政治

「危機管理の初動ミスを挽回し、国民の信の回復を」

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 8月12日、安倍晋三内閣の支持率低下に対し、日本株は逆行して上昇してきた。その背景には支持率が下がれば、財政出動など政策を打ち出すとの期待がある。都内で5月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

朝日の社説に「安倍政権の日本」「不信の広がりを恐れる」が書かれている。

「いま、この国の政治の現場では、驚くべきことが立て続けに起きている。

国会では、東京高検検事長の定年延長をめぐりつじつまの合わない答弁が連発され、『桜を見る会』についての安倍首相の説明にはウソではないかとの疑惑が向けられる。

いずれの問題でも、政権は適正な手続きをへて行われたことを裏打ちする確かな文書を示せずにいる。説明責任が果たされていないから、野党も同じことを重ねて追及せざるをえない。

新型コロナウイルスの感染拡大防止策では、全国の小中高校などの一斉休校の要請が、関係省庁間の周到な準備もないまま唐突に首相から発せられた。

<立法権を不当に奪う>

こうした光景を見せつけられるにつけ、この7年あまりの安倍政権のもと、日本の統治の秩序は無残なまでに破壊されたと言わざるを得ない。

検事長の定年問題では、延長を可能にした法解釈の変更をいつ決めたのかという野党からの問いに、政府が説得力をもって答えることができていない。

もちろん、政府内の手続きが森雅子法相らの答弁通りだったのか、定年延長が検察の独立をおかすおそれはないのかという疑問は究明されるべきだ。

ただ、より本質的な問題は、政府による今回の恣意的といえる解釈変更が、唯一の立法機関と憲法41条が定める国会の権限を政府が不当に奪ったということだ。『立法権の簒奪』に他ならない。

三権分立の原則を壊す極めて重大な問題である。

検察官の定年は、1947年に施行された検察庁法に明記されている。これに加え、公務員の定年延長を盛り込んだ国家公務員法改正案が審議された81年の国会では、当時の人事院の局長が、定年延長は『検察官には適用されない』と明確に答弁し、議事録に残っている。

検察官は一般職の国家公務員だが、政治家の権力犯罪をも捜査し、起訴する強力な権限を持つ。戦後間もなくから政府は『検察官の任免については一般の公務員とは取り扱いを異にすべきもの』との見解を明らかにし、公務員の定年延長が認められてからも30年以上、検察庁法に従った扱いを続けてきた。

<行政監視への否定>

法によって決められたことを改めるには、国会での議論と議決をへて、法そのものを改める。議会制民主主義では当然の筋道だ。法には解釈の幅があるにせよ、政府の時々の都合で勝手に変えられるなら、立法府は不要となる。

『桜を見る会』をめぐる首相の答弁ぶり、そして質問者に対するヤジも、決して看過できない憲法上の問題をはらむ。

憲法63条は、国会から答弁や説明を求められた際には、首相や閣僚に国会に出席する義務を課している。条文には書かれていないが、誠実に答弁しなければならないのは当然だ。

首相は衆院での代表質問で、疑惑追及には『誠実に対応する』と答えている。だが、予算委での説明内容は、虚偽との疑いを抱かせるに十分だ。首相はまた、予算委で立憲民主党議員の質問に『意味のない質問だよ』とヤジを飛ばした。後日の委員会で『不規則な発言をしたことをおわびします』との原稿を読み上げたが、これも問題の本質をそらしている。

謝るべきは閣僚席からの『不規則発言』という外形的な行為ではない。行政監視の手段としての議員の質問を『意味がない』と否定したことだ。

<国民に向き合う責任>

通算在任で憲政史上最長となった安倍政権は、統治の秩序をやり放題に壊してきた。その傷口から流れ続ける『うみ』がいまの政治には満ちている。

『憲法を変えない限り集団的自衛権行使できない』との歴代内閣の9条解釈を、一方的に変更したこと。森友学園への国有地売却で不透明な値引きをし、それを取り繕うために財務省職員が公文書改ざんに手を染めたこと。いずれも、終わった問題ではない。

政権中枢が法治国家では当然の手続きを無視するから、その意を忖度する公務員らが後始末に翻弄される。まさに『組織は頭から腐る』を地で行っているのではないか。

そうした中で突然、発せられたのが全国一斉の休校要請だ。目に見えない未知のウイルスへの不安に加え、自らの生活にかかわる具体的な不安が、一気に全国へと広がった。首相はおとといの記者会見で『断腸の思い』と述べたが、『なぜ全国一斉なのか」という肝心な点の説明はなかった。

