「『国難』はファクト、『もりかけ疑惑』はフェクト」

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朝日の社説に「国会軽視再び」「国難をなぜ論じない」が書かれている。

「勝てば官軍ということか。政府・自民党は、首相指名選挙を行う特別国会を11月1日~8日に開いた後、臨時国会は開かない方向で調整を始めた。

憲法53条に基づき、野党が臨時国会を要求してから4カ月。安倍政権は今回もまた、本格審議を逃れようとしている。

衆院選の大勝後、首相や閣僚が口々に誓った『謙虚』はどうなったのか。巨大与党のおごりが早速、頭をもたげている。

国会を軽んじる安倍政権の姿勢は、歴代政権でも際立つ。通常国会の1月召集が定着した1992年以降、秋の臨時国会がなかったのは、小泉政権の2005年と安倍政権の15年だけだ。ただ05年は特別国会が9月~11月に開かれ、所信表明演説や予算委員会も行われた。

安倍政権は15年秋も、野党の臨時国会召集要求に応じなかった。閣僚らのスキャンダルが相次いだことが背景にあった。

今回は野党の要求があれば、予算委員会の閉会中審査には応じる考えという。だが、わずか1日か2日の審査では議論を深めようにも限界がある。

審議すべきは森友・加計問題だけではない。首相みずから『国難』と強調した北朝鮮情勢や消費増税の使途変更についても、国会で論じあうことが欠かせない。

だが臨時国会がなくなれば、6月に通常国会を閉じて年明けまで約半年も、本格論戦が行われないことになる。言論の府の存在が問われる異常事態だ。

ここは野党の出番である。だが、その野党が心もとない。

民進党は四分五裂し、立憲民主党は55年体制以降、獲得議席が最少の野党第1党だ。それでも、安倍政権の憲法無視をこのまま見過ごすことは、あってはならない。

同党の枝野幸男代表は『永田町の数合わせに我々もコミットしていると誤解されれば、今回頂いた期待はあっという間にどこかにいってしまう』と述べ、野党再編論に距離を置く。

それはその通りだろう。ただ民主主義や立憲主義が問われるこの局面では、臨時国会を求める一点で野党は連携すべきだ。

自民党は野党時代の2012年、要求後20日以内の臨時国会召集を義務づける改憲草案をまとめた。それにならって、今度は『20日以内』の期限を付けて改めて要求してはどうか。

『憲法というルールに基づいて権力を使う。まっとうな政治を取り戻す』。枝野氏は衆院選でそう訴えた。その約束を果たすためにも、野党協力への指導力を期待する」。

社説の主旨である「『国難』をなぜ論じない」に異論がある。

朝日・野党の論理からすれば「『森友・加計問題』をなぜ論じない」と書くべきだからである。事実、朝日・野党は今回の解散・総選挙を「もりかけ疑惑隠し解散」と命名し、安倍晋三首相の「国難突破解散」に対峙したからである。その結果は与党が313議席で3分の2を超え、改憲勢力で定数の8割となる圧勝となった。野党第1党の民進党は四分五裂し、立憲民主党は55議席で55年体制移行最小の野党第1党となった。「もりかけ疑惑隠し解散」の大敗である。

問題は、有権者が投票の際に、朝日・野党の言う「もりかけ疑惑」より、安倍晋三首相の言う「国難」を最優先したということである。事実NHKの出口調査で何を重視したかで、消費税率の引き上げ対応29%、憲法改正への対応23%、北朝鮮問題への対応16%、森友・加計学園問題8%、原発対応7%となっている。憲法・北朝鮮を国難とすれば39%となり、もりかけ8%の5倍となるが。有権者において、もりかけ疑惑は既に終わったものとの認識である。有権者は、国難よりも、もりかけ疑惑を追及する朝日・野党に不信感を持ったのである。国難はファクトなのに、もりかけ疑惑はフェクトではないかと。

産経の「正論」に百地章・日大名誉教授が「主権者に改憲の機会を与えよ」を書いている。

「総選挙の結果、衆議院では改憲に前向きの勢力が全体の8割を占めることになった。自民党は公約の中に『憲法改正』を大きく掲げて戦い、大勝したわけである。これは戦後政治史上初めての快挙であり、安倍晋三首相の下、自民党は自信をもって憲法改正を願う国民の期待に応え、速やかに改憲に着手すべきだ。

