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麻生財務相更迭か?

コラム 経済

 
日経の「大機小機」に、「黒田『一本槍』でよいのか」が書かれている。
 
「3本の矢のはずなのに、アベノミクスは黒田東彦日銀総裁による量的質的金融緩和にばかり依存しているようにみえる。肝心の成長戦略は心もとない。法人税の実効税率引き下げは先送りされ、規制改革は小粒だ。環太平洋経済連携協定(TPP)などグローバル市場戦略も守りの姿勢ばかり目立つ。黒田『一本槍』は大きなリスクをはらんでいる。
デフレ脱却に向けて、超金融緩和は大きな役割を担っている。それはこれまでのところ円安、株高に有効に機能してきたといえる。しかし、ウクライナ情勢など地政学リスクがあちこちに広がるなかで、これ以上、円安が進むとは限らない。
安倍晋三政権が賃上げにデフレ脱却の期待をかけるのはわかるが、それが中小企業にまで広がるか不透明だ。結局、安倍政権は日銀と民間企業に大きな役割を担わせるばかりで、政権としての役割は十分に果たしていないのではないか。
なにより成長戦略に問題がある。その柱である法人実効税率の引き下げは2015年度以降に先送りされている。政権として真っ先に取り組まなければならないのは税制改革である。レーガノミクスにせよサッチャリズムにせよ、首脳の名を冠した経済政策の柱は税制改革だ。本来、法人実効税率の引き下げは13年度から可能だった。
今年のダボス会議で世界に引き下げの決意を表明したのは政権遂行能力の乏しさを露呈するようなものだ。世界最高水準の法人税率と最低水準の消費税率といういびつな税制を是正するのは、政治の当然の責務である。
 
交渉のさなかにあるとはいえ、TPPにも前向きの姿勢が感じられない。交渉を率先して妥結に導き、それをテコに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉を促し、TPPとRCEPを束ねる。そんな大きな戦略があっていい。それは緊張関係にある中国、韓国を含めアジア太平洋の繁栄と安定につながる。
超金融緩和を続けながら、安易な財政刺激に頼るのも疑問である。2本目の矢は本来、財政規律であるべきだ。中央銀行が財政ファイナンスにあたるみなされれば、先進国最悪の財政を抱える国の国債の信認はいつ揺らいでもおかしくない。成長戦略が実らず財政が節度を失えば、黒田「一本槍」はアベノリスクになりかねない」。
「黒田一本槍でよいのか」は、正論である。肝心の成長戦略に問題があるからだ。法人実効税率の引き下げが15年以降に先送りされたからである。税制改正こそが成長戦略の本丸だからである。レ-ガノミク、サッチャリズム然りである。麻生財務相更迭が急務となる。
 
編集 持田哲也

世界一ビジネスがしやすい東京

コラム 経済

 
読売の社説に「日本経済再生」「効果的な成長戦略に練り直せ」「TPP交渉で国益の最大化を」が書かれている。
 
「安倍政権の進める経済政策『アベノミクス』を追い風に、景気は明るさを増してきた。これから問われるのは成長の持続力である。20年近く続いた悪性デフレの病を、完治させることが肝心だ。
政府は、民間主導の自律的な成長を目指し、実効性のある成長戦略を加速させねばならない。東京市場の平均株価は、ここ1年で約60%上昇し、1万6000円前後で推移している。日本経済を苦しめた円高も大幅に修正され、円安傾向が続く。
 
<カンフル剤は効いたが>
安倍政権が打ち出した大胆な金融緩和と財政出動に加え、米国の景気回復も好材料となった。大切なのは、改善の動きを『偽りの夜明け』に終わらせないことだ。
最大のハードルは、4月の消費税率の引き上げである。消費税率が5%から8%に上がると、家計全体の税負担は年6兆円も増える。国内総生産(GDP)の6割を占める消費が冷え込み、景気が失速する懸念がある。
景気テコ入れ策として財政出動に頼るだけでは、財政悪化に拍車がかかる。経済再生と財政再建を同時に達成するには、大胆な成長戦略で民間経済を活性化させることが欠かせない。
政府は昨年末に成立した産業競争力強化法をはじめ成長戦略の関連施策について、近く実行計画を策定し、実施時期や担当閣僚を明示する。各施策の着実な遂行と、効果の検証が求められよう。だが問題は、成長戦略の中身が物足りないことだ。
 
