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「日米同盟基軸がトランプ方程式」

産経の「視線」に、青木伸行・ワシントン支局長が「読めない『トランプ方程式』」を書いている。

「昨年12月7日、ワシントンで日本経済団体連合会の懇親会が開かれた。話題はもっぱら、ドナルド・トランプ次期米大統領と政権の出方についてだった。議論百出の中で、思わず膝をたたいたのが『トランプ氏と付き合うにはアイデアが勝負』という、ある人の発言だった。

前日には折しも、ソフトバンクグループの孫正義社長が、ニューヨーク・マンハッタンのトランプタワーでトランプ氏と会い、総額500億ドルを米国に投資し5万人の雇用を創出すると約束したばかりだった。関係筋によると、孫氏は共通の知人を介して電撃訪問にこぎつけたというが、提案の実現性うんぬんよりも、アイデアを持ち込んだことそれ自体が、トランプ氏の好感されたのだろう。

元来ビジネスマンのトランプ氏が、アイデアに飛びつくとすれば、それは経済分野に限らず外交・安全保障分野でも十分にあり得る。

トランプ氏はいよいよ、1月20日に第45代大統領に就任する。メディアや政治アナリストなどはとかく、為政者と政権の政策、政策決定過程、理念、行動様式などを体系・類型化したり、一種の方程式を見いだそうとしたりする。それは次の出方をある程度予測することに役立ち、安心できるからだ。

ところがトランプ氏に関しては、既存の方程式やモデルが当てはまりそうにない。1+1=2ではなく、3にも4にもなりえ、予想外の『トランプ・ショック』が随所に表出することだろう。

トランプ流の意外性は、閣僚人事にもいかんなく発揮された。歴代の大統領はトランプ氏ほどまでに、富豪をはじめ『利益相反』を抱える実業家や金融機関出身者を、数多く閣僚に起用したことはなかった。とりわけ筆頭閣僚の国務長官に、外交の門外漢である米石油大手エクソンモービル会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏を起用したことは、驚きをもって受け止められた。

現時点で輪郭を表しているトランプ次期政権の方向性としては、①親ロシア②反中国③イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の壊滅④金融規制などの緩和⑤石油エネルギー推進⑥地球環境問題への消極姿勢⑦不法移民の排除⑧環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの脱退――などが挙げられる。

仮に、『トランプ方程式』なるものが今後、確立されていくとしても、変数が多く読み切れないだろう。その最たる要素は、『げたを履くまで分からない』ならぬ、『ソロバンをはじくまで分からない』という、損得勘定と『ディール(取引)』になるだろう。

『米国第一』主義に照らし、米国の利益になると判断すれば、常識外れのディールをも結ぶだろう。対中国にしても、今は敵対的な姿勢を示し牽制と脅しをかけているが、これは『将来的なディールを見据えた布石』(外交アナリスト)との見方もある。もし中国が南シナ海の共同開発などを持ちかければ、乗りかねない危うさがある。

安全保障では米国本土の防衛を第一としている。例えば北朝鮮の核と弾道ミサイルが米国本土を脅かす限り、日本と韓国との同盟関係を重視するだろう。しかし、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を日米安保条約の適用対象として、中国から防衛する義務の保証は現時点ではない。

逆に米国が脅かされれば、『100倍返し』で、思い切って戦力を投入する可能性もある。いずれにしてもアジア政策はなお、判然とせず、『徐々に検討している段階』(外交筋)のようだ。

今年、世界はリベラルなグローバリゼーションへの反動として、ナショナリズムと保守主義がいっそう台頭し、さらには国際秩序が多極化することも予想される。その行方に、トランプ次期政権が大きく影響することは間違いない」。

コラムの主旨である「読めない『トランプ方程式』」に異論がある。トランプ方程式は読めるからである。外交・安保、経済・金融政策の基本が日米同盟基軸の親ロシア、反中国路線だからである。米国第1主義の核心が日米同盟基軸なのである。