安倍政権が破壊してきたのは、統治の秩序だけではない。国民の政治への信頼もまた、大きく損なわれた。

ウイルス対応をこの政権に任せて大丈夫なのか、国民に行き過ぎた不便や犠牲を押しつけはしないか――。首相には、こうした新たな不信の広がりを食い止める責任が加わった」。

社説の主旨である「不信の広がりを恐れる」に異論がある。

社説には「通算在任で憲政史上最長となった安倍政権は、統治の秩序をやり放題に壊してきた。その傷口から流れ続ける『うみ』が今の政治には満ちている・・・安倍政権が破壊してきたのは、統治の秩序だけではない、国民の政治への信頼も大きく損なわれた」と書いているが、安倍長期政権は、国政選挙6連勝の結果としての安倍1強故である。前民主党政権3年余を「悪夢の政権」と国民が見限ったが故のことである。

外交・安保政策で鳩山由紀夫政権の失敗の日米同盟弱化をただし、日米同盟基軸強化をなし、経済・金融政策で野田佳彦政権の消費増税の失敗をただし、アベノミクスによる戦後最長の経済成長を図り、菅直人政権の3・11の危機管理の失敗をただし、官邸主導で熊本地震をはじめとする大規模災害の危機管理を為してきた。その結果を見ての国民の信が、国政選挙6連勝の原動力となった。

問題は、今回の新型コロナウイルスの対応である。安倍官邸主導の危機管理の実効性が問われている。ダイヤモンド・プリンセス号への初動ミスで感染患者の蔓延を許し、国民に感染への不安を増幅し、内閣支持率も急落し、不支持が支持を逆転した。安倍晋三首相は、新型コロナウイルスを蔓延を阻止するために、小中高の休校の要請という強権発動の政治的決断をした。7月の東京五輪の前の5月末まで、新型コロナウイルス蔓延の終息をなすためにである。国政選挙6連勝の実績の上での内閣支持率40%の信にかけたのである。国民は3・11の危機管理で失敗した菅直人政権と安倍晋三政権を比較するのは必然である。この危機管理に成功すれば、内閣支持率50%台へのV字回復は必至となるが。

日経の「核心」に原田亮介・論説委員長が「疾病が試す政治の強度」「微温か、強権か日中対照に」を書いている。

「新型コロナウイルスの感染が拡大を続けている。震源地の中国は全国人民代表大会を
延期し、クルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』の感染対応を批判された日本政府は学校休止にかじを切った。疫病が政治を揺さぶるのは歴史の常だが、微温的だった日本と強権的な中国の対応はあまりに対照的だ。

疫病が世界の歴史を変えた事例は1918~19年にパンデミック(感染爆発)を起こしたスペイン・インフルエンザがわかりやすい。諸説あるが当時の世界人口20億人弱のうち5億人が感染、4000万人が死亡したという。日本でも38万人が死亡した。詳細な記録をまとめる『史上最悪のインフルエンザ』(みすず書房刊)から一部を引こう。

まず名称だ。第1次世界大戦で多くの国が情報統制を敷くなか、スペインは中立国で感染拡大を公表したために、不名誉な名前を付けられた。同書は『実際には18年3月は米国で出現した』という。膠着していた欧州戦線を打開するため、多くの感染者を含む米兵が大西洋を渡り、感染は一挙に欧州で拡大した。

輸送船は『外洋に出る前、すでに医務室のベッドはすべて埋まっていた。病人数は9月30日には700人だったが、航海を終える頃には2000人に膨れ上がっていた』。病のまん延は大戦の終結を早めたとも言われている。

もう一つ特記すべきは、ウイルソン米大統領がパリ講和条約のさなかに感染・発病したことである。大統領の精神的、体力的な衰えが、英仏などが主張する敗戦国ドイツへの懲罰的な賠償請求容認につながったと同書は紹介する。

100年前のことを長々と紹介した。それから感染症研究や公衆衛生学はめざましく進歩した。だが目に見えない新手のウイルスが感染を拡大したとき、まずやるべきは昔とそう変わらない。感染者を隔離し、拡大を防ぐことだ。

今回、中国は最初に大きな失敗を犯した。2019年12月初めに武漢で患者が発生した後、勇気ある医師が告発したのに当局は隠蔽した。公に人から人への感染を認めたのは今年1月20日。この間、感染者の国境を越える移動を止めなかったためウイルスは世界に広がった。

日本政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーの尾身茂氏(地域医療機能推進機構理事長)は『原因不明でも感染症が疑われる事例があれば、国際保健規則は速やかに世界保健機関(WHO)に届け出ることを定めている。湖北省の幹部が知らないはずがない』という。