<規制緩和が物足りない>
『世界一ビジネスがしやすい環境を作る』とした国家戦略特区の規制緩和メニューは、雇用や医療、農業などの強固な『岩盤規制』を十分に突き崩せなかった。経済界が強く求める労働時間の規制緩和や、自由診療と保険診療を併用する混合診療の大幅拡充なども見送られた。
首相は年頭の記者会見で、今年半ばに成長戦略を見直す方針を表明した。既得権を守ろうとする各府省や関係団体の抵抗を、首相の指導力で封じ込め、規制緩和を前進させてもらいたい。欧州やアジアの主要国よりも高い法人税実効税率の引き下げも、成長戦略の課題である。
早期に実現して、日本企業の競争力強化を図るとともに、外資の参入促進による日本市場の活性化を目指すべきだ。安価で安定した電力供給の回復は、経済成長の基盤といえる。安全性の確認できた原発を着実に再稼働することも不可欠である。
せっかくの成長戦略も、主役の企業が『笛吹けど踊らず』では成果は乏しい。デフレや円高で業績不振が長引いたこともあり、多くの企業が守りの姿勢から抜け出せていないことが気がかりである。
日本企業は総額200兆円を超える現金と預金を保有している。万一に備えて手元資金を残しておこうと、設備や人材への投資を控えてきた証しといえる。超円高の苦境は脱したものの、製造業各社は海外市場で、新興国企業などと激しい競争を展開している。国内は、人口減少による市場の縮小が見込まれる。知恵を絞り、勇気をもって『攻めの経営』に転じないと、厳しい経営環境の中で企業が生き残るのは難しいだろう。
 
<「攻めの経営」が必要だ>
製造業は、グローバル競争を勝ち抜くため、モノ作りの力を鍛え直さねばならない。非製造業は、長年にわたり課題とされている低生産性の克服が急務である。
各企業が積極的な経営戦略で利益を伸ばし、それに見合う賃上げに踏み切れば、消費が増え、さらに企業業績は上向く。成長の『好循環』に貢献してほしい。日本が経済的な発展を続けるには、自由貿易を一層推進し、アジアなど成長市場の需要を取り込む必要がある。
大きなカギを握るのが、日米はじめ12か国による環太平洋経済連携協定(TPP)交渉だ。コメや麦など重要5項目の関税撤廃を巡る日米の対立が深まり、昨年末の大筋合意は見送られた。決着の遅れに関し、交渉を主導する日米両国の責任は重い。
TPPで合意できれば、日本と欧州連合(EU)、日中韓など他の経済連携にも弾みをつける効果が期待できよう。日本の国益を最大化するため、何を守り、どこまで譲るか。政府はしたたかに交渉を進め、難局の打開を図るべきだ」。
社説に書いている「『世界一ビジネスがしやすい環境を作る』とした国家戦略特区の規制緩和メニューは、雇用や医療、農業などの強固な『岩盤規制』を十分に突き崩せなかった」は、正鵠を突いている。
 
アベノミクスの成功の可否が、ここにかかっている。国家戦略特区としての東京を「世界一ビジネスしやすい東京」に、2020年の東京オリンピックまでに、できるか、である。アベノリンピクスの結実体として、である。2月9日、投開票の都知事選の争点は、脱原発の是非ではなく、アベノリンピクスの是非にすべきである。
問題は、アベノミクス・アベノリンピクスは、小泉構造改革路線の継承であるのに、その元祖である小泉元首相が、「脱原発」を持って頓挫させようとしていることである。変節と言わざるを得ない。
 
編集 持田哲也

外国人投資家から見る日本経済

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東京に「外国人の買越額最高」「13年」「14兆円超『日本株投資』大幅増」が書かれている。
 
「外国人投資家が2013年に日本の株式を買い越した金額が、14兆円を超えて過去最高を大幅に更新することが27日、確実になった。安倍政権の経済政策の効果もあって、日本の株価上昇は米国や欧州と比べ際立つ。外国人による積極的な『日本買い』が株価を押し上げたことを裏付けた。
東京証券取引所が27日発表した東京、名古屋2市場の投資家別株式売買状況によると、12月第三週(16~20日)の外国人は8週連続で買い越し、買越額は8803億円。今週と大納会の取引分の集計を残した時点の13年の合計は約14兆6100億円に上った。
 
これまでの最高は05年の10兆3218億円だった。日経平均株価(225種)は上昇を続けており『買越額は15兆円に迫るのでは』(大手証券)との見方が出ている。
個人投資家の売越額も8兆円規模に膨らんだ。こちらも06年の4兆3811億円を抜いて最高となる見込み。個人が売った株を外国人が買う構図が鮮明となった。
12月第3週の個人は2週連続の売り越しで、売越額は1兆195億円。株取引の税制上の優遇がことしで終了し、この機会に保有する株を売ろうという動きが広がったのが要因とみられている。
 