問題は、トランプ政権の対中国戦略に対する中国・北朝鮮の出方である。米中対決が現実のものとなる。北東アジア情勢が激動せざるを得ない。歴史的法則からして中国は19年に、北朝鮮は18年に建国から70年を超えられず、ソ連のように崩壊するのが必然である。中国・北朝鮮の同時崩壊のソフトランデイングの責務が日米同盟基軸となる。安倍晋三首相の歴史的責務となる。

毎日に「首相『解散より予算』」「退位、蓮舫氏『対案出さず』」が書かれている。

「与野党8党の党首が8日放送のNHK番組に個別に出演し、安倍晋三首相は衆院解散・総選挙に関して『まずは(新年度)予算の早期成立に全力を尽くす。その間、解散の<か>の字も頭に浮かばないだろう』と述べて当面の解散を改めて否定した。天皇陛下の退位を巡る法整備で、首相は特別立法で対応する政府方針を念頭に『政争の具にしてはいけない』と述べ、皇室典範改正を求める野党側をけん制。民進党の蓮舫代表は政府案への対案は提出しないとした。

20日召集の通常国会を前に、与野党のせめぎ合いが始まっている。首相は解散に関し『今の仕事に全力を尽くすことに頭は全て占められている。それはしばらく続く』とも語った。一方で2014年11月の衆院解散を振り返り『野党に<なんで解散するんだ>と言われ仰天した。野党が<早く解散してくれ>という気持ちで臨んで初めて論戦も建設的になる』と挑発的な言い方で自信をのぞかせた。

また、来年秋の自民党総裁選で3選を目指すかについて『結果を積み重ねることで、果たしてこの先どうしようか判断したい』と意欲をにじませた。首相の発言は6日に収録された。

衆院解散に関し蓮舫氏は『いつあっても戦える態勢を整えている。民進党で戦いたいという仲間は1人ずつ増えている』と述べた。他党との選挙協力は『もう<課題>ではない。前に進めるべき時に来ている』とし、小選挙区の候補一本化や共通政策の策定に積極的に取り組む姿勢を示した。

共産党の志位和夫委員長は『本気の共闘をやれば自民党に打ち勝てる。野党連合政権に向けた第一歩を踏み出す結果を得たい』と意欲を示した。日本維新の会の片山虎之助共同代表は『我々が伸びていって、将来の2大政党は<自民公明対維新>という方がリアリティーがある』と述べ、議席増を目指すとした。

陛下の退位について蓮舫氏は『政局にするとか、対案を出してぶつかり合うとかはまず考えていない』と述べ、与野党の合意形成を模索する考えを示した。志位氏は『高齢は誰にでも訪れるもので、現天皇だけの問題でない』とし、皇室典範改正を求める考えを示した。片山は特別立法に理解を示しつつ、『特例法と皇室典範をつなぐ何かの根拠を典範に置くなり(すべきだ)』と指摘した。

<今年前半の訪露、首相が意欲示す>

安倍晋三首相は8日、山口県下関市での地元後援会の会合で、北方領土問題を含む平和条約締結交渉に関連し『今年前半にロシアを訪問したい』と述べ、プーチン大統領との再会談に改めて意欲を見せた。首相は昨年12月の日露首脳会談直後に『来年(2017年)の早い時期にロシアを訪問したい』と語っていた。

首相は日露会談が行われた同県長門市の温泉旅館での後援会会合でもあいさつし、『<平和条約問題を解決する自らの真摯な決意を(両首脳が)表明>と(プレス向け)声明に盛り込めた。70年間1ミリも動かなかった交渉に大きな一歩をしるせた』と意義を強調した。

首相は昭恵夫人や母の洋子さんと共に、同市内にある父・晋太郎元外相の墓参りもした。その後、記者団に『私の世代で、父の悲願だった平和条約締結に終止符を打ち成果を出したい。この思いを報告した』と語った」。

民進党の蓮舫代表は、特別立法の政府案への対案は提出しないと明言した。特別立法での与野党合意が可能となり、政争の具は回避できたことになる。通常国会での早期成立が可能となった。

日経の「エコノフォ―カス」に「見えた?GDP600兆円」「計上分野広く、五輪特需も」が書かれている。

「安倍政権が掲げる名目国内総生産(GDP)600兆円目標は荒唐無稽ではない。政府内でこんな声が出ている。五輪効果などに加え、統計見直しに伴い捕捉される経済活動の領域が広がる可能性もあるからだ。生産性向上など成長戦略がおろそかになれば、危うい皮算用にすぎなくなる。