ただその後の対応は強権国家らしい大胆さである。人口1100万人の武漢市だけでなく湖北省も封鎖、団体の海外旅行禁止や工場の操業停止などを次々に打ち出した。マスクなしの外出をドローンで監視し『墨俣の一夜城』のように病院を次々に建てた。交通遮断の動きは浙江省温州市などにも広がり、個人の人権や企業活動の自由より感染拡大を力で押さえ込むのを優先する姿勢を鮮明にしている。

日本の対応はどうだったか。まず武漢在住の邦人帰国のために中国にチャーター便を送ることに力を注ぎ、韓国など他国に先駆けて実現した。

とはいえ習近平国家主席の訪日という政治日程を控え、日本政府には遠慮があったようにもみえる。湖北省と浙江省に滞在した外国人は入国禁止にしているが、中国の他地域からの訪日客受け入れは拒否していない。

クルーズ船への対応には海外を中心に批判が相次いでいる。乗員乗客3700人といえば感染症が広がる一つの街を封鎖するような話だが、そこまでの覚悟があっての横浜港への入港だったかどうか。後講釈になるが、①全員の感染の有無を速やかに判定する検査の供給力②着岸後に船内の衛生環境を改善する態勢③外国人に正確な情報を提供し、出身国政府に帰国支援を求める努力--。どれもすぐには整わなかったのである。

もともと船は英国船舶で日本政府に国際法上の義務はない。ただ人道的に考えると、今回の対応以外の選択肢も考えにくい。多数の日本人乗客がいる船の着岸を拒否し、窓のない客室で精神的に追い詰められた乗客の下船もさせないというのは、中国ならできたかもしれない。

英調査会社キャピタル・エコノミクスのニール・シアリング氏は『中国の第1四半期の成長率は年率で2桁のマイナスになる』と予想する。習近平体制にとって景気悪化は大きな痛手だ。

それでも早期に感染を終息させ『ウイルスとの戦いの勝利』を宣言できれば、政治基盤が揺らぐことはないだろう。むしろ専制国家の方が人権を重視する民主主義国より感染症には強いという評価が下されるかもしれない。

イベント自粛や小中高への休校要請という厳戒モードに転換した安倍政権はどうか。景気の腰折れを防ぎ、習主席の訪日と東京五輪・パラリンピックを予定通り行う――。パンデミックが迫ってみると、いずれの目標もかなり難しい。五輪は、日本国内が終息しても世界で感染が続けば参加国が制限され競技が成り立たない事態も予想される。

感染はいつピークアウトするのか。『史上最悪のインフルエンザ』を訳した西村秀一氏(国立病院機構仙台医療センターのウイルスセンター長)はこう話す。『まだ誰にもわからない』。疫病を完全に制御するのは難しい。政治の強度を試すゆえんである」。

安倍晋三首相は、2月29日、全ての小中高校と特別支援学校に一斉休校を要請したが、その理由は、新型肺炎をピークアウトするために、である。専門家の総意であるこの1,2週間がヤマであるとの見識に拠ってのものであり、強権発動そのものである。問題は、この強権発動によって、5月末までに、新型肺炎を終息できるか、である。7月からの東京五輪を開催できるかが、かかっている。安倍晋三首相は賭けに出たと言わざるを得ない。

毎日の「風知草」に山田孝男・編集委員が「セントルイスの経験」を書いている。

「やり過ぎかどうか、断定的なことは言えない。

小中高校と特別支援学校に一斉休校を呼びかけた首相の決断である。

相手は未知のウイルスであり、事態は依然、流動的で先が読めない。側聞の限り、首相の頭の片隅に、近代史上最悪のパンデミック(世界規模の流行病)だった『スペインかぜ』があるらしい。

とりわけ、いち早く学校や集会施設を閉鎖して死亡率を下げた--とされる米セントルイス市の経験を意識したと思われる。

スペインかぜは、第一次大戦末期の1918(大正7)年、米国に出現し、数カ月のうちに日本を含む全世界へ広がった。スペインから出たと誤報され、その名がついた。地球全域の統計はないが、世界で5億人が感染し、5000万人以上が死んだ――と俗に言われている。

このうち約50万人が死んだ米国(ちなみに日本の死者は39万人)では、流行が始まった直後から集会、外出を制限した都市と、発症率が10%を超えてから制限した都市とで、死亡率に顕著な差が表れた。

12年後に米政府が公表した統計によれば、すぐに学校、教会や集会施設を閉鎖した中西部のセントルイスは、対応が遅れた東部のフィラデルフィアに比べ、感染者数拡大のピークが2カ月遅く、しかも低めに表れた。死亡率はフィラデルフィアの4分の1だった(2分の1説もある)。

