改憲阻止で野党結集を

政治 社会 編集部

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読売の社説に「民主党大会」「野党結集を前に進められるか」が書かれている。
「夏の参院選で、自民党の明確な対抗軸を作れるか。正念場となろう。民主党が、東京都内で党大会を開いた。岡田代表はあいさつで維新の党との新党結成について、『選択肢として排除されていない。私にお任せいただきたい』と述べた。維新の松野代表と協議し、3月末までに結論を出すという。
 
2016年度活動方針も、『衆参同日選も視野に、大きな力の結集を図る』と明記し、野党勢力の結集を呼びかけた。だが、こうした掛け声と裏腹に、党内の足並みはそろわない。
細野政調会長ら保守系は、『負のイメージ』を一新できるとして、新党に積極的だ。一方、労働組合系などは、地方組織の混乱を懸念し、慎重論が強い。岡田氏は難しい判断を迫られよう。
 
新党結成は、理念の共有や基本政策の一致が前提となる。両党は政策協議を重ねているが、主要政策を巡る溝は埋まっていない。憲法改正や集団的自衛権行使の限定容認について、維新の党は基本的に前向きだが、民主党内には賛否両論がある。
民主党政権が決めた消費税率の10%への引き上げについては、維新の党では反対論が根強い。環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を維新の党が評価するのに対し、民主党は批判的だ。対立点が残ったままの合流は、『野合』批判を免れまい。
岡田氏は、参院選について『安倍政治の暴走を止め、政権交代をする足がかりの選挙にしなければならない』と訴えた。党綱領に掲げる『共生社会』の具体像を夏までにまとめるという。
安倍政権との違いを強調するだけでなく、実効性のある現実的な政策にすることが大切だろう。参院選での候補者調整など、野党協力も重要な課題である。
 
『1人区』で自民党と戦うには、野党候補の一本化が有効だ。ただ、民主党内では『保守票が逃げる』として共産党との協力に否定的な声が強い。岡田氏は協力を限定的な声が強い。岡田氏は協力を限定的にし、共産党の自主的な候補取り下げに期待する方向とされる。
各党が様々な選挙区事情を抱える中、どんな協力関係を構築するか、民主党の力量が問われる。参院選では、ベテランの輿石東参院副議長、江田五月・元参院議長、北沢俊美・元防衛相らが立候補せず、引退すると表明した。世代交代は両刃の剣だ。新たな党の姿を示し、党勢を回復できるか。それとも議席減少が続くか。民主党の将来を左右しよう」。
 
社説の主旨である「野党結集を前に進められるか」は、正論である。野党結集しない限り、7月の参院選でもしくは衆参同日選で民主党は惨敗だからである。
問題は、民主党が野党結集をできるのか、である。自民党との対決軸を何にするか、である。安倍晋三首相が、参院選の争点に憲法改正をと位置付けている限り、民主党は「改憲阻止」を対決軸にせざるを得ない。野党結集も「改憲阻止」が錦の御旗となる。民主党の保守派は、居場所がなくなるから党を割り、新党を作らざるを得ない。結果、民主党は「改憲阻止」で共産党と共闘することになる。「改憲阻止」での野党共闘に勝つには、衆参同日選と自公支持層の思想武装が必須となるが。
 

日経に「米艦、再び南シナ海に」「受け身の『航行自由』」「米大統領、外交日程迫り決断」が書かれている。
「米軍のイージス艦が30日、南シナ海で中国が領有権を訴える島の12カイリ(約22キロ)以内を再び航行した。来月中旬に東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳との会議を控えるオバマ米大統領がその外交日程に押されて決断した印象が否めない。受け身の『航行の自由』作戦が浮き彫りになっている。
昨年10月下旬に米軍艦が中国の人工島12カイリ内を航行した直後、カーター米国防長官は『今後数週間から数カ月、作戦が継続される』と明言。米国防総省高官は『四半期に2度かそれ以上』と頻度まで予告した。それから3カ月間、米軍艦が中国が領海と主張する海域を航行することはなかった。
『待った』を掛けたのは、オバマ氏やライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)だ。はしごを外された米軍には不満がくすぶっていた。昨年12月までに再度派遣するよう求めたが、認められなかったからだ。今回ようやくオバマ氏らが派遣を承認したものの、中国への配慮がにじむ。
 
米太平洋軍のハリス司令官が27日の講演で、南シナ海での軍艦の航行拡大をわざわざ表明している点だ。ハリス氏の発言は当初、軍内のオバマ氏に対する不満の代弁にすぎないとみられていたが、実際は作戦の内容を事前に明かしたものだった。あらかじめ漏れれば、それは作戦ではない。軍の運用は機密に属する。それを司令官自らが言及したのは、中国の反応を気にするオバマ氏の意向があったからだとされる。
昨年10月下旬に初めて中国の人工島12カイリ以内に米軍艦を派遣したときも、米国防総省の進言からすでに5カ月が経過していた。しかもその直後にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や東アジア首脳会議という外交日程が迫っていた。そのときの主な議題は今回のASEAN首脳との会議と同じ南シナ海問題だ。似たような状況下でオバマ氏らが決断しているのは、偶然ではないだろう。
 