2020年の女神はローラ(RORA)――。600兆円のけん引役を市場は期待を込めてこう呼ぶかもしれない。研究開発(R&D)と20年の東京五輪・パラリンピック(Olympic)、巨大なリフォーム需要(Reform)、そして共働き増に伴う家事支援サービス(Assistance)拡大という4分野の頭文字だ。

<内部留保に余地>

『しびれた』。内閣府幹部は驚きを隠さない。昨年12月の統計改定に伴い15年度名目GDPは改定前比で31兆6千億円増加。うち研究開発費は19兆2千億円に上り、GDPを3・8%押し上げる要因となった。先に研究開発費を組み入れたドイツでも10年の押し上げ率は2・3%。日本の研究大国ぶりが際立った。

『安全や環境分野の研究開発投資を増やす』トヨタ自動車は決算会見の度に強調してきた。16年度の研究開発費の見通しは過去最高を更新する1兆円超。他の日本企業も内部留保は多く、研究開発の余力は大きい。

15年度の名目GDPは約532兆円。目標までは約70兆円だ。単純計算で名目2・5%の成長が続けば20年度には達成できる。だが1997~12年度に2%を超えて成長した年はない。目標達成には研究開発以外の追い風が欠かせない。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は『東京五輪の特需で個人消費や訪日客消費、設備投資がけん引する』とみる。日銀の約1年前の試算によると東京五輪は18年のGDPを約1%(5兆~6兆円)押し上げる。GDP上は『輸出』になる訪日客消費だけでも18~20年にかけ毎年2兆~3兆円上乗せされると日銀はみており、バラ色シナリオならプラス10兆円だ。

“GDP予備軍”はどうか。住宅リフォーム市場は高齢化で約4兆円規模に育った。10平方メートル未満の小規模リフォームはGDPにほぼ計上されず数兆円規模の押し上げを期待する声もある。内閣府の改定作業はこれからだ。効果は未知数ながら、第一生命経済研究所の新家義貴氏は『住宅投資を統計上、押し上げるインパクトはある』とみる。

<「かさ上げ」懸念>

食事や掃除といった家事も経済への貢献度は本来、大きい。内閣府の推計では家事など『無償労働』は11年度に最大138兆円に達した。国際標準で家事はGDPにカウントしない一方、家事代行やベビーシッターなど金銭をやり取りする有料サービスは含まれる。

日本は海外より専業主婦世帯の割合が多く、経済産業省は共働き増で家事支援サービスの市場規模が12年度の6倍にあたる6千億円程度に育つとはじく。

さらに総務省は家計調査に家計簿アプリを導入して統計を改善する方針だ。家計簿方式での記入なら共働き世帯などの消費支出の実態に近づけるとみており、ある程度の押し上げ効果を生むとの期待が政府内にはある。

与党の一部や日銀・財務省は、GDPをはじめ政府統計が実体経済を反映できていないとして見直し圧力を強めている。当の内閣府からは『改善は大事だがGDPを押し上げるために統計の仕事をしているわけではない』(幹部)との恨み節も。

ハカリを磨いても載せるものはどうか。女性の就労促進、長時間労働是正などの働き方改革や人工知能(AI)活用などで生産性を高め成長力を底上げするのが王道であることに変わりはない。

▼GDPの基準改定
日本では約5年ごとに経済構造の基礎となる「産業連関表」などを見直すのに伴いGDPの基準も改める。国連が定める国際基準の改定も反映する。昨年12月の改定では研究開発費や特許使用料などを計上した。国際基準では住宅の性能が向上するといったリフォームも投資に組み入れることとしており、内閣府が次回の改定に向け準備を進めている」。

安倍政権が掲げる2020年までに名目GDP600兆円目標達成の可能性が見えてきた。15年度の名目GDPが、昨年12月の統計改定により、改定前比で31兆6000億円増の約532兆円となったからである。研究開発費の19兆円2000億円が加算されたからである。他に五輪特需も計上されるから、後70兆円は可能となるが。

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