このイメージは、2009年の新型インフルエンザ流行を踏まえ、厚生労働省が12年にまとめた資料『新型インフルエンザ対策の再構築について』の中で強調されている。

首相自ら一斉休校を呼びかける決断は、首相が、身内である加藤勝信厚労相にも相談せず、腹心・萩生田光一文部科学相の反対を押し切って決めた--と分かり、政権中枢の不協和音に関心が集まった。

はっきり言えば、首相は今井尚哉・首相補佐官の進言を重く見たのだ――と朝日新聞が書いている(2月29日朝刊1面)。

私の取材では、補佐官はじめ側近が準備した資料には、09年新型インフルエンザの際、大阪と兵庫で実施した小中高校一斉休校の記録のほか、スペインかぜなど過去のパンデミックの分析も入っていた。

外出や集会の制限は経済社会を沈滞させる。米国の歴史家がスペインかぜを概説した『史上最悪のインフルエンザ/忘れられたパンデミック』(アルフレッド・クロスビー。76年。邦訳は04年、みすず書房刊)によれば、学校休校や外出制限に対する市民の反発は激しかった。

『いったい何の効果があるというのか。市民をむやみに不安に陥れ、何をしようというのか?』フィラデルフィア・インクワイァラー紙はそう書いた(前掲書)。

深刻なパンデミックだったので、行動制限は後に評価された。未知のウイルスが何をもたらすか、渦中では分からない。一見、かぜ程度とも見えるが、だから安心とは言えない。

首相の決断がどうあろうと経済は収縮する。発熱中の出勤は、もはや根性と責任感の証しではない。病気なら休むという当たり前の判断が求められている。新型ウイルスは、首相が独善的かどうかという問題を超え、もっと深い部分で現代社会の変化を促しているように見える」。

安倍晋三首相の小中高の一斉休校の決断に、1918年からのスペイン風邪に対する「セントルイスの経験」が根拠にあるは正論である。米国で50万人が死んだというスペイン風邪で,直ぐに、学校、教会、集会施設を閉鎖した中西部のセントルイス市は、対応は遅れた東部フィラデルフィアに比べ、感染者拡大のピークが2カ月遅く、しかも低めに表れ、死亡率はフィラルディルフィアの4分の1だったという。日本をして「第2のセントルイスに」との強権発動である。

日本も更なる危機意識を

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日経に「新型肺炎感染者数に不信」「湖北省1・4万人増、臨床診断も対象」
が書かれている。

「新型肺炎の発生源である中国の湖北省で、12日だけで新たな感染者が1万4840人増え、同省の累計感染者数は4万8206人に達した。感染者の定義を広げ、臨床診断で肺炎の症状が見つかった1万3332人を新たに対象に加えた。早期の診断で感染拡大を防ぐ狙いだが、唐突な変更に感染者の統計をめぐる住民の不信が高まりそうだ。

≪湖北省・武漢市トップ解任≫

国営新華社通信は13日、中国共産党中央委員会が湖北省トップの?超良同省党委員会書記を更迭し、習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近である応勇上海市長を後任に充てる人事を決めたと伝えた。

同省武漢市トップの馬国強・市党委員会書記の解任も決めた。新型肺炎の情報公開に関して、湖北省と武漢市の対応の遅れを批判する声が強まっていた。

新型肺炎の患者は疑い症例と確認症例の大きく2つに分かれる。疑い症例は湖北省武漢市などに最近行き、発熱や白血球減少などの症例が出た人が対象になる。このうち、鼻やのどの粘膜を採取する『核酸検査』でウイルスが見つかれば確認症例になる。11日分までは確認症例だけを感染者として公表してきた。

ただ患者が最も多い武漢では核酸検査の精度がかねて疑われてきた。明らかに発熱や肺炎の症状があるのに、検査で『陰性』の結果が出る人も多かったとされる。

病床数が足りないため疑い症例では入院できず自宅で隔離される。このうち一部は実際にはウイルスに感染しており、こうした『偽陰性』の人が感染を広げた、との指摘が専門家から出ていた。住民からも当局公表の感染者数は『実態より少ない』との批判が渦巻いていた。

このため国家衛生健康委員会は4日、指針を改定した。疑い症例のうちコンピューター断層撮影装置(CT)の画像検査で肺炎の症状が見つかった場合は『臨床診断症例』と分類する。湖北省に限った措置になる。

CT検査にかかる時間は数分間と短く、疑い症例のうち本当に感染している人を簡単にふるいにかけられる。肺炎の症状が見つかれば『患者』として扱われて入院できる。自宅などで感染が広がるのを防げる。

