日刊労働通信社 | 靖国神社参拝について

靖国神社参拝について

コラム 国際

 

日経に、高橋哲史・政治部次長が「首相、例大祭参拝見送り」「中韓より米の反発懸念」を書いている。

 

「秋季例大祭に合わせて靖国神社に参拝すべきかどうか。安倍晋三首相はぎりぎりまで迷ったフシがある。真榊の奉納にとどめたのは、中国や韓国の反発を気にかけたというより、米国との間にあつれきを生むのを避けようとしたからのようにもみえる。
『米国の議会やメディアに中国、韓国系ロビーがどんな働きかけをしているのか。徹底的に調べてもらいたい』。7月の参院選後、霞が関の関係部局は首相官邸からこんな指示を受けた。首相が靖国神社に参拝すれば、中国と韓国が激しく反発するのは火を見るよりも明らかだ。
しかし、米国の議会やメディアがどう動くかは読みにくい。首相周辺が警戒するのは、米国で影響力を増す中国、韓国系ロビーの働きかけで首相の靖国参拝を批判するキャンペーンが始まることだ。
首相には第1次内閣での苦い記憶がある。2007年7月、米下院は旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題について、日本政府に公式な謝罪を求める決議を採択した。首相が慰安婦の強制連行を事実上、否定する発言をしたためだ。背景には韓国系ロビーの激しい活動があったとされる。

 

首相が靖国神社に参拝した場合、米国はこのとき以上に強く反発するとの見方もある。『靖国神社の戦争資料館<遊就館>に行くと、反中国の展示はほとんどない。どちらかといえば日本が米国にやられたという反米の陳列館だ』。日中友好協会の会長を務める加藤紘一前衆院議員は、首相が靖国参拝に踏み切れば中韓だけでなく米国との関係も壊しかねないと心配する。
首相は昨年9月に自民党総裁に就任したとき『国の指導者が参拝するのは当然で、首相在任中に参拝できなかったのは痛恨の極みだ』と語った。靖国神社に自ら足を運ぶ考えは変えていない。どのタイミングで参拝するか。それは日米関係の行方にも影響する難しい判断になる」。

 

自民党の萩生田光一総裁特別補佐が20日、フジTVの報道番組で、安倍首相の靖国参拝について「就任1年の中でその姿勢を示されると思う」と述べ、就任1年となる12月末までに参拝に踏み切るとの見方を示した。安倍首相の「配慮」を台無しにして、米中韓の警戒感を増幅させた失言である。中韓両国との首脳会談は、一層遠のいた。
 
 
編集 持田哲也

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