政治

「海洋放出は国際標準」

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120826d

朝日の社説に「福島の汚染水」「海洋放出ありきではなく」が書かれている。

「東京電力福島第一原発で増え続ける汚染水を、そう取り扱うべきか。政府が福島県富岡町、郡山市、東京都内で開いた公聴会で、今後の方針を決める難しさが浮き彫りになった。

炉心を冷やすための注水や地下水の流入で、いまも日々、放射能で汚染された水が生じている。浄化装置で大部分の放射性物質を除去しているが、トリチウム(三重水素)を取り除くことはできていない。

トリチウムを含む汚染水は、原発敷地内のタンクに移して保管されている。その数が900基に増え、徐々に用地がなくなりつつある。政府は2020年ごろ限界になるとみており、今後の方針を決めるまでの時間的な余裕はあまりない。

経済産業省の作業部会は『薄めて海に流す』『深い地層に注入する』『水蒸気にして大気中に出す』など5案を検討した結果、海洋放出であれば費用と期間を最小にできるとの評価をまとめた。政府内では、この案が最も有力視されている。

たしかに、トリチウムは自然界でも生じているほか、全国の原発は運転中にできたトリチウムを法定基準に従って海に流している。しかし、だからといって、福島の海に汚染水を流せばいいと考えるのは早計である。

いまだに福島産の食品の輸入を禁じる国々があるなか、地元や漁業や農業の復興に努力を重ねている。ここでトリチウムを海に流されたら風評被害が広がる、と懸念するのは当然だ。公聴会でも海洋放出への反対意見がほとんどだった。

しかも先月、基準を超える放射性のストロンチウムやヨウ素が汚染水に残っていたと報じられた。地元は『話が違う』と不信感を募らせている。わずか3カ所の公聴会では不十分なのは明らかだ。政府はもっと対話の努力を重ねてもらいたい。

その際、海洋放出ありきの姿勢では議論が成立しない。ほかの選択肢も真剣に検討することが信頼関係の礎となる。

たとえば、今回の公聴会では『放射能が弱まるまで大型タンクで保管してはどうか』という提案が相次いだ。この提案をはじめ、さまざまな選択肢の長所と短所を冷静に見きわめて議論する必要がある。

広く社会に受け入れられる方針を決めるには、専門家に地元住民を含む市民も加わって意見交換を積み重ねることが不可欠だ。政府や東電は議論の材料となる情報を十分に開示し、丁寧に説明しなければならない。合意づくりは、原発を国策としてきた政府の責任である」。

社説の主旨である「海洋放出ありきでなく」に異論がある。

トリチウムを含む汚染水は、原発敷地内のタンクに移して保管されているが、その数は900基に増え、用地がなくなりつつあり、2020年が限界となり、その対策として、政府は「薄めて海に流す」「深い地層に注入する」「水蒸気にして大気中に出す」など5案を検討したが、費用と期間を最小にできるからと海洋放出案を有力した。

問題は、トリチウムを含む汚染水の海洋放出は、国際標準であり、海外と国内でも実施済みであり、問題は発生していない。そもそもトリチウムは発する放射線のエネルギーが弱い上に、体内に取り込まれても速やかに排出される。科学的根拠と実績を踏まえての海洋放出なのである。規制委も唯一の解決策としている、風評被害への反対はあるが、最後は、安倍晋三首相の政治的決断による以外にない。

朝日の「平成とは」④に「安定も変化も未来像探す若者」が書かれている。

「気温35度の土曜日。額から汗を垂らしながらビラを配る年長世代を、若者たちが軽い身のこなしでひらりと避ける。見ていて、いたたまれない気持ちになる。

『おばあちゃんの原宿』と呼ばれる東京・巣鴨の駅で、改憲に反対する活動に立ち会った。若者グループSEALDsに影響を受けて結成した主に60代以上の人たちで、その名もOLDs。      

街頭に立つのは170日を超えたが、『若者で署名するのは1万人に1人』と大学名誉教授の高橋正明さん(73)は言う。今の政権でいいんですかと呼びかけると『いいでーす』と答える。『安倍さんをいじめないで』と言った人もいた。

メンバーが若かりし頃、世界で若者が反政府デモをしていた。だが今、若い世代の政権与党への支持は高い。昨年の総選挙の出口調査で比例区の自民党に投票した人は60代で29%だったが、20代は47%に上った。

教育のせいなのか。周囲から浮くのを恐れるのか。50代の記者も加わって議論したが、答えは出ない。

無知や無関心が理由の一つではという声もある。なら、いわゆる意識高い系はどう考えているのだろう。

中立的な立場で若者の政治参加を促しているグループの会合で聞いてみた。『政権支持イコール保守化ではないのでは』と学習院大2年の男子学生は言いつつ、こう続けた。『野党を選びリスクを避けて現状維持を望むのは確かです』

多感な頃、政権交代と東日本大震災を経験した。大人たちの民主党政権への評価と比べると、安倍政権は大きな失点がないように見える。就職も好調だから交代を求める理由がない。

大学に入って政治に興味を持ったという東京学芸大3年の女子学生は、自分をリベラルだと考える。LGBTの権利擁護や女性差別撤廃に強く賛同する。その上で、昨年の総選挙で投票したのは自民党だった。

朝日新聞の切り抜きをよく送ってくる70代の祖父母は、今の政権は戦争ができる国にしようとしていると言う。『でも、ピンと来なくて。憲法9条で日本が守られているとは思えない。公文書偽造やモリカケ問題はもちろん擁護できないけれど、私たちの世代は経済の安定を強く望むから、消極的支持でも与党を選ぶ』

多くの若者に話を聞いたが、共通するのは『安定志向』だった。それに憲法9条に対するこだわりのなさが加わる。平成の終わり、若い世代が願うのは『現状維持』だけなのだろうか。

≪保守と革新従来の常識とは逆≫

早稲田大学准教授の遠藤晶久さん(40)は6年前、政治意識の調査をして、あることに気づいた。『若い世代に何かが起きている』

学生に政党名を示し、『保守』と『革新』の間に位置づけてもらう。パソコン画面で回答者がどこに視線を向けたかが分かる。

自民は保守であり、社民や共産は革新政党だというのが『政治の常識』だ。しかし、回答者は目をさまよわせていた。

うーんと思ったのもつかの間、遠藤さんは驚くべき視線の動きを目にした。通常は保守とされる日本維新の会で迷わず『革新』を選び、逆に共産党は『保守』寄りだったのだ。

年長世代とは正反対の結果が出たのは、なぜか。知人の研究者に聞いて回ったが、みな首をかしげた。その後も調査を重ねると、20代から40代までが同じ傾向を示していた。

これは『若者は無知だから』と切り捨てる話ではないと遠藤さんは考える。若い世代は、革新という政治用語を『変化』や『改革』ぐらいの意味だととらえているのだ。『世代を超えて通じ合う政治の言葉が失われつつあるのではないか』

当初、自民は保守側に位置していたが、最近は真ん中に寄っている。これは若い世代に改革政党と映り始めていることを意味する。

『安定』だけではなく、『改革』という言葉が若者に響いているのはなぜか。

政治に足を踏み入れた20代に会った。田中将介さん(25)は今年4月、東京都練馬区長選に立候補した。

学生時代に国際NGOの一員としてカンボジアに行き、人身売買や児童買春を防ぐ活動をした。一方で、『反安倍』を連呼するデモや野党のあり方には違和感を抱き続けてきたという。

『国会デモも見に行ったけど、政権を倒した後にどうするのかというビジョンがない。文句を言っているだけでは何も変わらない』

そういう自分は、新卒で大手メディア企業を志願し、全滅した。親元を離れてフリーの記者を始めたが、月収1万円以下の時もあり、パックご飯に納豆でしのいだ。それでもリスクを取らないと何も変わらないとネットで選挙資金を集めた。