当局の対応をめぐっては、湖北省武漢市が1月に新型肺炎の拡大にいち早く警鐘を鳴らした李文亮医師らを処分した。李氏が2月7日に新型肺炎で亡くなると、ネット上で当局への不満が噴出していた。

中国共産党は2月3日の最高指導部会議で『至らなかった部分を補っていかなければならない』と結論づけており、湖北省と武漢市の両トップ更迭で体制を立て直す」。

中国の湖北省で、12日だけで新たな感染者数が1万4840人増え、累計4万8206人となった。感染症の定義を広げ、臨床診断で肺炎の症状が見つかった1万3332人を加えたからだという。ネットでは、ファクトはその10倍あるが飛び交っている。そもそも病床が足りず、自宅待機が多数だからである。死亡者も1500人の10倍の1・5万人がファクトとなるが。

ウイルスに国境はない

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日経の「核心」に滝田洋一・編集委員が「ウイルスに国境はない」を書いている。

「気候変動と感染症の拡大。人類に危機をもたらす地球規模のリスクだが、識者の関心は前者に集中し、後者は視野の外に置かれた感があった。1月24日に閉幕した世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)のテーマもしかり。

総会に先立って発表された『グローバルリスク報告書』には、今後発生しうるリスク  上位5位がすべて環境関連だった。初めてのことだ。だがダボスのリゾート地で『地球  終末』が語られるさなかに春節のアジアでは新型肺炎が広がり『週末の感染』に街行く人はやきもきしていた。 

2002年から03年にかけても、中国を中心に重症急性呼吸器症候群(SARS=サース)がまん延し約800人が亡くなった。今回の新型肺炎は感染者数が1月末までにSARSを上回った。

当時と今。決定的な違いは中国の存在感だ。人の行き来は格段に増加、世界に占める中国経済の比重は著しく高まった。なのに中国は依然として『異形の大国』である。  

中国を見つめる世界のまなざしは不信と不安が渦巻いている。発生地の武漢当局の対策が後手後手となったことには、中国共産党系の環球時報も批判の声を上げる。   

だがトカゲの尻尾切りのように武漢当局に全責任を押しつけて済む問題なのか。『権限が    与えられないことには発表できない』と武漢市長。対応の遅れは、重要な決定はトップダウンという指示待ちシステムの帰結ではないのか。

『愛国ウイルス』。新型肺炎は当初、武漢市と海外でしか感染が報告されなかったことから、SNSでそう皮肉られた。一党支配と情報統制の下、多くの都市で感染情報が表に出なかったのだろう。

当局による隠蔽ばかりではない。『見たくないことは見ない』。情報が正確に伝わらなかったことと相まって、市民の間にそんな同調圧力が働いていたのは否めまい。

『心配していません』『国が守ってくれますから』。1月20日の昼、上海の街を歩く若者たちは、テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』の取材に屈託なく語った。マスクなど着用していなかった。皮肉にもそのころ、感染は中国全土に広がっていた。

すでにこのとき、英国の感染症専門家は『武漢の感染者は1月12日時点で1723人』との推計を示していた。

もっとも習近平国家主席が事態は深刻と認めると、振り子が逆に振れるように、当局の対応は一変した。中央政府の主導で1月23日には、人口1100万人を数える武漢市の交通遮断に踏み切った。

市から脱出しようとするクルマの大渋滞、食料のなくなったスーパーの売り場、そして長蛇の列のできた病院。SNSによって拡散された武漢市の修羅場は、検閲によってもすべては抑えきれず、危機を一気に『可視化』した。

中国当局も異形の光景で対抗した。何十台というブルドーザーがせわしげに動き回る映像である。患者を収容する病院の建設を急いだのだ。市を封鎖し、患者を隔離する。初動が遅れた分、感染拡大の防止に用いられる手段は、いきおい強硬なものとなる。

春節の1月25日、中国共産党の中央政治局常務委員会は緊急会議を開いた。日本でいえば元日に緊急閣議を開くようなもの。感染が拡大するなか、習政権の足元が大きく揺らぐ危機感がにじんでいる。

習主席をはじめ中国当局者は新型肺炎との闘いを戦時モードにする。北京の故宮博物院、上海の豫園といった観光名所は次々と閉鎖され、人々の集まる映画館なども閉められた。一党独裁ならではの強権が発動されているのだ。

1年で最も華やぐ春節の期間であり、中国の経済を下振れさせるのは避けられない。SARSのときは03年4~6月期の中国の実質成長率が9・1%と、前の期の11・1%から大幅に減速した。

