日刊労働通信社 | 集団的自衛権行使容認

集団的自衛権行使容認

コラム 国際

 

日経に「首相、安保戦略、米で積極発信」「『右傾化』懸念払拭狙う」が書かれている。

 

「訪米した安倍晋三首相が安全保障戦略の発信に力を入れている。25日昼(日本時間26日未明)に米シンクタンクのハドソン研究所の主催で講演し、検討を進める集団的自衛権の行使容認や日本の防衛政策の見直しの狙いを説明する。一連の取り組みについて『中韓両国との溝を広げかねない』との見方があることを意識し、米側の懸念をぬぐう狙いだ。
『日本は世界の平和と安定に今までに増して積極的に貢献する』。首相は講演で『積極的平和主義』のキーワードを用いて日本が果たすべき役割への決意を示す。国家安全保障会議(日本版NSC)の創設や外交、安保戦略の指針となる『国家安全保障戦略』の年内の決定に向けた考え方などを紹介する。

特に重視するのは、集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の変更への取り組みだ。①公海上で米艦船が攻撃される②国連平和維持活動(PKO)に参加中の他国軍が襲われる――などの具体例を挙げ、いずれも現在は自衛隊が助けられないと説明。政府の憲法解釈の変更によって日本の役割を広げる必要性を訴える。
ハドソン研究所での講演は、創設者の名前を付けた『ハーマン・カーン賞』を首相が受けるのに伴うものだ。過去にはレーガン元米大統領、チェイニー元副大統領、キッシンジャー元国務長官らが受賞し、米国人以外では初めてとなる。
首相は9月に集団的自衛権行使に関する政府有識者懇談会を再開し、国家安保戦略を取りまとめるための議論を始めた。中韓両国は集団的自衛権の行使や憲法改正をめざす安倍政権の姿勢を『日本の右傾化の表れ』と批判している。オバマ政権には安保分野での日本の役割拡大への期待がある一方、日本と中韓のこれ以上の摩擦拡大は避けてほしいのが本音だ。
首相は講演で、名指しを避けつつ『日本のすぐそばの隣国に軍事支出が少なくとも日本の2倍で、米国に次いで世界第2位という国がある』と指摘。日本の防衛費の今年度の増額幅が0・8%である点に触れて『もし私を右翼の軍国主義者と呼びたいのであれば、どうぞそうお呼びいただきたい』と言及する。
国内での地ならしも意識している。首相は24日のニューヨーク市内での同行記者団との懇談で、集団的自衛権の行使を巡る結論について『いつまでと設定するつもりはない』と語り、連立を組む公明党への配慮をにじませた。

 

公明党の山口那津男代表は25日の日本外国特派員協会での講演で、首相の内政懇の発言について『結論の時期は当初予定を少し遅らせても構わない、ということだと理解している』と語り、一定の評価を口にした」。
安倍首相は、25日昼(日本時間26日未明)、米シンクタンクのハドソン研究所で講演、「集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更」に言及、国際公約とした。中韓両国は「日本の右傾化の表れ」と批判しているが、日米同盟強化ために必須として、米国政府のお墨付きを得るために、である。

 

問題は、集団的自衛権行使容認は、「世界常識」であり、「国家安全保障戦略」の要諦であることだ。「普通の国」になるための前提条件である。国内では、与党の公明党が慎重姿勢であるが、容認は時間の問題である。年内は見送り、来年まで待てばよいのである。レイムダックと化したオバマ政権に、中国が西太平洋の覇権を求めて、日米同盟を試すべく、尖閣諸島の占領を画策してくるから、その時、民意が、集団的自衛権行使容認に一変するからである。
 
 
編集 持田哲也

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