街頭演説で上の世代に親指を下に向けるしぐさをされ、ネットで『中学校の生徒会長の方がマシ』と罵倒された。72歳の現職には遠く及ばなかったが、得票率は10%を超えた。

『僕らの世代は、10年先の未来さえはっきり見えない。日本社会がどうなるのか、不安しかない。だから自分たちで変えないと』

こんな考え方について、思い当たることがある。

≪日本が取り残されている感覚≫

平成に入り、バブル崩壊後に企業は新卒採用を減らす。同時に小泉政権の規制緩和で   派遣、契約といった非正規雇用が大量に生まれた。その世代について、私を含めた取材班は2007年『ロストジェネレーション』という連載をした。 

当時、取材をした若者もこう言っていた。『社会も会社も当てにならない。僕らの世代は、自分しか頼りにできない』  

内閣府が13年、日米韓など7カ国で行った意識調査で『将来の希望がない』と答えた日本の若者は38%と最多だった。  

現状維持を求めるのは、若者が日本社会に見捨てられ様子を見ているから。将来に不安を抱えるからこそ、同時に『変わらなければ生きていけない』と考える。それを理解していなかった私に、耳の痛い意見を述べる人がいた。

作家の橘玲さんは『朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論』(朝日新書)を6月に出版し、『朝日新聞に代表される戦後民主主義が嫌われる理由』を説いている。

『リベラルは本来はより良い未来を語る思想のはずなのに、日本では現状を変えることに頑強に反対している』

グローバル化に適応できず、長期低迷が続く平成の日本で、不安定雇用や少子高齢化に直面する若い世代の目に、リベラルは『守旧』に映るというのだ。

平成の次が近づき、変化も兆している。今年5月、40代以下の国会議員が若者政策推進議連を結成した。設立に奔走した室橋祐貴さん(29)は言う。『日本が取り残されている感覚を僕らの世代は持っている。10年、20年後の未来を提示できていないのはリベラルも保守も同じ』  

若者議連には自民、共産など左右問わず6党の約40人が参加し、供託金や被選挙権年齢の引き下げに向けて活動をしている。狙いはもちろん、若者を政治へ送り込むことだ」。

リベラルは「守旧派」、自民党は改革政党とのイメージを20代、30代が共有している。野党共闘は、立憲+共産+国民+自由+社民で10%、自民党40%の4分の1に過ぎない。改憲は「改革」、護憲は「守旧」となり、9条に自衛隊明記は、国民投票で過半数を得るが。

産経の「石平のChina Watch」に「国内経済脅かす『消費降格』」が書かれている。

「中国のネットで先月以降、『消費降格』という言葉が大きな話題となっている。消費降格とは『消費のレベルが下がった、下げた』という意味合いである。若者を中心とした多くのネットユーザーは『微博(ウェイボー=中国版ツイッター)』や各種の掲示板・コメント欄などで自分たちが今、外食・外出・衣類の購入などを控えて節約に励んでいることを自重的に語って人気を博したり、『貧乏自慢』や『節約術自慢』を競い合って大いに盛り上がったりしている。

8月23日、ニューヨーク・タイムズの中国版サイトで、袁莉という中国人記者が書いた記事が掲載された。『子供を産まない、デートしない、中国は〝消費降格″の時代を迎えたのか』というタイトルである。記事は、中国国内での幅広い取材に基づいて、都市部に住む多くの若者たちの消費志向と実態を次のようにリポートしている。

彼らの多くは日常生活においてはタクシーよりも自転車、外食よりも自炊、バーでカクテルを飲むよりも自宅で缶ビールを飲み、出費の多いデートより、1人でスマホをいじることを好むという。そして、人生設計において一部の若者たちは未来の経済状況に対する不安から、子供を産むことを断念し、自らの老後のために貯蓄に励む道を選んだというのである。

このような内容の記事が掲載されると、全国さまざまなサイトで転載され、広く読まれた。『消費降格』に関するネット上の議論はより一層盛り上がったのである。

こうした中、安酒の代名詞ともなっている『二鍋頭』という銘柄の中国酒のメーカーと、全国でよく食べられている搾菜という漬物のメーカーが両方とも業績を大幅に伸ばして株価を上げた。それもまた『消費降格』を表す現象として注目されている。安酒を飲みながら『ご飯に搾菜』という食生活を送っている人が増えていることが分かったからである。

即席ラーメンの消費量が増えていることも注目されている。例えば中国で特に人気のある『康帥傳』という銘柄の即席ラーメンの場合、今年上半期の売上総額は前年同期比で8・4%増となった。これはカップラーメンをすすって食事を済ませる人が増えていることを示している。

自動車市場の動向にも異変があった。今年7月、全国の自動車販売台数は前年同月比では4%減、前月比では何と16・9%も減少した。一部専門家の分析では減少の傾向は今後も続きそうだという。

8月中旬に国家統計局が発表したところによると、7月の全国の社会消費品小売総額の伸び率は、前年同月比1・6ポイント減となって15年ぶりの低水準となっている。『消費降格』が単なるネット上の噂や人々の主観的な感覚ではないことが、客観的な統計数値によっても裏付けられた。

もちろんそれは、中国経済全体にとっては由々しき事態である。これまでも慢性的な消費不足はずっと、中国経済成長の最大のネックとなっている。日本や米国の個人消費立は60~70%であるのに対し、中国のそれは37%前後。中国経済に占める国民の消費する割合は4割未満しかないのである。

消費が不足しているが故に、中国はずっと、投資と輸出の拡大で経済の成長を引っ張ってきている。しかし今、国内投資の過剰と『一帯一路』構想の失敗によって投資の伸びは大きく鈍化しており、米国から仕掛けられた貿易戦争においても、中国の対外輸出は大きく減少していくであろう。

こうした中で、中国経済にとっての唯一の生きる道は内需の拡大であるのだが、『消費降格』が広がっていくと、『内需拡大』は夢のまた夢。中国経済は今後、絶体絶命の危機を迎える」。

コラムの主旨である「国内経済脅かす消費降格」は、正鵠を突いている。米中貿易戦争によって対米貿易黒字の大幅削減により経済成長が鈍化する中、唯一の生き残る道は内需拡大以外にない。そこに「消費降格」が広かれば、ゼロ成長となり、内乱誘発となるが。

「9条2項維持・自衛隊明記が自民党案に」

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産経の主張に「総裁選と憲法9条」「自衛隊明記の意義を説け」「ゴールは『2項削除』と確認を」が書かれている。

「自民党総裁選は、安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなる公算が大きい。まず、憲法改正が主要な争点となっていることを歓迎したい。

今後3年間の日本の舵取りを論ずる上で、憲法改正から目をそらすわけにはいかない。国の基本法の改正は、よりよい国造りに欠かせない。なぜ憲法を改めなければならないのか。どのような改正をどう実現していくつもりなのか。国民や党員に具体的に訴え、約束する論戦を展開してほしい。

<主要争点化を歓迎する>

施行から71年がたった憲法と現実世界との乖離は大きくなるばかりだ。その最たるものが安全保障分野だという問題意識を安倍、石破両氏は共有しているはずだ。

防衛力を整備し、侵略者から国民を守り抜くことは国の最大の責務である。ところが、現憲法にはそのための規定が欠けている。

首相は現行の9条を残しつつ、自衛隊の存在を憲法に明記する党の加憲案を、秋の臨時国会に提出する考えを示している。

石破氏は、改正を急ぐべき項目として、参院選の合区解消と大規模災害に備える緊急事態条項の創設を挙げた。自衛隊明記には緊急性がないとし、国民の理解を得た上で、戦力不保持を定めた9条2項を削除して、軍の保持を定めるよう唱えている。