<発議を怠けるのは許されない>

憲法改正の最終決定権は主権者国民にあり、その是非を問う国民投票は、主権者国民に与えられた極めて重い権利である。にもかかわらず、これまで国会が一度も憲法改正の発議をしなかったため、国民はこの権利を行使したくても行使することができなかった。国の将来が問われている今、国会には主権行使の機会を国民に保障する責務があり、これ以上改憲の発議をサボタージュし続けることは許されない。

問題はどこから改正に着手すべきかである。自民党の公約では『自衛隊の明記』『緊急事態条項』『教育の無償化』そして『参議院の合区解消』が挙げられていたが、①国の根幹にかかわる課題で、②国家的な緊急性を有すること、しかも③国会で3分の2以上、国民投票で過半数の賛成が得られそうなテーマ、が優先されるべきである。となれば、真っ先にあげられるのは『自衛隊の明記』や『緊急事態条項』であろう。

『自衛隊の明記』については、自民党の当選者の75%が賛成しており(毎日、10月24日)、優先課題にふさわしいと思われる。

北朝鮮による核や弾道ミサイルの脅威は、日を追って増大しており、年末から来年初めにかけては、アメリカが軍事行動に出る可能性さえ指摘されている。また、中国は尖閣諸島を狙い、連日、政府公船が接続水域や領海を侵犯している。

その意味でも、わが国の存亡にかかわる防衛・安全保障問題こそ、喫緊の課題といえよう。

<自衛隊明記の必要性を論ぜよ>

国民世論の反応は一概に言えないが、各種世論調査をみる限り、国民の多数は自衛隊明記を支持する傾向にあると言ってよかろう。

安倍首相(自民党総裁)が自衛隊明記案を提唱した直後の世論調査では、毎日(5月20、21日調査)と朝日(同13、14日)で反対の方が数ポイント上回っていただけで、それ以外の読売(同12~14日)、産経・FNN(同13、14日)、共同(同20、21日)それにNHK(同12~14日)では賛成の方が多く、読売、産経・FNNおよび共同では、反対を約20ポイント上回っていた。

また10月の調査でも、読売(12日)と朝日(19日)では反対の方が数ポイント多かったものの、時事(13日)、NHK(16日)、産経・FNN(17日)では、賛成の方が多く、その差も時事で14ポイント、産経・FNNでは18ポイントと開いている。

残念ながら国民の多くは戦力不保持の9条2項の改正まで望まず、自衛隊明記支持に留まっているというのが現状であろう。それ故、憲法施行後70年間、一字一句改正できなかった厳しい現実を踏まえるならば、憲法改正の第一歩は、国会の3分の2以上および国民の過半数の賛成が得られそう『自衛隊明記』から進めるしかないと思われる。

その際、『戦争に突き進む』という反対派のデマに惑わされないために、なぜ『自衛隊の明記』が必要かを分かりやすく説明し、さまざまな疑問に丁寧に答えていく必要がある。筆者は先に自衛隊の明記は違憲の疑いを払拭するだけでなく、自衛隊及び隊員の地位を高め、栄誉と誇りを与えるためであると述べたが(正論「改憲草案作りを粛々と進めよ」8月9日)、今後もさらに必要性を論じていきたいと思う。

<与野党連携進め賛同の獲得を>

また、国民投票を考えれば、与野党を超えて連携し、より多くの国民の賛同を獲得していく必要がある。この点、野党では日本維新の会が公約に『9条改正』を掲げ、松井一郎代表は『自民党案が固まってくれば、まじめに正面から議論したい』と述べている。

希望の党の小池百合子代表は9条改正論者であり、自衛隊明記には否定的だが、公約では『〔自衛隊を〕憲法に位置づけることは、国民の理解が得られるかどうか見極めた上で判断』としており賛同に含みを持たせている。