20年1~3月期の実質成長率は5%を下回る可能性も否定できない――。中国社会科学院のエコノミスト、張明氏は、前の期の6・0%を大幅に下回ると予想する。3月末までに新型肺炎が収まることが前提だが、一段と感染が拡大し事態の収束が先になると打撃は格段に深刻となる。

その余波は隣国である日本を含めて全世界に及ぶ。中国からの観光客の減少に加え、サプライチェーンへの打撃。国内への感染飛び火に伴う消費への悪影響。下手をすると『中国版のリーマン・ショック』になりかねない。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は1月25日、新型肺炎に緊急事態を宣言。SARSで苦しんだ経験を生かし、素早く対応した。デモ鎮圧に『覆面禁止法』を打ち出した林鄭長官が、今回ばかりはマスク姿で記者会見に臨んでいるのが印象的だ。

中国はメンツにこだわり続けている。世界保健機関(WHO)による『緊急事態』宣言を回避するため、習主席は北京を訪問したテドロスWHO事務局長の説得に努めた。

WHOは1月30日になって緊急事態を宣言したが、現時点で中国への渡航や貿易の制限などは必要ないとした。テドロス氏は中国の対応を『過去にないほど素晴らしい』とたたえる。WHOトップの言動はいかにも心もとない。

米国務省は1月30日、米国人の中国全土への渡航警戒レベルを『渡航してはいけない』に引き上げた。ウイルスに国境はない。そして日本は中国の隣国だ。東京五輪開催への影響を含め『想定外』を想定すべき段階になっている」。

氏の言う「ウイルスに国境はない」は正鵠を突いている。中国版のリーマン・ショックになりかねない。日本直撃である。東京五輪開催を含めて安倍晋三政権の危機管理が問われる。一方、野党の危機管理不全が露呈される。ウイルスは安倍晋三政権にとって追い風となるが。

2020年 年頭所感  連合会長 神津 里季生氏

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労働組合が不可欠
~集団的労使関係の確立・拡大で「私たちが未来を変える」~

新年明けましておめでとうございます。連合運動に対する日頃のご指導・ご支援に心より御礼申し上げます。 連合結成から30年、継続課題に加え人口・産業構造の変化、技術革新への対応等が求められる中、課題の克服に向けては集団的労使関係の確立と拡大が何より重要です。
長時間労働の是正や「同一労働同一賃金」など「働き方改革」は、本当の意味で働く者のための「働き方改革」とすることが不可欠です。短時間・有期・派遣等の雇用形態で働く仲間の処遇改善は、労働組合なくして改善は困難です。春季生活闘争は、これまで以上に「水準」を重視した取り組みを引き継ぎつつ、「分配構造の転換につながり得る賃上げ」をめざし、「底上げ」「底支え「格差是正」の取り組みを再定義して、賃上げのうねりを社会全体のものとすることが重要です。すべての取り組みの土台は、集団的労使関係の確立と拡大です。
 「働くことを軸とする安心社会」に向けて、すべての働く者・生活者の先頭に立ち、社会に広がりのある運動をともにつくりだしていきましょう。

自由に牙むく中露の『壁』

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 8月12日、安倍晋三内閣の支持率低下に対し、日本株は逆行して上昇してきた。その背景には支持率が下がれば、財政出動など政策を打ち出すとの期待がある。都内で5月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

産経の「湯浅博の世界読解」に「自由に牙むく中露の『壁』」が書かれている。

「ちょうど30年前の1989年11月、若者たちがベルリンの壁を破壊し、世界は冷戦の終わりの始まりを見た。米政治学者のフランシス・フクヤマ氏が『歴史の終わり』で民主主義の勝利を歌い上げ、米欧の自由主義陣営は、ソ連の崩壊で軍事費削減が可能になって、『平和の配当』が転がり込んでくることを期待した。

マイクロソフトのビル・ゲイツ会長らが、旧ソ連から大陸間弾道ミサイル(ICBM)のSS18を丸ごと買い取る算段をしていたのも、その配当なのかもしれない。SS18が流出しないうちに、100基近くのミサイルを使って通信衛星を次々に打ち上げ、新たな通信事業に挑戦する壮大な計画であった。

米核戦力の研究拠点、ローレンス・リバモア国立研究所を訪ねた際も、いつの間にか旧ソ連の有名なレーザー兵器の開発者を引き受け、自由陣営のために役立つ仕事を開始させていた。これが共産主義の行き着いた『歴史の終わり』なのかと得心させられたものだ。