多くの国民は自衛隊を合憲と認め、活躍に期待している。だから自衛隊の明記だけでは改憲の意味がないという議論が存在するが、果たしてそうか。

9条を旗印にした空想的平和主義や、自衛隊違憲論に基づく軍事忌避の傾向は今も存在し、防衛努力を妨げている。

北朝鮮の核危機や中国の軍拡を前にしてなお、防衛省が資金提供する軍民両用の先端研究を忌避する大学や、研究機関が存在している。日本の義務教育では、抑止力や同盟といった安全保障の初歩的知識すら教えていない。

自衛隊の明記は、これらの問題を解消するきっかけにできる。

平和のために国が防衛力を活用する場合はあり得る。必要なら集団的自衛権の行使で仲間の国同士が守り合うことが国連憲章で認められている。世界の常識を国民が共有し、日本の安全保障論議の底上げをはかる意義は大きい。

国民投票で自衛隊明記を決めることは、命をかけて日本と国民を守る自衛隊を国民が支える意思表示にもなる。

もちろん、9条2項を削除して自衛隊を軍に改め、法律と国際法が禁じた以外は、柔軟に行動できるようにすることが憲法改正のゴールであるべきだ。

衆参各院での3分の2勢力の形成に必要な公明党の理解がすぐに得られる段階ではないが、これなくして、日本の安全保障改革は完成しない。

<緊急事態条項も急務だ>

安倍首相と石破氏は、第一歩として自衛隊を明記し、その後、9条2項削除の実現を目指すことで協力してもらいたい。

緊急事態条項の創設も急務である。備えるべきは、南海トラフの巨大地震や首都直下型地震といった天災(自然災害)にとどまらない。日本に対する核ミサイル攻撃や南西諸島方面への侵略など有事がもたらす人災にも備える憲法上の規定が必要である。

自民党憲法改正推進本部が検討している改正案には、緊急事態を天災に限定する欠陥がある。『大規模な天災には備えるが、大規模な人災には備えない』:憲法などあってはなるまい。

自由や権利を享受する国民の命とそれを保障する憲法秩序を守るため、再考してほしい。

憲法改正は、自民党内で論議しているだけで満足しているわけにはいかない。麻生派は安倍首相に対し、来年夏の参院選前に憲法改正国民投票の実現を求める政策提言を提出した。

平成24年12月に第2次安倍政権が発足してから5年8カ月がたった。憲法改正に前向きな勢力が衆参各院で3分の2以上を占めても憲法改正は実現していない。

その理由の一つが、政局を理由に改憲論議にブレーキをかけてきた立憲民主党などとの『合意』にこだわりすぎた憲法審査会の停滞にある。審

査会規定にのっとり、改正論議に前向きな与野党が主導する運営に改める時期にきている」。主張の主旨である「自衛隊明記の意義を説け」は、正論である。自民党総裁選は、安倍晋三首相と石破元茂元幹事長との一騎打ちとなるが、主要争点は、安倍晋三首相主導の9条2項維持・自衛隊明記案の是非となる。安倍晋三首相が3選を目指す最大の動機だからである。自民党の党是であり、祖父からの悲願である憲法改正を2020年に施行するためにである。

問題は、憲法改正発議を何時為し、国民投票を何時為すかとのタイムスケジュールである。来年7月の参院選の圧勝が絶対条件となる。そのスタート台が総裁選との位置づけになり、圧勝が必須となる。結果として、安倍案である9条2項維持・自衛隊明記案への一本化がなる。だからこそ、朝日・野党は石破氏を支援するのである。石破氏の主張も、朝日・野党に迎合し、もりかけ問題を駆使しての「正直」「公正」をキャッチフレーズにし、9条改正論には慎重姿勢を示している。石破氏は自民党の党是に反しており、大儀名分がない。結果、自民党支持層で石破支持は20%にとどまっている。安倍支持は60%を超えているのに、である。安倍晋三首相の圧勝となるが。

産経の「正論」に神谷万丈・防衛大学校教授が「中国との体制間競争を勝ち抜け」を書いている。

「冷戦期は、自由・共産両陣営が体制の優位を競い合った時代だった。だが冷戦後、リベラルデモクラシー諸国は、中国に対してはそうした考え方を控えてきた。中国を打ち負かすのではなく発展を助けることで、中国の体制をより自由な方向に動かそうというのがその対中戦略の基本だった。

<動揺するリベラル国際秩序>

現在われわれは、リベラルな価値や理念の受け入れを拒む中国の自己主張の強まりを前に、過去数十年の東アジアと世界の平和と繁栄の基盤になってきたリベラル国際秩序が動揺するという現実に直面している。今われわれに求められているのは、自由な諸国と中国との体制間競争が既に始まっており、リベラル国際秩序が守られ得るかどうかは、その結果にかかっているという認識を持つことだ。

21世紀に入る頃から、日米欧などは、中国にリベラル国際秩序を支持させようとする働きかけを続けてきた。世界貿易機関(WTO)などの国際機構に迎え入れてさまざまな形で関係を深めれば、中国も国際ルールを尊重するようになり、相互依存の中で既存秩序の維持を利益とみるようになるだろう。また、中国の発展を助ければ徐々に民主化も始まり、リベラルな価値の受容も進むだろう。そのように考えられたからだ。

だが、豊かさと強さを手にした中国は、反対に共産党独裁と言論・思想統制の強化に動いた。対外的にも、南シナ海や東シナ海でみられるように、国際的なルールを守るよりも、力で現状を変えようとする姿勢が目立ってきている。

<世界はいずれの体制を選ぶのか>

最近では、既存のリベラル国際秩序を支えるのではなく、中国主導でその改変を図りたいという意志が表明されるようにもなった。たとえば習近平国家主席は、6月の中央外事工作会議で、中国が『グローバルな統治システムの改革に積極的に関わり、リードしていく』と述べている。

これまでわれわれは、中国は、安全保障面では脅威でも、経済面では協力すべき相手なのだから、競争とか対決とはあまり言うべきではないと考えてきた。だが、今や、経済面を含めて中国と正面から対峙し、自由で民主的な体制と中国的なるものとのいずれが優れているのかをめぐり、決然と競争することが求められているのではないだろうか。

これは、中国をいたずらに敵視せよということとは違う。近い将来経済規模で世界一になる可能性が高く、人工知能などの最先端技術でも躍進著しい中国とは、仲良くできるならばそれにこしたことはない。だが、協力を追い求めるあまり、対中競争を恐れることがあってはならないということだ。

われわれは、リベラルな国際秩序を守りたい。そのためには、世界の国々がわれわれの秩序と中国的秩序とのいずれを選ぶかが重要だ。世界に対し、日米欧のような自由で民主的な体制が中国の体制よりもよいものであることを示していくことが求められている。

そのためには、経済や技術力で中国に負けないことが必須の条件だ。中国の体制の欠点を批判するだけでは対中競争には勝てない。現実の経済や技術で中国が自由な国々よりも実績を残せば、誰がどう批判しようとも中国に引きつけられる国は増えてしまうだろう。

政治的にも、リベラル民主社会の素晴らしさを世界にアピールできなければならない。言論の自由が保障され、男女が平等で、少数派が迫害されず、社会の開放性が保たれている。そうした社会がいかに住みよいものなのかを、説得的に示さなければならない。

<魅力ある経済と社会の構築を>

1963年6月26日、西ベルリンを訪れたケネディ米大統領は、30万の聴衆に『私はベルリン市民である』と語りかけた。共産圏に浮かぶ自由主義の孤島となっていた西ベルリンの人々を勇気づけたこの演説は、冷戦史上最も記憶されている瞬間のひとつだ。だが、彼が次のように述べたことを覚えている人はどれだけいるか。『共産主義が未来の波だという者がある。彼らをベルリンに来させよう。…共産主義が邪悪な体制であることは確かだが経済的進歩を可能にするという者さえある。彼らをベルリンに来させよう』

