスを割ったり、中国の国旗や習近平(シー・ジンピン)国家主席の写真を踏みつけたりした。デモ隊は繁華街を移動しながら警察と激しく衝突し、香港島中心部は騒乱状態になった。香港メディアによると、警察は威嚇のため発砲し、緊張が高まった。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は26日に市民との対話集会を初めて開いたものの、条例撤回以外のデモ隊の要求には応じない姿勢を貫いている。行政長官選挙の民主化を求めた2014年の雨傘運動から5年となる28日にも数万人が集まった。民主派団体は10月1日にも大規模デモを計画しているが、警察は許可しない方針だ。

29日には台湾・台北でも香港との連帯を示すデモ行進が行われた。香港と台湾の民主派団体が呼びかけ、台湾独立志向を持つ与党・民主進歩党(民進党)の幹部らも参加した。雨が降りしきるなか香港民主派と同じ黒い服を着た若者らが路上を埋め『台湾は香港とともにある』と声を上げた。

デモに参加した台北市内の大学生、謝さん(21)は香港の混乱を報道などで目にして『中国に統一されたら大変なことになるという実感が初めてわいた』という。デモを通じ『民主主義を守る意志を中国に訴えたい』と話した。

中国の統治が及んでいない台湾では、香港は自分たちとは別と考える人が多かった。ただ統一を目指す中国の圧力が強まるなか、デモ隊と香港当局による混乱が拡大したことで中国への警戒感が高まった。20年1月の台湾の次期総統選に向けては対中強硬姿勢の民進党から出馬する蔡英文(ツァイ・インウェン)総統への追い風となり、対中融和路線の最大野党・国民党の候補、韓国瑜(ハン・グオユー)高雄市長に対し優位に立っている」。

明日、中国建国70年を迎えるが、中国共産党の核心利益である香港と台湾で反中デモが激化している。「今日の香港は明日の台湾」との危機感からである。20年1月の台湾の次期総統選で対中強硬派の民進党の蔡英文総統への追い風となっている。

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