冷戦時代を象徴したのは、核兵器やICBMのハードウエアだった。米ソ間で『恐怖の均衡』が程よく保たれ、どちらも全滅のリスクを冒そうとは思わない。当時のブッシュ米政権は、ソ連崩壊後に残る膨大な大量破壊兵器を始末し、研究者たちを囲い込めば、盤石であると考えた。

<対ソ冷戦時代よりはるかに危険複雑>

だが、歴史はそれで終わらなかった。ベルリンの壁が崩壊して30年後のいま、自由世界は対ソ冷戦時代よりもはるかに危険で複雑な安全保障環境の中にある。新たに台頭してきた中国パワーに直面しているのだ。ニクソン大統領が中国の門戸を開き、対ソ戦略の『チャイナ・カード』に組み込んだはずが、一世代を経て、米国に牙をむくライバル国家に変貌した。

日米欧企業は中国の巨大な労働市場を当て込んで、巨額投資による『世界の工場』を生み出した。経済力で豊満になった中国は、やがて軍事力という筋肉をつける。まるで英国の小説『ガリバー旅行記』にでてくる巨人国ブロブディンナグのように、大きいがゆえに傲慢になっていく。 

晩年のニクソンが漏らした『フランケンシュタインをつくってしまった』とのささやき   は、それを象徴しているだろう。中国に経済力を注いでしまったのは、ほかならぬ先進主要国であったのだ。

とりわけ、インド太平洋で起きている中国と周辺国との摩擦、威嚇、衝突は、この10年のうちに起きているパワーシフトに起因している。世界を主導してきた米国が同時多発テロ『9・11』以降、アフガニスタンの砂漠を超え、イラクでテロリストを討伐している間に、中国は無傷のまま軍事力を高めてきた。

2008年9月のリーマンショック後の金融危機で『米国衰退』が指摘されると、中国は国際ルールの軌道から大きくはみ出した。習近平国家主席は『中国の夢』を掲げ、中華人民共和国の建国から『100年マラソン』を駆け抜けて世界に君臨する夢を見る。

<「時代遅れ」と嘲笑 中露疑似同盟成立>

ニクソンによる米中接近は、米中ソ三角関係の最も弱い中国を対ソカードに使った。いまは逆に、中国が最も弱いロシアを対米カードに使おうとしている。プーチン露大統領が今年6月の英紙インタビューで、自由主義を『時代遅れだ』と嘲笑して旗幟鮮明にした。自由主義世界秩序に対抗する中露疑似同盟の成立である。

中国は南シナ海の大半を『中国の海』であると主張し、7つの人工島をつくった。他方のロシアはクリミア半島を力で併合し、ウクライナ東部に対しても軍事的な圧力を緩めない。

北京とモスクワは、ともにカネと力しか信じない。国内統治を優先して人権を抑圧し、米国の影響力を弱体化させ、自由主義世界秩序を突き崩すことに共通の利害を持っている。

ハドソン研究所のウォルター・ラッセル・ミード氏によると、ロシアは2016年にサウジアラビアに代わる中国最大の原油輸入国になり、2017年にはバルト海で中露初の合同演習を実施。さらに2018年6月に習主席がプーチン大統領を『親友』と呼び、同年9月、プーチン氏はウラジオストクでの大規模演習『ボストーク2018』に3000人規模の中国軍を招いて合同演習をした。

今年7月22日に竹島近くの韓国防空識別圏内で、中露の軍用機が日韓の防空能力を探り、韓国軍機がロシア機に300発以上の警告射撃をした事件は、中露枢軸が強化されていることを示す最新事例だ。

<来春の習氏訪日‥日中接近は危うい>

コーツ前米国家情報長官によれば、『ユーラシア大陸の二大国がこれほど接近するのは、1950年代以来のこと』だという。北京とモスクワの連携はその挑戦を増幅させる。だが、筆者がコーツ氏なら、中露に加えて『日中接近』への懸念を付け加えるだろう。

習近平政権は、ロシアを疑似同盟に引き入れたその手で、日米同盟の切り崩しに狙いを絞る。彼らは米国との覇権争いを立ち回るうえで、日本に戦略価値を見いだしているのだ。

かつて天安門事件後の1992年に、天皇陛下が訪中して米欧からの経済制裁に風穴を開けたように、来春の習氏訪日は、中国の乱暴狼藉を日本が率先して承認することにならないか。

トランプ米大統領はこの5月に、令和初の国賓として来日し、天皇、皇后両陛下が即位後初めて会見してはいる。しかし、中国は米国にとって貿易戦争やハイテク覇権を争う『新冷戦』の敵対国である。