ケネディは、東西競争の帰趨はベルリンに行けば一目瞭然だと言い、それに誰もが納得した。ソ連は、西側の自由と繁栄を東側の目から隠すために、ベルリンの壁を築かなければならなかったのだ。

だが今日の中国は違う。北京や上海を見た人は、その繁栄に圧倒される。中国の体制は自由でも民主的でもないが、経済的進歩は疑いなく可能にしているのだ。他方、リベラル民主社会の魅力は、トランプ大統領の言動によって徐々に蝕まれつつある。

世界の多くの国が中国を『未来の波』とみなし、手本にしたいと思うようになってしまえば、リベラル国際秩序の将来は暗い。この秩序を守りたいならば、われわれは、経済でも社会の魅力でも、中国との体制間競争には負けられないのだ」。

コラムの主旨である「中国との体制間競争を勝ち抜け」は正論である。米中貿易戦争がそれである。日本はトランプ政権側に立つべきである。米中貿易戦争は、邪悪なる中国共産党一党独裁体制を潰すための戦いだからである。

朝日の「自民党2018総裁選」に「石破氏、首相との違い強調」「政策発表 行政の信頼回復策提示」が書かれている。 

『自民党の石破茂元幹事長が27日、国会内で記者会見し、総裁選(9月7日告示、20日投開票)で掲げる政策を発表した。森友・加計学園問題で失墜した行政の信頼回復に向けたメニューを提示。地方に軸足を置く『ポストアベノミクス』なども提唱し、安倍晋三首相との違いを強調した。

<100日プラン>

10日の立候補表明会見に引き続き訴えたのが、森友・加計問題を念頭にした『政治・行政の信頼回復100日プラン』だ。

国家公務員の幹部人事を握る内閣人事局の運営の見直しのほか、官邸主導の政策推進プロセスの透明化や官邸スタッフの面会記録の保管義務化などを列挙。公文書改ざんの再発防止に向け、全省庁に公文書管理監を置くことや改ざんが不可能なシステムをつくり、各省庁に法令順守調査室を設置することなどを掲げた。また、官邸で乱立する会議を再編し、『日本創生会議』を新設する考えも示した。

<地方経済に軸足>

経済政策では、安倍政権下での成長戦略や地方創生の失敗を指摘する資料を配布し、異次元の金融緩和という『カンフル剤』が効いている間に地方と中小企業の成長を高める『ポストアベノミクス』を主張した。『地方創生推進機構』を立ち上げ、中小企業を支援する考えも示した。

ただ、アベノミクスによる雇用や企業収益の改善については『素晴らしいことは素晴らしいと評価すべきだ』とたたえた。株高を進めたアベノミクスへの批判が、『石破首相で株価が下がるとのレッテル貼り』(石破派幹部)につながることを懸念したためだ。

<対等な地域協定>

外交では、安倍首相とトランプ米大統領の『蜜月』を評価しつつ、『友情と国益は別と認識しなければならない』。北朝鮮の拉致問題や核・ミサイル問題解決のため、東京と平壌への連絡事務所設置を提案した。

また、米国内に自衛隊の常設訓練場を創設し、在日米軍と対等な地位協定につなげる考えを強調。将来的な集団安全保障体制の構築を念頭に、豪州やインド、北大西洋条約機構(NATO)との連携にも意欲を示した。憲法改正には『スケジュールありきとは思っていない』と述べた。

<「正直公正」は政治姿勢と説明>

自民党の石破茂元幹事長は27日の記者会見で、見直しに言及していた総裁選のキャッチフレーズ『正直、公正』について、自身の『政治姿勢』として変わらないと強調する一方、『自分の政治姿勢と政策のスローガンは当然峻別されてしかるべきだ』と語った。

この日に配布したリーフレットには『正直、公正』が記されたものの、石破氏は今後は政策論議に軸足を移すことになるとして『政策論を展開するにあたり、スローガンは当然変わる』とも説明した。

『正直、公正』をめぐっては、森友・加計学園問題を想起させるとして、石破氏を支持する参院竹下派などから『首相への個人攻撃』との不満が噴出。石破氏は25日に見直しに言及したが、今度は石破派内から『ぶれたような印象を与える』(幹部)との懸念の声が上がっていた」。

石破氏は27日、国会内で記者会見し、総裁選で掲げる政策を発表したが、肝心なアベノミクスの代案は出せずに終わった。市場が安倍3選を望み、アベノミクスの継続を希求しているからである。石破首相になれば、株価暴落必至となる。国政選挙5連勝の勝因はアベノミクス効果であることを、自民党支持層は承知しているので来年の参院選の顔として安倍晋三首相を選ぶのは必然となるが。

「『一帯一路』構想参加拒否を」

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産経の主張に「日中平和条約40年」「覇権主義の現実見据えよ」が書かれている。

「日本と中国が『平和友好条約』に署名して40年が経過した。

条約は第1条で主権と領土の相互尊重や不可侵をうたい、紛争解決で武力による威嚇に訴えないとも明記した。第2条では反覇権を確認した。

旧ソ連の脅威を念頭に置く規定だったが、昨今の中国の振る舞いはこの精神と程遠い。まずはこの現実を直視すべきである。

日中両国は40周年の関係改善を演出している。安倍晋三首相は李克強首相と交換した祝電で、5月の李氏訪日を評価して『日中関係が正常な軌道に戻った』などと記したが、果たしてそうなのか。

隣り合う大国との冷え込んだ関係を好転させる意義は大きい。だが、それは、日本の安全保障に脅威をもたらす中国の本質が変わらぬ中では難しい。中国にすれば、対米関係悪化を踏まえて日本に接近している面もあろう。

経済的利益に吸い寄せられるように前のめりに動くのは危うい。中国の覇権主義にどう対峙するのか。必要なのは、この視座での対中戦略の再構築である。

中国に対する日本の期待は裏切られ続けてきた。1989年の天安門事件後、欧米が経済制裁を続ける中でいち早く支援の手を差し伸べたのは日本だ。官民を挙げて経済発展を後押しした。

にもかかわらず中国は、沖縄県の尖閣諸島で公船の領海侵入を繰り返す。歴史問題を持ち出しては日本を攻撃し、反日デモでは日本の公館や企業が襲撃された。

中国を支援すれば、やがて人権や民主主義、法の支配などの普遍的な価値観を共有できるとの楽観論は誤りだった。むしろ習近平政権は強権的手法を強めている。

これを制するどころか、支えるような対中外交は許されない。例えば広域経済圏構想「一帯一路」である。安倍政権は協力姿勢をみせるが、それが軍事を含む中国の勢力拡大に結びつかないか。

条約の翌年に供与を始めた対中ODA(政府開発援助)も完全に終えるべきだ。累計3兆円を超えた円借款は新規の引き受けを終えたが、無償資金協力や技術協力で今も年数億円を供与している。世界2位の経済大国が、なお援助を受け続ける理由はない。

南シナ海の現状変更に直面するアジアでも対中警戒は強い。ムード先行の表向きの関係改善では真の平和と友好につながるまい」。

主張の主旨である「覇権主義の現実見据えよ」は、正論である。

日本と中国が「平和友好条約」を調印して12日で40年となったが、条約第1条の主権と領土の相互尊重や不可侵をうたい、紛争解決で武力による威嚇に訴えない、第2条の反覇権に、中国の今までの言動はすべてに違反しており、覇権主義そのものとなっている。

日本は1989年の天安門事件後、鄧小平氏による改革開放路線を後押し、巨額の政府開発援助を供与し、中国をGDPで日本を抜き米国に次ぐ世界第2の経済大国に押し上げることに全面協力したのに、逆に、中国の覇権主義を強化させてしまったとの現実に直面している。国際ルールを無視し、東・南シナ海で軍事拠点を設けての軍備拡張路線、尖閣諸島での公船の領海侵入、歴史問題を煽っての反日デモ、反安倍攻撃などである。