平均株価の終値は、ことしの大発会の1月4日は1万0688円だった。12月27日は1万6178円で、上昇率は50%を超えている。
首相官邸は27日、東京証券取引所で今年最後となる30日の取引終了後に開かれる『大納会』の式典に安倍晋三首相が出席すると発表した。首相の大納会式典出席は異例。政権発足後の株価上昇を踏まえ、自身の経済政策の成果を訴えたい考えだ。首相はパラリンピック陸上の佐藤真海選手と共に、一年の締めくくりの鐘を鳴らす」。
13年の外国人投資家の買越額は、15兆円に迫り、05年の10兆3218億円を4兆円も超える。日経平均株価の年間上昇率は50%を超え、世界市場でも米国市場の28%を抑え、ダントツトップである。アベノミクス効果である。
  
編集 持田哲也

経団連、賃上げ明文化

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産経に「経団連、賃上げ明文化」「政労使会議、復興法人税廃止促す」が書かれている。

「22日開催予定の政府と経営者、労働組合のトップによる政労使会議で、経団連が会員企業に対し、平成26年春闘での賃上げを含む報酬引き上げに努めるよう求める資料を提出することが14日明らかになった。経団連は政労使会議で賃上げを確約することにより、法人税に上乗せ課税されている復興特別法人税を1年前倒しで確実に廃止するよう、政府に求める狙いだ。

経団連の米倉弘昌会長が22日の政労使会議に提出する。米倉会長はこれまで、会見などで賃上げ要請に乗り出す意向を示していたが、賃上げ要請を明文化した形で政府に示すのは初めて。
政府は来年4月の消費税率引き上げに伴う景気腰折れを防ぐには、賃上げによる所得の改善が不可欠と見ている。法人税額に10%上乗せで徴収されている復興特別法人税を1年前倒しで25年度末に廃止すれば、企業の税負担が約9千億円軽減されるため、軽減分を賃上げに回すことが期待されている。

政府が10月にまとめた『民間投資活性化等のための税制改正大綱』では、『(復興特別法人税の)廃止が確実に賃金上昇につながる方策と見通しを確認することを踏まえたうえで、12月中に結論を得る』と明記した。
政府は企業の賃上げ動向を踏まえて、同税廃止の可否を最終判断する。政府は、経団連が賃上げ要請を明文化することで、賃金上昇に向けた見通しが示されたと判断し、同税を廃止する公算が大きい」。
23日開催予定の「政労使会議」で、経団連は、会員企業に対し、2014年春闘での賃上げを含む報酬引き上げ要請を明文化した資料を提出することを決めた。それを受けて、政府は、復興特別法人税の1年前倒しの廃止を決断する。約9000億円の軽減分が、賃上げに回ることになる。来年4月の賃上げは確実となった。

編集 持田哲也

薬事法改正への逆行

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日経に「処方薬ネット販売封じ」「薬事法改正案に『対面』明記」「厚労省、規制緩和に逆行」が書かれている。

「厚生労働省は医療用医薬品(処方薬)のインターネット販売の禁止を法律で定める。現在は省令で禁止している。一般用医薬品(大衆薬)のネット販売では、1月に最高裁が省令での規制を違法と認定していた。
楽天などのネット業者が規制改革の本丸を処方薬のネット販売ととらえて規制緩和を求めているなか、議論が不十分なまま規制強化へと逆行しているとの批判も出そうだ。
今国会に提出する薬事法改正案に盛り込む。同法案は大衆薬の一部のネット販売を禁止する内容で、来春に施行する見通しだ。医者が処方箋をだして薬剤師から提供を受ける処方薬は対面での販売が省令で義務づけられているが、この内容を法律で明確にする。

米国や英国、ドイツなどはネット販売が認められている。米国では主治医から薬局に処方箋をメールなどで送り、そこから薬が届く仕組みがある。薬を処方してもらうためだけに病院で長時間待つ煩雑さがなくなるほか、過度に病院に出向くことが減れば、医療費の削減にもつながる。処方薬の市場規模は6兆円以上で大衆薬の10倍だ。
楽天などは『大衆薬より、医者から処方箋をもらってから使用する処方薬のほうが安全の面でネット販売に適している』として処方薬のネット販売解禁を求めている。これに対し、厚労省は『処方薬は重篤な副作用のおそれがあり、対面でなければ安全性が保てない』と反対している。

大衆薬のネット販売では、厚労省の省令での規制を理由に楽天子会社のケンコーコムが国を提訴し、勝訴した。楽天は処方薬のネット販売の解禁を国に求める考えで、厚労省にはあらかじめ法制化することで訴訟リスクを軽減する思惑があるとみられる」。
厚労省が処方薬のネット販売の禁止を、今国会に提出する薬事法改正案に盛り込もうとしている。本丸改革を阻止するために、である。改革の逆行であるから、首相主導で潰すべきである。

編集 持田哲也

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