ペンス米副大統領も10月24日の演説で、中国が『より攻撃的になっている』と述べ、香港や台湾をめぐる対応を批判している。日本にとっても、中国は尖閣諸島沖で領海侵入を繰り返し、北大教授はじめ10人にのぼる邦人をスパイ容疑で拘束している。

いまは、日米欧が相互に『不信の壁』を取り払い、同盟国を総動員しなければならない時であろう。同盟国である米国の大統領来日時に反対デモがなくても、習氏来日時にはありうる。そのとき菅義偉官房長官はデモ容認のために、一言『ようこそ民主主義の国へ』といえるだろうか」。

氏が言う「中露疑似同盟成立」、「習近平氏の日中接近危うい」は正鵠を突いている。習主席国賓来日の狙いは、日米同盟切り崩しにあるのは明白である。問題は、来春の習氏訪日までに憲法9条改正の国会発議を為せるか、である。最大の抗議デモとなるが。

「夕食会費5000円はファクト」

朝日の社説に「桜を見る会中止」「首相自ら疑問に答えよ」が書かれている。

「安倍首相は数々の疑問に、いまだ何ひとつ、まともに答えていない。このまま幕引きとするわけにはいかない。

首相主催の『桜を見る会』について、政府が来年度の開催中止を決めた。第2次安倍政権発足以降、招待者が膨れあがり、特に首相の後援会関係者が大勢招かれていることに公私混同との批判が強まっていた。急な中止決定に、追及の矛先を鈍らせる狙いがあるのは明らかだ。

政府はあいまいな招待基準や、不透明な招待プロセスなどを見直したうえで、再来年度の復活をめざす。1952年から続く行事であるが、各界で『功績・功労』があった人が対象という会の趣旨に立ち返り、この際、長年の慣行を見直し、今の時代にふさわしいものにしてもらいたい。

しかし、その前にやるべきことがある。税金で賄われる公的行事の私物化ではないかと指摘される安倍政権下での実態を、徹底的に解明することだ。

菅官房長官は一昨日、午前の記者会見では『首相枠、政治枠という特別なものはない』と否定しながら、午後の会見では一転、首相ら官邸幹部や与党に推薦依頼を出していたことを認めた。政治経験の長い菅氏が事情を全く知らなかったとは信じがたく、不誠実きわまる。政治家が推薦した人数についても、名簿が廃棄されていてわからないと繰り返すばかりだ。

首相は国会で『招待者のとりまとめには関与していない』と答弁したが、桜を見る会を含む観光ツアーの案内が、事務所名で地元の有権者に配られていたことが明らかになっている。『首相自身は知らなかった可能性がある』という内閣官房の説明は納得しがたいが、そうだとしても監督責任は免れない。

毎年、会の前夜には、都内の高級ホテルで、首相も出席して後援会の懇親会が開かれていた。野党は、会費5千円では費用を賄えない、首相が関係する政治団体の政治資金収支報告書に一切記載がない、などとして、公職選挙法や政治資金規正法に違反する疑いがあると主張する。適切に対応しているというのであれば、首相自身の口からきちんと説明すべきだ。

ところが、首相は国会では、招待者の個人情報を口実に具体的な答弁を拒み、来年度の開催見送りについても『私の判断で中止した』と一言、記者団に告げただけだった。

首相は先日の2閣僚の辞任に際し『一人一人の政治家が自ら襟を正し、説明責任を果たすべきだ』と語った。であるなら、率先して、野党が求める予算委員会の集中審議に応じ、その言葉を実行に移すべきだ」。

社説の主旨である「首相自ら疑問に答えよ」に異論がある。

安倍晋三首相は、首相主催の「桜を見る会」の来年度の開催中止を決めたが、危機管理からである。早期の2人の閣僚更迭、英語民間試験導入中止もそうである。野党・朝日の狙いが、審議ストップにより、国民投票法改正案の成立阻止にあるからだ。4月に開催された「桜を見る会」の問題点を、今何故持ち出すのか、である。1952年から続く行事であり、民主党鳩山政権時でも開催されているのに、である。

問題は、もりかけ問題と同じである。憲法改正を主導する安倍晋三首相を潰したいが故に、である。安倍晋三首相の後援会から800余人が参加し、櫻を見る会の前夜ホテルで会費5000円で夕食会をしたことを問題視したのである。相場1万1000円はかかるのに、差額6000円を安倍事務所負担したとの邪推である。公選法違反、政治資金規正法違反であると。なんのことはない。立食パーティであるから、5000円で可能である。後援会の参加者はすべてが自己負担であるから、公選法違反にも、政治資金規正法違反になり得ない。差額6000円を安倍事務所が負担はフェイクニュースとなるが。

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