問題は、中国を支援すれば、やがて人権や民主主義、法の支配などの普遍的価値感を共有できるとの親中派の楽観論は誤りだったことである。中国をWTOに加盟させれば自由市場に移行するのでの米国の楽観論も同じ、過ちを犯したのである。トランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争は、その総括の上での中国潰しが狙いである。習近平主席が日中関係改善に前向きとなっているのは、トランプ政権の「中国潰し」の意図に脅威を感じているからである。安倍晋三首相は10月にも訪中するが、習近平氏の狙いは「一帯一路」構想への日本の取り込みにある。「一帯一路」構想参加拒否が、正論となるが。

読売の「改革開放40年」「第3部新日中関係」①に「再び日本に学べ」「関係改善急ぎ米に対抗」が書かれている。

「5月中旬に北京で開かれた国務院(中央政府)の会議を主宰した李克強首相の口ぶりは、普段に増して熱がこもっていた。

会議の様子を知る中国政府関係者によると、日本訪問を終えたばかりの李氏は、各省庁のトップを前に、北海道での自動車関連工場や農業施設の視察について、こう感想を述べた。

『想像以上の先進国だった』

2012年9月の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化を受け、日中首脳間の従来が途絶え、両国関係は『谷間の時代』(日本政府関係者)と形容されるまで悪化した。中国では、10年に国内総生産(GDP)で日本を追い越して世界第2位の経済大国となった自信から、『もはや日本は相手にせず、米国と直接付き合えば良い』(中国外交筋)との『ジャパン・パッシング』の主張も飛び交った。

だが、中国の首相としては7年ぶり、本人としては約四半世紀ぶりに訪日した李氏は、経済指標には表れにくい日本の『国力』に、『見ると聞くとは大違い』(中国共産党関係者)との印象を抱いたようだ。視察に同行した日本政府関係者は、李氏は周囲が驚くほど、日本の近代化された農業や先端技術を称賛したと明かす。

李氏は、札幌で開かれた『日中知事省長フォーラム』で、中国の深刻な少子高齢化問題に触れ、『医療機械分野や、ロボットを応用した分野で、日本には先進的な技術と経験がある』と、日中の協力強化を呼びかけた。

日本に関する李氏の一連の発言は、対外政策の決定権を持つ習近平国家主席の了承がなければありえない。『再び日本に学べ』の方針は、中国指導部全体で共有されているとみられる。

米トランプ政権と先の見えない貿易摩擦を抱える習政権は、米国に対抗するため、対日関係改善を含む、足場固めの必要に迫られている。環境保護や医療・介護など国内問題の解決に日本のノウハウを利用するだけでなく、米国への対抗軸となる巨大経済圏構想『一帯一路』へ日本の取り込みまで視野に入れる。

ただ、共産党政権は日本に対して『改善』一辺倒ではいられない。『抗日戦争勝利』の歴史こそが、一党独裁の正統性の根幹だからだ。江沢民政権時代から全国で整備が進められた『愛国主義教育基地』もいまや、400か所を超える。

5月末、天津での結婚式のパレードで旧日本軍の軍服姿でバイクを運転した映像が拡散した男性(36)は、インターネット上で『公開謝罪』を強いられた。こうしたコスプレは、軍国主義時代の日本を美化する中国人を指す中国語『精神日本人』を略し、『精日』と呼ばれる。日本の漫画やアニメを見て育った中国の若者の一部に流行し、以前はそれほど問題視はされていなかった。

しかし昨年以降、上海や南京で当局による精日摘発が相次ぎ、この3月には王毅国務委員兼外相が『中国人のくず』と口を極めて非難した。精日行為の刑事責任まで問える『英雄烈士保護法』も5月に施行された。

昨年秋には、増加する一方だった日本への団体旅行が全国規模で突然制限された。世論が『親日』に傾きすぎることを警戒した措置との見方が大勢だ。中国駐在経験の長い日系航空会社幹部は『改善傾向にあるとはいえ、日中は特殊な関係ということだ』と語った。

『友好の一方でけん制も忘れない。それが一貫した中国の対日政策だ』。日中関係筋はそう指摘する。国内外の問題から国民の目をそらせるための『反日カード』のスイッチは、常に共産党政権の手中にある」。

李克強首相の5月の日本訪問を契機に「再び日本に学べ」の方針に、中国共産党の指導部が転換した。習主席が了承済みである。米中貿易戦争の長期化故である。背に腹を変えられぬと。反日カードを放棄し、日本に摺り寄らざるを得ない。

産経に「首相『秋国会に改憲案』」「日朝首脳会談へ意欲」「長州正論懇話会」が書かれている。

「安倍晋三首相(自民党総裁)は、9条に自衛隊を明記するなどの憲法改正に関し、秋に予定される臨時国会に自民党案の提出を目指す意向を初めて表明した。連続3選を目指す9月の総裁選を通じて自民党内の憲法改正の作業をさらに加速させたい狙いがある。同時に、総裁選出馬を表明した石破茂元幹事長が9条改正を争点から避けたことを牽制した形だ。

首相は12日、山口県下関市内で開かれた長州『正論』懇話会の設立5周年記念講演会で講演した。

憲法改正については『いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない。これまでの活発な党内議論の上に自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるよう、取りまとめを加速すべきだ』と述べた。

さらに『昨年の衆院選の公約実現を目指すことは自民党としての責任でもある。誰が総裁になろうとも、その責任を果たしていかなければならない』と訴えた。『政治は結果である。どのように幅広い同意を得て憲法改正を実現するか、総裁選で党員の間に議論を深め、一致団結して前に進むきっかけとなることを期待する』とも語った。

自民党は、自衛隊、緊急事態、参院選「合区」解消、教育の充実の4項目の改憲案を作成している。首相は『自衛隊を合憲』とする憲法学者が2割にとどまる現状などに触れ『こんな状況に終止符を打つ。全ての自衛官が誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは今を生きる私たち政治家の責任だ』と語り、9条への自衛隊明記に重ねて強い意欲を示した。

北朝鮮による日本人拉致問題には『いまだ解決できないことは痛恨の痛みだ。安倍政権で必ず解決するという強い決意で臨んでいる』と改めて言明した。

『最後は私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と直接向き合い、わが国が主体的に解決しなければならない』とも語った。

さらに『今こそ<戦後日本外交の総決算』を成し遂げるときだ』と訴え、『最大の課題の一つ』と位置づける日露平和条約の締結を目指す考えに言及した」。

安倍晋三首相は12日の長州「正論」懇話会の設立5周年記念講演会で秋の臨時国会で9条に自衛隊を明記する自民党案の提出を目指す意向を初めて表明した。総裁選の争点が、首相主導の9条に自衛隊明記案の是非となるのは必至となる。

「中国の脅威ありき」

政治

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朝日の社説に「陸上イージス」「導入ありきは許されぬ」が書かれている。

「ようやく芽生えた緊張緩和の流れに逆行するだけではない。費用対効果の面からも、やはりこの計画は、導入の是非を再考すべきだ。

防衛省が、陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』にかかる費用の見通しを明らかにした。

米航空機大手ロッキード・マーチン社製の最新型レーダーを採用したため、一基あたり、当初想定していた800億円から1340億円と約1・7倍に膨れあがった。

政府は、秋田、山口両県に計2基の配備を計画している。導入後30年間の維持・運用費を加えると、総額は4664億円になるという。そこには土地造成などの施設整備費も、一発数十億円にのぼるミサイル費用も含まれておらず、さらに経費がかさむだろう。

防衛省は来年度予算案の概算要求に関連経費を計上する方針だが、これだけ巨額の事業である。導入ありきで突き進むことは許されない。

米国からの調達は後から価格が高騰することが多い。トランプ大統領が貿易不均衡是正のため、米国製兵器の大量購入を日本に迫る今は、なおさらだ。

政府は昨年末、北朝鮮の核・ミサイル開発を『重大かつ差し迫った新たな段階の脅威』と位置づけ、陸上イージスの導入を決めた。しかしその後、南北首脳会談や米朝首脳会談を経て、東アジア情勢は新たな局面に入っている。