問題は公明党だ。同党は、前回(平成26年12月)の総選挙では、公約で『9条を堅持した上で、自衛隊の存在の明記や国際貢献のあり方を、加憲の対象として慎重に検討』と明記していた。そのため安倍首相は公明党に配慮し、苦渋の決断の結果、9条1、2項には手を加えず、『自衛隊の保持を明記』する案を提示したわけである。

後退したとはいえ、同党は今回の公約でも『自衛隊の存在を明記する提案の意図は理解できないわけではない』『不備があれば新たな条文を加える』としており、納得のいく説明さえできれば、自衛隊明記賛成に回る可能性は十分あると期待している」。

改憲勢力が衆院定数465の8割を占めることになったが、どこから改正に着手すべきか、である。「9条に自衛隊明記を」からである。問題は、自民党内が一本化できていないことである。自民党内の75%の賛成を100%までにすることが喫緊の課題である。

朝日の「朝日・東大共同調査」に「安保法制『反対』7割」「小池氏と隔たり、希望の当選」が書かれている。

「希望の党の当選者の約7割が安全保障法制を評価しておらず、候補者の約4割から大幅アップ――。朝日新聞社と東京大学・谷 将紀研究室が実施した衆院選の全候補者を対象にした共同調査(回答率97%)で、こんな傾向が判明した。安保法制に反対した民進党からの合流組が多く当選したためで、今後は希望の『民進回帰』が進む可能性もある。

希望は、小池百合子代表(東京都知事)が安保法制を評価する立場だ。公認に際して候補者には『憲法に則り適切に運用する』と記した政策協定書に署名するよう要求。安保法成立に反対した民進合流組にとってみれば、『踏み絵』を踏まされた格好になった。

調査では、第3次安倍内閣(2014年以降)の施策に対する評価を聞いた。安保法成立については、希望の候補者全体では『評価する』『どちらかと言えば評価する』と答えた人は40%、『評価しない』『どちらかと言えば評価しない』とした人は41%だった。ところが、当選者に限ると評価寄りは13%で、評価しない姿勢を示したのは68%となった。

当選者の多くを民進組が占め、それ以外の候補者の当選率が低かったことが数字に影響したとみられる。希望が擁立した235人のうち、民進組は約半数の116人。当選者は50人で、うち民進組は39人で約8割を占める。当選者の安保法への否定的な姿勢を押し上げた構図だ。

一方、希望が公約に掲げた『消費増税凍結』や原発政策に対する考え方でも、候補者と当選者に占める割合でやや違いがみられた。

2019年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて賛否を聞いたところ、賛成姿勢を示したのは候補者で9%だったが、当選者は16%。『原子力規制委員会の審査に合格した原発は運転を再開すべきだ』という意見に賛成か反対かを尋ねた設問では、賛成寄りの候補者が13%だったのに対し、当選者では19%だった。

<政策協定書に不満>

希望が25日に国会内で開いた両院議員懇談会では、安保法制をめぐる政策協定書への不満が相次いだ。

協定書は安保法制について『憲法に則り適切に運用する』と明記。さらに『その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する』としている。懇談会では、『(民進党時代は)安保法制に反対していたのに容認に転じ、<裏切り者>と言われた』といった意見が続出した。

民進は安保法を憲法違反と位置づけ、一貫して見直しを主張してきた。複数の出席者は、協定書の『不断の見直し』部分が『違憲部分は見直す』と解釈できると主張。『(協定書は)<安保法の容認ではない>と代表から言ってもらわないと、いつまでも(裏切り者などと)言われる』と訴えた。

一方、協定書の存在自体をないものにしたいという思いも見え隠れした。出席者の一人は、協定書に明記された消費増税凍結に反対だという本音を吐露。『(協定書の話題を)蒸し返すと(私の)サインはウソだったのかとなる』と漏らした。これらの声に、小池代表はこう答えるにとどめた。『政策協定書に書いた通りで一致させ、この国をどうやって真に守っていけるかを考えるのが希望以外にはない、と言い切れるぐらいに深めていってほしい』」。

朝日・東大共同調査で、希望の党当選者50人のうち7割が安保法制反対となった。希望の第2民進党化である。民進党組当選者が39人に及ぶがその大半がである。希望の党は分裂か、である。

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