日刊労働通信社 | 内閣支持率60%台が岩盤支持率に

内閣支持率60%台が岩盤支持率に

コラム 社会

 
朝日の「教えて!」「消費税⑧」に、「『退陣ジンクス』安倍政権は破れるか」が書かれている。
 
「消費税率が1日、5%から8%に上がる。消費税は、かかわった歴代政権が相次いで退陣に追い込まれた政界の『鬼門』。安倍政権はこのジンクスを打ち破ることができるのか。
戦後の税制は、個人や企業の所得にかかる『直接税』中心で、買い物をした時に支払い、店などが納税する『間接税』は酒など一部の物品に限られていた。石油ショックによる景気低迷で財政が悪化した1979年、大平正芳内閣(78~80年)は、商品やサービスにかける『一般消費税』を掲げて衆院選に臨んだ。だが、官公庁の不正経理問題などが『税金の無駄遣い』と批判されたこともあり選挙に敗北。新税の導入は立ち消えになった。
89年4月、3%の消費税を導入したのは竹下登内閣(87~89年)だ。大型の所得減税もセットにするなどして負担増の批判を抑えようとしたが、『リクルート事件』で支持率が急落。消費税の導入から2カ月で退陣に追い込まれた。
 
細川護煕内閣(93~94年)は、94年2月に消費税率を7%に上げて福祉目的税にする『国民福祉税構想』を打ち出したが、突然の発表に連立与党内からも批判が噴き出し、すぐに撤回した。就任当初は高い人気を誇ったが、佐川急便からの借入金問題もあり、4月に辞任した。
 
橋本龍太郎内閣(96~98年)は前内閣の決定を受けて、97年4月に消費税率を3%から5%に上げた。駆け込み需要の反動による個人消費の落ち込みに加え、医療費の自己負担増や所得減税の打ち切り、さらにアジア通貨危機、山一証券破綻などの金融危機も重なって景気が失速。98年の参院選大敗につながり、橋本首相は退陣した。
 
長く棚上げされた消費税論議は、民主党への政権交代で再び動き出す。野田佳彦内閣(11~12年)は自民、公明との3党合意をまとめ、12年8月に消費増税法成立にこぎつけたが、小沢一郎氏ら大量の造反者を出し、民主党は分裂。年末の衆院選で惨敗した。
欧州各国では、消費税率は20%台がふつうだが、日本では89年の消費税導入から8%に上がるまでに25年かかった。その間、国の借金は1千兆円超に積み上がって、財政状態は先進国最悪になった。『増税』という国民にとって不人気の政策を政治家が口にしたがらず、増税に踏み切ろうとする政権は身内に足を引っ張られて退陣したり、選挙に負けたりする歴史を繰り返してきたからだ。
 
いまの第2次安倍晋三内閣(12年~)は昨年10月、5・5兆円の経済対策とセットで8%への税率引き上げを決断した。『ジンクス』を乗り越えられるかどうか。これからの景気が命運を握っている」。
 
「『退陣ジンクス』を乗り越えられるかどうか。これからの景気が命運を握っている」は、正論である。
 
景気の先行指標である日経平均株価の行方が、安倍政権の命運を握っている。消費増税による景気腰折れを回避できるか、である。日経平均株価は、4月2日現在、前日比、1万4946円32銭と3週間ぶりの高値をつけたが、外国人投資家の買いが入ったからである。
 
昨年15兆円買越した外国人投資家が、今年に入って、2兆円売越したが、一転し、買いに転じたのである。米経済回復による長期金利の日米格差拡大によるドル高・円安基調である。6月の日銀の追緩和期待も含めて、6月末には1ドル=108円台になるとの見方からである。円安・株高基調に戻るのであり、日経平均株価は、6月末には、昨年12月30日の1万6320円を抜いて、1万7000円台に乗せてくるとの予想である。「退陣ジンクス」を乗り越えて、内閣支持率は60%台を岩盤支持率とするが。
 
編集 持田哲也

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