これを受け、政府自身、北朝鮮のミサイル発射を想定した住民避難訓練を当面中止し、北海道や中国・四国に展開していた地対空誘導弾(PAC3)部隊も撤収させた。『北朝鮮の脅威は変わっていない』(小野寺防衛相)と強弁し、昨年来の計画に固執する姿勢は、幅広い国民の理解を得られまい。

安倍政権はかねて北朝鮮の脅威を強調してきたが、防衛力強化の狙いは実のところ、中国への備えにあるとされる。米国に向かう弾道ミサイルの追尾情報を提供することになれば、米本土防衛の一翼を日本が担うことにもなる。近隣諸国との関係に与える影響を、冷徹に分析しなければならない。

配備候補地となった秋田、山口では、性急な政府への反発が強まっている。政府が目指す2023年度の運用開始は、米側の事情もあって、25年度以降にずれこみそうだ。その時になって、巨費を投じた陸上イージスが無用の長物になっていないか。今こそ、徹底的な議論が求められる」。

社説の主旨である「導入ありきは許されぬ」に異論がある。

「ようやく芽生えた緊張緩和の流れに逆行するだけではない。費用対効果の面からも、やはりこの計画は、導入の是非を再考すべきだ」は、事実誤認がある。5月の米朝首脳会談後、非核化交渉が遅々として進まず、北朝鮮は核・ミサイル放棄の意思を未だに明示していない。それどころか、北朝鮮が大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)を製造している兆しすらある。緊張緩和の流れに逆行しているのが北朝鮮の動きである。

問題は、北朝鮮の緊急緩和が逆行の動きは中国の後押しによってのものであることだ。北朝鮮の核・ミサイルの脅威よりも、中国の核・ミサイルの脅威の方が大きいのである。陸上イージス導入は、中国の弾道ミサイル、巡航ミサイルから日本国民を守る上で必須不可欠となるが。中国が尖閣諸島占拠の意思を明示しているのだから、日米同盟強化で抑止力を持つのは必然であり、それが米国製の陸上イージス導入である。30年間運用で7000億円は、新型イージス艦2隻の30年間運用7000億円と同じであり、日本全域を守るには。7隻以上が必要であり、費用対効果からも導入すべきとなる。中国の脅威ありきである。

朝日の「野党を問う、1強多弱のなかで」㊤に「対決 対案 立憲と国民に溝」が書かれている。 

「『おかしいよっ』『何をやってんだ』

カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の付帯決議案を読み上げる国民民主党の矢田雅子氏の声が、同じ野党議員たちの激しいヤジでかき消された。

7月19日夕の参院内閣委員会。付帯決議案が文案通り可決されると、矢田氏は涙をぬぐい、同僚議員に肩を抱かれて退室した。

刑法が禁じる賭博を例外的に認めるカジノ実施法には、立憲民主党など野党6党・会派が反対した。国民も、だ。しかし、立憲などが法案の採決そのものに抵抗したのに対し、国民だけは付帯決議で政府に注文を付けることを条件に採決を容認した。

その数時間前。

参院議長の不信任決議案を出した国民の大塚耕平共同代表が本会議場の演壇からカジノ実施法案の問題点を説き、議長の姿勢を指弾していた。『これではギャンブル依存症促進法案だ』。その議場の隅で、自民党議員と付帯決議案の文案を調整したのが矢田氏だった。ヤジを飛ばした野党議員にとって、国民の態度は政府・与党への『迎合』だった。

当の矢田氏は涙のわけをこう語った。

『欠陥だらけの商品(カジノ実施法)を世に出さなければならない無念さ。立法府の責任を果たしたいという思い。万感の思いがよぎった』。野党の一員として何ができるのか、立ち位置の難しさをにじませた。

≪支持伸びず危機感≫

昨年秋の衆院選で与党は3分の2を握り、野党は民進党の分裂で多党化した。

衆院で野党第1党になった立憲は『対決路線』を取った。政府・与党に問題があれば、審議拒否や日程闘争も辞さず徹底抗戦。枝野幸男代表は『野党の武器は限られている。批判覚悟で国会を空転させないと国民に伝わらない』。政権批判票の受け皿をめざす。

一方、参院野党第1党の国民は『対案路線』だ。政権の問題に対する解決策を示して野党の信頼回復につなげようという考え方で、『対決より解決』を旗印に掲げた。カジノ実施法の付帯決議もその一つだった。

ただ、両党とも悩みは深い。立憲は、森友学園や加計学園問題への政権の対応が不十分だとして、大型連休前後に18日間の審議拒否を主導した。ところが与党に『18連休』と揶揄された。

世論の支持が伸びず、衆院選後に17%あった政党支持率(朝日新聞調査)は、今年7月時点で8%に。党内では『政権構想を示せていない。経済政策をまとめなければ展望は開けない』との危機感が広がる。

国民は対案を示そうとしたが、『対決より解決』の姿勢が与党の強引な国会運営に加担する結果につながったと批判された。政党支持率(同)は1%。『与党とは対決、国民には解決策という意味だ』。党の旗印について、泉健太国会対策委員長は7月20日の記者会見で、新たに説明を迫られた。

≪四半世紀、試行錯誤の歴史≫

対決か対案か。野党は四半世紀にわたって試行錯誤を続けてきた。

自民党支配が続いた『55年体制』下では、対決一辺倒だった。ところが、1993年に『非自民』の細川連立政権ができると、対案路線を志向する声が出始めた。

『金融国会』と呼ばれた98年の臨時国会では、野党の政策立案能力に光が当たった。小渕政権は不良債権処理のための関連法案を参院で否決され、衆参両院で147議席だった民主党会派の対案を丸のみした。当時、対案をつくったのが、『政策新人類』と呼ばれた枝野氏らだった。

小泉政権時代には、民主党が衆参で200前後以上の議席を得て、改革の速度や手法でも与党と競うようになったが、06年に党代表が小沢一郎氏に代わると対決路線に一転。衆参の『ねじれ』をテコに政府案を正面から否決し、民主党は09年に政権交代を果たした。その後、野党に転落した自民党も対決路線を徹底して、再び政権を奪還した。

いま、衆参両院で407人を擁する自民党に対し、立憲は73人、国民は62人。与野党の勢力はかつてなく不均衡な状態だ。対決だけでも、対案だけでも、闘い得ない。成蹊大の高安健将教授(比較政治学)は『二択』で考えるべきでないと指摘する。

『現実化する政権の政策をチェックする<対決>も、有権者に別の未来を見せる<提案>も、野党には必要だ。一つの党内で調整した方が調整のコストは小さいのに、多党化するなかで立憲と国民が違いを見せようとして調整を難しくしている』とみる。

通常国会が幕を閉じました。1年後には参院選が迫ります。野党の役割は何なのか。巨大与党とどう対峙すべきか。『1強多弱』のなかでの野党のありようを上下2回で考えます」。

昨年9月の衆院選直後立憲民主党は17%もあったのに7月時点で8%と半減した。もりかけ問題をテコに対決路線を貫いたからである。対案路線の国民民主党は1%しかない。旧民主党は8%+1%の9%に過ぎない。民主党政権の後遺症である。問題は、来年7月の参院選の争点が9条改正の是非となることだ。野党は対決路線の共闘にならざるを得ない。与党40%VS野党13%となるが。32の1人区野党は全敗となるが。

朝日の「自民党2018総裁選」に「参院竹下派 石破氏へ傾く」「竹下氏と近く直接会談」が書かれている。

「9月の自民党総裁選をめぐり、党内第3派閥の竹下派(55人)の参院議員の間で、石破茂・元幹事長を推す流れが強まっている。31日の幹部会合で、同派の参院側21人を率いる吉田博美・党参院幹事長が、青木幹雄・元党参院議員会長から石破氏支持の要請があったことを説明し、対応について一任を取り付けた。

