日刊労働通信社 | オバマ訪日、訪韓の狙いは?

オバマ訪日、訪韓の狙いは?

コラム 国際

 
読売に「日韓協議前の綱引き」「議題幅広く」「慰安婦だけ」「今週視野に詰め」が書かれている。
 
「日本と韓国の関係改善に向けた日韓外務省局長級協議の開催を巡り、両国が綱引きを続けている。日本側が竹島問題など幅広い懸案事項について話し合いたい意向なのに対し、韓国側はいわゆる従軍慰安婦問題だけを議題とすることを求めている。韓国側は、今月下旬のオバマ米大統領の日韓訪問前の協議開催を求めており、両国は早ければ今週の開催も視野に、つめの協議を進めている。
 
3月25日のオランダ・ハーグで行われた日米韓首脳会議では、3か国共通の懸案である北朝鮮の核・ミサイル開発問題が議題だった。日韓両国で対立がある慰安婦問題などの歴史問題は取り上げられず、日本政府関係者は『関係改善の糸口はまだ見つかったと言えない』と話す。
日本政府内には、日韓関係の本格的な改善は、『両国間の多くの懸案について冷静に話し合うことが出発点になる』(外務省幹部)との見方が多い。このため議題は慰安婦問題に限らず、竹島問題や韓国人元徴用工を巡る訴訟など幅広いテーマを議題とするよう提案している。
韓国側は慰安婦問題のみを取り上げることにこだわっているが、1965年の日韓請求権・経済協力協定で『完全かつ最終的に解決された』と規定されていることから、仮に局長級協議で議題になっても、日本側の歩み寄りは困難だ。
ただ、日本政府内では、対話の枠組みを築くことが両国の国益につながるとの見方が強い。両国が議題で折り合えない場合、韓国側が態度を硬化させて、局長級協議が実現しない可能性もあり、ジレンマを抱える。
日本政府からは、局長級協議を実現させて、今後の定期的な政府間協議の開催や首脳会談につなげることへの期待から、『ここは、何としてでも協議開催にこぎ着けるべきだ』(政府関係者)との声も出ている。
 
<出方うかがう韓国>
韓国の朴槿恵政権は、日韓関係の早期改善を求めるオバマ米大統領の訪日、訪韓をテコに、対日外交の最優先課題である従軍慰安婦問題で、日本から譲歩を引き出したい考えだ。ただ、慰安婦問題で目指す『落とし所』について、政権内で意思統一がされておらず、当面は日本の出方をうかがう方針だ。
韓国が日韓局長級協議の議題を慰安婦問題に絞るよう主張しているのは、日本側の意向通り、韓国人元徴用工を巡る訴訟など幅広い懸案を協議した場合、『最も重要な問題が埋没する』(韓国政府当局者)と懸念するためだ。
 
日本に国家としての法的責任を認めさせた上で賠償を受け取ることが、元慰安婦の支援団体の主張とも重なる最善のシナリオだが、安倍政権が応じないことは織り込み済みだ。『法的責任』や『賠償』になるべく近い形で、韓国内の世論の支持を得られる解決策を探ることになりそうだ」。
オバマ大統領の訪日、訪韓を控えて、日韓外務省局長協議の開催を巡り、綱引きが行われている。協議開催自体は一致しているが、議題でもめている。韓国側は、慰安婦問題のみを取り上げることに固執、日本側は、竹島問題や韓国人元徴用工を巡る訴訟等幅広いテーマを議題とするよう主張しているからである。
問題は、いずれが、正論か、である。3月25日の3カ国首脳会談を仲介したオバマ大統領の意向、訪日、訪韓の意向を基準にすれば、日本側が正論となる。韓国の朴槿恵大統領は、慰安婦問題の突出を抑えるよう米国から警告を受けているからである。歴史問題よりも今そこにある危機を重視せよ。である。北朝鮮問題である。北朝鮮問題への日米韓の連携が急務なのである。
 
オバマ訪日、訪韓の狙いの1つは、日韓首脳会談への督促となるが。
 
編集 持田哲也

« »