米軍艦を今後、アリバイのように航行させても、南シナ海での中国の確信的な海洋進出に歯止めを掛けるのは難しい。中国が南シナ海で造成する人工島では民間機の離着陸の試験飛行が始まっており、軍事拠点化は時間の問題だ。綻ぶオバマ政権の対中政策の立て直しが急務なのは、南シナ海の問題だけを取っても明らかだ。
大統領は米軍の最高司令官を兼ねており、軍との協調は不可欠だ。南シナ海で海洋権益を探る中国への対応は、最高司令官と軍との間にすきま風を吹かせている。世界の安全保障に直結する最高司令官と軍の関係改善は、オバマ氏が残された任期で取り組むべき重い課題である」。
 
30日、2カ月余ぶりに、「航行の自由」作戦が実行されたが、米軍の不満を抑えるためである。昨年の10月末以来、作戦の継続を、オバマ大統領、ライス補佐官が中国に配慮して「待った」をかけていたからである。米軍最高司令官の大統領と軍との隙間は深刻である。
 

日経の「日曜に考える」に、吉田忠則・編集委員が「電子版ASIAN RE
VIEW」「中国『爆買い』と偽物の関係」を書いている。
「中国の春節(旧正月)の連休まであと1週間。日本の観光産業は中国人の『爆買い』への期待にわきたつが、中国の政府関係者の顔色はさえない。景気の下支え役になるはずの消費の一部が、海外に流出していることになるからだ。中国政府は『海外から消費を取りもどせ』と旗をふるが、うまくいくだろうか。
『国外の製品と国産品を比べると、最大の差はブランドの知名度と影響力だ』。中国国営通信の新華社は最近、工業情報化省の馮飛次官のこんな発言を伝えた。次官は根拠として、日本と中国の電子炊飯器で炊いたご飯の味にほとんど差がないとの調査を紹介した。
次官は詳しい中身を語っていないが、おそらくは国営中央テレビが昨年放送した番組を指す。日中の炊飯器でご飯を炊き、10人に食べ比べてもらったところ5人が中国製がおいしいと答え、2人が差がないと答えたという内容だ。
たった10人の感想で優劣を決めるのはあまりに強引。ただ少なくとも政府の高官が調査を根拠に、ブランド力では劣ると認めた点には一定の意味がある。
 
中国人が海外で買い物をするわけはほかにもある。次官によると、『先進国は偽物が少なく、安心して消費できる』。ブランド力の次は信用力の欠如だ。それが『中国人の海外での消費を促している』。これも自国の『急所』を正直に認めた発言といえる。
場面はいったん国家統計局が今月19日に開いた記者会見に移る。2015年の成長率を説明したこの会見で好調さが際だったのは、前年比で3割強も増えたネット通販だ。だがそのネット通販こそが、偽物にむしばまれているのだ。
全国人民代表大会の常務委員会が昨年11月に開いた会議で、驚きの数字が明らかになった。『14年の調査によると、ネットで販売された商品のうち品質に問題なく偽物でもない比率は58・7%』。消費者からの訴えも急増しているという。この状態で、国内で安心して買い物してほしいと求めることに無理がある。
偽物の横行は、次官が国内消費の課題として挙げるブランド力の向上にも影を落とす。中国を代表する新興企業で、スマートフォン大手の小米(シャオミ)のホームページには『偽物をみたら通報してほしい』というページがある。台頭する国内ブランドも模造品に頭を痛めているのだ。
これが『爆買い』の背景にある中国の消費の実態だ。次官は『海外の消費を国内に戻すには消費環境の浄化が必要だ』と強調するが、『浄化』には相当な努力が求められるだろう。
 
中国政府も手をこまねいているわけではない。李克強首相は昨年4月に開いた会議で、消費者に人気のある海外の日用品の関税を試験的に下げ、国産のブランド力の向上を急ぐよう指示した。国内消費を増やすのが狙いだが、現時点で効果が出たとは言いがたい。
政治分野を除くと、中国政府は自国の矛盾を意外なほど率直に表明する。企業の過剰設備も環境悪化も食品汚染も、政府が問題を指摘し、是正キャンペーンを張ってきた。だがどれも経済と社会の構造に深く根ざしており、旗をふっても簡単には根治できない。それが安定成長への移行のハードルになっている」。
中国人の爆買いの理由は、中国国内での偽物の横行である。14年の調査でネット通販の41・3%が偽物だと言う。偽物の横行は、中国経済、社会構造の宿痾であり、異形の市場経済での根治は不可である。爆買いは続く。
 

編集 持田哲也

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