東京都内のホテルで開かれた幹部会合の冒頭、吉田氏は、政界引退後も同派に影響力のある青木氏と25日に面会した内容について説明。『青木さんから<石破でやれないか>と相談があった』と明かす一方、『青木さんの相談は指示ではない。言うことを何でも聞くわけじゃない』と強調した。青木氏の石破氏支持の要請に対し、吉田氏の説明を受けた幹部7人から異論は出なかったという。

『自民党は<安倍1強>と言われるが、健全な政策論争ができる、開かれた政党であると国民に理解してもらう機会にもなる』とも述べ、安倍晋三首相と石破氏の一騎打ちになる見通しの総裁選での論争が、来年夏の参院選にプラスになるとの認識を出した。出席者から賛同の声が出たという。

そのうえで、派閥会長の竹下亘・総務会長の方針を確認するため、近く直接会談する考えを示し、『竹下さんの方針に従う。竹下さんが、石破さんと言えば石破さん。安倍さんと言えば、安倍さん』と述べた。

一方、竹下氏は31日、同派衆院議員のパーティーで講演し、派の対応について『迷っていないといえばウソになるが近々決めなければいけない』と語った。『どんなに苦しい時でも向かい風でも、自らの信じるところを一緒に歩んでいこう」とも話し、対応次第で総裁選後、非主流派になったとしても派の結束を図る考えを強調した。

≪二階派、首相支持を前面、『3選』後 影響力維持狙う≫

自民党二階派(44人)の研修会が31日、韓国・ソウルで始まった。海外で派閥研修会を開くのは異例。要人との会談などで韓国とのパイプ役をアピールし、党総裁選での安倍晋三首相支持を内外に示すことで、総裁選後の人事も視野に派の存在感を高める狙いだ。

派閥を率いる二階俊博幹事長は研修会の講演で『安倍総理への絶対の支持を表明する。国民が真のリーダーシップを託すことができるのは、安倍総理をおいて他にいない』と述べ、首相の3選支持を表明した。

二階氏は3015年の総裁選前にも、派閥研修会で首相支持の署名を所属議員から集め、首相官邸に提出。無投票再選の流れをつくった。翌年、幹事長に起用されると、総裁任期を『連続2期6年』から『3期9年』に延長する党則改正を主導。森友・加計問題などで内閣支持率が低迷して以降も、首相支持の立場を堅持してきた。

外交面でも首相を側面支援する。研修会には経済界などから約300人が同行。これまでも中国やロシアなどに同様のスタイルで出張し、経済協力を絡めた議員外交を展開してきた。今回は軍事境界線がある板門店の視察や李洛淵首相との会談などを通じ、日韓関係重視の姿勢を示す。首相も研修会にビデオメッセージを寄せ、二階氏流の外交を『ただただ驚嘆をし、敬意を表する』と評価した。

二階氏の視線の先にあるのは、首相3選を前提にした総裁選後の政権運営だ。派内からは『首相が3期できるのは二階さんのおかげだ。幹事長を代えるのはありえない』との声が上がり、幹事長続投による派の影響力維持に関心が向く。二階氏は31日、記者団から派内に幹事長続投の期待感があることについて問われ、『よく熟慮した上で対応したい』と語った。

<石破氏「出馬の際よろしく」 岸田氏らと会食 支援求める> 

自民党の岸田文雄政調会長と石破茂・元幹事長らが31日夜、東京都内で会食した。岸田氏が党総裁選への立候補を見送ったことについて説明したのに対し、石破氏は『もし自分が(総裁選に)出るとなったら、よろしくお願いします』と支援を求めたという。

会合には、石原伸晃・前経済再生相と中谷元・元防衛相も同席した。7月29日に61歳となった岸田氏の誕生日祝いが名目。岸田、石破、石原の3氏はそれぞれ自身の派閥を率い、中谷氏も谷垣グループの幹部を務める。石原派と谷垣グループは総裁選での対応が決まっていない」。

参院竹下派21人は石破支持となるが、衆院34人の8割は安倍支持である。竹下派としては自主投票になり、派閥分裂となるが。態度未決の石原派12人、谷垣派8人は安倍支持となるが。

米中貿易戦争が最大限の圧力

政治

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産経の主張に「米国の対米交渉」「『最大限の圧力』に復帰を」が書かれている。

「金正恩朝鮮労働党委員長が米朝首脳会談で約束した『非核化』は、やはりまやかしだったということか。
 訪朝した米国のポンペオ国務長官が高官級協議で、核計画・戦力の申告や『完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄(CVID)』を求めた。だが北朝鮮は『強盗的な要求』と反発したのである。
 
核・ミサイル戦力を放棄する気がないことがはっきりした。北朝鮮が高官級協議で提示したのは、朝鮮戦争の終戦宣言や大陸間弾道ミサイル(ICBM)エンジン実験場の廃棄などで、核廃棄には直接つながらないものばかりだ。協議を長引かせて核保有国であり続けようとしているだけである。
 
事態は極めて深刻だと受け止めるべきだ。CVIDを受け入れなければ、実効性ある話し合いにはならない。一体何のための米朝首脳会談だったのか。
 
ポンペオ氏は、8日の日米韓外相会談で、北朝鮮と『誠実で生産的な協議ができた』と説明した。日韓両国は米国を後押しすることになったが、楽観的すぎる。
 
トランプ米大統領が米朝首脳会談を大成功と位置づけているから、ポンペオ氏は北朝鮮との協議がはかばかしくないのに取り繕ってはいないか。
 
高官級協議で拉致問題を提起した点は歓迎できるが、ポンペオ氏は核・ミサイルで『生産的な協議』をしたと裏付ける具体的進展は何ら示さなかったのである。
 
北朝鮮は外務省報道官談話でトランプ氏への『信頼は維持している』と強調した。トランプ氏だけを持ち上げて油断させることで、米国からの圧力をかわそうという魂胆があらわである。
 
偽りの非核化をちらつかせ、制裁解除や体制保証を米国から取り付けたいのだろう。だが、核・ミサイルを持ち続ける北朝鮮は脅威であり、決して認められない。
 
トランプ氏から一度は首脳会談中止を突きつけられて慌てふためいた北朝鮮が、不誠実な交渉者に戻ったのはなぜか。中国という後ろ盾ができたこともさることながら、トランプ氏が米韓軍事演習の中止という一方的な譲歩で、軍事的圧力を弱めてしまったことが大きい。
 
ならば、北朝鮮にとるべき態度は決まっている。経済、軍事両面で名実共に『最大限の圧力』をかける路線に復帰することだ」。

主張の主旨である「『最大限の圧力』に復帰を」に異論がある。

トランプ政権は、「最大限の圧力」を今もかけ続けているからである。7月6日からの米中貿易戦争がそれである。北朝鮮の金正恩委員長が6月12日の米朝首脳会談後の3度目の訪中によって、習近平国家主席から体制の保証と経済支援を取り付けてから、米朝協議が3週間も遅れ、金正恩氏のCVID履行への覚悟が揺らいでいるのは事実であるが、トランプ政権にとっては想定内である。だからこその米中貿易戦争による中国への制裁なのである。

問題は、金正恩氏のCVID履行への覚悟の揺らぎを収め確固たるものにすることである。米中貿易戦争のトランプ政権の本気度は、金正恩氏への最大限の圧力となっている。米朝協議の渋滞は、米韓合同軍事演習の再開=斬首作戦の実行を招くとの恐怖心を、煽るからである。米中貿易戦争による中国バブル経済の崩壊の兆しが、金正恩氏をしてCVID履行への覚悟を固め直すことになるが。

 産経の「湯浅博の世界読解」に「中国悪弊封じ 同盟国と協力を」が書かれている。

「太平洋を挟んだ貿易戦争がついに始まった。米国の大型貨物船『ピークペガサス』は、全速力で大海原を西に向かっていた。船倉には、米西海岸で積んだ中国向けの大豆を満載している。

ピークペガサスがまだ洋上にある6日正午(北京時間)すぎ、ワシントンは事前の布告どおりに中国製品に対する制裁関税を発動させた。理由は、中国による国際ルール無視の知的財産権侵害による悪弊にある。

船長は中国が対抗して報復関税の引き金を引く前に、大連港での荷揚げを済ませたいと急いでいた。

だが、大型船の入港直前に中国が報復を発動させた。ピークペガサスは多くの米中両国の貿易会社やビジネスマンとともに、この貿易戦争の最初の犠牲者になった。全米商工会議所のトーマス・ドナビュー会頭は、『関税は誰にとっても、価格を引き上げる増税と同じである』と嘆いた。

減税案を掲げるトランプ政権が『増税』とはどういうことなのか。確かに、貿易戦争によって高関税を払うのは外国企業ではない。自動的にモノの値段が上がって、つまりは米国の消費者が支払うことになる。すると、その分が政府の懐に歳入として入ることになるから、会頭のいうように『増税』と少しも変わらないことになる。

トランプ大統領の支持基盤である米中西部の人々は、はじめは追加関税に留飲を下げても、やがては物価の上昇、株価の下落、農産物は中国市場を失う懸念が現実化する。それは、中国におけるピークペガサスの大豆も同じことになる。

とはいえ、トランプ政権が中国の国際ルール無視の振る舞いに、乱暴ではあるが対抗措置に踏み切るのは当然なのだ。

周知の通り、中国の対外政策はどこまでも自己中心的である。広域経済圏構想の『一帯一路』は、途上国のインフラ整備に高利で貸し付け、返済不能になると『租借』名目で港湾などを巻き上げる。習近平政権の産業政策『中国製造2025』計画は、他国の技術を強制的に移転し、知的財産権の侵害も辞さない。

もっとも、トランプ政権のやり方が賢明であるとは思わない。貿易政策は、中国だけではなく同盟国の貿易黒字まで標的にして、結果的に中国を利することになる。米国はカナダや欧州にまで追加関税を課したから対抗上、彼らも報復関税の引き金を引かざるを得なくなる。そうなると、元凶の中国は国家の体面上からも、やはり報復に踏み切ることになった。

こうなると、経済ナショナリズムは暴走して、互いに引くにひけなくなる。トランプ政権の追加関税は、世界貿易機関(WTO)に違反するから、中国の国際ルール違反を米国がルール違反で正すことに正当性がなくなるだろう。

むしろ、トランプ政権がとるべき政策は、同盟国と協力して、中国の悪弊を封じこめることではないのか。米議会では共和、民主両党が、米国によるインド太平洋地域への関与を許可する『アジア再保証イニシアチブ法案』を審議し、米政府に同盟国との関係強化、台湾への支援、多国間貿易協定の促進を求めることにしている。これにより、トランプ政権の危うい外交政策が軌道修正されることを期待するばかりだ」。

米中貿易戦争の勝者は米国であり敗者は中国となることは明らかである。11月の米中間選挙までに結果は出る。中国封じ込めの同盟国との協力はそれ以降となる。

 日経の「真相 深層」に「太平洋『米中二分論』を微修正」「習氏、周辺国に融和サイン」「対米長期戦へ仲間づくり」が書かれている。

「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が6月27日、訪中したマティス米国防長官に『太平洋は米中とその他の国を受け入れることができる』と語った。従来は米中二分論を主張してきたが、唐突に『その他の国』が加わった。周辺国に配慮したような発言の変化には何があるのか。会談の4日前に開かれた重要会議を読み解くと、友好国を増やして長期的に米国と対峙する戦略が浮かぶ。

太平洋二分論は2007年、中国軍高官が米軍に提唱して衝撃を与えた。習氏自身も2012年、国家副主席として訪米した際、当時のオバマ米大統領に『広大な太平洋は中米両国を受け入れる十分な広さがある』と呼びかけた。少なくとも西太平洋は主導権を握りたいとの発想で、その後も繰り返し主張している。だが、今回は米中だけでなく『その他の国』が共存することを認めた。

<重要会議で表明>

中国の外交関係者によると、発言を読み解く鍵は共産党が6月下旬に4年ぶりに開いた『中央外事工作会議』にあるという。これまで06年と14年の2回しか開いていない外交政策の大方針に関する最重要会議だ。

習近平氏は会議で対外政策を3つに分けて説明した。①大国関係はうまく整え、安定的でバランスよい関係に向けた枠組み作りを目指す②周辺外交に取り組み、中国に有利な近隣環境をつくる③発展途上国は国際実務における生来の『同盟軍』であり、強力と団結に取り組む――。太平洋二分論を微修正した一義的な意味は、周辺国の対中警戒に対する配慮と言える。

関係者は習氏が自ら表現ぶりを決めた一節が最重要だと指摘する。『現在の国際情勢を見るだけでなく、歴史の望遠鏡を使って歴史の法則を理解し歴史が向かう大勢をとらえる』ことが必要だと説いた部分だ。内部説明聞いた人物によると、発言の意味するところは次のような趣旨だ。

大国は歴史の中で興亡を繰り返してきた。米国も衰退期に入り、いずれ中国の時代が来る。ただ、現時点では米国の方が強大だ。周辺国や発展途上国と連携して国力を高め、機が熟すのを待つ--。わざわざ重要会議を開いたのは、この方針を党や政府はもちろん、軍や民間企業にも徹底させるためだったという。

これを裏付けるように中国の外交当局者は最近、抑制的な外交姿勢を心がけた鄧小平の『韜光養晦(とうこうようかい)』という概念によく言及する。軍事的な能力や野心は隠し、その間に力を蓄えるとの外交方針だ。久しく耳にしなくなっていたが、他国の外交官らと接触する場で再び使われ始めている。

もちろん過去と違い大国となった今の中国には隠しきれない爪がある。台湾や南シナ海など『核心的利益』と位置づける重要権益では、強硬姿勢をあらわにする。それでも、従来よりは融和路線の方向に政策の舵を動かしたようだ。中国への警戒を薄れさせ、味方になる国を増やすためだ。

<危機感の裏返し>

北京の国際政治学者は『習指導部は対米関係を重視するあまり、米国の動きに対処する〝反応式外交″に陥っている』と指摘する。北朝鮮との関係改善に動いたのは、トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の接近に対抗するため。対米通商摩擦は米国の制裁に応戦を迫られているだけで、中国から仕掛けたわけではない。

米国が対中強硬姿勢を続ければ、いずれ軍事的な緊張につながる。習氏がこれまで通りの勇ましい外交政策を掲げていれば、現場の部隊が過度に反応するリスクがある。党内で1強の地位を確立しても、組織の末端まで方針を伝えるのは容易でない。重要会議を開き、党内の勉強会を通じて浸透させる必要があった。発言の微修正はしたたかな戦略だけでなく、危機感の裏返しでもある。

この見方に立てば、中国は引き続き日本を含む周辺国との関係改善を進めるだろう。南シナ海の軍事拠点化は続けるが、米軍が最重視するスカボロー礁(中国名・黄岩島)への着手は慎重にならざるを得ない。北朝鮮には米国と競うように接近を続ける。朝鮮半島の混乱を避け、米国への交渉カードとするためだ」。

トランプ政権による米中貿易戦争の仕掛けは、強大国中国のアキレス腱を突くものとなった。対米貿易黒字40億ドル(年間)の半減が狙いである。習政権の強権統治と軍事力拡大の原資である外貨準備高(ドル)が消滅してしまうのである。習近平体制の存続の危機である。

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